50歳代後半の品の良いオバサンが、息子が結婚するので、新居となる賃貸マンションを探しに来た。いくつかのマンションを案内して、一番グレードの高い最上階の部屋に決めてくれた。
私が、「結婚するご本人同士が、お部屋を見なくてよろしいのですか?」と質問すると、結婚する本人は、仕事が忙しく時間もないので、私が全て任されているという。
まあ、多少 腑に落ちない部分があるが、そういうこともあるかと一応、 入居申込書を書いてもらうと、契約者は医者の息子で、本人も外科医の34歳、結婚相手も医者の娘で29歳であった。
とりあえず何も問題がないので、契約を進めることにした。契約にあたり、花嫁道具が運ばれてくるのでその時は、私が立ち会う事と、新婚旅行から帰ってくるまでカギを預かってほしいと頼まれる。
数日して、某有名百貨店より花嫁の家財道具(花嫁道具)が運び込まれるというので行って見ると、百貨店の社員とその奥様方が来ていて、次々と家財道具を運び入れ、ブランド物のいかにも高そうな食器類も一枚づつ洗い食器棚に収め、カーテン、ベットシーツも付けて、明日からすぐにでも生活できるようにしていった。
スゴイ・・・
偶然にも、百貨店の担当が高校時代の先輩であったため詳しく聞くと、花嫁道具一式と新婚旅行をセットで1000万円で受けたということだ、医者のやる事は違う。
それから2週間ほど経ち、新婚旅行から帰ってきた頃なのに、本人からは一向に連絡がない。不思議に思い、母親に電話をすると「カギを、こちらに送ってくれ」と言う。
これは、何かあったなと思い、百貨店の先輩に電話すると、なんと結婚式の夜、つまり初夜に花婿は花嫁の部屋ではなく、母親の部屋で寝てしまった。
怒った花嫁は、次の日 旅立つ予定であった新婚旅行をキャンセル、そのまま実家に帰ってしまったということらしい。
当然のことながら、その後、もめにもめ、裁判沙汰になり、なぜか私も男性側の弁護士に呼ばれ、部屋を借りるまでの事情説明をすることになってしまった。
この時初めて、本人に会うことができたが、見た目は小学生をそのまま34歳にしたような、ランドセルを背負うと今でも似合いそうな感じである、これなら花嫁に逃げられて当然、納得してしまった。
隣の部屋での弁護士と本人のやりとりに聞き耳を立てていると、弁護士の質問には、本人が答えず、すべて母親が答えていた。弁護士も呆れて、「お母さんは黙っていてください、本人に聞いているのですから」と言うぐらいだった。
2人の出会いは、高い会費を払うと、医者や弁護士の娘や息子を紹介する結婚コンサルタント会社の紹介で出会ったらしい。それも申し込んだのは母親、相手を決めたのも母親らしい。
こいつ、花嫁も母親に見つけてもらい、新居も母親に決めてもらい、離婚するのも母親が交渉する、何一つ自分でできない、マザコン医者じゃないか。
仮にも現在医者である、手術する時も母親が隣にいないとできないのではないか、こんなマザコン医者に手術されたら、死んでしまう。
皆さんも、結婚の新居探しの時、親も一緒に付いて来るような相手は、考えた方が良いですよ。
●後日談● 6ヵ月後、百貨店の先輩より電話が入る 裁判で和解になったので、マンションの荷物を出すから立ち会ってくれという マンションに行くと、高級な食器類も全て桐の箱に入れ直し、運びだされていた。
私 「先輩、全部、返品ですか?」 先輩「まさか、全部一旦、倉庫で保管する、その後はわからん」 私 「じゃあ、サービスで運ぶのですか?」
先輩 「引越し代 60万で受けた」 私 「ギャ、それって引越しラクラクパックより高いじゃないですか」 先輩 「あたりまえだ、迷惑料も入っているんだよ」
私 「納得」
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