賃貸契約は、入居審査を通過したあとに行います。契約するときに「何の書類を用意すればいいの?」「初期費用ってどのくらいかかるの?」と焦ってしまわないよう、事前にしっかりと準備をしておきたいところです。
そこで今回は、賃貸契約をするときに必要な書類と、初期費用について解説します。
引っ越しを考えている方は、ぜひこの機会にチェックしてみてください。
目次
契約者本人が用意する必要書類
契約時に必要な書類は意外と多く、用意するのに時間がかかってしまうこともあります。
契約直前に焦らないよう、早めに用意をしておきましょう。
住民票(原本)
現在の住んでいる場所を証明するため、住民票(原本)の提出を求められます。
一人暮らしを予定している方は、自身の住民票だけを準備すれば問題ありません。しかし、家族や友人、パートナーと一緒に新居を構える予定の場合、入居予定者全員の住民票が必要です。
現在登録している住所の市町村の役所や、区役所の窓口で申請書に記入し、手数料を支払えばその場で発行してもらえます。
印鑑証明書(原本)
印鑑証明書とは、役所に登録された印鑑が「実印」であることを示す公的な証明書です。
契約をするときは、「実印」と「印鑑証明書(原本)」が必要になります。賃貸契約のような重要な契約では、単なる署名だけではなく、この2つも求められることが多いです。
印鑑登録の手続き
もし印鑑を役所に登録していない場合、賃貸契約の前に登録を行う必要があります。
登録は市町村の役所や区役所で行えるので、「身分証明書(運転免許証や健康保険証など)」と「実印用の判子」を持参して手続きを進めましょう。
注意点としては、自治体や役所によっては、印鑑登録の手続きに時間がかかる可能性があることです。とくに、大都市などでは手続きが混雑することもあるため、余裕をもった日程での手続きを心がけると良いでしょう。
身分証明書(コピー)
賃貸物件のオーナーや不動産会社は、新しい入居者に対してその信頼性や安全性を確認する必要があるため、身分証明書(コピー)の提出を求められます。
身分証明書として一般的なのは、運転免許証です。その他にも、健康保険証、マイナンバーカードなどの公的な書類が該当します。
事前に不動産会社に問い合わせて、どの身分証明書を準備すべきかを確認しておきましょう。提出する身分証明書のコピーは、鮮明で必要な情報がはっきりと読み取れるものを用意してください。
また、期限切れの身分証明書は受け入れられない場合が多いので、有効期限内のものをコピーするようにしましょう。
収入証明書(コピー)
安定した収入を持っており、家賃の支払いに問題がないことを示すために、収入証明書(コピー)を提出します(契約する物件や不動産会社によっては、提出する必要がないこともあります)。
不動産会社や物件のオーナーは、この情報をもとに、契約者の信頼性や資産の安全性を評価します。
従業員の場合:源泉徴収票
多くの従業員は、年末調整後に会社から源泉徴収票を受け取ります。
もし最近のものを手元に持っていない場合、会社に申請して再発行してもらいましょう。
自営業者の場合:確定申告書または納税証明書
自営業者やフリーランスの方は、従業員とは異なる税務処理を行っているため、収入の証明として賃貸契約する年に発行した確定申告書や納税証明書を提出するケースが一般的です。
これらの書類は、税務署や役所で発行できます。
保証人が用意する必要書類
保証人不要の物件や、家賃保証会社利用可能な物件が最近は増えてきましたが、保証人が必要になる物件もまだまだあります。
保証人を立てる場合、保証人側でいくつかの書類を用意してもらう必要があります。
用意する書類は、その物件や不動産会社によって変わってくるので、提示された書類をしっかり確認してからお願いしましょう。
住民票(原本)
物件や不動産会社によっては、保証人の住民票(原本)の提出を求められることがあります。
賃借人の代わりに家賃の支払いを保証する立場として、保証人の信頼性や経済的な安定性をしっかりと確認したい、という背景があるためです。
保証人が遠方に住んでいる場合、住民票を直接手渡しで提出することが難しい場合も多いでしょう。このような場合は、住民票を郵送してもらう方法が一般的です。
しかし、郵送には日数がかかるため、契約日程などを考慮して早めに手配・お願いすることをオススメします。遅延によって契約が遅れないよう、注意が必要です。
印鑑証明書(原本)
保証人が契約書や関連する書類に押印する際、その印鑑が本人のものであるか、そしてその人が正式に登録した実印であるかを確認するため、印鑑証明書(原本)が必要となります。
不動産会社は、これによって保証人の身元や信頼性を確かめることができます。
身分証明書(コピー)
賃貸契約の際、賃借人だけではなく、保証人の身分も確認されることが一般的です。物件や不動産会社にもよりますが、身分証明書(コピー)を求められることがあります。
賃借人が提出する身分証明書と同じく、顔写真が写っている免許証や健康保険証、マイナンバーカードなどのコピーを用意してもらいましょう。
収入証明書(コピー)
賃借人が支払えなくなった場合、保証人が代わって家賃の支払いができるのかを確認するため、収入証明書(コピー)を求められることがあります。
保証人が従業員の場合は「源泉徴収票」を、自営業の場合は「確定申告書または納税証明書」を用意してもらいましょう。
保証人承諾書(原本に署名捺印)
保証人が契約者の代わりに責任を負うため、不動産会社や物件のオーナーはその確約として、保証人承諾書の提出を求めることが一般的です。
不動産会社から書類をもらうので、保証人に「直筆」と「実印」で署名捺印をお願いしましょう。
賃貸契約の初期費用の内訳と相場
賃貸を契約する場合、家賃以外にも様々な費用がかかってきます。
想定より多くお金がかかることもあるので、内訳や相場はしっかり把握しておきましょう。
敷金
敷金は、賃貸物件を退去したあとに原状回復するための費用として充てられ、壁の汚れや床の傷など、通常の使用で生じるダメージの修復に使用されます。
その原状回復のためにかかる費用を敷金から差し引いた後、残額は入居者に返金されます。ただし、明らかな過失や故意によるダメージがある場合、返金される金額が減少することもあるので注意しましょう。
ペットを飼う場合、ペットの引っかき傷や毛の問題などで、物件に与えるダメージが通常よりも大きくなることが予想されるため、ペット可の物件では敷金が通常よりも高額に設定されるケースもあります。
敷金の相場
- 一般的な相場:家賃1ヶ月分
多くの場合、敷金の相場は家賃の1ヶ月分とされています。しかし、物件のグレードや地域、オーナーのポリシーによっては家賃の2~3ヶ月分となることも。
とくに都心部や人気エリアでは、敷金が高く設定される傾向にあります。
礼金
賃貸契約を結ぶことの許可や感謝の印として、入居者から大家さんへ支払われる費用となります。
礼金は、文字通り大家さんへの「お礼」の意味を持つため、基本的に返金されることはありません。
礼金の相場
- 一般的な相場:家賃1ヶ月分
一般的に、礼金の相場は家賃の1ヶ月分とされています。しかし最近では、それ以下の額を設定している物件や、礼金なしの物件も増えてきています。
前家賃・日割り家賃
前家賃
「前家賃」とは、入居者が家賃の支払いを怠るリスクを低減させるため、入居時に翌月分の家賃を前払いするシステムを指します。
日割り家賃
月の途中での入居の場合、その月の家賃は「日割り」計算となります。
例えば、家賃が100,000円で20日に入居する場合、その月の家賃は以下のように計算されます。
- 20日に入居する場合:家賃100,000円÷30日(※)×11日(入居日数)=約36,666円
この場合、36,666円+翌月の家賃100,000円を合わせて、合計約136,666円が初月の支払額となります。
※30日の部分は、各不動産会社の規定によって、月の日数に関係なく「30日」または「31日」で割るケースと、その月の「実日数」で割るケースがあります。事前に、どの方法で計算されるのかを確認しておきましょう。
仲介手数料
不動産会社は、物件の紹介から契約手続き、そして入居者と大家さんとの間でのさまざまな調整作業を行ってくれます。
そのサービスへの報酬として、入居者から不動産会社へ支払う費用が「仲介手数料」です。
仲介手数料の相場
- 一般的な相場:家賃の0.5ヶ月〜1ヶ月分+消費税
なお、金額の上限は「家賃の1ヶ月分+消費税」と法律で定められています。
火災保険料
賃貸契約をする際、加入がほぼ必須となる保険の契約料です。
火災保険は、その名の通り火災による損害をカバーするための保険ですが、実際には水損や盗難、自然災害による被害など、さまざまなリスクに対する補償が含まれています。とくに日本は地震が多い国であるため、地震対応の特約を追加することも可能です。
ニーズに合わせて特約をカスタマイズできるため、自分のライフスタイルや物件の状況を考慮して、最も適切なプランを選びましょう。
また、保険の更新時期や更新方法、解約時の手続きなど、契約の細かな条件も確認しておくことをオススメします。
火災保険料の相場
- 一般的な相場:5,000円〜20,000円
※補償の範囲やプランによって変わります。
保証料
賃貸物件を契約するとき、連帯保証人を立てることが一般的でした。しかし最近は、連帯保証人を立てる代わりに、保証会社に加入することが条件になっている物件が増えてきています。
この、保証会社に加入するときに必要な費用が「保証料」です。
保証料の相場
- 初年度の一般的な相場:家賃の0.5〜1ヶ月分
※物件の立地や家賃の金額、保証会社のサービス内容などによって異なる場合があります。
更新保証料について
保証会社に加入した後も、1〜2年ごとに更新が必要となる場合が多く、その際に更新保証料が発生します。
- 一般的な相場:約10,000円
月額保証料について
保証会社によっては、年ごとに更新ではなく、保証料を毎月支払う場合もあります。
- 一般的な相場:家賃の約1〜2%
鍵交換代
以前の入居者が利用していた鍵を、新しいものに交換するための費用です。
- 一般的な相場:1万円〜2万円
いまはシリンダータイプの基本的な鍵から、デジタルロック、指紋認証などの高度なセキュリティを持った鍵まで、様々なものが存在します。
鍵の種類や機能性、メーカーによって交換代が変動しますので、金額は事前に確認しておきましょう。
初期費用を支払うタイミングは「審査の通過後」
不動産会社の方針にもよりますが、初期費用は入居審査の通過後に支払うケースが主流となっています。支払いの期間は、通過後1〜2週間以内が一般的です。
支払いが遅れると契約に支障をきたす可能性があるため、速やかに初期費用の手配を進めておきましょう。
賃貸契約に必要なものは事前に用意しておこう!
賃貸契約を進めるとき、書類の手続きや初期費用の計画は欠かせません。とくに、初期費用は物件のタイプや立地条件、家賃の設定によって大きく変わるため、予想以上の出費となることもあります。
事前に不動産会社から詳細をしっかりと確認し、資金計画と準備を万全にしてスムーズに賃貸契約を進めていきましょう。