飲食店などを開業する際、集客と売上を安定させるためには「グランドオープン」や「プレオープン」といったイベントの活用が鍵になります。
グランドオープンは単なる開店日ではなく、お店の運営を軌道に乗せる重要なチャンスです。
この記事では、「グランドオープン」と「プレオープン」の意味や違い、効果的に成功させるポイントを基礎から解説します。
これから開業予定の方は、ぜひお役立てください。
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目次
グランドオープンとは?意味と日本での使われ方

グランドオープンとは、簡単に言えばお店の「正式な開店」です。
「グランド(Grand)」という英語には「盛大な」「重要な」といった意味があり、記念イベントを伴うなど、単なるオープン以上の大々的な開店というニュアンスを持ちます。
グランドオープンの日以降は、通常の営業体制に入り、誰でも利用できる状態になります。グランドオープンの評価は口コミや集客に大きく影響するため、万全の準備を整えて臨むことが重要です。
グランドオープンの定義は?語源は英語の「Grand Opening」

「グランドオープン」は日本独自の表現で、語源である英語の正しい表記は「Grand Opening」です。
英語圏では新規店舗の開店初日に「Grand Opening」が使われ、「盛大な開店」や「開店記念イベント」を意味します。また、海外では新規開店を「Newly Opened」と表現することもあります。
ただし日本では、しばしば「グランドオープン」とカタカナで略すため、正式な「Grand Opening」や「Newly Opened」が使われることはほとんどありません。
グランドオープンはいつまで?期間と開催時期の目安
グランドオープンは通常「開店当日」を意味しますが、厳密な期限が決まっているわけではありません。
開店直後の一定期間を「グランドオープン期間」として特別扱いするケースも散見されます。
たとえば、開店から数日間、「オープン記念セール」「グランドオープン記念イベント」を行い、お客様に強くアピールする光景はよく見られます。
一般的に、グランドオープンは数日から数週間と考えておきましょう。
グランドオープンとプレオープンは違う?
混同されがちですが、グランドオープンとプレオープンは目的も対象も異なり、プレオープンは本番前のリハーサル営業、グランドオープンは本番の営業開始という位置づけになります。
プレオープンは「プレ(pre)=前の」という言葉の通り、オープン前に限られたお客様を招いてお店を実際に運営します。主に、サービスやオペレーションの検証・調整が目的のイベントです。
一方、グランドオープンは、プレオープンの検証結果を踏まえて一般のお客様を相手に本格スタートする場です。
プレオープンとは?メリットや注意点

プレオープンとは、正式オープン前にお店を一時的に開放して行う試験営業になります。
プレオープンを行うメリットは大きく二つあります。
ひとつは運営面の最終調整です。本番さながらに営業することで、料理提供のスピードやスタッフ動線の課題などを発見し、グランドオープン前に改善できます。
もう一つは宣伝効果で、プレオープンに来てくれた身近なお客様にSNS投稿や口コミでお店の話題を広めてもらう狙いがあります。
プレオープンはグランドオープン成功に必要なステップと言えるでしょう。
関連記事:プレオープンとは?目的やメリット、成功の秘訣を徹底解説
プレオープンは誰でも入れる?参加条件と注意点
基本的に、プレオープンは招待客のみが参加できるクローズドな営業です。
招待されるのは家族・友人・知人や業界関係者、近隣の方々など、お店にとってフィードバックをもらいたい相手が中心です。
プレオープンの段階で一般客に広く開放してしまうと、オペレーションが整っていないため、満足なサービスが提供できず悪評につながるリスクがあります。
そのため、プレオープンは基本的に誰でも入れるものではなく、お店側が選んだ限られた人だけを招待するのが一般的です。
プレオープンの英語表現と海外での使われ方
「プレオープン」は和製英語の一つで、英語で直接言う場合は「Pre-opening」もしくは「Soft Opening」というのが一般的です。
「Soft Opening」という言葉は海外のレストラン業界で広く使われており、意味はプレオープンと同じく正式開店前の試験営業を指します。
日本でも大手ショッピングモールのイオンは「プレオープン」ではなく「ソフトオープン」と称して開業前の営業を行った例があります。
プレオープンでお金を取るのはあり?料金設定の考え方
プレオープンの料金設定は、お店の方針次第です。
一般的には、無料または半額程度で提供するケースが多いようです。
プレオープンはあくまで試験運転であり、売上よりもフィードバック収集や宣伝が目的なので、無料招待や大幅割引で料理を振る舞うお店もあります。
ただし、無料にこだわって極端な赤字を出し、開業資金に響いては本末転倒です。また無料だとお客様が遠慮して本音を言いにくい場合もあります。
プレオープンの趣旨である「試運転」と「お礼・宣伝」のバランスを考え、お店の負担とお客様の満足・率直さが両立する価格設定を心がけましょう。
グランドオープンとプレオープン|具体例で比較

ここまで、グランドオープンとプレオープンの概要について説明しました。ここでは、2つの言葉の目的・参加者・料金・期間を比較します。
目的|試験営業か正式営業か
プレオープンの目的は本番の開店前にオペレーションの問題点を発見し、スムーズな運営ができるよう調整することです。また、関係者へのお披露目と開店前の宣伝という目的もあります。
一方、グランドオープンは「正式な営業開始」です。一般のお客様にオープンを告知し、多くの方に来店してもらって運営を成功させることが目的です。
参加者|関係者限定か一般客か
基本的にグランドオープンは、お客様であれば誰でも来店が可能です。新規オープンですから、広く告知して多くのお客様に来てもらいます。
一方、プレオープンは「プレオープンは誰でも入れる?参加条件と注意点」で解説したように、お店側の招待客のみで行われ、一般告知はされません。
つまり、プレオープンは閉じたイベント、グランドオープンは開かれたイベントという違いがあります。
料金と継続期間|無料か有料か
グランドオープンは基本的に通常通りお会計してもらい、プレオープンは無料または特別割引価格を設定することが一般的です。
グランドオープンは通常料金でサービス提供
グランドオープン以降は、店舗が正式にオープンしたわけですから、基本的にはすべて通常メニュー・通常料金でサービスを提供します。
ただし、オープン記念として初日限定サービスや割引を用意することもあります。たとえば「本日グランドオープン!〇〇を先着50名様にプレゼント」や「オープン記念5%OFFクーポン配布中」などです。
これらはマーケティング施策であって、料金体系そのものは通常通りという点がプレオープンとの違いです。
プレオープンは1日だけで、基本的に無料
プレオープンは通常、1日から数日だけ行われます。
基本的に招待客には無料か、低価格でサービスを提供します。プレオープンはあくまで練習であり、利益追求の場ではないため、料金を取るにしても経費程度か大幅割引が一般的です。
プレオープンでは、売上を稼ぐ必要はありません。それよりプレオープンでの投資をグランドオープン後に回収できるよう、質の向上と宣伝に努めることが大切です。
リニューアルオープンやソフトオープンとの違い

グランドオープン・プレオープンと似た言葉として「リニューアルオープン」や「ソフトオープン」、さらには「ニューオープン」といった表現があります。
ここでは、グランドオープンに関連する用語の違いを解説します。
リニューアルオープンの使い分け
リニューアルオープンとは、既存店舗を改装・業態変更した後の再オープンを指す言葉です。
新規開店ではなく「改装開店」に当たり、日本では「リニューアルオープン」という表現が定着しています。しかし、これは和製英語で、英語圏では「Grand Re opening」や「Reopen after renovation」などと表現するのが一般的です。
日本ではリニューアル(改装)であってもお店としては一種の新スタートなので、盛大に告知する意味で「グランドオープン」を使うこともあります。
基本的に、新規開店はグランドオープン、改装再開店はリニューアルオープンとして使い分けるとよいでしょう。
ソフトオープン(Soft Opening)やニューオープン(Newly Opened)とは?
ソフトオープン(Soft opening)の意味はプレオープンと同じで、正式開店前の試験営業を指します。英語圏では「Soft Opening」の方が通じやすいため、インバウンド客向けにはこちらを使うとよいでしょう。
一方、「ニューオープン」という表現は日本独特のカタカナ英語です。直訳すると「新しくオープン」ですが、英語の文法的には誤りで、本来は「Newly Opened」と表現します。
日本語の宣伝でカタカナ英語を使う際は、和製英語である可能性を理解しつつ、必要に応じて正しい英語表現も押さえておくとよいでしょう。
和製英語になった理由と英語圏での表現
「グランドオープン」「ニューオープン」「リニューアルオープン」などは、日本で生まれた和製英語です。
このような和製英語が生まれた経緯として、日本のマーケティングにおいてインパクトのあるカタカナ語が好まれたことが挙げられます。
また、日本は英語のニュアンスをアレンジして使ってきた歴史があります。
英語圏では上記のような和製英語は通じないことが多いので、必要に応じて英語表現も補足しておけば、誤解なく情報発信できるでしょう。
グランドオープン・プレオープンを成功させる運営ポイント

ここでは、プレオープンとグランドオープンを成功させるための具体的な運営ポイントを解説します。
開店直前の準備から当日の段取りまで、しっかり押さえて万全の体制で臨みましょう。
プレオープンの費用と価格設定
プレオープンは売上を期待しないとはいえ、食材費や人件費は発生します。また、何日も連続で無料提供すると開業資金を圧迫しかねません。
対応策として、事前にプレオープン用の予算枠を決めておきましょう。たとえば「プレオープンは2日間で〇万円まで試食提供コストに充てる」と決めておけば開業資金への影響を防げます。
提供価格に関しては、無料または大幅割引が基本ですが、想定外のコスト増にならないよう気を付けましょう。
たとえばビュッフェ形式を避けて一品ずつ提供する形にする、招待人数を適切に制限するといった対応が有効です。
招待客の選び方と告知方法(チラシ・SNS・メール)
誰をプレオープンに招待するかは、お店にとって非常に重要です。
招待客が多すぎればオペレーションが混乱し、少なすぎると得られるフィードバックが乏しくなってしまいます。
まず、1日目には身内(家族・親戚・親しい友人)を招くのがオススメです。身内であれば遠慮なく問題点を指摘してくれるでしょうし、不手際があっても挽回できます。
2日目以降は、近隣の方や取引先関係者などを招待しましょう。近隣の方は今後のお得意様になり得ますし、業界関係者はプロ目線での助言が期待できます。1日目の失敗や経験を活かして、よい印象を持ってもらいましょう。
招待の告知方法として、次のような例があります。
- 関係が近い人:直接連絡(電話やLINE、メール)
- 近隣の住民:簡単な招待状やチラシをポストに投函
SNSを活用した告知も検討しましょう。
ただし、プレオープンでは、SNS告知の範囲を限定するのがポイントです。全公開にしてしまうと予想以上の人が押し寄せる可能性があるため、招待したい人にだけ届く工夫が必要になります。
グランドオープン成功の集客施策(広告・イベント企画)
グランドオープンを成功させるには、事前の集客・広報が勝負です。
開店前から積極的にお店の存在と開店日を周知しましょう。効果的な施策をいくつかご紹介します。
- 地域への広告:店舗周辺にオープン告知のポスターや看板を掲示する
- オンラインでの告知:InstagramやX(旧Twitter)などのSNSアカウントを開設し、内装工事の進捗やメニュー紹介、カウントダウンなどを投稿する
- 開店記念特典の用意:オープン記念の特典やクーポンを用意する
- イベント企画:グランドオープン当日にミニイベントを行う
開店までに地元情報誌などに取材してもらえると、さらに理想的です。事前告知を入念に行い、当日はお客様で賑わう状況を作りましょう。
関連記事:飲食店の集客アイデア11選!すぐに実践できる方法をまとめて解説
グランドオープン当日に注意すべき点
グランドオープン当日は、以下の点に注意して臨みましょう。
最高のサービスを提供
開店初日の印象は、そのまま店舗のイメージとして定着します。
笑顔の接客、丁寧な説明、スムーズな配膳などの基本を徹底し、可能な限り最高の接客を心がけましょう。
特別感の演出
グランドオープンの日は通常以上の特別感を演出します。たとえばウェルカムドリンクの提供や、記念品の用意などです。
来店者が「来てよかった」と思える工夫をしましょう。次回から使える割引券を渡すとリピート促進に有効です。
スタッフのフォロー・連携体制の確認
当日は予測不能の事態も起こり得ます。キッチンとホールの連携を密にし、スタッフが臨機応変に対応できる体制を整えましょう。
予想以上に来客が多ければ、メニューを絞ったり、ドリンクサービスで場をつないだりといった判断も必要です。
お客様の様子を確認
初日のお客様の表情や声は宝の山です。料理の味に満足しているか、店内で困っている人はいないか常に目配りしましょう。中には苦情やクレームも出るかもしれませんが、それも貴重な意見になります。アンケート用紙を用意しておくのも良策です。
ほかにも、スタッフの体調管理を行いミスを未然に防ぎましょう。
また、当日は多少のトラブルは起こるものと腹を括り、笑顔と根気で乗り切る覚悟が必要です。終わった後はスタッフ間で必ず反省会・慰労会を行い、翌日以降に活かしましょう。
グランドオープン・プレオープンに関連する疑問コーナー

ここでは、グランドオープンやプレオープンにまつわる疑問をQ&A形式で解説します。
Q:グランドオープンは「G.O.」「GO」って略せる?
A:一般的に、あまり略しません。日本の広告などで「グランドオープン」をアルファベットの略称で表すことはほとんどなく、「GO」と書いてしまうと他の単語と勘違いされる可能性があります。
チラシのレイアウト上スペースが足りない場合でも、「GRAND OPEN」と英語で書くか「グランドオープン」とカタカナで書くのが無難でしょう。
Q:プレオープンに招待されたら?マナーと楽しみ方
A:プレオープンに招待されたら、積極的に参加しましょう。
当日は、丁寧な挨拶・礼儀を守るのが基本のマナーです。手ぶらでも問題ありませんが、手土産やお祝いを持参すると祝意が伝わりやすいでしょう。
また、服装については、招待状の指示に合わせます。男性なら襟付きシャツに清潔なパンツ、女性ならカジュアルなワンピースやブラウススタイルなどスマートカジュアルを心がければ十分です。
プレオープン当日はオペレーションなどの不慣れな点を暖かく見守りつつ、料理や店内の改善すべき点を、店主またはアンケート用紙に伝えると喜ばれます。
もっとも大切なマナーは、お店の門出をお祝いする気持ちを持って参加することです。
やるべきことを把握して、グランドオープンを成功させよう!

本記事ではグランドオープンとプレオープンの意味や違い、グランドオープンで成功するための準備のポイントなどについて解説しました。
グランドオープンはスタートラインです。経営を軌道に乗せるためにも、集客や特別サービスなどの計画を立てましょう。
また、店舗を構える際には、立地や物件選びも重要です。出店エリアが決まっている場合は、地域密着型の不動産ポータルサイト「テナント連合隊」の物件情報を活用すると効率的です。
希望条件を入力すると不動産会社が物件を連絡してくれる「テナント物件リクエスト」もあります。
万全の準備を整えて最高のグランドオープンの日を迎えてください!
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