地方移住を考えている人の中には、「地方移住で失敗する理由は？」「失敗しないためには何に気を付けるべき？」と疑問に思う方も多いのではないかと思います。
地方移住で失敗する理由の多くは、リサーチ不足や計画が不十分であることがほとんどです。
そこで本記事では、地方移住で失敗したと感じる要因や事例、成功させるためのポイントまで詳しく解説します。
目次
地方移住が増えている背景
都心への人口集中が進む中、地方へ移住する人も増加しています。その背景にあるのが、国や地方自治体による移住支援制度の豊富さです。
国や地方自治体では、地方移住を促進しようと、移住者に対して支援金や補助金の支給制度を設けています。また、子育てに対する支援制度を設けている自治体もあり、子育て世帯の移住を促進しています。
昨今では、リモートワークの普及により地方へ移住しても仕事に困らないこともあり、こうした支援に魅力を感じた人々が地方移住に踏み込んでいるのです。
それに加え、地方移住を考えている人が相談・決断しやすい状況になっていることも挙げられます。地方にしかなかった地方移住相談窓口が都心にも設置されたり、定期的に地方移住セミナーが都心で開催されたりと、より相談しやすい環境が整いました。
これらにより、地方移住に対するハードルが下がったことが、移住者が増える主な要因です。
地方移住で失敗したと感じる理由
地方移住で失敗したと感じる理由はさまざまです。地方移住で後悔しないよう、移住した人が失敗したと感じる理由を押さえておきましょう。
交通の便が悪い
地方では、バスや電車が1時間に1本しか来ないことが当たり前の地域もあるため、都心での生活に慣れてしまっていると、交通の便の悪さに失敗したと感じてしまうことが多いです。
地方では車での移動が中心であるため、免許はもちろん車も必要です。加えて車1台では足りず、2台なければ不便に感じることもあります。
例えば夫婦で共働きの場合、車を1台しか持っていなければ、夫婦で出退勤時間や方向が同じ職場を探すか、どちらかが徒歩圏内にある職場を探すなど工夫が必要でしょう。
職種が少ない
地方では、人口の少なさに比例して求人の数も少なく職種が限られます。そのため、希望する分野の仕事が見つからず、職がなかなか決まらないことも少なくありません。
しかし近年では、リモートワークの普及によって場所を問わず働ける会社も増えていることから、仕事によって地方移住を失敗したというケースは少なくなりつつあります。
また地方では、土地の広さや自然環境を活かした製造業や精密機械工業などが盛んです。
それらの分野で就職を考える場合は、よりよい企業が見つかったり、年収がアップしたりすることにもつながるでしょう。
人間関係に馴染めない
地方は近隣住民と接する機会が多く、深い関係性を築いています。
あまり近隣と関わることのない都心に慣れてしまっていると、人間関係に苦手意識を抱き、うまく馴染めないこともあるでしょう。
一方で、近隣との関係が深い分、地域のイベントが豊富であったり、畑で採れた野菜や果物などをおすそ分けしてもらえたりするなどのメリットもあります。
人との繫がりは、生きていく上で必要な要素であるため、何を目的に何を優先して地方移住をしたのか明確にしておきましょう。
お金の管理
地方では、都心に比べて住居費や食費などの物価が安い傾向があります。
生活費を抑えることを目的に地方移住をする人も多いですが、最低賃金が低い地方では収入も減少します。
お金の管理をせず、都心での生活と同じようなお金の使い方をしてしまうと、経済状況が悪化してしまうこともあるでしょう。
とくに地方では、車にかかる費用が都心に比べ高いです。ガソリン代やメンテナンス、冬用の装備などが予想以上にかかり、地方移住を失敗したと感じる要因にもなるため、どれくらいの費用がかかるのかあらかじめ確認しましょう。
移住の目的がはっきりしていない
何か不快や不便を感じた際に助けとなるのが移住の目的です。
何も目的を持たず、移住支援に飛びついて地方移住してしまうと、不便を感じた際に都心に戻りたくなるでしょう。
「自然に囲まれた環境で子育てする」「人と暖かい関係の中で生活したい」など、はっきりとした目的を持つことで失敗を防げるでしょう。
理想と現実のギャップが激しい
地方移住に対して高い理想を持っている人は、失敗したと感じやすいです。
せっかくの地方移住で叶えたい生活や夢を持っている人も多いでしょう。しかし実際は、思い通りにいかないことも多く、理想と現実のギャップに悩むことも少なくありません。
穏やかな人間関係が好きで地方へ移住したものの、冬の雪が厳しくて1年経たずに都心に戻ったり、事業経営に失敗したりするなどのケースもあります。
地方へ移住できたからといって焦らないよう注意しましょう。
ペットの医療機関が遠い
地方では動物病院が少なく、地域に1つしかないことがほとんどです。
突然ペットの体調が悪くなった時などは、通院するのに苦労することもあります。
ペットと一緒に移住する場合は、動物病院が近くにある場所を選びましょう。
子どもの教育環境が不十分
地方は人口が少ないことから、進学先が限られます。
また学習塾が少なく、学習の機会が減ってしまうことから、都会の子どもに比べて学力が低くなることもあるでしょう。
学習塾が近い場所や、田舎よりも少し栄えた地方都市に移住するなど、子どもの将来を見据えて移住先を考えることが大切です。
地方移住でよくある7つの失敗事例
都会での生活環境と大きく異なる地方では、予期せぬ問題が起こることも少なくありません。地方移住でよくある失敗事例を7つ紹介します。
事例1：生活環境の変化についていけない
地方では、都会に比べて生活環境が大きく変化します。
交通の便が悪い、娯楽施設やコンビニが少ないなど、ちょっとした買い物に行くのにも車で20〜30分かけて向かうことが日常です。そのため、車を持っていないことで地方移住に失敗することがあります。
地方での移住生活では、生活環境が大きく異なることから、対策が必要であることを念頭に置いておきましょう。
事例2：収入が落ちてしまう
地方では平均年収が低く、都心ほど稼げないこともあります。思った以上に稼げないうえ、求人の少なさから希望する職業で働けずに地方での生活を断念するケースも多いです。
収入面と生活環境のどちらを優先したいのか、移住前に明確にしておきましょう。
また、テレワークなどを活用すれば、現在の仕事を続けたまま移住することもできます。インターネットを活用した仕事であれば、場所を選ばずに収入を保ったまま働くことも可能です。
事例3：人間関係がうまくいかない
都心に比べ、地方の人間関係は閉鎖的で深いのが特徴です。
消防団の活動や町内会の集まり、祭りの準備などのイベントが多く、コミュニケーションをとる機会が多くなります。そのため、地方での交流に慣れないうちは疲れを感じてしまうこともあるでしょう。
とくに人付き合いが苦手な方とっては、地方のコミュニケーション頻度の多さが地方移住を諦める原因になる可能性もあります。
人間関係での失敗を回避するために、まずは無理のない範囲で接するように心掛けましょう。
事例4：築年数の古い空き家を購入する
地方には多くの空き家があります。
現地の住民や自治体に価格の安い空き家を紹介されることもありますが、そのほとんどは築年数が古く、リフォームに高額な費用が必要になることが多いです。
もちろん物件のなかには好条件のものもありますが、自分たちの住む家は決める前に必ず見に行きましょう。
空き家を購入して費用を抑えたいが、どうしてもリフォームが必要な場合は、地域によって空き家購入に対する補助金制度を設けている自治体もあるため、市役所に確認してみましょう。
事例5：想定より物価が高かった
地方では物価が安いイメージを持ちがちですが、地域によってはそうでない場所もあります。とくに地方都市では、物価に大きな差がない場合がほとんどです。
物価が安かったとしても、平均年収が低いことや地方特有の車の維持費、冬の灯油代によって手元に残るお金は都心での生活と大差ないことから、思っていたのと違うと移住生活を辞めてしまう人もいます。
事例6：医療機関
地方では病院が少なく、大きな病院へ行く必要がある場合は、隣町まで時間をかけて向かう必要があります。そのため、高齢者や持病を持っている人と移住を考えている場合は注意が必要です。
あらかじめ近くに医療機関があるか確認しておくとよいでしょう。
事例7：雪かき
冬になると雪が降る地域では、毎日雪かきを行います。
雪かきをしなければ玄関前や駐車場前が埋もれてしまい、外出できなくなることもあるため、毎朝30分〜1時間程度の雪かきが日課です。
雪は思っている以上に重く、朝も早いことから移住生活を断念する人が多くいます。雪かきをなるべくしたくない方は、移住前に降雪量をあらかじめ確認しておきましょう。
また、マンションなどの雪かきが必要ない物件を選ぶこともおすすめです。
地方移住に向いている人の特徴
地方移住で成功している人にはいくつかの共通点があります。
ここでは、地方移住に向いている人の特徴についてみていきましょう。
とにかく自然が好き
商業施設や娯楽施設で休日を過ごすより、ハイキングやキャンプ、釣り、サーフィン、スキーなど、アウトドアが好きな人は地方移住に向いています。
都心に比べ、地方は山や海、川などの自然がすぐ近くにあり、自然の中で遊ぶことが好きな人にとってぴったりの環境です。
休みの日には気軽にアウトドアを楽しめるでしょう。
ポジティブに物事を考えられる
都心から移住してきた人にとって、地方での生活では不便さを感じることが多いです。
どんなに不便な思いをしたとしても、ポジティブに物事を捉えられる人は地方移住に向いています。
例えば、スーパーまで車で30分かかるにもかかわらず、調味料を買い忘れをしてしまった場面で考えてみましょう。スーパーまで戻るのが「面倒くさい」と感じるのか、「気分転換のドライブができる」と考えるのか、もしくは「代替品を使ってみよう」という考え方もできます。
より前向きに物事を考える方が、毎日楽しく過ごせます。とくに地方では、こういった些細な不便をいかに楽しむかが重要です。
人とのコミュニケーションが苦にならない
人と接することが好き、または苦にならない人は地方移住に向いています。
地方では近隣との関わりが密接であるため、人とコミュニケーションをとる機会が多いです。
人とのコミュニケーションが苦にならず、良好な関係性が築ければ、有意義な地方移住生活を送れるでしょう。
自発的に動ける
都心から地方へ環境を大きく変える場合、自ら積極的に動かなければいけない場面に多く出くわします。
また、移住後も仕事や人間関係、プライベートにおいて大きな変化をもたらしたい場合には、自発的な行動が必要不可欠です。
自ら動いて開拓できる人は、地方移住に向いているといえるでしょう。
創り出すことが得意
自然豊かな地方では、DIYや家庭菜園、ガーデニングなど、何かを創り出すことが得意な人は地方移住に向いています。
娯楽施設が少ない分、DIYや家庭菜園、手料理などで休日を過ごすことが多いため、手作りが好きな方は移住生活を満喫できるでしょう。
失敗から学ぶ地方移住を成功させる6つのポイント
失敗事例を押さえたら、実際に地方移住で失敗しないために6つのポイントを守る必要があります。
ポイント1：移住先での仕事を決めておく
地方移住の際、移住先の仕事を決めておくことは大前提です。
移住後に仕事を探すのもいいかも知れませんが、あらかじめ収入源が確保できていれば安心できます。
最近では、移住者向けに各自治体が仕事を紹介する制度もあるため、積極的に活用しましょう。
ポイント2：お試し移住などで地方移住を体験する
近年では、地方移住を気軽に体験できる移住お試し体験ツアーや移住体験住宅、農業体験といった制度を設けている自治体もあります。
移住を決定する前に、まずはこれらの制度を活用して移住を体験してみれば、地方移住のイメージが明確になるでしょう。
ポイント3：地方都市を経由した二段階移住を検討する
二段階移住とは、都心から急に田舎へ移住するのではなく、県庁所在地などの地方都市に一度移住してから田舎の方へ移住することをいいます。
移住は生活環境が大きく変化することから、いきなり田舎に引っ越すことは、ハードルが高いと感じる人も少なくありません。
まずは、地方都市を経由することで少しずつ段階を踏めるため、地方移住での失敗を最小限にできます。
ポイント4：移住の目的を明確にもつ
前述したように、挫折しそうになったときに頼りになるのが「目的」です。
何のために地方へ移住して、何を叶えたいのかを明確にしておくことで、ちょっとやそっとのことで移住を断念することがなくなります。
もちろん、移住の目的は家族とも話し合い、共有しておくことも忘れないようにしましょう。
ポイント5：移住相談窓口で相談する
地方移住では、さまざまなポイントに注意が必要です。
はじめての地方移住では、わからないことや不安なこともあるため、移住相談窓口に相談してみましょう。前述した通り、近年では移住相談窓口が都心部にも設置されています。
自分で考えることも大切ですが、経験豊富なプロにしかわからないこともあるため、一度相談してみることをおすすめします。
失敗事例を対策して地方移住を成功に導こう
地方移住で失敗している人の多くは、明確な目的を持っていないことや、情報収集と事前準備が不足していることが原因となっています。
移住をする目的をしっかりと設定し、その目的を達成するために下調べや計画立てを行っていれば、地方移住で失敗することはないでしょう。
地方移住を検討中の方は、本記事で紹介した失敗例と成功させるためのポイントを押さえ、まずは移住相談窓口で相談してみてはいかがでしょうか。
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