都市部の人混みや忙しさに疲れて、「自然あふれる田舎でのんびり暮らしたい」と移住を検討する人が増えています。一方で、インターネット上には「田舎暮らしはデメリットしかない」「地方移住はやめとけ」といった声もあります。
では、本当に田舎暮らしはデメリットしかないのでしょうか。
本記事では、田舎暮らしでよくあるメリット・デメリットを改めて整理し、田舎暮らしに向かない人の特徴や、後悔しないための準備について解説します。
田舎への移住を検討している方の参考になれば幸いです。
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目次
田舎暮らしのデメリット5つ
まずは、多くの移住検討者が直面するデメリットから確認しましょう。
- 仕事の選択肢が少ない
- 病院や学校・塾などの選択肢が少ない
- 自家用車が欠かせない
- 人間関係が濃い
- 娯楽や出会いが少ない
それぞれの具体例を詳しく解説します。
1. 仕事の選択肢が少ない
田舎では求人が少なく、大企業やIT関連の仕事はほとんどありません。中小企業や地元産業が中心のため、「思い描いたキャリアを実現できない」「収入が下がる」と後悔する人もいます。
実際に、株式会社ニュートラルワークスが地方移住の経験者におこなった調査によれば、移住して後悔したこととして、34.1%の人が「仕事が限られる」と答えました。
参考:PR TIMES「地方移住を「成功だった」と回答した方はわずか半数にとどまる【移住調査レポート】」
このため、仕事に関しては以下のような工夫が必要です。
- 複数の仕事を掛け持ちする
- テレワークで都市の仕事を続ける
- インターネットを活用して独立収入を得る
移住を検討する際は、事前に現地の求人を確認し、収入と暮らしのバランスについて価値観を整理しておきましょう。
2. 病院や学校・塾などの選択肢が少ない
田舎では、医療や教育の選択肢が極端に限られます。
近くに病院がなく、軽い症状でも隣町まで車で移動する必要があったり、専門科や救急医療の対応が遅れたりする場合もあります。とくに高齢者や子育て世代にとっては、大きなリスクです。
教育面でも学校や塾が少なく、高校が存在しない地域では、子どもを都市部に通わせるケースもあります。習い事や進学の選択肢が乏しいため、教育熱心な家庭では物足りなさを感じるでしょう。
このような環境で暮らすには、以下の準備が必要です。
- 病院や学校の有無を事前に調べる
- 自治体の支援制度やオンラインサービスを活用する
移住先の現実を理解したうえで、工夫できるポイントを探しましょう。
3. 自家用車が欠かせない
田舎では公共交通機関が乏しく、移動はほぼ自家用車に依存します。
バスは本数が少なく、最寄り駅まで車で30分以上という地域も珍しくありません。買い物や通勤・子どもの送迎・通院など、何をするにも車が必要であり、一家で複数台所有するのが一般的です。
その結果、ガソリン代や保険料・車検費用などの維持費が大きな負担となり、都会より生活コストが高くなる面もあります。さらに雪国では、冬用タイヤへの交換や雪かきといった手間が加わるほか、高齢になれば免許返納で移動難民になるリスクもあります。
田舎へ移る前に、運転の負担や維持費の高さを踏まえ、生活スタイルと合致するか確かめておきましょう。
4. 人間関係が濃い
田舎では人口が少ない分コミュニティも狭く、近所づきあいや地域行事の頻度が高いため、人との距離は都会よりも近くなります。助け合える安心感はある一方で、噂が広まりやすくプライバシーが薄く感じられることも少なくありません。
結婚や子育てといったプライベートに踏み込まれることもあり、価値観の押し付けや同調圧力に疲れる人もいます。また新参者扱いされて地域の輪に入れず孤立したり、陰口やいじめに発展したりするケースもネット上で見受けられました。
さらに、狭い社会で人間関係がこじれると逃げ場がなく、ストレスが蓄積してしまう恐れもあります。
とはいえ、移住者が多い地域や新興住宅地では程よい距離感が保ちやすいため、地域によって差があるのも事実です。移住の先輩たちから口コミを集めてリサーチしておきましょう。
関連記事:田舎は人間関係が濃い?田舎で楽しく暮らす3つの秘訣
5. 娯楽や出会いが少ない
田舎は都会に比べて娯楽の選択肢が限られており、映画館や大型ショッピングモール・外食チェーンなどは気軽に利用できない場合が多いです。夜遅くまで営業している店も少なく、日常の楽しみは自然の中での散策やドライブが中心になります。
都会の刺激に慣れた人は、物足りなさを感じるかもしれません。
また出会いの機会も少なく、とくに若者や独身者にとっては同世代の人口が少ないため、友人や恋人を見つけにくい環境です。地域コミュニティが固定化されていると新参者は入りづらく、孤立感を覚える人もいます。
対策としては、アウトドアや地域活動で趣味や交友関係を広げるほか、オンラインサービスを活用するのも一つの方法です。都会との二拠点居住でバランスを取る人もいます。
田舎暮らしのメリット5つ
ここまでデメリットを中心に見てきましたが、もちろん田舎暮らしにはメリットもたくさんあります。代表的なメリットは下記の5つです。
- 満員電車に乗らなくて良い
- 住居費や食費が安い
- 自然が多い
- 子どもが外で遊びやすい
- 人付き合いが深くなる
デメリットばかりに目を向けていると、移住のモチベーションが下がってしまいます。「なぜ自分は田舎に惹かれたのか」を思い出すためにも、代表的なメリットを5つ確認してみましょう。
1. 満員電車に乗らなくて良い
田舎へ移ると、通勤は車や自転車で短距離になり、満員電車の圧迫感や行列のストレスから解放されます。
たとえば片道1時間の電車通勤を車15分に変えれば、毎日約90分の自由時間が生まれるため、家族との時間や趣味・学びに充てられます。リモートワークなら通勤そのものが不要です。
人混みから距離を置けると、朝の気分が穏やかになり、生活全体の満足度も高まりやすくなります。
2. 住居費や食費が安い
田舎暮らしの大きな魅力は、生活コストの低さです。
住宅費は都会の半額以下という地域もあり、同じ予算で広い家や庭付き一戸建てが手に入ります。
ローンを完済すれば、年間の住居費がほとんどかからない家庭も珍しくありません。
さらに直売所やご近所からのお裾分けで、新鮮な野菜や山菜を安く手に入れられるのも地方ならではです。外食も地元の食堂や居酒屋が中心で、手頃な価格でボリュームのある食事を楽しめます。
水道光熱費は地域差があるものの、全体的には都会より支出を抑えやすい傾向です。そのため収入が低めでも、可処分所得に余裕が出るケースもあり、金銭的な安心感を持てます。
3. 自然が多い
田舎暮らしの最大の魅力は、四季の風景や澄んだ空気・満天の星空を日常として味わえる点です。
家の近くで川遊びや山歩きができるほか、冬は庭で雪遊びもでき、遠出せずに自然を楽しめます。子どもは土や草に触れて創造性と体力が育ち、大人は朝夕の空や星に癒やされます。
虫の多さや夜の暗さ・冬の寒さといった負担はあるものの、季節の移ろいを肌で感じられる充足感は、都会では得にくい価値です。
さらに、庭や畑での小さな栽培や収穫が暮らしに張りを生み、野鳥のさえずりや川のせせらぎなど自然の音が心を落ち着かせます。週末の準備に追われず、日々の延長でレジャーを楽しめるのも魅力です。
4. 子どもが外で遊びやすい
田舎は交通量が少なく地域の目も行き届いているため、子どもを安心して外で遊ばせやすいです。
公園や空き地が広く、虫捕りや木登り・自転車でのびのび走り回るといった自然体験が日常的にできます。
さらに地域全体で子育てを見守る風土があり、年配の住民が声をかけてくれることもあります。学校の規模が小さい分、先生の目が届きやすく、一人ひとりに合わせた指導が受けられる点もメリットです。
自然や地域との関わりを通じて、子どもがたくましさや協調性を育めるのは、田舎ならではの魅力ではないでしょうか。
5. 人付き合いが深くなる
田舎の魅力の一つは、都会では得にくくなった深い人間関係です。
人口が少ないぶん一人ひとりとの距離が近く、ご近所同士が家族のように支え合う文化があります。
困ったときは「お互い様」と助け合い、地域行事を通じて幅広い世代と交流しながら絆を強められます。旬の野菜や自分で獲った魚をお裾分けするような習慣も残っており、人情味ある交流が日常的に生まれやすいです。
もちろん自分から心を開く姿勢は必要ですが、挨拶や交流を大切にすれば、多くの地域で温かく迎え入れてもらえるでしょう。孤独を感じがちな都会に比べ、人とのつながりに安心感を得られるのは、田舎暮らしならではです。
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田舎暮らしに向かない人の特徴3選
ここまで田舎暮らしのメリット・デメリットを見てきましたが、田舎暮らしが向いている人・向かない人がいるのも事実です。向いていない人が無理に田舎へ移住すると、高い確率で後悔してしまいます。
そこで、「田舎移住はやめとけ」と言われがちな人の特徴を下記の3つ紹介します。
- 距離の近い人間関係が苦手
- 車の運転が苦手・できない
- 幅広い選択肢がほしい
自分や家族が当てはまっていないかチェックしてみましょう。
1. 距離の近い人間関係が苦手
田舎は人との距離が近く、プライバシーを重視する人や、一人の時間を大切にしたい人には負担になりがちです。
顔を合わせれば世間話になったり、自治会や行事への参加を期待されたり、地域によっては農作業の手伝いまで求められる場合もあります。交友関係を自由に選びにくく、価値観や年齢の違う人とも助け合いやコミュニケーションが必要です。
その結果、「人間関係に疲れた」とUターンする例も見られます。このタイプに当てはまる人でどうしても移住したい場合は、下記の工夫をおこないましょう。
- 移住者が多いか、比較的ドライな人間関係の地域を選ぶ
- 関わり方のルールを先に共有する
口コミや先輩移住者の経験談など、幅広いリサーチが必要です。
2. 車の運転が苦手・できない
田舎では移動に車が欠かせないため、運転が苦手な人や免許を持たない人には不向きです。
とくに山道や雪道では都市部以上のスキルが必要で、「怖くて出かけられない」という状態では生活に支障をきたす恐れがあります。また持病や高齢で運転が難しい場合も、公共交通機関の整った都市部の方が安心です。
地方にも乗合タクシーや移動販売などの支援はありますが、利便性は低めです。
どうしても移住したいなら「駅近物件のある地方都市を選ぶ」「移住前にペーパードライバー講習で慣れる」など工夫しましょう。
3. 幅広い選択肢がほしい
田舎は店やサービスの数が限られているため、都会のように多彩な選択肢を楽しむことは難しい環境です。
買い物や外食は決まった場所に偏りやすく、「もっと選びたいのに選べない」と感じる人には不満が溜まります。娯楽や人との出会いも固定化されやすく、常に新しい刺激を求める人には退屈に思えるかもしれません。
さらに専門学校や企業も少ないため、キャリアアップや学びの機会も限られます。オンライン講座で補える面はあるものの、人脈や刺激を重視する人にとっては都会が有利です。
利便性や多様性を重視する人は都市生活に向き、田舎は「限られた中で工夫して楽しめる」人に適しています。
田舎移住で後悔しないための準備
ここまで見てきたように、田舎暮らしにはメリットもデメリットもあります。
大切なのは、事前に現実を知ったうえでしっかり準備することです。以下の対策を講じておけば、「こんなはずじゃなかった…」と嘆くリスクを大幅に減らせるでしょう。
- さまざまな手段や視点で情報収集する
- 二拠点生活やお試し移住を検討する
- 支援制度や相談窓口を積極的に活用する
地方移住を失敗させないために、それぞれ詳しく解説します。
さまざまな手段や視点で情報収集する
移住先は一度で決めず、複数回にわたって、さまざまな視点で確かめましょう。
季節や平日・休日、昼夜などを切り替えて訪れ、気候・人出・騒音・交通機関の本数をチェックします。
単に観光するのではなく、スーパーや役場で物価や手続きのスムーズさなどを見たり、近隣住民にも声をかけたりして実情を聞きます。
あわせて移住者のブログやSNS・地域おこし協力隊の募集、人口推移・医療機関・待機児童などの統計で裏取りをしましょう。通信環境やハザードマップも確認すると安心です。
さらに移住フェアや相談窓口で、支援制度の情報や先輩の体験談を収集し、お試し住宅・短期滞在で暮らしを実地検証すれば、「想定外」を事前に減らせます。
二拠点生活やお試し移住を検討する
いきなり移住するのが不安なら、二拠点生活(デュアルライフ)やお試し移住から始めるのが安心です。
平日は都市部で仕事を続けつつ、休日に田舎でスローライフを体験すると、利便性と自然の両立を試せます。
自治体によっては格安で利用できる「お試し住宅」や、数日〜数週間の体験ツアーが用意されているため、住民同士での交流や仕事に関する相談も可能です。
このような体験を通じて気候や生活感を実地で体感すれば、移住の適性や本音が見えてきます。さらに複数の地域を比較すれば、自分に合う土地も絞り込みやすいです。
以下の記事では、デュアルライフの実践例も紹介していますので、興味のある方はご覧ください。
関連記事:二地域居住とは?注意点やおすすめエリア、成功のコツを解説
支援制度や相談窓口を積極的に活用する
地方移住では、国や自治体の支援制度を賢く利用しましょう。
たとえば、東京23区から地方へ移住して就職・起業する場合に支給される「移住支援金」(世帯最大100万円)や、各自治体独自の補助があります。代表的な支援制度は以下のとおりです。
- 引っ越し費用や家賃・住宅改修費の補助
- 新規就農や子育てへの支援金
- 空き家バンクを通じた格安物件の紹介
また相談窓口も活用しましょう。ふるさと回帰支援センターなどでは、全国の移住相談ができ、仕事や住まいの情報も得られます。
現地の移住サポートセンターや地域おこし協力隊も心強い味方です。支援をフル活用すれば、経済的・精神的な負担を減らし、移住をスムーズに進めやすくなります。
田舎暮らしに関するよくある質問
ここでは、田舎暮らしを検討するにあたって多くの人が抱く疑問をQ&A形式でまとめました。
移住してはいけない田舎の特徴は?
移住初心者には避けた方がよい地域の特徴があります。代表的な特徴は以下のとおりです。
- 人口減少が著しい限界集落:高齢者ばかりで生活インフラが弱い
- 生活インフラ不足:スーパーや病院まで車で1時間以上かかるなど日常生活が難しい
- 移住者受け入れに消極的:閉鎖的で支援制度や相談窓口が整っていない
- 極端な気候・自然条件:豪雪地帯や離島、山奥など生活負荷が大きい
- 雇用機会が極めて少ない:求人がほぼなく収入源を確保しづらい
このような地域はよほどの目的がない限りハードルが高く、初心者は避けるのが無難です。
ただし同じ県内でも条件は異なるため、自分や家族に合うかを基準に判断しましょう。
関連記事:移住してはいけない田舎とは?後悔&失敗を避ける方法を徹底解説!
都会と田舎はどっちが幸せ?
都会と田舎のどちらが幸せかは、人の価値観によって異なります。
| 項目 | 都会 | 田舎 |
|---|---|---|
| 魅力 | 仕事や娯楽の選択肢が多く、便利で刺激的 | 自然や人の温かさに触れ、家族や自分の時間を大切にできる |
| 向く人 | 多様な人との交流やキャリアの機会を重視する人 | 心の豊かさやゆとりを重視する人 |
どちらの魅力もあきらめたくない場合は、二拠点生活で両方の良さを享受する選択肢もあります。
地方移住で物件を探す際のポイント
地方移住を決めたら、次は住む家探しです。都会とは不動産事情が異なるため、物件探しの際には以下のポイントに注意しましょう。
- 賃貸か購入か:最初は賃貸で様子を見てから本格定住を判断するのがオススメ
- 生活圏の利便性:スーパー・病院・学校・交通手段までの距離を重視する
- インフラ・通信環境:水道・ガスの種類や光回線の有無を確認する
- 物件の状態:古民家や空き家はリフォーム費用も含めて検討する
- 気候風土への備え:雪・台風など地域特有のリスクを踏まえる
- 近隣住民との相性:田舎では近所付き合いが濃いため事前にチェック
ネットに出ない物件も多いため、地元不動産や空き家バンクを活用し、支援制度も併せて確認しましょう。
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本記事では、田舎暮らしのデメリットとメリット・向かない人の特徴、後悔しない準備などを解説しました。田舎暮らしのデメリットを把握したうえで、ご自身の価値観にマッチするか判断しましょう。
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