北海道の物価は安いのか?北海道へ移住を考えている方の中には、北海道の物価は安いのか?疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
安いイメージを持ちがちな北海道の物価では、家賃と水道・光熱費が首都圏と大きく異なります。
この記事では、北海道への移住をお考えの方へ向けて、北海道の物価は安いのか、東京都との比較や安い地域などについて詳しく解説します。
目次
北海道の物価は安い?東京との比較

北海道の物価は安いイメージを持ちがちですが、実際はどうなのか?東京都と比較して解説します。
北海道の物価は意外と高い
総務省によって令和4年に発表された「消費者物価指数-小売物価統計調査-令和3年結果」によると、全国平均を100としたときの北海道の物価は100.8ポイントと、全国平均よりも少し高い物価を記録しています。

また、都市別の統計でも、札幌市は100.5ポイントで全国8位と、全国平均を少し上回っています。

東京の物価との比較
北海道の物価と東京都の物価を比較すると、以下の表の通りです。
総合 | 食料 | 住居 | 光熱・水道 | 家具・家事用品 | 被服及び履物 | 保険医療 | 交通・通信 | 教育 | 教養・娯楽 | 諸雑費 | |
北海道 | 100.8 | 100.9 | 86.0 | 117.4 | 102.3 | 104.6 | 101.1 | 100.5 | 92.9 | 98.8 | 100.3 |
東京 | 104.5 | 102.8 | 131.9 | 93.7 | 104.3 | 102.0 | 101.8 | 103.2 | 109.5 | 104.9 | 100.6 |
(北海道)-(東京) | -3.7 | -1.9 | -45.9 | 23.7 | -2.0 | 2.6 | -0.7 | -2.7 | -16.6 | -6.1 | -0.3 |
東京都と北海道の物価を総合でみると、東京都の104.5ポイントに対し北海道は100.8ポイントで3.7ポイントの差があり、北海道は東京都よりも物価が安いという結果になりました。
10大費目別にみると、大きく違いがあったのは、「住居」「光熱・水道」「教育」です。
北海道の「住居」は86.0と、全国平均100を大きく下回り、東京都と45.9ポイントの差があります。
また、「教育費」も92.9ポイントで全国平均より低く、東京都との差は16.6ポイントです。
逆に、北海道の「光熱・水道」は、全国平均を超えた117.4ポイントで、東京都の93.7ポイントと比べて、23.7ポイント高い結果でした。
北海道は東京都と比べて、光熱費や水道代が高めですが、家賃や教育費が大幅に安いため、総合的にみると北海道の物価の方が安いです。
北海道で物価の安いもの

北海道には物価が安い項目が4つあります。
家賃
北海道の家賃は、首都圏に比べ圧倒的に安いです。
前述した通り、「消費者物価地域差指数」によると北海道の住居にかかる費用は、86.0ポイントと全国平均と比べてかなり安く、東京都とは45.9ポイントの大きな差があります。
たとえば、東京都23区内で1LDKや2LDKを探すと10~25万円ほど、高い場所では、30万円以上する場合も少なくありません。
しかし、北海道の札幌駅付近で同じ条件の物件を探してみると、駅から徒歩10分圏内でオートロック、そこそこ綺麗な物件でも7~9万円台程度で借りられます。札幌市内に範囲を広げると、6万円台の新築物件もあり、かなり家賃を抑えられるでしょう。
もちろん駅から近い物件は、家賃相場が高くなりますが、札幌や旭川などの主要都市とそうでない都市の家賃相場はそれほど変わらないのも特徴です。
交通費
北海道で利用できる主な公共交通機関は、地下鉄、JR、市電、路線バスの4種類があります。なかでも、地下鉄と市電がかなり安いです。
札幌市中央区を走りまわる札幌市電は、走る範囲は狭いものの、大人1回200円、子ども1回100円でエリア内すべて周ることができます。
一方JRは、少し高めか、首都圏と同等の料金設定です。
北海道は土地が広く、町と町の距離が大きく離れているため、行先に辿り着くまでに長い距離を電車に乗らなければいけないことも、少なくありません。
そのため、必然的に料金も高くついてしまうこともあります。
北海道の公共交通機関はJRを除けば、首都圏に比べ安く利用できるでしょう。
教育費
「消費者物価地域差指数」にもあるように、北海道の教育費は92ポイントと全国平均よりも8ポイント低く、教育費が安いことがわかります。
総務省統計局による「家計調査」では、北海道の教育費が全国平均の約2分の1程度となっています。
教育費は、主に授業料、教科書・学習参考教材、補習教育の3種類です。いずれも全国平均の半分程度であるため、都内から北海道に移住することで大きく費用を節約できるでしょう。
教育費(単位:円) | 北海道 | 全国 | 差 |
令和4年8月 | 6,852 | 13,493 | 6,641 |
令和4年7~9月期平均 | 9,805 | 16,735 | 6,930 |
食料(旬の食料)
食料の物価は、時期によって変動はありますが、旬の食材が破格で売られていることがあります。
野菜の収穫時期には、ジャガイモや玉ねぎが10kgで数百円など、大量に安く購入可能です。魚の旬の時期には、大きなホッケや、いくら入りのサケなど、北海道ならではの食材をコスパ良く購入できます。
また、北海道では豚肉も比較的安価で購入可能です。外国産はもちろんですが、北海道産の豚肉も安く売られています。
しかし、雪が降り始めると北海道では野菜が採れないため、店頭に並ぶのは他県で採れた野菜です。他県の野菜には運送コストがかかるため、収穫時期と比べて高くなります。
そのため、長く保存できる野菜は、収穫時期に買いだめがおすすめです。
北海道の物価で高いもの

北海道の物価は、水道・光熱費が高い傾向にあります。
水道料金
北海道では、水道料金が全国に比べ少し高めです。都道府県格付研究所によると、47都道府県で水道の基本料金が最も高いのは北海道で1,412円/月でした。
北海道は他の都道府県に比べると面積が広く、人口密度が極端に低いため、運用効率が悪くなることで水道料金が高くなるといわれています。
順位(2014年) | 都道府県 | 料金 |
1位 | 北海道 | 1,412円/月 |
2位 | 佐賀県 | 1,391円/月 |
3位 | 福岡県 | 1,338円/月 |
また、電気プラン乗換.comが推計した「2021年北海道地方の平均的な月当たりの支出」では、北海道の水道料金は4,428円、家計に占める割合は2.03%でした。
特に冬から春にかけて水道の使用料が1番多く、4,706円です。しかし、水道料金の物価が高くても、水の無駄遣いを減らすことで支払う料金を抑えられます。
物価が高いものはなるべく使用せず、毎月の支払いが減るように考えましょう。
参考までに、世帯人数ごとの水道料金は以下の通りです。
世帯人数 | 水道料金 |
1人 | 1,692円 |
2人 | 3,269円 |
3人 | 4,327円 |
4人 | 4,865円 |
5人 | 5,499円 |
6人 | 6,916円 |
平均 | 4,428円 |
電気料金
北海道の電気料金は、他都道府県と比べると割高です。
消費者物価地域差指数をみると、水道・光熱費が飛び抜けて高く117.4ポイントと、全国的にみても高い数値でした。
また、全国に電力供給を行う「Looopでんき」の電気料金も北海道電力エリアが最も高い料金設定になっています。
電気料金も水道料金同様、節約が可能です。
使用しない電化製品のコンセントを抜く、使っていない電気は消すなど、意識するだけで大きく差が出てくるため、物価が高いとはいえ支払う金額は抑えられます。
電力エリア | 従量料金単価(/kWh) |
北海道電力管内 | 32.00円 |
東北電力管内 | 28.00円 |
東京電力管内 | 28.80円 |
中部電力管内 | 28.50円 |
北陸電力管内 | 25.50円 |
関西電力管内 | 25.50円 |
中国電力管内 | 26.50円 |
四国電力管内 | 26.90円 |
九州電力管内 | 25.40円 |
沖縄電力管内 | 28.50円 |
プロパンガス料金
北海道のプロパンガスの基本料金は、全国平均と比べて少し高めです。
一般財団法人プロパンガス料金消費者協会によると、2022年12月時点で北海道のガス平均料金は、10,854円と全国1位という結果になりました。
北海道のプロパンガス料金が高い理由は、水道料金同様、面積が広いことによって配達のための人件費が高くついてしまうことが挙げられます。
また、北海道では灯油を使う習慣が根強いことから、1世帯あたりのプロパンガスの使用量が少なく、従量単価が高めです。
しかし、灯油を使用してガスの使用料を調節できれば、ある程度毎月の料金を抑えることもできます。
都道府県 | 基本料金 | 従量単価 | プロパンガス料金 | |
1位 | 北海道 | 2,154円 | 870円 | 10,854円 |
2位 | 青森県 | 1,982円 | 844円 | 10,422円 |
3位 | 岩手県 | 2,005円 | 806円 | 10,065円 |
46位 | 東京都 | 1,789円 | 598円 | 7,769円 |
全国平均 | 1,911円 | 696円 | 8,875円 |
物価は変わらないが費用がかかるもの

北海道では、他県と比べて物価は変わらなくても、生活をする上で費用が多くかかってしまうものがあります。
車関連の費用
北海道では、公共交通機関が整っている札幌などの地域を除いて、車が必要不可欠です。
札幌などの主要都市では、車がなくても不自由なく生活できますが、地方では、不便に感じることもあります。
車に関連する費用として、車本体の料金、ガソリン代、任意保険、車検、メンテナンス料金、冬装備一式、故障時の修理費用などがあり、いずれも決して安いわけではありません。
特に、北海道で車を選ぶ際は、4WDがほとんどです。もちろん2WDの車も見かけますが、北海道は冬になると雪が多く2WDだと滑りやすかったり、雪にタイヤがはまった際に抜け出しにくくなってしまいます。
そのため、2WDと比べて少し割高ですが、4WDの車がベストです。
しかし北海道では、首都圏のようにショッピングモールなどの駐車場で駐車料金が発生しないため、費用が抑えられます。
暖房費(灯油代)
北海道の冬は、暖房費が都内に比べてかかります。北海道の冬は、0℃を超える日が少なく、最低気温だとマイナス20℃前後がほとんどです。
そのため、北海道では灯油ストーブが欠かせません。
大体11月から3月頃までの5ヶ月間は、灯油使用量が増えることを覚えておきましょう。
北海道の給与は?

北海道の給与はいくらなのか?平均年収や最低賃金について、みていきましょう。
北海道の平均年収
令和3年の賃金構造基本統計調査によると、北海道の平均月給は275,300円で、推定年収は約413万円です。
全国平均461万円と比べると、おおよそ50万円程低い年収でした。
やはり家賃や交通費などの物価の安さを考えると、年収が低くてもそれほど負担に感じないため、全国平均より低くてもそれほど気になりません。
子どもができて家族が増えるにつれて、教育費や食費、車の費用などが少し増えるかもしれませんが、急に増えることはないでしょう。
いつ出費が増えても対応できるよう、あらかじめ備えておくことをおすすめします。
もちろん、北海道全域で年収が低いわけではありません。ホタテ漁が盛んに行われている猿払村などは、全国的にみても高い水準です。
北海道の最低賃金
北海道の最低賃金は、2023年3月時点で時給920円です。全国平均の961円と比べると、39円少ない時給でした。
ただし、あくまでも最低賃金ですので、働き先によって給与が変わります。
また、北海道へ移住する場合でも前職の仕事をそのまま続けるなど、給与をあまり気にせずに生活費だけを減らすこともできるでしょう。
北海道で物価が安い地域はある?

北海道のなかでは、道南と道央が比較的物価の安い地域といえます。
北海道全体の物価は、そこまで大きく変わりません。ただし、場所や時期によっては、物価が変動することもあります。
ここからは、北海道で物価の安いエリアについて解説していきます。
道南・道央の物価は比較的安い
道南や道央では、物価が安い傾向にあります。
特に野菜の物価が高騰する冬時期は、本州から近い道南・道央は、道北に比べて輸送コストがかからないため、物価も多少安いです。
他にも、輸送コストが関係するガソリンや灯油なども、比較的安い傾向があります。
しかし、そこまで大きく変わるわけではないため、期待しすぎないように注意しましょう。
家賃が安い地域
北海道は、全体的に家賃が安いことが魅力な地域です。ここでは、より家賃相場が安い地域を紹介します。
大手不動産・住宅サイトSUUMOによると、江別市や旭川市、函館などの主要都市でも家賃相場は低く、1LDKで4.3万円程度です。
また、札幌市でも、町から少し離れた地域では、4.5万円で賃貸物件を借りられる場合もあります。
1LDKが最も安い地域上位5選は、以下の通りです。
地域 | 1LDK 家賃相場 | |
1 | 夕張市 | 2.9万円 |
2 | 赤平市 | 3.4万円 |
3 | 土別市 | 3.4万円 |
4 | 稚内市 | 3.5万円 |
5 | 三笠市 | 3.9万円 |
住むなら札幌近郊がおすすめ
北海道に住むなら、札幌がおすすめです。
札幌がおすすめな理由は、4つあります。
- 物件が豊富で、駅近物件でもそれほど高くない
- 地下鉄が走っているため、車が必要ない
- 他の地域と比べて栄えており、仕事が豊富
- 雪の日でも、ショッピングをしやすい地下街がある
また、札幌市は、千歳空港から電車で40分程度の場所にあります。旅行や帰省の際に、空港までが近いとかなり便利です。
場所によっては、札幌まで車で5時間かかることもあるため、休日にわざわざ車を長時間走らせるよりは、住んでしまうのがおすすめです。
参考:札幌不動産連合隊 札幌市賃貸物件一覧
北海道の物価はそれほど安くないが、住居費がかなり抑えられる
安く思われがちな北海道の物価ですが、首都圏とあまり変わりません。首都圏に比べて、北海道の物価は家賃が安く、水道光熱費が高いのが特徴です。
北海道は全体的に家賃相場がかなり安価なため、物価の高い水道光熱費を節約して抑えることで、生活費を大きく節約できます。
北海道への移住をお考えの方は、今回の記事を参考に、札幌への移住を考えてみてはいかがでしょうか?