北海道への移住に興味はあるけれど、家賃や生活費などお金の面で不安があるという方も多いのではないでしょうか。
北海道では過疎化の深刻な地域が増えていることから、移住支援金や補助金といった制度を設けて、移住者を募っている自治体が数多くあります。
そこでこの記事では、北海道への移住を考えるうえで知っておきたい移住希望者向けの支援金制度や、道内の各市町村が行っている住宅補助や就労支援の制度をまとめてみました。
北海道への移住を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
移住前に知っておきたい北海道の基本情報

数字で見る北海道
面積
北海道の面積は、47都道府県の中でもっとも大きい83,424平方キロメートル。なんと日本全体の約22%にあたります。四国と九州と沖縄を足しても北海道のほうが大きいと聞くと、スケールの大きさが想像できるのではないでしょうか。
人口
国勢調査によると、北海道の人口はおよそ522万人。都道府県別に見ると全国8位です。
人口密度は67人/km2と、全国(338人/km2)のおよそ5分の1で、都道府県別ではもっとも低い数値となっています。
気候
2021年の北海道の降雪日数は118日。東京都の6日と比べると、20倍近い日数のあいだ雪が降っていることになります。
参考:数字で見る北海道|北海道への移住・定住を応援 北海道で暮らそう!
北海道移住のメリット
北海道は農業や酪農、漁業もさかんなので、食べ物がおいしいことでもよく知られています。前述のように面積が広大なので、道央や道南などエリアによって気候もさまざまです。
冬の寒さと雪の多さは覚悟しておく必要がありますが、北海道の住宅の多くはヒーターなど暖房設備が整っています。
家自体も二重窓や外断熱工法など寒さを防ぐ構造になっているので、室内では暖かく過ごせます。
また、夏は一般的に真夏日が少なくカラッとしているので、比較的過ごしやすいでしょう。
そして北海道は豊かな自然に恵まれており、流氷やラベンダー畑といった絶景スポットもたくさんあります。週末ごとにさまざまな観光地を訪れてみるのもよさそうです。
移住者向けの支援制度がたくさん!
北海道の人口の36%は札幌市に集中しており、その他の地域では過疎化が深刻になっているところも多いようです。
そのため各市町村が移住希望者向けにオンライン相談窓口を設けたり、首都圏でイベントを行ったりとPR活動を行っています。
移住に特化したポータルサイトで発信しているところも多いようです。
そのほか、就労・起業支援や住宅補助など、制度面での充実を図って移住を呼びかける市町村も増えてきています。
各市町村が独自に行っている移住支援制度については、「北海道の各市町村が行っている移住支援金制度10選」の項目で詳しくお伝えします。
首都圏からの移住を応援!北海道UIJターン新規就業支援事業の移住支援金

北海道では、東京圏からのUIJターンによる新規就業を促進するため、対象となる市町村に移住して就業・起業した方への移住支援金の制度があります。
この支援金事業は、2019年度から6年間を目途に、地方公共団体が主体となって実施しているものです。
2023年1月現在、応募者が多く年度予算の上限に達しているため新規の申請受付は停止されています。
※2023年1月時点に執筆した記事です。最新情報はこちらのページをご確認ください。
募集は各市町村を通じて年度ごとに行われるので、移住を検討している市町村のホームページなどをチェックしてみてください。
最大100万円の支援金で北海道移住を後押し!
給付額は単身者が60万円、世帯の場合は100万円です。
諸条件を満たし、【北海道公式】移住支援金対象求人/就業マッチングサイトを通じて就業した場合、移住支援金の対象となります。
就業する場所と居住地は別々の場所でも問題ありません。
支給対象者と支給要件
下記4点すべてに該当する場合のみ支給対象となります。
①移住する直近10年間のうち、通算5年以上東京23区内に在住or通勤していた
②移住する直前に1年以上東京23区内に在住or通勤していた
(①②について、通勤の場合は埼玉県・千葉県・神奈川県のいずれかに居住していた)
③北海道の移住支援金の対象となる108市町村に転入した
④就業マッチングサイト掲載の移住支援金の対象となる求人に新規で就業or道の起業支援補助金の交付決定を受けた
申請手続きの流れ

申請は移住先の市町村を通じて行います。
必要な提出書類は市町村によって異なるので、移住先の市町村の担当窓口に確認しましょう。
支給要件を満たしていれば、移住と就業(起業)はどちらが先でも問題ありません。
地方移住の支援金制度が拡充される動き

北海道に限ったことではありませんが、地方移住した人に政府から支給される支援金制度も今後拡充されるようです。
政府は地方創生のため子育て世代の地方移住を促進しようと、首都圏に在住もしくは通勤している人が対象の市町村に移住した場合に1世帯は最大300万円の支援金を支給しています。
子どもも一緒に移住する場合は、さらに子ども1人あたり30万円が加算されます。
この加算金が拡充され、1人当たり30万円から100万円に増額となる見込みです。
移住先で新規就業する、もしくはテレワークで現在の仕事を続ける、さらに5年以上移住先の市町村に住み続ける意思があるなどの条件を満たせば、移住支援金の対象となります。
北海道の各市町村が行っている移住支援金制度10選

安平町
札幌の都心部から約80分、新千歳空港から約20分のところに位置する安平町。
札幌、千歳、苫小牧と幅広いエリアにアクセスしやすく、都市と大自然どちらも満喫できます。
雪が比較的少ない地域なので除雪が楽なのもメリットです。
小中一貫の義務教育学校が創設されたり、町独自の教育手法「あびら教育プラン」が実施されたりと、教育面に力を入れていることでも知られています。
住宅建設奨励助成金
①ラ・ラ・タウンおいわけ、若草団地、アイリスタウンのいずれかに住宅を建設、もしくは新築住宅を購入した方に200,000円
②上記分譲地以外の場合100,000円
※いずれも現金ではなく、金額相当の品での支給となります。
転入奨励助成金
住宅建設奨励助成金①に当てはまり、町外から転入される方200,000円
住宅建設奨励助成金②に当てはまり、町外から転入される方100,000円
※いずれも現金ではなく、金額相当の品での支給となります。
参考:苫小牧不動産連合隊 安平町売買物件一覧
歌志内市
北海道のほぼ中央に位置する歌志内市は、周囲を緑あふれる山並みに囲まれた町です。
過去10年間の年間平均降雪量は約10メートルに達し、雪質も良いので冬場はスキー場もにぎわっています。
住宅取得奨励金
歌志内市では定住人口の増加を図るため、最大500万円の奨励金を交付しています。
【奨励金】
住宅を新築または建売住宅を購入した場合:200万円(転入者の場合250万円)
中古住宅を購入した場合:最大100万円(転入者の場合150万円)
【加算金】
①市内建設業者に発注又は市内建設業者より購入した場合:プラス100万円
②二世帯住宅の場合:プラス50万円
③建て替えのため既存住宅を解体撤去した場合:プラス最大50万円
(費用の2分の1以内、1,000円未満切捨て)
④市が指定する住宅用地に住宅を新築した場合:プラス100万円
小樽市
北海道西海岸のほぼ中央、後志地方の東側に位置する小樽市は、札幌市など4つの市町村に接しています。
市街地の一方は日本海に面し、他の三方は山々に囲まれた、坂の多い町です。
北海道の中では寒暖の差が小さい海洋性の気候のため、年間を通して比較的過ごしやすいでしょう。
春は桜、夏はマリンスポーツ、秋は紅葉、冬はウインタースポーツと、四季を通じて豊かな自然を満喫できます。
移住・定住促進住宅取得費等補助金
市外から転入し、すでに小樽市内に2年以上居住している世帯と3世代同居や3世代市内近居を始める方を対象に、中古住宅の購入や増改築などの費用を補助する制度です。
3世代同居・近居の開始日の前1年間に行った中古住宅の購入、増改築又はリフォームの実施が対象になります。
補助金の基準額・限度額などは下図のとおりです。

参考:小樽不動産連合隊 小樽市売買物件一覧
陸別町
北海道の内陸部に位置する陸別町は、周辺が小高い山に囲まれているため冬の寒さが大変厳しく、マイナス30℃を下回ることもあり「日本で一番寒い町」とも言われています。
林業と酪農が基幹産業となり、町の経済を支えています。
星空が美しい町としても知られ、平成9年には「星空にやさしい街10選」にも選ばれました。
陸別町移住定住促進住宅建設等補助事業
陸別町に移住・定住する方の住宅取得や住宅改修の費用に対し、最大200万円が助成されます。
主な要件は以下の通りです。
・当該住宅に10年以上居住すること。
・陸別町内に本店を置く事業者が施工すること。
・補助金交付申請前に、事業採択申請書を提出すること。
・事業が採択され、新築の場合は入居した日から、改修の場合は改修が完了した日から、いずれも6ヵ月以内に補助金交付申請書を提出すること。
参考:陸別町移住定住促進住宅建設等補助事業について | トピックス | 日本一寒い町 北海道 陸別町
恵庭市
札幌市と新千歳空港のほぼ中間に位置する恵庭市は、市街地の周りを森林や農地に囲まれた自然豊かな街です。
ガーデニングがさかんで花に関するイベントも多く開催されるなど、「花のまち」としても知られています。
住宅補助など移住に特化した支援制度はありませんが、市内で起業する方向けの補助金制度があります。
恵庭市起業支援事業
開業年度の家賃や、開業に必要な広告宣伝費や改修費を対象に補助を行います。
補助金額上限:50万円(対象経費の2分の1)
参考:恵庭市内で開業される方の経費を補助します!「恵庭市起業支援事業」
参考:千歳不動産連合隊 恵庭市売買物件一覧
函館市
美しい夜景で知られる函館市は、文化や芸術が発達した異国情緒あふれる街です。温暖な気候で降雪量も少なく、海産物など豊かな食材にも恵まれています。
医療や福祉が充実していて、子育てに適した環境が整っています。
景観形成住宅等建築奨励金制度
函館の西部地区には、和風・洋風・和洋折衷などさまざまな様式の歴史的建造物が数多く建ち並び、美しい街並みが魅力です。
景観保全のため、歴史的な街並みに配慮して建てられた建物に対し、奨励金が交付されます。
【奨励金の対象となる様式】
新築・購入の場合:和洋折衷様式
改修の場合:和風様式、洋風様式、和洋折衷様式、防火造町家様式
【奨励金の額】
建物の外観にかかる経費の40%以内の金額で、200万円を限度とします。
参考:函館不動産連合隊 函館市売買物件一覧
北斗市
北海道南西部に位置し、函館市に隣接する北斗市。豊かな自然に恵まれた環境でありながら、都市機能も充実しています。
北海道の中でも特に温暖な地域で、雪も比較的少ないので過ごしやすい気候です。
北斗市空き家バンク利活用事業補助金
北斗市空き家バンクに登録された物件を購入または賃借する方に対し、購入費や改修費などを最大100万円助成する制度です。
補助の対象と補助額は下図の通りです。

参考:函館不動産連合隊 北斗市売買物件一覧
赤平市
北海道のほぼ中央に位置している赤平市は、道内各地どこへ行くにも便利な町です。
高速道路を使えば札幌まで約1時間、旭川までは50分で行けるなど、交通アクセスが充実しています。
自然豊かで四季折々の景色を楽しめるので、ほどよい田舎暮らしがしたい方にはおすすめです。
赤平市民間賃貸住宅家賃助成
定住人口の増加を図るため、赤平市内の民間賃貸住宅に移り住む転入世帯および新婚世帯に対し、家賃の一部を補助する制度です。
現金ではなく、赤平商工会議所が発行する「まごころ商品券」で支給されます。
補助額は月額最大3万円、最長5年間の助成を受けることができます。
アパートのほか、一戸建て住宅も対象です。
参考:旭川不動産連合隊 赤平市売買物件一覧
北海道移住の相談窓口

どさんこ交流テラス
東京の有楽町にある「どさんこ交流テラス」では、相談員が常駐して移住相談に対応しています。オンライン相談も行っているので、移住を検討している方はぜひ利用してみてください。
北海道移住・交流総合案内窓口
一般社団法人「北海道移住交流促進協議会」が移住相談を受け付けています。
北海道庁の「北海道ふるさと移住定住推進センター」でも移住相談に対応しています。
移住支援金や各補助制度を賢く利用して、北海道移住を実現しよう

北海道への移住支援金や補助金の制度についてご紹介しました。
北海道には179もの自治体があり、それぞれが独自の移住支援を行っています。
移住には何かとお金がかかるので、支援金や補助金を利用しない手はありません。
調べたり申請したりといった手間はかかりますが、ぜひ制度を活用して北海道移住を実現させましょう。