テレワークの普及により場所を選ばず働けるようになったことから、地方への移住を考えている方も多いのではないでしょうか。
なかでも北海道には豊かな自然や広大な大地があり、移住先として魅力的な場所です。
しかし、いざ移住をするにしても、「満足できる住居や働き先を確保できるか不安」「実際に住んでみて相性が悪かったらどうしよう」と、決断をためらってしまうこともあるでしょう。
このような不安を解決するために利用できる施策が短期移住です。
今回は、北海道での短期移住について解説します。短期移住をすべき理由や住居の探し方についても解説していますので、北海道への移住を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
目次
北海道への本格的な移住の前に短期移住を検討しよう
短期移住とは、現在の居住地を残しつつ、2週間から2か月程度の短い期間で移住を体験することです。
移住先への定住を決める前に少しだけ現地の生活を体験することで、理想と現実のギャップが少なくなり、移住後もスムーズに新生活がスタートできます。この理想と現実のギャップが埋められないと、移住に失敗してしまうケースも少なくありません。
特に北海道は、ほかの地域とは異なる住環境と気候を持つ地域なので、事前に移住後の生活をしっかりとイメージすることが重要です。
短期移住を活用すれば、よりリアルな現地の生活を体験でき、移住後のイメージが湧きやすくなります。
北海道に短期移住をするべき理由
北海道に住む前に短期移住を行うと、移住後のリアルな生活をイメージできたり、移住エリアの選定ができたりと、さまざまなメリットが生まれます。
移住後のリアルな生活をイメージできる
短期移住をするべき一番の理由は、現地のリアルな生活を体験することで理想と現実のギャップが少なくなり、移住後の失敗を防げる点です。
もし現地での生活が理想とかけ離れていれば、思ったような暮らしができない可能性があります。現地のリアルな生活が体験できる短期移住は、このようなギャップを少なくするための有効な手段です。
例えば子どもがいる場合は、保育園や幼稚園までのルートを実際に歩いてみることで、無理なく通園できるかどうかが判断できます。
実際に暮らしてみないとわからないこともあるため、本格的に移住を検討する前に短期移住を利用すると良いでしょう。
移住エリアの選定ができる
短期移住を活用すれば複数の地域の生活を体験できるため、移住先の選定にも役立ちます。
面積が広大な北海道は、エリアによって環境が大きく変わるため、しっかりと地域ごとの特徴を調べておくことが重要です。実際に現地を訪れると、生活環境をより詳しく理解できます。
また、旅行などで訪れたことがある地域でも、生活をするとなると環境に対する感じ方が変わる可能性があります。実際にその地域で暮らすことを前提に短期移住を体験し、地域の特性や生活の利便性を検証するようにしましょう。
現地の人とつながりができる
自治体などが主導で実施している短期移住制度には、移住窓口の担当者や現地の人々との交流がプログラムに含まれているケースもあります。このような制度を活用すると、地域での新たなつながりが生まれるでしょう。
特に、移住後の生活に関する相談ができる自治体の各担当者は、心強い存在になり得ます。
現地で暮らしている人の話を聞くことで、自身の疑問や不安を解消できます。また、実際に移住生活をしている人がいれば、移住に関するノウハウも習得できるでしょう。
正確な情報収集ができる
現地の人から正確な情報を確認できるのも、短期移住のメリットです。
例えば、自治体によっては移住者を紹介してくれたり、直接質問ができる機会を用意してくれたりする場合があります。
短期移住の期間中に移住者の意見をヒアリングすれば、よりリアルな生活体験や移住時の注意点を把握できるでしょう。
北海道への短期移住の前に確認しておくこと
短期移住は、短い期間ながら現地での移住生活を送ることになります。そのため、短期移住を計画する前に、現地の情報を把握しておくことが重要です。
ここでは、北海道への短期移住の前に確認しておく3つのポイントを解説します。
- 居住エリアの交通事情
- 仕事ができる環境
- 短期移住にかかる費用
居住エリアの交通事情
短期移住をする前に、まずは現地の交通事情を把握しておきましょう。
北海道には、公共交通機関が発達していない地域もあるため、移動手段を確保しておく必要があります。また、元の生活拠点へ戻る必要が生じた際に、すぐに引き返す方法があるかどうかもチェックしておくと安心です。
なお、美瑛町をはじめとする一部の地域では、「短期移住者向けのカーシェアリングサービス」を提供しています。
短期の移住者向けの施策などを活用して、現地での移動手段を確保しましょう。
仕事ができる環境
短期移住の期間中もテレワークなどで仕事を続ける場合は、仕事ができる環境の有無もチェックしましょう。
自治体などが用意している短期移住施策の住宅では、インターネットや家具が備わっている場合が多いため、より快適にテレワークができます。しかし、一部の短期移住用の物件では回線が用意されていなかったり、スマートフォンなどの電波が届きにくかったりするエリアもあります。
短期移住にかかる費用
短い期間とはいえ、実際に現地で生活をすることになるため、必要になる費用をあらかじめ計算しておく必要があります。住宅にかかる費用や交通費、生活費など、大まかなコストを計算しましょう。
例えば、北海道のなかで移住先として人気の高い東川町に短期移住をする場合、自治体が提供するショートステイ用の宿泊施設を利用できます。なかでも、ロフト付き1LKの物件「大雪遊水ハウス」に10泊した場合の使用料は70,800円です。
また、羽田空港から旭川空港(東川町から車で10分)までのフライト料金は15,000~25,000円(2023年6月時点)、さらに10日間の食費や生活費が30,000~40,000円だとします。
このような宿泊費や生活費、交通費などを合算すると、10日間の短期移住には少なくとも120,000~160,000円(往復のフライト料金で計算)ほどの費用が必要になるでしょう。必要な費用は移住先や宿泊先によって異なりますが、なるべく余裕のある予算を設定することが大切です。
※2023年6月時点に執筆した記事です。最新情報は東川町ホームページ|町に住む(移住体験)をご確認ください。
北海道に短期移住をする際の注意点
本格的な移住の検討に役立つ短期移住ですが、実施にあたって注意しておくべき点もあります。
あらかじめ注意点を理解しておくと、短期移住後に失敗するリスクを最小限に抑えられます。
季節による暮らし方の変化を念頭に入れる
北海道への短期移住では、夏と冬で暮らし方に変化が生まれやすい点に注意が必要です。
夏場は涼しく過ごせる北海道ですが、冬には最高気温が氷点下を下回ることもあり、かなり厳しい寒さになることもあります。夏は快適に過ごせたとしても、冬場も同じように快適に過ごせるとは限りません。
短期移住を検討する際は、より気候が厳しくなる冬場に体験してみるのも良いでしょう。
家族がいるときはしっかりと相談する
家族全員が短期移住の計画に納得できるよう、話し合いの機会を設けることも大切です。
数週間程度のお試し移住であれば、少し長めの旅行に出かけるものと考えることができます。しかし数か月単位で移住する際は、家族の都合も考えながら短期移住を検討しましょう。
仕事や学校、親族の都合などの事情を考慮し、できる限り無理のないプランを立てることがポイントです。
自治体ごとに入居条件が異なる
自治体などが運営する短期移住向けの物件を利用する際は、必ず入居条件をチェックしましょう。
自治体によっては、本格的な移住の検討が条件となっている場合もあり、移住への関心度によっては入居を断られることもあります。
また、ペットとの共生や喫煙に関する条件が定められていることもありますので、申し込みの前に確認しておくことをおすすめします。
北海道の短期移住先を探す方法
北海道の短期移住先を探すには、自治体の制度を活用したり、自身で情報を調べたりなど、さまざまな方法が活用できます。よりスムーズな短期移住が実現するよう、具体的な方法を押さえましょう。
- 「ちょっと暮らし」を活用する
- 各自治体のホームページを確認する
- 住み込みの短期バイトを探す
- 自分で住宅を短期契約する
「ちょっと暮らし」を活用する
北海道で短期移住先を探す場合は、「ちょっと暮らし」を活用しましょう。
ちょっと暮らしは、各自治体が用意する短期移住用の住宅を使って移住体験ができる制度です。北海道の多くの自治体が取り組んでおり、さまざまなエリアから短期移住先を選べます。
提供される物件の大きさや設備によって異なりますが、一般的な賃貸やホテルに比べ、手ごろな家賃に設定されているのが特徴です。
さらに、自治体によってはお試し移住とあわせて、地域住民との交流会や体験ツアーが企画されているケースもあります。
自治体からの充実したサポートを受けやすいため、初めて北海道暮らしを体験する方におすすめです。
各自治体のホームページを確認する
各自治体では、ちょっと暮らし以外の独自の短期移住制度を展開していることもあります。
例えば室蘭市では、短期移住を検討している方に向けて、ワーケーションプランやシーズンステイといったお試し移住制度を展開しています。
参考:室蘭市ホームページ|室蘭市Uターン/移住情報
すでに移住を希望するエリアを決めている場合は、自治体のホームページを確認し、独自の短期移住制度がないか確認してみましょう。
住み込みの短期バイトを探す
北海道での就業体験を含めて短期移住を検討する場合は、住み込みができる短期バイトを活用する方法もあります。短期バイトの活用により、現地で働きながら移住体験できるのがメリットです。
例えば、大手求人検索サイト「タウンワーク」で北海道に絞り込み、社宅や住宅補助がついた短期契約の仕事を検索すると、約50件の検索結果がヒットします(2023年6月時点)。
仕事の内容としては、農業や林業、漁業といった北海道ならではの職業や、介護や医療といった専門職まで幅広く、自分に合った仕事を探せます。
移住を機に新しいキャリアの形成を考えている方は、職業体験も含めて短期移住を検討してみましょう。
自分で住宅を短期契約する
ここまでにお伝えした方法で希望する移住先が見つからないときは、ウィークリーマンションやマンスリーマンションなど、短期で入居できる物件を契約するのも手段の一つです。
「北海道不動産連合隊」では、北海道内の賃貸物件の情報も掲載しています。
自分で物件を探す方法は、好みに合わせて住居を選べるため、選択肢に幅が生まれます。
ただし、自治体が用意する物件に比べ、家賃が高くなる可能性があるので注意が必要です。また、自治体が提供する制度よりも、受けられるサポートが少なくなることもあります。
短期移住を利用して理想的な北海道暮らしを実現しよう
今回は、北海道の短期移住について解説しました。
短期移住は、本格的な拠点を移動する前の大切なステップです。移住後に失敗しないためにも、積極的な参加をおすすめします。
現地の生活を肌で体験し、理想的な生活の実現へと一歩近づいてみてください。