「賃貸契約に住民票はいらないって聞いたけどホント?」
そのような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
賃貸契約では、基本的に住民票を提出しなければなりません。また、提出する住民票の種類や記載内容に注意が必要です。
「手続きが面倒だから…」と住民票の取得を後回しにすると、契約がスムーズに進まず、希望の物件を逃してしまうリスクがあります。
【この記事でわかること】
・住民票が賃貸契約に必要な理由と確認されるポイント
・住民票の種類や選び方
・住民票を取得する際の注意点
この記事を読めば、賃貸契約時に住民票のことで悩まずに、スムーズに契約を進められるでしょう。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
賃貸契約には住民票がいる

賃貸契約時には、原則として住民票の提出が必要です。
短期賃貸や社宅利用など特別な契約形態では、住民票の提出を省略・不要とするケースもあります。ただし、あくまで不動産会社や大家の判断による例外的な対応です。
基本的には「賃貸契約には住民票がいる」と考えて問題ないでしょう。
賃貸契約における住民票の役割

住民票はどのような書類なのか、賃貸契約での役割について詳しく見ていきましょう。
住民票とは
住民票とは、住民登録をしている住所や家族構成などを証明できる公的な書類です。氏名や生年月日、住所や世帯主との続柄などが記載されており、さまざまな手続きで本人確認を行うのに使われています。
なお、賃貸契約などで必要になる書類は、正式には「住民票の写し」です。市区町村が管理している住民票の原本データ(住民基本台帳)から印刷(印字)・交付されるため「住民票の写し」と言います。
住民票の写しには、改ざんを防ぐための特殊な用紙が使われていることも押さえておきましょう。住民票の写しを自分でコピーしても、賃貸契約などには使えません。このことについては、後述の「賃貸契約の住民票に関する注意点3つ」で詳しくお伝えします。
不動産会社が確認するポイント
不動産会社が住民票で確認するのは、入居予定者の身元です。
賃貸契約の申込書に記載された氏名や住所が正しいかどうか、住民票の情報と照らし合わせて確認します。
また、家族や友人同士、同棲相手と入居する場合、入居予定者は全員分の住民票を提出しなければなりません。住民票に書かれている世帯構成や続柄をもとに、不動産会社が入居予定者同士の関係性を把握するためです。
不動産会社は、入居予定者全員分の住民票を確認することで、貸し出す部屋が犯罪に使われたり、身元のはっきりしない人に貸し出してトラブルになったりする事態を防いでいます。
賃貸契約に使う住民票の種類

「住民票の写し」には、大きく分けると「世帯全員分」と「個人分」があります。
「住民票謄本」や「住民票抄本」と聞いたことがある人もいるでしょう。本来、謄本や抄本という言葉は住民票に対しては使いません。戸籍法に基づいて、戸籍関係に使われる表現だからです。
しかし、便宜上「世帯全員分」を「住民票謄本」、「個人分」を「住民票抄本」と呼ぶ場合があります。
2種類の住民票について、それぞれの記載内容や必要になるケースを見ていきましょう。
住民票謄本:世帯全員
「住民票謄本」は、世帯全員分の住民票のことです。
家族全員で入居する場合には、住民票謄本が必要になります。また、一人暮らしを始める大学生が身元保証人である親との関係性を証明するため、提出を求められるケースもあります。ただし、不動産会社によって判断が変わるため、事前に確認しておくと安心です。
住民票抄本:本人のみ
「住民票抄本」は、世帯員個人の住民票のことです。
住民票抄本は、一人暮らしをする際の賃貸契約で提出します。なお、同棲相手や友人とのルームシェアなど、家族ではない複数人での入居の際には、それぞれの住民票抄本が必要です。
世帯全員分が記載されている住民票謄本であれば、住民票抄本の代わりになります。ただ、住民票謄本には入居者以外の家族の個人情報も含まれるため、できれば提出は避けたいところです。
不動産会社からの指定にもよりますが、単身入居の場合には住民票抄本を提出すれば良いでしょう。
賃貸契約で住民票の記載事項はどこまで必要?

住民票の写しを取得する際には、本籍地や筆頭者、世帯主の氏名や続柄、マイナンバーなど、記載するかしないかを選ぶ項目があります。
記載あり・なしの選択を誤ると、せっかく住民票の写しを取っても賃貸契約で使えないケースがあるため、注意しなければなりません。賃貸契約で住民票の記載事項はどこまで必要なのか、一緒に確認しておきましょう。
「マイナンバー」は不要
賃貸契約で使う住民票に「マイナンバー」の記載は不要です。
マイナンバーは、税や社会保障など限られた目的でのみ使われます。賃貸契約で必要ないだけでなく、大切な個人情報のため、不動産会社からは受け取りを断られることもあるでしょう。
その場合、マイナンバーが記載されていない住民票をあらためて取得する費用と手間がかかり面倒です。
賃貸契約の住民票は、マイナンバーの記載がないものを選びましょう。
「本籍地」や「筆頭者」は不動産会社に確認が必要
「本籍地」や「筆頭者」を記載すべきかどうかは、事前に不動産会社に確認したほうが良いでしょう。
一般的に、本籍地や筆頭者が必要なのは複数人で入居する場合です。不動産会社が、入居予定者の身元や家族構成を把握したい場合に、本籍地や筆頭者が記載された住民票を求められることがあります。
一方、単身入居の場合には基本的に本籍地・筆頭者は不要でしょう。ただし、不動産会社の考え方にもよるため、住民票の取得前に確認することをオススメします。
賃貸契約に使う住民票を取得する方法

賃貸契約に必要な住民票を取得する方法は、主に以下の4通りです。
- 窓口
- 郵送
- コンビニ
- マイナポータル(オンライン申請)
それぞれの取得方法について、詳しく解説します。
窓口
住民票は、市区町村役場の窓口で発行してもらえます。必要事項を記入した申請書の提出とあわせて、300〜500円ほどの発行手数料を支払えば、その場で住民票を受け取ることが可能です。
取得する際には、免許証などの本人確認書類が必要なため、忘れずに持っていきましょう。また、委任状があれば代理人でも住民票を取得できます。
住民票は住民登録している市区町村役場以外の窓口でも取得可能です。ただし、その場合には住民票に本籍地や筆頭者が記載されません。本籍地や筆頭者の記載が必要なときには、住民登録している市区町村役場の窓口で取得しましょう。
窓口で住民票を取得する場合、開庁時間内に役所に行かなければならないのがデメリットです。ただし、夜間や休日に開庁し、住民票を取得できる窓口もあります。平日の日中に窓口に行けない方は確認・利用すると良いでしょう。
郵送
住民票は、郵送でも取得可能です。郵送の場合には、申請書のほかに免許証などの本人確認書類の写しや手数料の定額小為替、返信用封筒などを市区町村役場宛てに送ります。手数料を現金で送付する場合には、必ず現金書留で送りましょう。
郵送の場合、手元に住民票が届くまでに1週間程度かかります。時間に余裕のある方や、どうしても窓口に行けない場合に郵送での取得が便利です。
コンビニ
マイナンバーカードがあれば、コンビニでの取得もオススメです。コンビニに置いてあるマルチコピー機を利用して、マイナンバーカードの読み取りや必要事項を入力すれば、数分で住民票を取得できます。
利用時間は6時30分から23時までで、土日でも住民票を取得できて便利です。
発行手数料は300円前後で、自治体によっては窓口取得より手数料を安くしているケースもあります。
一方で、利用可能な時間帯が異なる市区町村もあるため、手数料の金額とあわせて確認しておくと安心でしょう。
マイナポータル(オンライン申請)
住民票をオンラインで取得する方法もあります。さまざまな行政手続きが行える「マイナポータル」を利用することで、お手持ちのスマホやパソコンから住民票の申請・取得が可能です。
自宅への郵送や電子データで受け取れるため、自治体の窓口やコンビニにも行かずに済みます。ただし、本人確認のためにマイナンバーカードが必要な点は押さえておきましょう。
賃貸契約の住民票に関する注意点3つ

賃貸契約に必要な住民票について、以下の3点に注意しましょう。
- 注意点1.発行から3か月以内のものを使用する
- 注意点2.転居届を先に出さない
- 注意点3.自分でコピーしたものは使えない
それぞれ解説します。
注意点1.発行から3か月以内のものを使用する
賃貸契約に必要な住民票は、発行から3か月以内のものを使用しましょう。住民票を提出する場合、賃貸契約に限らず基本的に「発行後3か月以内のもの」と指定されるケースが多いからです。
発行から3か月が経過している住民票を提出しても、再度住民票を取得しなければならない場合もあります。
不動産会社などへの提出予定日から逆算して、発行後3か月以内の住民票を提出できるように準備しましょう。
注意点2.転出届を先に出さない
住民票を取得する前に、転出届・転居届は出さない点にも注意しましょう。
賃貸契約を行い、同じ自治体内に転居する場合には「転居届」、別の自治体に転出する場合には「転出届」を市区町村役場に提出します。この手続きは、不動産会社に出す住民票を取得した後に行いましょう。
転居届は、提出した時点で住所欄が新しい住所に変更されるため、住民票上で現住所の確認ができません。
また、転出届を出した場合、提出した自治体では住民票が取得できなくなります。転出によって、住民票が除票(住民登録が抹消)となるためです。
引っ越し先の自治体で「転入届」を提出すれば住民票自体は取得できますが、現住所欄には新しい住所地が記載されてしまいます。そのため、賃貸契約で求められる引っ越し前の現住所を確認できません。
賃貸契約をスムーズに進めるためにも、転出届・転入届の提出は、住民票を取得した後に行いましょう。
注意点3.自分でコピーしたものは使えない
住民票は、窓口やコンビニなどで発行されたものをそのまま使いましょう。「住民票の写し」とは言っても、発行物を自分でコピーしたものは使えません。
住民票は、コピーすると「複写」などの文字が浮かび上がる特殊な用紙に印刷されます。改ざんなど不正利用を防ぐためです。
賃貸契約においても、住民票は発行されたものを不動産会社などに提出しましょう。
賃貸契約の際に住民票以外で必要なもの

賃貸契約(申込〜契約)の際に住民票以外では、主に以下のようなものが必要になります。
【書類】
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 収入証明書類(源泉徴収票、給与支払証明書、課税証明書など)
- 通帳および銀行印(家賃の口座振替分)
- 印鑑登録証明書(契約書に捺印する実印分)
- 保証人関連書類(保証人の同意書、印鑑登録証明書など)
【お金】
- 敷金・礼金(それぞれ家賃の1〜2か月分が相場)
- 仲介手数料(家賃1か月分が相場)
- 火災保険料(15,000〜20,000円が相場)
- 前家賃(家賃1か月分が相場)
とくに契約時には、書類のほかに敷金・礼金などにまとまった金額が必要なため、早めに用意しておきましょう。
賃貸契約に必要なものについて、より詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
関連記事:賃貸契約に必要なものって?提出する書類や初期費用について解説
賃貸契約の住民票に関するよくある質問

ここからは、賃貸契約に必要な住民票に関するよくある質問に回答していきます。
住民票の住所と現住所が違うと、賃貸契約はできませんか?
住民票の住所と現住所が違っても、賃貸契約できる場合があります。ただし、その際にも住民票の提出は必要です。
原則として、住民票の住所と現住所を一致させるべきですが、大学生の進学や短期的な単身赴任など、実家などに住所を置いたままのケースも考えられます。
この場合には、契約後に住民票を移すことについて説明したり、現住所を確認できる郵便物などを添付したりすることで、契約できる場合があるでしょう。
ただし、不動産会社によっても判断・対応が異なるため、事前に相談することをオススメします。
賃貸契約で住民票不要と言われたのですが、問題ないでしょうか?
賃貸契約に住民票は原則必要ですが、不動産会社や物件オーナーの方針によっては、住民票を提出しなくても問題ない場合があります。
たとえば、短期間限定の賃貸契約や、社宅を利用する場合など、特別な契約形態が考えられるでしょう。
なお、住民票を提出しなくて良い場合でも、代わりとなる書類の提出を求められることがあります。必要な書類が何か、早めに確認しておくと安心でしょう。
住民票は親に取ってもらえますか?
住民票を親に取ってもらうことは可能です。
親など同一世帯の方は、市町村役場の窓口で、本人の代わりに住民票を取得できます。その際には、来庁者の身分を確認できる書類(マイナンバーカード、運転免許証など)が必要です。
また、「委任状」があれば同一世帯ではない代理人の方でも住民票を取得できます。
なお、本人のマイナンバーカードと暗証番号がわかれば、住民票をコンビニで取得することが可能です。その際、本人と同一世帯ではない代理人の方も、委任状は必要ありません。
「住民票の写し」と「住民票の原本」の違いはなんですか?
「住民票の原本」は、市区町村役場で管理されている住民基本台帳のデータのことです。
窓口やコンビニで取得できる「住民票」は、「住民票の原本」データを写して作成されているため、「住民票の写し」と呼ばれています。
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今回は、賃貸契約における住民票の必要性や種類、取得する際の注意点などを詳しく解説しました。
賃貸契約では、基本的に住民票を提出しなければなりません。また、提出する住民票の種類や記載事項には注意が必要です。
そのほか、発行から3か月以内のものを使用する点や、住民票の取得前に転出届を出さないことなど、さまざまな制限にも注意しましょう。
記事の内容を、スムーズな賃貸契約に役立てていただけると幸いです。
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