カフェ経営でもっとも頭を悩ませるのが集客です。
「質のよい材料を使い、店舗の雰囲気にも気を配っているのに、思ったほど人が入らない」とお困りの方は、もしかしたら集客方法が間違っているのかもしれません。どんなに魅力的なカフェであっても、ターゲット層に届く集客をしなければ効果がないからです。
カフェの集客では、新規顧客とリピーターに対する集客方法に違いがあります。
本記事ではカフェの集客方法について詳しく解説しています。これから開業される方も、すでに開業したものの集客に悩んでいる方も、ぜひご一読ください。
関連記事:飲食店の集客アイデア11選!すぐに実践できる方法をまとめて解説
カフェの集客で重要なポイント

カフェの集客において重要なのは次の3つのポイントです。
- コンセプトとターゲット層の選定
- 事前のマーケティング
- 新規顧客とリピーターへのアプローチの違いを理解する
それぞれ詳しく解説していきます。
コンセプトとターゲット層の選定
カフェの集客を成功させるためには、独自のコンセプトと明確なターゲット層の選定が欠かせません。理由として次の2つがあります。
- 立地と店舗デザインは、コンセプトとターゲット層で変化する
- コンセプトに合わせたメニュー・サービス内容にすることで競合との差別化が可能
たとえば「学生向け」のカフェと「ファミリー向け」のカフェでは求められるものがまったく異なります。
ターゲット層が明確でないと、顧客にとって魅力のない店舗になり、経営も厳しくなってしまうでしょう。
次の項目ではカフェを利用することの多いと考えられる「学生」「ビジネスパーソン」「ファミリー」の集客アイデアを解説しているので、参考になれば幸いです。
また、カフェのコンセプトやターゲット層選定の重要性については、下記の記事でも解説しているので、合わせてご覧ください。
関連記事:カフェ開業の完全マニュアル:開業資金と物件選びのポイント
学生向けカフェの集客アイデア
大学などが近くにあるなどの理由で、ターゲット層が「学生」のカフェ開業を考えているのであれば、手頃な価格とWi-Fi環境の充実が集客に効果的です。
また、女性が主な集客対象であれば、SNS映えするデザートやドリンクの提供がオススメです。学生のSNS投稿による宣伝効果が見込めるでしょう。
さらに、学割やリピーター特典を設ければ、リピーターを増やす効果が期待できます。
ビジネスパーソン向けの集客術
ビジネスパーソンをターゲットにカフェ経営を目指すのであれば、立地はオフィス街がオススメです。
ビジネスパーソンは、出勤前や昼の休憩時間など、短い時間で利用することが考えられるため、スピーディーな給仕が求められます。また、モーニングセットや、食事とコーヒーが楽しめるランチメニューなどの提供がオススメです。
オフィス街は人通りが多いため、通行人の目が留まりやすい位置に看板を設置すると、高い効果が期待できます。
ファミリー層を引きつける工夫
ファミリー層を集客するためには、家族全員が快適に過ごせる環境作りが大切です。
たとえば、キッズメニューや子どもが退屈しないようなキッズコーナー、ベビーカーでも入りやすいバリアフリー対応があると便利です。また、「お子さま連れ歓迎」などの掲示があると、親しみやすさが伝わります。
集客方法として有効なのは、家族向けのイベントやワークショップの開催です。小さな子どもがいる家族であっても利用しやすい雰囲気を作り、ファミリー層のリピーターを増やしましょう。
事前のマーケティング
カフェの集客で重要なのは、事前のマーケティング調査です。
開業前に市場調査を行い、立地や周辺エリアのターゲット層を把握すると、効果的な集客戦略を練ることが可能です。
また、エリアの特性や、競合店の状況を理解しておかないと、オリジナリティのあるコンセプトは作れません。
具体的に、次のようなポイントをチェックしましょう。
- コンセプトと立地の雰囲気は合っているか
- ターゲット層を細かく想定しているか
- 似たコンセプトの競合店は近くにないか
- ターゲット層の集客が見込める人口・人通りか
ターゲット層のニーズをつかめれば、集客に必要なプロモーションやサービスがはっきりしてくるでしょう。
新規顧客とリピーターへのアプローチの違いを理解する
新規顧客とリピーターでは、集客におけるアプローチに大きな違いがあります。
新規顧客には「店を知ってもらう」のが最重要です。不特定多数の人に、来店したくなるような興味を持ってもらわなければなりません。
一方で、リピーターには「いつものカフェ」という安心感を提供しつつ、繰り返し来店してもらう理由付けや魅力作りが必要です。
それぞれの具体的なカフェの集客方法について、詳しく見ていきましょう。
また、下記の記事では、飲食店全般で有効な集客アイデアをご紹介しておりますので、併せてご覧ください。
関連記事:飲食店の集客アイデア11選!すぐに実践できる方法をまとめて解説
新規顧客に向けた集客方法6選

新規顧客を得るコストは、リピーターを維持するコストに比べて約5倍と言われています。新規顧客に対しては、看板やホームページ作成などの初期費用が必要だからです。
ここでは新規顧客獲得のための6つの集客方法について解説しています。
- 看板設置
- チラシ・ポスティング
- ホームページの公開
- Googleビジネスプロフィールの設定
- グルメサイトへの登録
- イベント開催
看板設置
看板はカフェの第一印象を左右する重要なツールです。
デザインや配置にこだわることで、通行人の目に留まりやすくなります。たとえば、出入り口付近や店舗前面の歩道にA型看板などを設置すると目を引きます。
A型看板とは、下記の画像のような看板です。両面表示できるタイプが一般的で、左右から来た歩行者の両方にアピールできます。

看板には、カフェのコンセプト・人気メニュー・営業時間などを簡潔に記載し、立ち寄りたくなる雰囲気を演出するのが効果的です。
たとえば、手描きの黒板風や温かみのある木製看板は、親しみやすく集客に効果的です。また、目立つカラーや照明を活用することで、遠くからでも目を引き、興味を持ってもらえます。
チラシ・ポスティング
チラシやポスティングは、インターネットの集客と違って限定的な集客方法ではあるものの、近隣の人にカフェの存在をアピールする際に有効です。
住宅街やオフィス街でチラシを配布すると、住民やビジネスパーソンにカフェを知ってもらうよい機会になります。
チラシにはお店の特徴や人気メニューのほか、割引クーポンを掲載し、足を運びたくなるようなデザインに仕上げましょう。
地図や連絡先(電話番号やメールアドレス)をわかりやすく表示することも大切です。ポスティングを定期的に行うことで、地域における認知度が向上し、リピーターの獲得にもつながります。
ホームページの公開
自社ホームページは、カフェの魅力を24時間発信できる集客ツールです。
メニュー・店舗写真・アクセス情報などに加え、スタッフの紹介や営業日などを掲載しておけば、新規のお客様も安心して来店できるでしょう。
また、ホームページ内にブログを追加し、季節限定メニューやイベント情報を発信すれば、検索流入による顧客の獲得も期待できます。
無料でホームページを作れるサービスもあるので、費用を抑えることも可能です。
ただし、無料のホームページ作成ツールはデザインや機能が限られているものが多いです。必要に応じて、有料のツールやデザイン会社に依頼することも検討しましょう。
Googleビジネスプロフィールの設定
Googleビジネスプロフィールは、Googleが無料で提供しているサービスです。企業や店舗についてGoogleで調べたときに、検索結果として表示される情報を登録できます。
Google検索やGoogleマップで「カフェ」を検索する人に向けて、営業時間・口コミ・写真などの情報を表示できるため、集客方法として非常に効果的です。
Googleビジネスプロフィールでは、登録時になりすましを防止するための確認作業があります。
正確な情報を発信できるので、開業したらすぐに登録しましょう。
グルメサイトへの登録
カフェや飲食店を探す時にグルメサイトを利用される方は多いでしょう。グルメサイトへの登録は、カフェの新規顧客を獲得するための強力な手段です。
「食べログ」や「ぐるなび」などの著名なサイトに情報を掲載すると、口コミや写真を通じて多くのユーザーに店舗を知ってもらえます。
また、グルメサイトが用意しているオンライン予約機能を利用した場合、集客管理もスムーズになります。
グルメサイトの口コミや評価を通じてユーザーの意見を把握・分析すれば、サービス向上にも役立てられるでしょう。
グルメサイトは1カ所に絞らず、2~3カ所利用するとより効果的です。ただし、無料で利用した場合は上位表示されません。
「グルメサイトで集客効果を最大限発揮したい」という方は、有料プランを選択しましょう。
イベント開催
イベント開催は、新規顧客を呼び込む絶好の機会です。
たとえば、バリスタを招いてのワークショップや、季節ごとの企画(クリスマス・ハロウィンの特別メニューなど)は人気が出やすいイベントです。
また、「お客様の〇〇記念日をお祝いします」のような個別のサービスも、新規顧客を集めやすいでしょう。サービスを気に入ってもらえれば、リピーターの獲得にもつながります。
他店との差別化をはかり、地元に愛されるカフェとしてのブランディングも期待できます。
リピーターに向けた集客方法6選

リピーターになるのは、すでに来店し、店舗の雰囲気やメニューを気に入ってくれた人です。リピーター向けの特典や新しい情報が、集客方法として有効です。
ここでは、リピーターに向けた具体的な集客方法を6つ紹介します。
- SNS
- スタンプカード・ポイントカードの活用
- LINEの活用
- 決済方法の多様性
- 適切な接客
- 地域に根ざしたカフェ作り
SNS
SNSはリピーターに対して、店舗の最新情報やイベント告知を発信する場として非常に効果的です。
InstagramやX(旧Twitter)、TikTok、ブログなどを活用し、定期的に投稿することで、カフェの存在感を保ち続けられるでしょう。
たとえば、季節限定メニューや新商品の情報はリピーターの興味を引きやすく、フォロワーの増加にもつながります。フォローに対し、フォローバックを返せば、より親しみを持って来店してもらえます。
ハッシュタグキャンペーンの効果
ハッシュタグキャンペーンはSNS上で認知度を高め、利用者に自主的な投稿を促す効果的な集客方法です。
自店舗独自のオリジナルハッシュタグを設定し、来店者が写真を投稿する際に活用してもらうことで、多くの人の目に留まります。
さらに、一定の条件を満たせばクーポンや特典がもらえるといったサービスを設ければ、参加者を増やしやすいでしょう。
顧客同士で情報のシェアを広げてもらえれば、自然とリピーター獲得につながります。
インフルエンサーとのコラボレーション
地域密着型のインフルエンサーや、カフェに興味を持つフォロワーが多いインフルエンサーとコラボレーションすることで、ターゲット層に効果的なアプローチができます。
また、コラボイベントやインフルエンサーの来店レビューをSNSに掲載すると、利用者の興味を引きつけられるため、訪問を促すことが可能です。
コラボレーションの評判がよければ、多くのリピーター獲得につながります。
ライブ配信やストーリーズを使った集客
SNSのライブ配信やストーリーズ機能は、カフェの魅力をリアルタイムで伝えられるツールです。
新メニューの発表・イベント開催・季節に合わせた店内装飾などを配信することで、フォロワーとの距離が近くなり、興味を持ってもらえるでしょう。
とくに、季節ごとの特別メニューを紹介するライブ配信は、来店や購買意欲を高める効果があります。
日常的な情報や特典も含め、こまめに発信し、フォロワーが来店したくなる環境を作りましょう。
スタンプカード・ポイントカードの活用
リピーターの集客に欠かせないのが、スタンプカードやポイントカードです。
来店ごとにスタンプやポイントを付与し、一定数たまると特典や割引が受けられる仕組みは、再来店の動機付けになります。
また、スマホなどでポイントがつけられる「デジタルポイントカード」であれば、顧客情報の管理が可能です。来店傾向を把握してキャンペーンや新商品のお知らせをメールで送れば、効果の高い販促になるでしょう。
ポイントシステムを導入することで顧客満足度が高まり、リピート率の向上につながります。
LINEの活用
LINEはリピーターの獲得に大きく貢献するツールです。
LINEの公式アカウントを活用することで、カフェから直接リピーターに最新情報やクーポンを配信できます。割引やスタンプラリーなど、LINE限定の特典を設けることで、来店のモチベーションが高まるでしょう。
また、LINEのチャット機能を使って、予約や問い合わせに対応することで顧客との距離が縮まり、親しみを感じてもらいやすくなります。
決済方法の多様性
現金はもちろん、クレジット・バーコードなどの多様な決済方法への対応は、リピーター確保の重要なポイントです。
とくに、外国人観光客や若年層にとって、キャッシュレス決済の可否は来店の決め手になることもあります。
キャッシュレス決済の注意点は、店内の通信環境と導入コストです。
キャッシュレス決済が選べても、通信環境のせいで決済できないとなれば、悪印象を与えかねません。
また、キャッシュレス決済の専用端末の設置や、手数料の発生にも考慮しましょう。集客とのバランスを考え、ある程度の売り上げが予測できたら導入をオススメします。
適切な接客
スタッフの質は、リピーターを増やすための重要な要素です。
メニューや店舗の雰囲気が気に入ってもらえても、接客態度が悪ければ再訪してくれない可能性が高いからです。
ここでは、接客で集客効果を高めるための方法を詳しく見ていきます。
スタッフの採用方法
スタッフの採用時には、次のようなポイントをチェックしましょう。
- 接客の経験
- 清潔感やマナーがある
- コミュニケーションスキル
- 希望する勤務時間や曜日
- カフェのコンセプトを理解・共感している
面接では、笑顔や礼儀正しさ、対応力をチェックします。コーヒーやカフェメニューに興味のある人もオススメですが、最優先は「お客様を大切にできるか?」という点です。
また、カフェの規模に対し、スタッフ数が適正かという点も考慮しましょう。人手が足りていない状況だと、オペレーションをこなすだけで精一杯になり、丁寧な接客どころではありません。
4人掛けのテーブルに対し、1人のスタッフが4テーブル対応するのが適正と言われています。すべての客席数÷テーブル数(4人掛け)÷4で必要なスタッフ数を算出しましょう。たとえば、全部で16席のカフェであれば、16÷4÷4で必要なスタッフは1人です。
スタッフを雇ったら、有給や評価制度などを整え、働きやすい環境を作ることで、定着率が向上します。
スタッフ教育の重要性
採用後のスタッフ教育も、質の高い接客に欠かせない要素です。しかし、スタッフの定着率が悪いと、良質な接客は期待できません。
飲食店でスタッフがやめてしまう理由の一つに、「仕事を教えてもらえない」というものがあります。
とくに、初めてカフェで働く人は「どう動けばよいかわからない」という状況です。マニュアルを作り、わかりやすい言葉で仕事の流れを伝えましょう。
また、接客の研修や、自店舗のコンセプト・メニューの理解を深める機会を作るのもオススメです。
複数人のスタッフを雇う場合は、チームワークを強化することも重要です。定期的なミーティングを実施し、知識やルールの共有を行いましょう。
スタッフの教育を充実させることで働きやすい環境が作られ、質の高い接客につながります。
地域に根ざしたカフェ作り
地域に密着したカフェは、リピーターを増やす大きな強みです。
地域のイベントに参加したり、地元の食材を使用したメニューを提供することで、コミュニティに溶け込めます。
地元企業や団体とコラボレーションしたイベントや商品を企画すれば、地域の活性化に貢献できるうえに、話題性も得られます。
地域の人々が気軽に立ち寄りたくなるカフェ作りは、集客効果が高いと言えるでしょう。
リピート率の計算

カフェにおいて、リピーターの存在は非常に重要です。お客様のリピート率が高ければ、利益を上げやすく、安定した経営が望めます。
リピート率とは、特定期間内の新規顧客数に対するリピーターの割合を示す指標で、安定経営の目安になります。
カフェの一般的なリピート率は30~40%です。自店舗のリピート率を把握し、安定経営につなげましょう。
リピート率は、下記の式で計算が可能です。
- 2回以上来店している顧客数÷新規顧客数×100
たとえば、一定期間内の新規の顧客数が500人だったとします。そのうち、100人がリピートしてくれたとしたら、数式は100÷500×100でリピート率は20%となります。
リピート率が低いと感じたら、「リピーターに向けた集客方法6選」と同時に、「新規顧客に向けた集客方法6選」も実践しましょう。
新規顧客が来なければ、リピーターを増やすことはできません。
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本記事では、カフェの集客について詳しく解説しました。
もっとも重要なのは、「カフェのコンセプトとターゲット層があっているか?」という点です。
また、新規顧客とリピーターに対して効果的な集客方法が違うことも理解する必要があります。
本記事が、カフェの安定した集客につながれば幸いです。
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