福岡市は倉庫の需要が高いエリアです。
博多駅・福岡空港・博多港・高速道路などのインフラが整備されている福岡市は、物流に優れています。流通や在庫管理を必要とするビジネスをしている方の中には、福岡や近隣で倉庫を借りて事業を拡大したいという方も多いでしょう。
本記事では福岡の賃料相場・倉庫事情・倉庫を必要とする業種などについて解説しています。
これから福岡で倉庫を探す方のお役に立てれば幸いです。
関連記事:倉庫を借りる際の費用や方法は?契約前に知っておくべきポイントと注意点
目次
福岡の倉庫の賃料相場

ラルズネットの福岡テナント連合隊で調べたところ、福岡の倉庫の最低賃料と最高賃料は下記のとおりでした。
種類 | 広さ | 賃料 |
---|---|---|
最低賃料 | 15m² (4.53坪) | 50,000円 |
最高賃料 | 2640m²(798.6坪) | 3,300,000円 |
倉庫の賃料は坪単価で計算し、面積に比例します。しかし、同じ面積であっても、築年数・設備・エリアなどの条件によって坪単価が異なるので注意が必要です。
福岡テナント連合隊では、広さ・住所・坪単価など、条件を細かく指定して検索できます。ビジネスの内容に合わせた倉庫を検索し、相場を把握することが可能です。
福岡で倉庫を安く借りるには

福岡で倉庫を安く借りる方法として、次のようなものがあります。
- 20~50坪の物件
- 築年数の古い倉庫
- 賃料相場の安いエリアで探す
- 福岡市の郊外で探す
それぞれ詳しく見ていきましょう。
20~50坪の物件
福岡市の中心部に近いほど、坪単価は高くなります。また、需要の高い100坪以上の倉庫は賃料が高額で、空きが多くありません。
しかし、20~50坪の倉庫であれば空きがあり、福岡市の都心部でも借りることが可能です。
ラルズネットの福岡テナント連合隊で調べたところ、福岡市の中心部にあたる博多区で19件、中央区で6件の倉庫物件がありました(2024年6月)。坪単価は7,000~10,000円と高めですが、坪数が少ない分、負担は軽くなります。
博多区や中央区は利便性が高いため、倉庫を借りるメリットは大きいと言えるでしょう。
築年数の古い倉庫
一般的に、築年数の古い倉庫ほど賃料は安くなります。
たとえば、ラルズネットの「福岡テナント連合隊」で確認したところ、同じ博多区でも、これから竣工予定の倉庫は坪単価9,951円ですが、築38年の物件は坪単価6,602円でした(2024年6月)。
福岡市の地価は年々上昇しており、築年数が浅いほど土地の取得費用や固定資産税が反映された高額な賃料になりがちです。
「立派な設備は必要ないので、安い物件がいい」という方は、築年数の古い倉庫を探すと良いでしょう。
賃料相場の安いエリアで探す
福岡市内でも、エリアによって倉庫の賃料相場は大きく異なります。
博多区や中央区の賃料は高額ですが、南区や東区は物件数が多く、坪単価も4,000~7,000円程度で賃料を抑えられます。とくに東区は倉庫の物件数が多いので、オススメのエリアです。
福岡市の郊外で探す
利便性に優れた福岡市の中心部は、倉庫の賃料が高い傾向です。大型の倉庫が少ないというデメリットもあります。
一方で、福岡市郊外であれば賃料が抑えられ、面積の広い倉庫も選択肢に入ります。ラルズネットの福岡テナント連合隊で調べたところ、古賀市・大野城市・糟屋郡などの福岡市近郊に倉庫の空き物件がありました。
福岡市の中心部から離れたエリアの国道沿いや、インターチェンジ付近は、輸送の利便性が高くオススメです。
福岡の倉庫事情

ここでは、福岡市の倉庫事情について解説します。
空室率の低い激戦エリア
福岡は需要に対して大型倉庫の供給が足りていません。
人口約165万人(2024年)の大都市であり、福岡空港・博多港・博多駅などのインフラが整備された福岡市は、物流においても注目を集めています。
近年は、ネット通販や九州での半導体産業の拡大によって、より物流の重要性が増しています。
しかし、福岡では物流施設の開発が追い付かず、2019年~2022年と空室率0%が続きました。
特に大型物流施設の不足は顕著で、貸倉庫の空きが出てもすぐに借り手が決まる状況です。魅力的な市場として、外資系のデベロッパーなどが物流施設の開発を始めています。
もちろん、日本の大手企業も続々と福岡各地に大型物流施設を建設しています。たとえば、日本通運は福岡市東区の博多湾に建設された人工島・福岡アイランドシティに倉庫を開設しました。
今後も福岡では、大規模倉庫の建設が進むと考えられます。
小規模な倉庫なら空きがある
福岡では物流のハブになるような規模の大きい倉庫は足りていません。開発は進んでいますが、しばらく大規模倉庫の不足が続くでしょう。
しかし、100坪以下の倉庫であれば福岡市内や福岡市近隣に空きがあり、事業規模によってはねらい目です。輸送の距離を優先するなら、福岡の中心・近隣で小規模な倉庫を複数確保する方法もあります。
福岡市内で倉庫をお探しでしたら、関連記事も参考にしてみてください。下記のエリアについてはオススメの業種・歴史・行政情報などを解説しております。
福岡で倉庫の需要が高い理由

福岡市は次のような理由から、倉庫の需要が高いエリアです。
- 都市高速道路が整備されている
- 貨物を取り扱う港湾がある
- 福岡空港がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
都市高速道路が整備されている
福岡市は高速道路によって九州各地からアクセスが容易で、流通が非常に活発です。
また、都市高速道路は放射環状型で、福岡市の行政区7区に移動ができます。福岡市内の区ごとのインターチェンジは下記のとおりです。
行政区 | インターチェンジ名 |
---|---|
中央区 | 天神北 西公園 |
早良区 | 野芥 百道 |
博多区 | 築港 呉服町 千代 博多駅東 空港通 榎田 半道橋 月隈 西月隈 金の隈 大野城 板付 |
西区 | 福重 石丸 姪浜 愛宕 拾六町 今宿 周船寺 |
東区 | 福岡 多の津 松島 貝塚 香椎東 香椎 香椎浜 名島 箱崎 東浜 |
南区 | 野多目 |
城南区 | 堤 |
福岡県道路公社 福岡前原道路(西九州自動車道)
上記のとおり、インターチェンジ数が多いのは博多区と東区です。
ラルズネットの「福岡テナント連合隊」で倉庫の物件数を調べたところ、博多区が19件、東区が11件でした。インターチェンジの多いエリアは、倉庫の需要が高いことがわかります。
とくに、東区の多の津1丁目と2丁目は福岡市内の流通業務地区(福岡流通センター)として、卸売業・運輸業・倉庫業などが150社以上も集まる流通拠点です。高速道路を利用すれば、福岡市都心部まで7~8kmで、アクセスに優れています。
博多区と比較すると東区は坪単価も低く、倉庫を探す際にオススメのエリアと言えるでしょう。
関連記事:福岡市東区のテナント・店舗物件に入居するメリット|人口最多のベッドタウン
貨物を取り扱う港湾がある
国土交通省が公開している港湾取扱貨物量ランキング(2021年 上位100港)において、博多港は22位でした。
貨物の取り扱いが多いほど、倉庫の需要は高くなります。
船舶輸送のための倉庫は「港湾倉庫」と呼ばれており、ふ頭や沿岸に立地します。内需向けの「内陸倉庫」や「都市型倉庫」と同様、福岡市では必要性の高い倉庫です。
福岡空港がある
福岡空港は旅客だけでなく、貨物の輸送も行います。門司税関によると2023年の福岡空港貨物取扱量の累計は27,393トンでした。
貨物ターミナルから九州・全国各地へ商品を運ぶ際に、倉庫は欠かせません。
福岡で倉庫を必要とする業種

福岡市では、次のような業種で倉庫の必要性が高い傾向です。
- 小売業・卸売業
- 物流・運輸業
- 製造業
- 倉庫業
小売業・卸売業
福岡市で事業所数・従業者数が多い産業は、小売業と卸売業です。観光客やビジネスパーソンの訪問が多い福岡市では、どちらも高い需要があります。
また、福岡市ではeコマース(EC)にチャレンジする事業者を支援しており、電子取引による小売業も活発になると予測されます。
参考:福岡市海外 EC トライアル推進事業
小売業も卸売業も、効率的な商品の管理が売り上げに直結するため、倉庫は必須です。福岡市はIT企業が多く、在庫や出庫をデータ管理するシステムの導入先を検討しやすいのもメリットと言えるでしょう。
参考:令和3年経済センサス-活動調査結果(確報)概要(福岡市)
物流・運輸業
福岡市には港湾・空港・JRなどの貨物を運ぶインフラ施設があり、輸出入が活発です。博多税関支署管内貿易概況によると、2023年の輸出入額は過去最高でした。
国内だけでなく、海外を対象にした事業展開も可能なので、物流・運輸業は需要が多いと言えるでしょう。
物流・運輸業では、長距離輸送の拠点として倉庫が必要です。
福岡商工会議所がまとめた地場企業の経営動向調査(令和5年度第4四半期)によると、運輸倉庫業の景況判断は2020年から2024年にかけて上昇しています。
トラック運送会社などの運輸業を開業したい人にとって、福岡市の充実した交通インフラはメリットです。
ただし、運送業で使用する駐車場は法的に定められています。使用目的が「倉庫」だと運送業の駐車場として認められません。運送業を営む予定で駐車場付きの倉庫を借りる際は、法的に適しているか、行政書士などに相談すると良いでしょう。
製造業
福岡市は製造業も盛んです。2020年の調査では、製造業の事業所数は660、従業者数は20,080人、製造品出荷額が5,823億円と好調でした。
とくに、食品製造業が出荷額の42.8%を占めており、高い割合です。
食品製造業の中でも、とくに冷蔵・冷凍食品を扱う事業者にとって、食品の鮮度を保つためにも倉庫は欠かせません。
参考:令和2年(2020 年)工業統計調査結果の概要(4人以上の事業所) – 福岡市
倉庫業
倉庫業とは、他社・他人の物品を倉庫で預かる事業です。国土交通大臣の登録を受けた「営業倉庫」を使用することが義務付けられています。
福岡市では倉庫が不足しており、物品を預かる倉庫業も需要の高い業種です。「営業倉庫」にはさまざまな種類があり、預かり可能な物品は種類ごとに限られます。
営業倉庫については関連記事「倉庫を借りる際の費用や方法は?契約前に知っておくべきポイントと注意点」で詳しく解説しているので、ご覧ください。
福岡で自社倉庫を建てる場合

♦元からある部分を一部削除、一部変更
福岡は全国平均と比較して倉庫の建築費が安いため、自社で倉庫を建てたい方に適したエリアです。
2023年の国土交通省の建築着工統計調査によると、福岡で倉庫を建築する場合の平均坪単価は45.1万円でした。
参考:国土交通省 【建築物】構造別・用途別 都道府県別(年度計 令和5年度分)
全国平均の坪単価は53.9万円(2023年)なので、比較すると、福岡の建築費は低い基準です。
参考:国土交通省 2023年 建築着工統計調査
※「3 用途別、構造別/建築物の数、床面積、工事費予定額」より工事費予定額を床面積で割って算出
また、福岡は積雪の少ない地域なので、雪対策は不要というのもメリットです。
ただし、福岡市と近隣市町は地価が上昇しており(2024年7月の情報)、土地を所有していない場合は土地の取得費用が非常に高額になる可能性があります。
参考:国土交通省の不動産情報ライブラリ
福岡で倉庫を探すなら福岡テナント連合隊!

福岡市は利便性が高いことから、物流が盛んなエリアです。
卸売・小売・EC業などを営んでおり、福岡市や近隣で倉庫を借りて事業を拡大したいという方も多いでしょう。また、インフラが整った福岡市は、物流や運輸業の開業にも適しています。
福岡で倉庫をお探しの際は「福岡テナント連合隊」をご利用ください。坪単価・エリア・広さなど、さまざまな条件から物件情報を検索できます。
これから出店・事業拡大・移転をお考えの事業者様のお役に立てれば幸いです。