新しい店舗を見かけると目にする機会も多い「プレオープン」。通常の営業とは何が違うのかと、疑問に感じたことのある方もいるのではないでしょうか。
今後、店舗経営にチャレンジする場合、プレオープンについて理解を深めておくことが大切です。なぜなら、経営を成功させるうえで、プレオープンは大きな役割を担っているからです。
そこで本記事では、プレオープンの目的やメリット・デメリットを詳しく解説します。成功させるためのポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
プレオープンとは

プレオープンとは、本格的な営業を開始する前に、試験的に店舗を開く方法です。
ちなみに、正式な営業開始は「グランドオープン」と呼ばれます。プレオープンは、グランドオープン前にスタッフの手配やオペレーション内容の確認など、最終調整を行うのが主な目的です。
グランドオープンの2週間ほど前から、1~2日の営業日数でプレオープンを実施するのが一般的です。その間は招待客が限定され、基本的に通常よりも安い料金でサービスが提供されます。
プレオープンの目的

プレオープンを実施する主な目的は次の通りです。
- スタッフのトレーニング
- 問題点・改善点の洗い出し
- 宣伝・広告
スタッフのトレーニング
プレオープンではグランドオープンと同様の体制で臨まなければなりません。
招待客とはいえ、実際に顧客へ向けてサービスを提供するため、スタッフはオペレーションの内容や手順を実体験として学べます。
問題点・改善点の洗い出し
店舗を試験的に運営すると、グランドオープン前に課題や改善点を洗い出せます。
オペレーションを進めるうえで発生した設備の不具合や備品の不足、人員配置の問題点などを、テスト段階で把握できます。
宣伝・広告
プレオープンの段階で顧客からの良い評判を獲得できれば、大きな広告効果を発揮します。
SNSなどで口コミが広がると、グランドオープン前に店舗の認知度が拡大し、数多くの来店客を集められるでしょう。
プレオープンのデメリット・注意点

プレオープンにはメリットとデメリットの両面が存在します。
そのなかでも、まずは以下のようなデメリットを押さえ、あらかじめ対策を立てておきましょう。
客数過多によりキャパオーバーに陥る可能性がある
グランドオープン前で不慣れなスタッフがいるなか、招待客が多すぎると、キャパオーバーに陥る可能性があります。
オペレーションが煩雑化した場合、サービスの品質が低下し、招待客が不満を抱えてしまうケースもあるので注意が必要です。
このような事態を避けるには、プレオープンの前に招待客の種類や人数を絞り込むことが重要です。招待客数とスタッフ数のバランスを見定めつつ、適切なオペレーションの手順や店内の動線を考えましょう。
大々的な広告は避け、目的とする招待客にのみ告知を行うのも良いでしょう。
ネガティブな口コミが広まる恐れがある
プレオープンであろうと招待客を呼ぶ以上は、通常営業時と同様のサービスレベルが求められます。
仮に、対応が悪ければネガティブな口コミが広がり、グランドオープン時の客足に悪影響を与える可能性も考えられます。そのため、スタッフ教育やマニュアル作成を徹底し、招待客に不満を与えないように心がけましょう。
とはいえ、ネガティブな意見を完全になくすのは困難です。
そこで、店内に意見箱を設置したり、アンケート用のメールを送信したりと、VOC(Voice Of Customer/顧客の声)を効果的に活用する仕組みを整えるのがおすすめです。
プレオープンのメリット

続いては、プレオープンのメリットを紹介します。
プレオープンでは、顧客の生の声を収集できるほか、オペレーション改善のヒントを得られる場合もあります。このような利点を最大限に活かせるような体制や仕組みを整えておきましょう。
グランドオープン前に顧客の生の声が聞ける
プレオープンの際は、招待客が試験運用の旨を理解しているケースも珍しくありません。そのため、通常営業時と比べ、顧客の意見やフィードバックを収集しやすい環境が整っています。
上記の利点を活かし、VOCを効率良く集められる仕組みを構築しましょう。
手軽に仕組みを構築するには、招待客に直接聞くか、店頭にアンケート用紙を設置するのが効果的です。予算や期間に余裕があれば、メールやチャット、SNS、アンケート収集システムなどのツールを活用します。
招待客が回答したくなるような工夫を施すことも大切です。回答のお礼として特典を渡したり、グランドオープン時の割引クーポンを提供したりと、相手がお得感を得られる内容を考えましょう。
オペレーション改善のヒントが得られる
来店客への案内やサービスの提供、会計など、店内のオペレーションにはさまざまな種類があります。作業が多岐にわたるからこそ、頭のなかだけで組み立てた流れ通りに事が運ばない可能性も考えられます。
その点、プレオープンを実施すると、期間中にオペレーションを試験運用できるのが利点です。
例えば、サービスの提供が遅い、会計時のミスが多いといった場合でも、グランドオープン前にオペレーションの内容を改善できます。このようなヒントを参考にすれば、サービス品質の向上につながります。
口コミによる宣伝効果が期待できる
プレオープンでは、前述したネガティブな口コミと同様、ポジティブな口コミが生まれることもあります。ポジティブな口コミがSNSなどで広がれば、グランドオープン時に話題の店舗として注目されるかもしれません。
プレオープンの段階でポジティブな口コミを生み出すには、オペレーションの内容や段取りをスタッフ全員に周知徹底し、マニュアルに沿って簡易的なトレーニングを行っておきましょう。
招待客の人数を絞り込み、客数に応じた動線を設計しておくことも重要です。
プレオープンを成功させるポイント

プレオープンは試験的な店舗運営ではあるものの、サービス品質や招待客への対応次第で、店舗への印象が大きく変わります。
そのため、次のようなポイントを押さえたうえで、しっかりと準備を整えておきましょう。
- 緻密なスケジュールを設定する
- 施工会社の連絡先を確認しておく
- 過度な価格設定は避ける
- 物件探しの段階からこだわりを持つ
緻密なスケジュールを設定する
プレオープンを成功させるには、段取り良く物事を進める必要があります。
例えば、良い口コミを増やしたければ、プレオープン前のスタッフのトレーニングが欠かせません。また、招待客の人数が多いと、スケジュール調整に時間がかかる可能性もあります。
そのため、次のような形で細かく日程を設定します。
- プレオープン価格や営業時間、開店期間などの詳細を決定
- 食材や備品などの準備
- プレオープンに向けたスタッフのトレーニングやマニュアルの確認
- 招待客の選定や招待状の作成
- 記念品やお礼状の準備
それぞれの要素は、店舗規模に応じて必要な量も異なれば、所要時間にも差が現れます。プレオープン日から逆算する形で日程を設定し、期間には余裕を持たせておくのがおすすめです。
施工会社の連絡先を確認しておく
プレオープン時に設備が故障すると、招待客にサービスを提供できない場合があります。
たとえプレオープン前に設備を試運転していたとしても、フル稼働してはじめてトラブルが発生する可能性もあるでしょう。例えば、調理機器が急に停止するほか、店内の人数が増えることで空調のパワー不足に気付くといったケースです。
これではネガティブな口コミが発生してしまいかねません。
そのため、施工会社の連絡先を控えておき、いつでも迅速な対処を行える環境整備が必要です。また、プレオープンの前日に、設備の稼働状況を確認するのも良いでしょう。
過度な価格設定は避ける
プレオープンといえども価格設定にはバランス感覚が求められます。プレオープンは、設定した価格の妥当性を検討する機会でもあるためです。
招待客へのサービスだからといって、あまりにも価格を安くしすぎると、採算が取れず、価格の妥当性を正当に評価できません。また、通常営業時の価格との差が大きく開くと、グランドオープン後の来店客がギャップを感じ、期待を裏切ってしまう可能性も考えられます。
理想的なのは、本番と同じ価格帯でサービスを提供し、アンケートなどで顧客の意見を聞くことです。
サービス内容と価格が不釣り合いという意見が多ければ、この機会に料金体系を見直しましょう。
物件探しの段階からこだわりを持つ
店舗を経営するうえで欠かせない要素の一つが物件です。
設備や内装、インテリアなどは後から変更できますが、物件は代えが利きません。
特に店舗経営では立地が非常に重要なので、物件探しの段階から十分に吟味する必要があります。プレオープンを実施する前から市場調査や競合調査を行い、適切なエリアや物件を絞り込みましょう。
なかでも、周囲にある競合店舗のメニューや価格帯、サービス品質などの調査は、ひときわ重要です。他店舗の傾向をつかんでおくと、自店のコンセプトや提供すべきサービスの種類を見極めやすくなります。
入念な準備を心がけてプレオープンに備えよう

本記事では、プレオープンのメリットやデメリット、成功のコツを解説しました。
プレオープンはグランドオープン前の試験的な店舗運営ではあるものの、良い口コミを増やすためにも、しっかりとした事前準備が必要です。緻密なスケジュールを設定したり、適切な価格を設定したりと、入念な準備を心がけてプレオープンに備えましょう。
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