飲食店の居抜き物件を探す際のポイント!メリットや注意点も解説

ポスト シェア LINEで送る
飲食店の居抜き物件を探す際のポイント!メリットや注意点も解説

居抜き物件とは、前テナントが利用していた設備が残置された状態の物件です。設備の購入費を抑えられるため、居抜きの利点を活かして飲食店を出店したい方もいるのではないでしょうか。

しかし、居抜きにはメリットとデメリットの両面があるので、店舗をオープンする前に基礎知識をしっかりと押さえておくことが重要です。

本記事では、飲食店の居抜き物件を探す際のポイントや、メリット・注意点について詳しく解説します。どのような形態で店舗を出店すべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

飲食店の居抜き物件を探す際の9つのポイント

飲食店の居抜き物件を探す際の9つのポイント

飲食店の居抜き物件を探す際は、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。

以下で紹介する9つのポイントを把握しておくと、トラブルや想定外の出費などを防げます。

インフラ設備に問題がないか確認

飲食店の居抜き物件を探す際、電気やガスの容量に不足がないかを確認しましょう。電気やガスの容量を変更する場合、高額な工事費用がかかるかもしれないため、事前チェックが大切です。

プロパンガスの容量を変更するのであれば、工事費が少額で済むため、それほど問題ではありません。一方、都市ガスの場合、道路を掘削してガス管を取り替えるなど、工事規模が大きくなりがちです。

飲食店に必要なガス容量は、カフェやバーなどの軽飲食なら4〜6号、焼肉やラーメン、中華などの重飲食は10号前後を目安にすると良いでしょう。

容量が不足する場合は、工事を行うか、ほかの物件を検討し直すか、二通りの選択肢があります。工事であれば、電気式の厨房設備に切り替える手段もありますので、自店に合った方法を模索しましょう。

造作譲渡の対象を確認

造作譲渡とは、前テナントが施した内装の一部または全部を、次のテナント契約者に譲り渡す行為です。椅子やテーブル、厨房機器、調理器具などが対象となります。

譲渡される造作物の種類や数は、契約内容によって異なります。

そのため、あらかじめ造作譲渡の対象範囲を明確にしておくべきでしょう。契約後や引渡し後のトラブルを避けるためにも、譲渡される造作物をリスト化してもらうのが理想です。

特に厨房機器は、使用年数や使用状況によって、引渡し後に不具合が発生する可能性も考えられます。使用年数やメンテナンス状況などを契約内容に記載してもらうと、トラブルに発展するリスクが低下します。

リース契約の有無

「造作物だと思っていたらリース品だった」といった思い違いは、居抜き物件ではよくあるトラブルのパターンです。

居抜き物件の残置物のなかにリース品があった場合、主に次の3つの方法で対処します。

  • 物件の引き渡しの際にリース会社がリース品を回収する
  • 前テナントの契約者からリース契約を引き継ぐ
  • 前テナントの契約者がリース品を買い取り、造作物として譲渡する

もしリース品が不要であれば、前テナントの契約者に買取、および撤去してもらうよう依頼すると良いでしょう。

反対に、リース契約を引き継ぎたい場合は、リース会社の審査を通過する必要があるため、注意が必要です。また、リース契約の引継ぎ時は、内見の際に次の3点を確認しておきましょう。

  • リース品の種類や数
  • 残債
  • 返済方法

譲渡される造作物とともに、リース品についてもリスト化してもらうのがおすすめです。

譲渡品・設備の動作確認

譲渡品や設備が明確になれば、それぞれが正常に動作するか、自ら確認します。その際、あわせてチェックしておきたいのが契約不適合責任の有無です。

前テナントが残していった残置物は、基本的に契約不適合責任を負わないとされています。つまり、残置物の引渡し後に故障した場合でも、入居者側で修理代や処分費を負担しなければなりません。

ただし、エアコンや給湯器など、以前から備え付けられていた設備の場合、契約不適合責任が適用されるのが一般的です。そのため、不具合や故障が発覚した際は、オーナーの負担で修理・交換を行うのが原則です。

とはいえ、エアコンや給湯器などの設備についても、正常に動作するかの確認が必要です。

なかには、エアコンの室外機が隣の敷地に侵入しているケースもあります。このような場合は、隣の物件とトラブルに発展しがちなので、契約前に不動産会社やオーナーに相談しておきましょう。

参考:残置物の扱いについて|テナントショップ

ダクトの有無

ダクトは、臭いが強い業態や煙が多く出る業態に必要不可欠な設備です。

そのため、ダクトの有無とその状態を確認しておく必要があります。動作状況を入念に確認したうえで、新設の必要性やメンテナンスの時期などを想定しておきましょう。ダクトがなければ、出店予定の業態に合わせて設置の要否を検討します。

なお、自身がダクトを設置する予定がなくても、物件や業態によってはオーナー側から新設を要求される場合があるため、注意が必要です。

一般的に、居抜き状態で配管が残っていれば、工事費用を比較的抑えられます。しかし、建物の構造によっては配管のルートが確保できず、工事ができない場合もあります。このようなケースでは、ほかの物件を探すのが無難です。

グリストラップの有無

グリストラップの設置が必要かどうかは、自治体によって異なります。

それぞれの自治体では、建築基準法・下水道法・水質汚濁防止法の3つの法律にもとづき、条例を制定しています。そのため、各都道府県の水道局のホームページを確認し、グリストラップ設置の要否を確かめましょう。

また、油を多用する業態は、排水管が詰まる原因にもなるため、義務がなくてもグリストラップの設置をおすすめします。シンクの下に置くコンパクトなものだと、比較的低コストで設置できます。

参考:飲食店のみなさまへお願い|東京都下水道局

引渡し状態の確認

居抜き物件のメンテナンス状態が悪いと、大がかりな清掃が必要になるケースもあります。

特に、清掃会社に依頼する際は、オーナーと借主のどちらが費用を負担するのかを確認しましょう。

清掃会社に依頼する場合は、さまざまなパターンが想定できます。例えば、発注手続きや費用の負担など、すべてオーナーが担ってくれることもあれば、借主が発注手続きのみを行い、初期費用の一部を減額する場合もあります。

引渡し状態に問題がないかあらかじめ確認し、必要に応じて交渉してみましょう。

希望通りの物件でなくても内見を実施

すべての希望を満たしている物件が見つかる可能性は、限りなく低いものです。

そのため、希望とはやや異なる物件でも、一度内見してみることをおすすめします。

前テナントの業態と自身の業態が異なるとしても、物件を見てみると、意外にも使える厨房設備や店舗家具が残っているかもしれません。少しでも利用できそうな残置物があれば、スケルトン物件よりも費用を大幅に抑えられます。

また、利用できそうな残置物が少ない場合でも、立地に恵まれており、高い集客効果が期待できる可能性も考えられます。高額な設備投資を短期間で回収できそうなら、希望から少し外れた物件を選ぶのも方法の一つです。

物件を探す際は、以前の業態に注目しすぎず、残置物や周辺環境などにも目を向けて判断しましょう。

賃料の妥当性

テナント物件の賃料は、次の要素をもとに設定されるのが一般的です。

  • 環境要素:最寄り駅からの距離、人通り、交通環境など
  • 物件自体の要素:築年数、面積、設備の種類や数、耐震性、改装の有無など

そのため、通行量や交通アクセスなどを確認し、賃料の妥当性を検討しましょう。ほかの物件の賃料をもとに相場を理解しておくと、価格交渉の余地が生まれます。

飲食店の賃料は、売上の10%以下におさめるのが理想だとされています。

希望物件の賃料があまりにも高いと感じた場合は、値下げ交渉を行うのも一案です。

マーケットの調査も欠かさずに行う

マーケットの調査も欠かさずに行う

居抜き物件で飲食店を出店する場合、物件の情報だけに目を向けるのではなく、マーケットの調査も重要です。いくら物件の状態や立地が良くても、ターゲットとなる顧客数が少なければ失敗の原因になります。

ここでは、物件の契約前に実施すべき調査方法を紹介します。

商圏調査

商圏調査とは、出店地域の商圏人口や特性、顧客層などの情報を集め、多角的に分析する方法です。

飲食店の居抜き物件を探す際は、候補となる地域の人口統計や所得水準、駅の乗降客数、交通アクセスなどを確認し、安定した売上が見込めるか判断します。その地域や人の特性を理解し、お店のコンセプトと合致しているか確認しましょう。

商圏調査は、最適な物件を見つけるのに役立つだけでなく、販売促進施策の立案や新メニューの開発にも役立ちます。出店後に事業を長期継続できるよう、できるだけ詳細まで調査を行いましょう。

競合調査

競合調査とは、同じ商圏内の競合他社の動向を分析する方法です。主に、競合店のコンセプトやメニュー、客層などを調査します。

まずは競合店の数と質を把握し、個々の来店客数や回転率、価格帯などを自店と比較します。競合の状況によっては、出店する場所を変更したり、メニューや価格によって差別化を図ったりと、戦略の練り直しが必要です。

周辺環境調査

周辺環境によって集まる客層が異なるため、自店のターゲットに適しているか確認しましょう。

例えば、スーパーが近くにあれば、主婦やファミリー層が集まりやすいと予測できます。

一方、オフィスビルが多い商圏では、昼休憩や仕事終わりのビジネスパーソン向けに店舗を出店するのがおすすめです。

周辺に立ち並んでいる飲食店の業態を確認するのも良いでしょう。自店の業態と同じような飲食店が多ければ、同時に競合調査を実施すると、効率良く周辺環境調査を行えます。

居抜き物件で飲食店を始める注意点

居抜き物件で飲食店を始める注意点

居抜き物件で飲食店を始める際に注意すべき点は、以前からあった店舗の印象です。

居抜き物件では内装をそのまま引き継ぐため、店舗イメージが変化しにくく、前テナントの悪い印象まで残ってしまう可能性があります。そのため、物件を契約する前に、以前の店舗の評判について情報を調べるほか、可能であれば不動産会社やオーナーにも確認しましょう。

また、前テナントが撤退する際は何らかの理由があります。

立地面、あるいは物件そのものに何らかの問題がある場合、安易な契約は避けるべきです。不動産会社やオーナーにヒアリングできる機会があれば、それとなく前テナントの退去理由を探ると良いでしょう。

居抜き物件で飲食店を始めるメリット

居抜き物件で飲食店を始めるメリット

居抜き物件で飲食店を始めるメリットは3つあります。

  • 開業費用を抑えられる
  • 短い期間で開業できる
  • 以前からの顧客に認知されやすい

居抜き物件では、前テナントの内装や厨房設備などをそのまま利用できるため、開業費用を抑えられるのが利点です。利用可能な設備の種類が多ければ、工事にかかる期間も短くて済みます。

また、前述した前テナントのイメージを引き継ぐ点は、見方を変えればメリットにもなり得ます。以前の店舗が多くの人から好評を得ていた場合、そのイメージのまま新たな店舗をオープンできるからです。

このようなデメリットとメリットを理解したうえで、適切な契約形態を模索しましょう。

居抜き物件で計画的に飲食店を開業・出店しよう

居抜き物件で計画的に飲食店を開業・出店しよう

居抜き物件で飲食店を開業する場合、初期費用の削減や認知度の向上など、多くのメリットをもたらします。

しかしその分、物件を探す際には設備の状態や引渡し状態など、さまざまなポイントを押さえておく必要があります。トラブルを未然に防ぎ、メリットを最大限に享受するためにも、今回紹介した9つのポイントを把握したうえで、計画的に飲食店の開業を目指しましょう。

貸店舗・貸事務所をお探しの際は、地域特化型テナント物件探し専門ポータルサイト『テナント連合隊』を活用してみてはいかがでしょうか。

路面店、居抜き物件コーナーなど、事業者目線で詳細な検索ができるようになっています。
『テナント連合隊』が、これから出店を考えている事業者様のお役に立てれば幸いです。

Avatar photo

この記事を書いた人: ラルズネット編集部

関連するキーワード

この記事に関連するタグ