飲食店の間借りとは?メリットやデメリット、向いている人の特徴を解説

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飲食店の間借りとは?メリットやデメリット、向いている人の特徴を解説

飲食店の間借りは、既存店舗のスペースを借りて営業する方法です。間借り飲食店は、自分でテナント物件を借りるのに比べて低コストで開業できます。

「副業で飲食店を始めたい」「本格的な店舗を持つための準備期間に充てたい」といった方には、魅力的な選択肢といえるでしょう。

本記事では、間借りのデメリットとメリット、向いている人の特徴を解説します。

間借りを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

飲食店の間借りとは

飲食店の間借りとは

飲食店の間借りとは、既存店舗のスペースを借り受け、そこで独自の飲食事業を展開する方法です。

借りる側は自らの店舗を持たずに済むため、家賃や設備投資などのコストを大幅に節約できます。また、既存店舗の認知度を活かせば、集客に効果を発揮するのも利点です。

一方で貸す側にとっては、営業時間外や閑散期の店舗を有効活用し、自身の収入を増やせます。

そのため、間借りは双方にとってメリットがある方法です。

間借り飲食店のデメリット

間借り飲食店のデメリット

間借り飲食店にはメリットが多い一方で、既存の店舗を借りて事業を行うため、どうしても時間や空間に関する制約が生まれます。

間借り形態で飲食店を運営する際は、以下で紹介するデメリットを十分に理解することが大切です。

  • 内装や設備の自由度が低い
  • 営業時間が限られている
  • トラブルで営業停止になる場合もある

内装や設備の自由度が低い

間借り飲食店のデメリットとしてまず挙げられるのが、内装や設備を自由に決められない点です。

既存の店舗を借りて営業するため、内装や大がかりな設備の変更は難しいでしょう。

貸主の許可を得た場合は、インテリアの小物や店内で流すBGMを変えるなど、雰囲気を少しアレンジすることは可能です。ただしその場合、既存店舗の設備を壊したり紛失したりしないよう注意しましょう。

間借り先を検討する際は、自店のコンセプトに近い雰囲気の店舗を選ぶことが重要です。

営業時間が限られている

間借り飲食店では、既存店舗の定休日や営業時間外に営業するのが一般的です。そのため、毎日フルタイムで営業するケースに比べ、思った以上に売上が確保できない可能性があります。

対策としては、ほかの収入源を確保しつつ、副業として間借り飲食店を始めるのも一案です。

間借り営業が軌道に乗ってきた際には、自身でテナント物件を契約して、本格的な店舗展開を検討しても良いでしょう。

トラブルで営業停止になる場合もある

飲食店を営業するには、飲食店営業許可と食品衛生責任者の資格が必要です。

食品衛生責任者は必ず取得する必要があるものの、飲食店営業許可は貸主が取得していれば、借主が新たに取得する必要はありません。

しかし、食中毒などのトラブルが発生した際には、借主に原因があっても貸主が責任を問われ、営業停止の処罰を受けることになります。トラブル回避のためには、借主自身で営業許可を取得しておきましょう。

いずれにせよ、食中毒などの問題が生じると、既存店舗のイメージが損なわれる可能性があるため、衛生管理の徹底が求められます。さらに店舗の収容人員が30人以上の場合、防火管理者も必要になります。

また、間借り飲食店は貸主と借主で住所を共有するため、既存の店舗と郵便物が混同してトラブルにならないよう、情報管理にも留意が必要です。

参考:防火管理者が必要な防火対象物と資格|東京消防庁

間借り飲食店のメリット

間借り飲食店のメリット

間借り飲食店のデメリットを紹介しましたが、もちろんメリットも多くあります。

  • 集客しやすい
  • 開店資金を抑えられる
  • 新しいアイデアを試しやすい
  • 撤退する際のコストや手間が少ない

コストを抑えながら気軽に新しいアイデアを試せる間借りは、これから飲食店を開業する方にとって魅力的な選択肢といえるでしょう。

集客しやすい

既存店舗には、すでに一定の顧客層が存在するため、より効率的な集客が可能です。

店内にチラシやポスターを設置すると、貸主が抱えている既存顧客に自店の存在をアピールできます。反対に、間借り営業中に来店した顧客へ、貸主が運営している店舗の魅力を伝えることも可能です。

このように間借り営業は、貸主と借主の両方に相乗的な集客効果をもたらします。

集客で既存店舗の協力を得るためには、ゴミの出し方や営業時間など、契約時に定めたルールをしっかりと守り、日ごろから信頼関係を築いておきましょう。

開店資金を抑えられる

間借り飲食店では、自分で物件を借りるのに比べて大幅に開店資金を抑えられます。

通常の飲食店を開業する場合、物件の契約コストや設備の購入費などで1,000万円程度の初期費用が必要だといわれています。その点、間借りの場合は既存店舗の設備を利用できるため、高額な初期費用をかけなくてもオープンできるのがメリットです。

これにより準備期間が短縮され、早いタイミングで売上を確保できます。

既存店舗に支払う賃料のほか、契約内容によっては光熱費の一部を支払う場合もありますが、通常の店舗に比べて費用は大幅に抑えられます。

「少ない資金で飲食店を始めてみたい」という方にとって、間借り営業は大いに魅力ある選択肢といえるでしょう。

新しいアイデアを試しやすい

間借りではなくテナントを借りて飲食店をオープンする場合は、長期契約が前提となります。一方、間借りの場合は月単位で契約するのが一般的で、なかには1日だけなど短期間で契約できる場合もあります。

この柔軟性を活かして、期間限定での営業を行い、新しい業態やコンセプトを試すのも方法の一つです。

メニューやサービスを工夫して、顧客の反応が良ければそのまま継続し、そうでなければ撤退するといったように、テストマーケティングの場としても最適です。

「最小限のリスクで新規事業を立ち上げたい」「競争が激しいエリアで効率的に経営戦略を展開したい」といった場合にも、間借り営業は効果を発揮します。

撤退する際のコストや手間が少ない

長期契約が前提となるテナント物件の場合、一般的に期間内での契約解除には違約金が発生します。さらに、契約内容によっては退去時の原状回復費用も発生するなど、撤退する際に高額な費用が生じる可能性があります。

一方で間借りの場合、既存店舗の設備を共有できるため、退去時の原状回復や設備撤去にかかるコスト・手間を抑えやすいのがメリットです。その分、撤退する際のリスクが和らぐため、事業の成熟度合いに応じた柔軟な動きが可能になります。

ただし、退去時の原状回復範囲や、設備撤去に対する責任の有無に関しては、貸主と結ぶ契約次第で大きく内容が変わります。そのため、テナント物件を借りる際と同様、事前にしっかりと契約内容や特約を確認しましょう。

飲食店の間借りに向いている人の特徴

飲食店の間借りに向いている人の特徴

間借りのデメリットとメリットをお伝えしましたが、実際にどのような人が向いているのでしょうか。

  • 副業で飲食店を始めてみたい人
  • 季節限定の店舗を検討している人
  • いずれ自身の店舗を持ちたい人

それぞれ詳しく見ていきましょう。

副業で飲食店を始めてみたい人

間借り飲食店では短時間営業が可能なため、本業を持ちながらでも空いた時間に飲食店を開けます。そのため、副業での飲食店経営を考えている人とは好相性です。

また、賃料などのコストが低いうえに、効率良く集客できることから、飲食店の初心者でも始めやすいでしょう。

まずは副業で潤沢な自己資金を確保し、本格的な店舗展開に備えましょう。

季節限定の店舗を検討している人

間借り飲食店は、夏限定でかき氷店をオープンするなど、季節的な需要のある業態に向いています。

この特徴を活かして需要のピーク時に狙いを定めれば、短期間で効率良く収益を上げられるでしょう。

柔軟かつリスクを最小限に抑えながら経営を行いたい人にとって、間借り飲食店は新しいビジネスモデルとして魅力的です。

いずれ自身の店舗を持ちたい人

自己資金が乏しい場合でも、間借りなら低コストでスタートできるのが利点です。

間借り営業の間に経営のノウハウを蓄積し、固定客を獲得できれば、本格的に実店舗をオープンする際の基盤となります。

お試し期間として飲食店経営を経験しておくと、後に自信を持って本格的な店舗展開を行えるでしょう。

将来的に自身の店舗で営業を行いたい人は、間借り飲食店で経験を積んでみてはいかがでしょうか。

飲食店の間借りに向いていない人の特徴

飲食店の間借りに向いていない人の特徴

間借りのデメリットとメリットを見ると、間借り営業に向いていない人の特徴がわかります。特に次のような特徴に当てはまる人は、別の選択肢を検討するのがおすすめです。

  • すでに明確な店舗コンセプトがあり、内装や設備に独自性を持たせたい人
  • レストランや居酒屋など、営業時間が長い業態を検討している人
  • 資金回転率を高め、早期的な店舗拡大を考えている人
  • 既存店舗のオーナーとの折衝を極力避けたい人

間借り飲食店では、既存店舗の内装や設備を利用するため、自身のアイデアやコンセプトを存分に表現できない場合もあります。独自性を重視したい場合は、自ら店舗を立ち上げるほうが適しています。

また、店舗コンセプトや集客方法などを巡り、貸主と揉める可能性も考えられるでしょう。このような折衝に時間を浪費したくない場合は、一般的な賃貸物件を借りるほうが向いています。

向き・不向きを考慮して自身に合った契約形態を見極めよう

向き・不向きを考慮して自身に合った契約形態を見極めよう

低コストで始めやすく、営業期間に柔軟性がある間借り営業。間借りには多くのメリットがあるものの、店舗の独自性を重視している人や、資金回転率を高めたい人には向いていない可能性があります。

もし、間借りには向いていないと感じたら、賃貸テナントの検討がおすすめです。

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この記事を書いた人: ラルズネット編集部

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