整骨院の居抜き物件を探すポイント|失敗しないための開業準備

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整骨院の居抜き物件を探すポイント|失敗しないための開業準備

整骨院の開業にあたり、費用をできるだけ抑えたい人は多いでしょう。そんな人にオススメなのが、居抜き物件です。

居抜き物件とは、テナントの前入居者が残した設備や内装がそのまま譲渡される物件で、開業の初期投資を抑えられるメリットがあります。

しかし、整骨院は競合が多く、居抜き物件を探す際に立地条件や客層などを考慮しないと営業が長続きしません。また、居抜き物件には間取りの自由度が低いなどのデメリットもあります。

本記事では整骨院の居抜き物件を探すためのチェックポイントや必要な資金、長く経営を続けるための対策などを解説します。

関連記事:居抜き物件とは?スケルトンとの違いや契約の流れを解説

整骨院の居抜き物件を探すポイント

整骨院の居抜き物件を探すポイント

整体師や接骨師として高い技術を持っていたとしても、立地や交通の便が悪ければ集客に苦戦するでしょう。また、自分の技術を活かせるターゲット層が住んでいる地域でなければ、顧客になってもらえません。

整骨院の居抜き物件を探す時には、次のようなポイントを押さえておきましょう。

  • 立地周辺の人口・年齢層
  • 交通の便
  • 患者の引継ぎの可否
  • 競合の有無

立地周辺の人口・年齢層

整骨院の居抜き物件を探す時にもっとも重視すべきなのが、立地周辺の人口と年齢層です。

人口の多い土地は潜在的に患者になる人も多く、集客もしやすくなります。ただし、人口が多いほど競合も多い可能性が高く、ターゲットとなる年齢層も考慮し戦略を練らなければ集客にはつながりません。

整骨院は、大まかに分けて次のような3つの年齢層が利用します。

  • スポーツなどによるケガの治療を必要とする若年層
  • 日常生活や仕事で疲れやケガをした成人層
  • 身体機能の衰えにより打撲や捻挫を負った高齢者層

土地の人口や年齢層が分からないと、適切なメニューや単価などを設定できません。例えば、高齢者が多い土地で「スポーツによるケガや捻挫の治療が得意です」と宣伝しても、集客には期待できないでしょう。

開店してしまったら、移転は簡単にできません。自分が得意とする技術やビジネスモデルに合ったエリアなのか、事前に分析が必要です。

交通の便

交通の便は、整骨院の居抜き物件を探す際の重要なポイントです。集客はもちろん、リピーターが増える要素として、アクセスの良さは欠かせません。

整骨院へ来る方法には、次のようなパターンがあります。

  • 公共交通機関(路線バス・地下鉄・鉄道・路面電車など)
  • 自家用車
  • タクシー

整骨院へ来る患者は身体のどこかしらに不調を抱えており、徒歩での移動はできるだけ避けたいはずです。駅やバス停から近ければ近いほど身体に負担をかけず通えるため、交通の便が良ければリピーターになる可能性は高いでしょう。

例えば、鉄道や地下鉄の駅の近くなら遠方からも通いやすく、集客のエリアが広がるメリットがあります。

自家用車やタクシーで来る人も、大きな通りに面した通いやすい店や、乗り降りしやすい駐車場がある店など、交通の便が良く使いやすい店を選ぶでしょう。

また、駅やタクシーの乗降場の近くは人通りが多く、店舗や看板を何度も見てもらえる機会があります。身体の不調が出た時に「そういえば、あそこに整骨院があった」と思い出してもらえるはずです。

ただし、人通りの多さに安心して何もしなかった場合は、周知まで時間がかかります。交通の便が良い場所で開業しても、チラシやホームページを使った宣伝は必要です。

患者の引継ぎの可否

居抜き物件を選んだ場合、以前の店舗を利用していた患者をそのまま引継ぎできる可能性があります。

以前の店舗の評判が良く、繁盛していたなら、利用していた人は良いイメージを持っています。同じ業種の店舗が開店した際、継続して利用することに抵抗はないでしょう。

ただし、店舗の閉店理由が次のようなネガティブなものだった場合、顧客の引継ぎどころか、集客の妨げになる可能性もあります。

  • 前店舗に技術がなく、施術されても症状が改善しなかった
  • サービスや店員の態度が良くなかった
  • 臭いや音など店舗の設備や環境に問題があった

特に、店舗の設備や環境に問題があった場合は、改善できるか不動産会社や施工会社で確認が必要です。改善が見込めず、集客に影響が出そうなら、立地条件が良くても諦めた方が良いでしょう。同じ理由で営業が続けられなくなったら、元も子もありません。

居抜き物件を選択する場合、前の店舗について周辺で聞き込みを行ったり、ネットに残っている評価を確認したりと、閉店理由の調査は必須です。

競合の有無

居抜き物件が多い地域は、競合が多い可能性があります。立地が良くても、競合が多い地域での出店はオススメできません。競合が多いほど客の取り合いになり、顧客を作るのが難しくなるからです。

また、立地の良い土地は家賃が高く、競合より目立つために宣伝費がかさむ可能性があります。集客や資金繰りに苦戦してばかりでは、いつまで経っても経営が安定しません。

そもそも、整骨院を含む、あん摩・マッサージ・指圧等を行う施術所は年々増加しており、競合が多い業種です。「令和4年衛生行政報告書(就業医療関係者)の概況」を見ると、令和4年には144,309件もあります。

日経クロストレンドによると、2023年に全国にあるコンビニは57,978軒です。厚生労働省の「医療施設動態調査」では2021年の歯科診療所は68,024軒、厚生労働省の「衛生行政報告例」では2022年のクリーニング店が76,300軒でした。いかに競合が多いか分かります。

整骨院を営業するなら、事前に競合が少ないエリアの調査を行いましょう。

参考:令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況

整骨院を居抜き物件で開業するメリット・デメリット

整骨院を居抜き物件で開業するメリット・デメリット

居抜き物件には、前の入居者の使っていた設備や内装が残っています。

設備が最初からそろっているため、初期投資が抑えられるのが大きなメリットです。ただし、古い設備ではメンテナンス代がかさむ可能性もあるなど、デメリットを理解しておく必要があります。

居抜き物件はメリット・デメリットを理解した上で選択しましょう。

デメリット

居抜き物件のデメリットとして、次のようなポイントがあります。

  • 中古の設備なので故障する可能性がある
  • 備品や消耗品に汚れが残っている場合がある
  • デザインや間取りの自由度が低い
  • 以前の店舗イメージを引きずる可能性がある

前の店舗の治療機器が、そのまま問題なく使えるとは限りません。中古の機械類は壊れたり不調になったりする可能性があります。保証期間が切れている場合は、修理費用が必要です。

あまりにも古い機器類だとメーカーに部品の在庫がなく、修理ができない可能性もあるでしょう。

また、居抜きの場合、備品や消耗品が古びていたり、汚れていたりすることがあります。ベッド・ソファー・棚などが汚れていると、イメージが良くありません。新しく開店した整骨院に足を運んだお客様が、「不衛生だ」と不満を覚える可能性があります。

居抜きの店舗は間取りやデザインの自由度が低いのもデメリットです。設備や内装がすべて撤去されたスケルトンの物件なら、自分が使いやすいように動線を考えて間取りを作れます。しかし、居抜き物件は自分が間取りに合わせるしかありません。

前の店舗にネガティブな評判などがあった場合、開店後もそのイメージを引きずる可能性もあります。

メリット

居抜き物件には次のような利点もあります。

  • 初期投資が抑えられる
  • 前店舗の顧客を引き継げる
  • 開店時期を早められる

居抜き物件の最大のメリットは、初期投資が抑えられることです。

整骨院の治療機器には、低周波・高周波治療器や超音波治療器などがあります。メーカーやランクによって異なりますが、このような機器類は1台当たり100~200万以上するものもあり、複数用意すると高額な費用になります。

ベッドや消耗品も新規で購入する場合、50万円以上かかると思った方が良いでしょう。

スケルトンのテナントで開店する場合、内外装の資金も必要です。内装・外壁・デザイン料などは、こだわればこだわるほど費用がかさみます。電気設備工事や空調設備工事などの設備工事も必要です。

しかし、居抜き物件であれば、そういった諸費用の削減が可能です。

機器類の故障がないか、備品に汚れがないかなど、居抜き物件のデメリットで挙げた項目を契約前にしっかりチェックしましょう。

居抜き物件のメリットを最大限に活かせば、開店時期を早めて経営を安定させやすくなります。

関連記事:居抜き物件の5つのメリットを徹底解説!居抜きに向いているのはこんな人

整骨院の開業に必要な資金

整骨院の開業に必要な資金

「整骨院の開業を考えているものの、具体的に必要な資金が分からない」という人も多いでしょう。

ここでは、整骨院を開業する際に必要な資金について説明します。

  • 開業資金の相場
  • 費用を抑えるコツ

開業資金の相場

整骨院の開業に必要な資金には「初期投資」と「運転資金」の2種類があります。

スケルトンの場合、初期投資は店舗資金や内外装費など、下記のような項目の費用が対象です。初期投資の平均は500~1,000万円程度で、使用する機械類や内外装のグレードによって差が出ます。

店舗資金(テナント契約)100~150万円
内外装費用200~500万円
機械・備品代150~300万円
広告宣伝費等50~100万円
合計500~1,050万円

一方、居抜き物件は、店舗資金・譲渡金・広告宣伝費が主な初期投資に当たります。譲渡金は売主(前の入居者)が自由に決められますが、あまりにも高額だと売れないため、150~250万円が相場です。

スケルトンも居抜き物件も、立地や店舗の条件によって初期投資に幅があり、一概に「これだけ費用を用意しておけば大丈夫」とは言えません。

しかし、居抜き物件は譲渡金に内外装費や機械・備品代などが含まれるため、スケルトンに比べると初期投資が抑えられます。

また、整骨院の開業後は、毎月次のような運転資金がかかることも覚えておきましょう。地域や物件の条件によって違いはありますが、平均して月々50~80万円程度必要です。固定費と変動費のバランスを考えて決めてください。

固定費変動費
テナント料・駐車場代・管理費等水道光熱費
人件費(スタッフ給与等)消耗品
電話代・インターネット契約費ガーゼ代、脱脂綿等の衛生材料費用
リース料宣伝広告費
ローン返済等組合費

毎月必ずかかる固定費はできるだけ抑えられるよう、契約前に確認が必要です。

参考:一般社団法人 日本柔整鍼灸協会

費用を抑えるコツ

整骨院の開業で費用を抑えるなら、次のような方法があります。

  • 自宅で開業する
  • テナントの広さを抑える
  • 治療機器は中古で購入する
  • 居抜き物件を選ぶ

自宅を整骨院にした場合、テナント料が不要です。通勤がなく、ワークライフバランスがとりやすいなどのメリットもあります。しかし、集客やプライバシーの確保が難しい場合があるなどのデメリットがあることも考慮しておきましょう。

また、テナントの面積で費用を抑えることも可能です。面積の広い物件はテナント料も高くなります。広さを抑えれば、その分固定費は安くなるでしょう。ただし、将来的に整骨院の規模が拡大した場合、移転を考えなければならないなどのデメリットもあります。

初期投資の中でも大きな範囲を占めるのが治療機器です。資金に余裕のない人や節約したい人は、中古の治療機器を検討しましょう。中古の治療機器を取り扱う会社の中には保証期間を付けているところもあります。複数の会社で比較すると良いでしょう。

整骨院の居抜き物件もオススメです。前の店舗が残した医療機器や備品をそのまま使えるのでスケルトンのテナントと違って大幅に費用が抑えられます。

整骨院で廃業・失敗しないための準備

整骨院で廃業・失敗しないための準備

整骨院を開業できても、経営が続かなければ意味がありません。開業前に、次のような準備を行いましょう。

  • ブランディングを決める
  • 十分な資金を準備する
  • 技術以外も重視する
  • 積極的に集客する

それぞれ、詳しく説明します。

ブランディングを決める

整骨院の開業を目指すなら、ブランディングは欠かせません。ブランディングとは独自のブランドを作り出す戦略のことです。

例えば、「どんな人に来てほしいか」「何の施術を専門にするのか」といったことを決めるのがブランディングです。競合との違いを明確にし、お客様の知りたいことを伝えれば、ターゲット層の支持が得られるでしょう。

また、整骨院をどんな雰囲気にするのか決めるのもブランディングの一種です。落ち着いた雰囲気なのか、明るい雰囲気なのかなど、患者は自分の求めるポイントをチェックして来店します。

どんな整骨院にしたいのか決め、事前にブランディングを行いましょう。

十分な資金を準備する

高額な初期投資は意識していても、見落としがちなのが運転資金です。初期投資の費用のみ用意して開店すると、思ったほどお客様が来ず、運転資金が不足して失敗する可能性が高くなります。

開業後は経営が軌道に乗るまで時間がかかります。運転資金は多ければ多いほど良いでしょう。理想の運転資金は4~6カ月分ですが、厳しいなら最低でも1~3カ月分の運転資金を用意するのがオススメです。

資金を用意するのが難しい場合は、公的機関の融資を利用したり、従業員を雇わず営業したりといった対策方法があります。

参考:日本政策金融公庫

技術以外も重視する

施術のスキルが高くても廃業する整骨院は後を絶ちません。理由として、次のようなものがあります。

  • 競合が多い
  • コンセプトが曖昧
  • 単価設定を見誤っている

出店した場所によっては競合が多く、顧客が思うように増えない可能性があります。特に、駅前などの利便性の高い土地は集客のしやすさから競合が多くなりがちです。競合が少ない場所を選ぶ、競合に負けないよう経営の知識を学ぶなどの対策を行いましょう。

また、曖昧なコンセプトも客を遠ざけがちです。

例えば、「頭痛・腰痛・膝痛にお困りなら当院で」という整骨院と「腰痛ならお任せください」という整骨院があったとします。腰痛に困っている人は「腰痛専門ならこちらにしよう」と後者を選ぶでしょう。

どんなコンセプトにするのか、事前に決めておくのが重要です。

適切な単価の設定も必要です。1回あたりの単価を高くしすぎると、患者は気軽に施術を受けられません。しかし、あまりに単価が安すぎても、利益が得づらく経営が続かない可能性が高くなります。

一カ月当たりどのくらいの収入が必要なのか明確にした上で、相場や集客数を想定して決めましょう。

積極的に集客する

「整骨院を開店したものの、思ったように顧客が増えない」という場合、集客を怠っている可能性があります。

いくら技術やサービスが優れていても、開店したことを知ってもらえなければお客様は来ません。

また、どんなメニューがあるのか、どんな施術を専門にしているのか分からなければ、店があることを知っても利用しようとは思わないでしょう。

チラシの配布やホームページの作成を行い、積極的に集客することで顧客が得られます。「自分で作るのは難しい」という人は、チラシやホームページの制作会社に依頼するのがオススメです。

広告や宣伝は継続的に行うことを踏まえ、必ず資金計画に入れておきましょう。

整骨院の居抜き物件を探すなら「テナント連合隊」!

整骨院の居抜き物件を探すなら「テナント連合隊」!

費用を抑えて整骨院を開業したいなら、居抜き物件がオススメです。

前店舗の設備がそのまま使えるので、初期投資が大幅に抑えられます。また、前の店舗の評判が良ければ、顧客を引き継げる可能性が高いのも魅力です。

貸店舗・貸事務所をお探しの際は、地域特化型テナント物件探し専門ポータルサイト『テナント連合隊』を活用してみてはいかがでしょうか。

路面店、居抜き物件コーナーなど、事業者目線で詳細な検索ができるようになっています。
『テナント連合隊』が、これから出店を考えている事業者様のお役に立てれば幸いです。

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この記事を書いた人: ラルズネット編集部

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