地方移住にともなう4つの不安と解消方法

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地方移住にともなう4つの不安と解消方法

移住に憧れているけど、なかなか一歩を踏み出せない。そう考えている人は少なくありません。

移住支援ポータルサイト「移住したい」の調査では、移住を検討した人のうち50%近くの人が踏みとどまっていて、そのうちの88.8%は不安が解消すれば移住をしたいと答えています。

移住を考える人たちが抱える不安は、さまざまな要素が絡み合った複合的なものです。ここでは、そのなかでも代表的な「文化的」「社会的」「経済的」「住環境的」の4つの不安に焦点を当て、それぞれの解決方法を探っていきます。

その1 文化的な不安と解消方法

その1 文化的な不安と解消方法

日本国内でも北海道から沖縄まで、その土地の歴史や気候、地形によって文化や風習が異なります。国内の移住でも、まるで外国に行くような異文化体験になることがあるでしょう。

旅行では非日常的で素敵な体験として楽しめる異文化も、実際に住むとなると日常生活においてストレスを感じることがあるかもしれません。

不安:異なる文化に適応することの難しさ

たとえば「方言」の違いや、歴史や伝統からの「生活習慣」の違いなどが挙げられます。地域の食習慣や気候の特徴なども、人によってはストレスに感じることがあるかもしれません。

方言によって言葉の意味が変わってしまい、誤解や衝突が起こることもあります。また、移住先の社交マナーやビジネスルールが自分の出身地と異なることに、戸惑いを感じることもあるでしょう。

解決策:新しい文化や環境を学ぶことを楽しもう

文化が異なることで生じる問題を解決するためには、自分自身がその土地の歴史や文化について学び、積極的にその文化に関わっていくことが必要になります。移住前に地域の歴史や風土、観光スポットなどを調べ、その土地での生活イメージを持つことが大切です。

現在はインターネットが普及しているため、簡単に地域の特徴を調べられます。ただ、不安が大きいときは、どうしてもネガティブな情報に注目してしまいがちです。意識してポジティブな情報に触れることによって、調べること自体が楽しくなり、移住先のイメージが明るいものとなるでしょう。

不安:移住先の住民との人間関係

移住を検討している人の不安の多くは、人間関係への不安がとくに多いです。同じ日本語でも方言や話し方、挨拶の仕方が地域によって異なり、人とのコミュニケーションに戸惑うことがあるでしょう。

せっかく移住しても人間関係がうまく築けないと、辛い日々を送ることになってしまいます。

インターネットで調べた情報も、どこまでが正しいのかは現地に実際に暮らしてみないとわからないこともあります。

解決策:ローカルコミュニティに参加してみる

移住者を積極的に受け入れている自治体には、移住希望者が参加できるローカルコミュニティが用意されていることが多いです。

先に移住した人や移住者に協力したい地元民が参加していて、移住の検討段階から相談に乗ってくれます。実際にそこに住んでいる人の生の声を聞くことで、地域の雰囲気や最新の情報を知ることができます。

また、地元の人々とのコミュニケーションを通じて、文化や習慣を理解し尊重することも大切です。

定期的な集会が開かれていて相談しやすい環境なので、移住を検討する人はぜひチェックをしてみてください。

その2 社会的な不安と解消方法

その2 社会的な不安と解消方法

「社会的な不安」は「文化的な不安」と似ていますが、少し違います。

「文化的な不安」は、言葉や食文化などの文化的な背景から生じます。一方、「社会的な不安」は、人間関係や生活習慣の違いから生じるものです。新しい環境で人々と交流を持ったり、日々の生活を過ごしたりする上での違和感やストレスが原因となります。

不安:知り合いがいなくなる

具体的には、単純に「移住先では知り合いがいない」というものです。これは単純だからこそ、移住する人にとって大きな割合を占める不安でしょう。

新しい土地で新しい人たちと出会い、友達を作ることは簡単ではありません。とくに家族で移住する場合は、転校によって子どもたちの友達関係が変わってしまうことも心配されます。

また、大人の仕事関係も同様で、これまでの職場で築いてきた人脈が失われ、新たに人脈を構築しなければならないことはとても不安になります。

不安:今までの仕事のスキルや学習したことが活かせるのか

職種によってはこれまで取得したスキルや資格が移住先で認められないことで、就職先がなかなか見つからず経済的な苦境に陥ってしまうこともあります。自分のスキルに合った職種があるのか、アルバイトや派遣でも働けるのかなど、十分に調べることが必要でしょう。

さらに、子育て世帯にとっては、子どもたちの学習状況に合わせた学びの場が移住先にもあるのかも大切な要素です。環境が変わることで子どもたちがストレスを感じたり、学習面で後れを取ってしまったりすることも考えられます。

そのため、移住先の教育環境や学校の評判なども調べることも重要です。

解決策:同じ趣味や興味を持つ仲間をみつけ、アドバイスを受けよう

「文化的な不安と解消方法」の解決策で紹介した通り、ローカルコミュニティに参加することで解決策がみつかることもあります。不安の解決には「ひとりで悩まない」ことが大切です。

ローカルコミュニティには趣味や習い事を中心にしたものもあるので、同じ趣味の仲間が見つけやすく、より親密な関係を築けます。そうして相談しやすい環境を作っていくのも大切です。

移住前からの友人・同僚とつながりを断たないことも、現代ならSNSの普及で簡単になりました。子どもたちもゲームなどでインターネットに接続して、日本中どこにいても引っ越し前の友達と遊べます。

その3 経済的な不安と解消方法

その3 経済的な不安と解消方法

移住は初期費用や生活費を準備しなければならないため、資金面での不安がつきものです。

移住後の収入源についても考慮して、交通費や引っ越し費用、新居の敷金・礼金、家具や家電製品、生活費などを前もって計算しておく必要があります。

不安:生活費などの金銭的な問題

移住先での生活環境によっては、今まで住んでいた地域よりも生活費が高くなる場合があります。そのため、移住前には目的地の物価水準や生活費を把握し、その分の費用を計算しておくことが重要です。

また、医療費や教育費も負担が大きくなることがあるため、必要な保険に加入することも考えておきましょう。移住先での医療制度や教育制度についても調べておくことが大切です。

不安:就労やビジネスへの不安

さらに、移住先での収入に関しても考えておくことが必要です。転職する場合、前述したようにスキルに応じた職種を探す必要があります。

就職先が決まっている場合でも、給与水準や雇用形態などが今まで住んでいた地域と異なる場合があるため、その点も事前に確認しておきましょう。

さらに、起業する場合にも留意する必要があります。移住先でのビジネスは、文化やビジネスマナーの違いなどを考えることが必要です。現地のビジネス環境や法律に合わせて、需要や市場動向を調べ、競合他社との差別化ポイントを明確にしておきましょう。

解決策:移住先の行政サポートを調べよう

社会的な不安を解消するには、移住先の地域の行政を前もってよく調べてみましょう。移住の受け入れを積極的にする自治体では、移住者向けの助成金やサポートが充実しています。

たとえば新築や改築に関する助成金、自治体独自の子育て支援などがいくつかあり、それらを組み合わせると500万円近い助成を受けられる場所もあります。

仕事に関しても、移住者向けの求職情報や起業するためのセミナーの情報がまとまっていて、仕事が決まるまで家賃の補助金が出る自治体もあるのです。

先述したローカルコミュニティで相談して、現地の仕事情報を得ることも有効です。自治体のサポートを最大限に活用しましょう。

その4 住環境に関する不安と解消方法

その4 住環境に関する不安と解消方法

移住先での生活において、住環境に関する不安は非常に大きな要素の一つです。

新しい家の住み心地の良さは、移住後の暮らしに大きな影響を与えます。具体的には、住む場所や家賃、交通の利便性、騒音や治安などが問題となることがあります。

不安:住む場所や家賃、交通の利便性に関する不安

新しい環境に慣れるためには、周囲の環境が快適であることが大切です。

たとえば、通勤や通学の時間や役所や病院までの距離、買い物する場所の近さ、子どもがいる場合は学校や幼稚園までの距離や安全性も重要なポイントとなります。

家賃や契約条件に関しても、事前によく調べておくことをオススメします。

不安:騒音や治安など、環境に関する不安

住む場所によっては騒音や治安、自然災害なども不安材料です。

たとえば、交通量の多い線路や高速道路がそばにある場合、早朝も深夜も騒音が気になる可能性があります。

逆に大自然に囲まれた静かな環境でも、野生動物が生活圏を荒らしてしまうこともあるかもしれません。また、大雨や台風による自然災害にも備える必要があります。

解決策:現地の住宅情報サービスや不動産会社に相談しよう

住環境についての情報は、現地の不動産会社や住宅情報サービスに勝るものはありません。移住先の住宅に関する不安はすべて、プロに相談してみましょう。

地元に根ざした情報やノウハウがあるため、移住者にとって非常に頼りになる存在です。

地元の住環境に関する情報や家賃相場、物件の条件、設備など、あらゆる情報を提供してくれます。また、現地の特色や文化、人々の生活スタイルなどの知っておくべき情報も教えてくれるでしょう。

解決策:ライトな移住スタイルを目指してみる

選択肢の一つとして、「生活の基盤をすべて移すのではなく、住環境だけ変えてみる」という移住スタイルもあります。

住み慣れた環境からいきなり遠く離れると思うと、不安は大きくなるものです。せっかく家を売却して移住した先で家を購入したけれど、環境が合わずにまた家を売却して元のところに戻る失敗談もよくあります。

そこで「ライトな移住」を提案します。まずは賃貸物件に住み、そこでの生活が合っていたら不動産を購入するという「お試し移住」です。

経済的な負担も少なく、地域の文化や生活環境に慣れる時間もあります。さらに近所の人とのコミュニケーションを通じて地域の文化や生活習慣を学び、新しい友達やつながりを作り、生活に必要な情報を得ることもできるでしょう。

これは推奨している自治体もあり、お試し移住希望者にマンションやホテルに数週間住んでもらう取り組みをしています。

不安を乗り越えて移住した先に成長がある

不安を乗り越えて移住した先に成長がある

新しい環境に飛び込むことによる不安やストレスを感じることもあるでしょう。

不安を解消するためには、情報を収集や移住先の生活環境を選ぶことも重要です。また、移住先のコミュニティーに参加したり、共通の趣味を持つ友人を探したりと自発的に行動することも求められます。

不安を乗り越えた経験は自分自身を成長させ、人生を豊かにするものとなります。ぜひ本記事を参考に、移住にチャレンジしてみてください。

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この記事を書いた人: ラルズネット編集部

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