マンションを事務所として利用したい方向け|居住用物件との違いとは

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マンションを事務所として利用したい方向け|居住用物件との違いとは

安い賃料で事務所を持ちたいなら、事業用のマンションに入居するという選択肢があります。

マンションを事務所として利用できれば、オフィス用の物件だけを検討するより、選択肢が広がるでしょう。

とはいえ、マンションは居住用の印象が強いため、事務所として利用するイメージができない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、マンションを事務所として利用したい方に向けて、規約的な問題がないのか解説していきます。

事業用と居住用物件の違いや、事務所として利用できるマンションを探すポイントも解説しましたので、参考になれば幸いです。

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マンションを事務所として利用できる?

マンションを事務所として利用できる?

結論からお伝えすると、事務所利用が可能な事業用のマンションであれば問題ありません。

また、分譲マンションの場合も、管理規約や細則に記載がなければ可能です。

とはいえ、分譲マンションで事務所利用が可能な管理規約を取り決めているケースは少ないのが現状です。

国土交通省は管理規約のモデルとして、「マンション標準管理規約」を示しています。この「マンション標準管理規約」では、以下のように記載されています。

住戸部分の区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。

引用元:国土交通省「マンション標準管理規約(複合用途型)」第4章第12条

すべてのマンションが標準管理規約に則っているとは限りません。ただ、国土交通省のモデルとして上記のような記載がされている以上、「分譲マンションならすべて事務所利用ができる」という解釈は現実的でないでしょう。

また、居住用として入居したマンションを、事業用に転用することはできません。無許可で転用すると、退去や違約金を求められる可能性があります。詳しくは「オーナーがマンションの事務所利用を許可しない理由」の項目で解説します。

ただ、条件付きで法人登記が可能という物件もあるため、実際に探していくなかでオーナーと交渉することが重要です。

事業用と居住用のマンションの違いとは

事業用と居住用のマンションの違いとは

前の項目で、事業用のマンションなら事務所利用が可能であるとお伝えしました。

ただ、マンションといえば居住用の印象が強いため、事業用との違いがよく分からない方もいるのではないでしょうか。

下記の表は、事業用と居住用のマンションの違いをまとめたものです。

違い事業用マンション居住用マンション
利用目的商売居住
費用・消費税がかかる
・敷金が高め(家賃の3~6か月分以上)
・固定資産税が高め
・消費税がかからない
・敷金は家賃の1~2か月分が平均的
審査内容・支払い能力
・事業内容
・創業年数
・売上
・保証会社
※保証人を立てない場合
・収入や職業(家賃の支払い能力)
・保証人・保証会社
・人柄(ご近所トラブルの可能性を考慮)
原状回復の範囲・契約書・特約に記載された範囲すべて・手入れ不足による汚損
・通常の使用範囲以上の汚損など

表で取り上げた違いのなかでは、「原状回復の範囲」がトラブルになりやすいです。

原状回復の範囲は、居住用マンションではおおむね「通常の使用以上の汚損」と記載されています。通常の使用の範囲内である汚損や、経年劣化部分を回復する費用は、負担する必要がありません。

一方で事業用賃貸物件は、基本的に契約書や特約に記載された部分すべてが原状回復の範囲となります。オフィスとしての利用は、居住用に比べて損傷の程度が予想しにくいためです。

ただ、マンションの一室にオフィスとして入居していた場合は、居住用物件と同じ条件が適用されるケースもあります。

契約締結時に、契約書や特約について慎重に確認しておくことが重要です。

参考:国土交通省「「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について

オーナーがマンションの事務所利用を許可しない理由

オーナーがマンションの事務所利用を許可しない理由

そもそも、オーナーはなぜマンションを事務所として利用してほしくないのでしょうか?ケースバイケースではあるものの、大きな理由として以下の3つが挙げられます。

  • 不特定多数の人が出入りするため
  • 駐車場・駐輪場の利用でトラブルにつながるため
  • 騒音がトラブルにつながるため

不特定多数の人が出入りするため

オーナーがマンションの事務所利用を許可しない理由として、最も大きいのは防犯上の問題です。

一般的にマンションは、戸建てやアパートより防犯設備が整っているイメージで、入居者は高い安全性を望んでいます。

しかし、入居者がマンションを事務所として利用すると、業種や顧客によって不特定多数の部外者が出入りします。部外者が自由にマンションに入れる状況は、入居者に不安を与えてしまうでしょう。

防犯性が下がれば、空き巣やストーカーといった犯罪が起きる可能性もゼロではありません。

このようなリスクを避けるために、事務所としての利用に許可を出さないオーナーが多いです。

駐車場・駐輪場の利用でトラブルにつながるため

マンションの事務所利用によって、駐車場・駐輪場に関するトラブルが起きる可能性も考えられます。

事務所の立地や訪問者の属性によっては、来客用の駐車場を使いたいケースもあるでしょう。

とはいえ、来客用の駐車場は、あくまでも入居者全員分の共用部です。

事務所の訪問客のために使うからといって、駐車場を独占することは許されません。事業としての利用でなくても、来客用の駐車場を同じ入居者が独占してトラブルになるケースは多いです。

入居者同士で共用の駐車場・駐輪場をトラブルなく使うため、事務所利用が許可されないケースもあります。

騒音がトラブルにつながるため

従業員の人数や使用する機器によっては、騒音トラブルにつながりかねません。

会議中の話し声や笑い声・コピー機の作動音など、事務所利用といっても騒音は発生します。

環境省の「騒音に係る環境基準について」によれば、居住地域の騒音基準は、昼間だと55デシベル以下とされています。

「静かな事務所」の騒音目安が50デシベル、「騒々しい事務所」の騒音目安が70デシベルであることを考えると、意外と基準に対して際どいとお分かりいただけるのではないでしょうか。

騒音トラブルは裁判に発展するケースもあるため、オーナーとしては不要なリスクを抱えたくないところでしょう。

参考:ソーチョー(日本騒音調査)

事務所利用が可能なマンションでも許可が出ないケース

事務所利用が可能なマンションでも許可が出ないケース

事務所としての利用が可能であるマンションだとしても、話し合いの結果として許可が下りないケースもあります。

オーナーがマンションの事務所利用を許可しない理由」で前述したとおり、不特定多数の部外者が出入りする事業では許可が出にくいです。

具体的には、下記のような事業を指します。

  • 士業の事務所
  • 教室
  • サロン

弁護士や税理士・行政書士などの士業で、不特定多数の顧客を相手にしている場合は、防犯上の観点から許可が下りにくいです。また、事務所のほかにも、英会話教室やネイルサロンなども、部外者の出入りが多いとみなされるでしょう。

事務所利用が可能なマンションを探すポイント

事務所利用が可能なマンションを探すポイント

事務所として入居するマンションを探すには、以下のステップが重要です。

  • 必要な条件を洗い出しておく
  • 不動産ポータルサイトを活用する
  • 近辺に駐車場があるか確認する

なお、事務所としてマンションを利用するのは、従業員が少ないスタートアップ企業や、個人事業主の方に向いています。ご自身の事業規模に合わせてテナント物件のマンションをご検討ください。

必要な条件を洗い出しておく

まず初めに、テナント物件としてのマンションに求める条件を洗い出します。

必須条件として、下記の内容を具体的に設定しておくことをオススメします。

  • 広さ
  • 立地
  • 家賃の予算

広さについては、従業員1人につき約5畳ほどのスペースを確保しているオフィスが多いです。

なお、厚生労働省が定める「事務所衛生基準規則」によれば、1人当たりの必要なスペースは以下のとおり10立方メートルとなっています。

事業者は、労働者を常時就業させる室(以下「室」という。)の気積を、設備の占める容積及び床面から四メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者一人について、十立方メートル以上としなければならない。

引用元:厚生労働省「事務所衛生基準規則第二章第二条

パーソナルスペースを確保できないと、ストレスが増え集中力も下がってしまうため、適切な広さを計算しておきます。

上記の3つのほか、従業員数や作業内容に応じて、以下の条件もチェックしておくと安心です。

  • セキュリティー設備
  • ネット環境
  • 水回り
  • エレベーターの有無
  • 防災対策

喫煙スペースを設けているマンションは減少傾向にあるため、必要なら事前に確認しておきます。

不動産ポータルサイトを活用する

必要な条件を洗い出したら、事務所利用が可能なマンションを探します。不動産ポータルサイトや、不動産会社の活用がオススメです。

ラルズネットが運営する「不動産連合隊」の場合は、賃貸物件一覧に「事務所可」の条件を付与すると、該当するマンションを検索できます。

→不動産連合隊で「事務所可」の物件を見る

なお、「オーナーがマンションの事務所利用を許可しない理由」で前述したとおり、騒音や人の出入りの多さなど、ほかの入居者に迷惑がかかると判断された場合は、事務所利用が可能でも許可されないときもあります。

また、セキュリティーが厳しいマンションも、入居者以外の出入りが発生してしまうという観点から、利用は難しいでしょう。

以上の点から、事務所利用が可能であるという検索でヒットしたとしても、事前にオーナーとの相談は必須です。

近辺に駐車場があるか確認する

事務所利用が可能なマンションを見つけたら、近辺に駐車場があるか確認します。ご自身で車を利用しない場合でも、来訪者や従業員が使うこともあるためです。

マンションの所在によっては、公共交通機関ではアクセスしにくいかもしれません。

来訪者や従業員に負担をかけないために、駐車場のチェックは必須です。

関連記事:事務所を安く借りる方法

事務所利用が可能なマンションに入居するメリット・注意点

事務所利用が可能なマンションに入居するメリット・注意点

この項目では、事務所としての利用が可能なマンションに入居する際の、メリットと注意点について解説していきます。

メリットと注意点は下記のとおりです。

注意点メリット
・無断で事務所にしない
・消費税が課税される
・物件選びの選択肢が広がる
・ワークライフバランスが向上する

注意点

マンションを事務所として利用する際には、以下の点に注意が必要です。

  • 無断で事務所にしない
  • 消費税が課税される

無断で事務所にしない

マンションに事業用として入居したい場合、無断で事務所にはできません。

居住用のマンションは、賃貸契約書に用途が記載されており、それ以外に使えないためです。

マンションの種類が居住用か事業用かという違いは、固定資産税の税率にも関わります。

固定資産税は事業用のほうが高い傾向にあるので、無断で事務所にすると脱税を疑われかねません。規約違反として退去を求められる可能性もあります。

消費税が課税される

マンションに事業用として入居する場合は、居住用と異なり賃料に消費税が課税されます。

仮に5万円のテナント物件に入居したとすると、消費税だけで年間に6万円かかる計算です。予算以上の出費に頭を抱えないためにも、賃料と消費税については押さえておくと安心です。

メリット

マンションを事務所として利用する場合には、以下のメリットが考えられます。

  • 物件選びの選択肢が広がる
  • ワークライフバランスが向上する

物件選びの選択肢が広がる

事業用のマンションを検討すると、テナント物件選びの選択肢が広がります。

オフィス街だけでなく、住宅街も選択肢の範囲になるためです。

住宅街のテナント物件に入居すると、従業員が通勤しやすいケースも考えられます。

また、住宅街は都心部より賃料が抑えやすいので、経費節減にもつながります。

ワークライフバランスが向上する

事務所としてマンションを検討しているなら、住居を兼ねるというのも選択肢の1つです。居住用物件で「事務所可」の条件がある物件なら、住居と事務所を兼用できます。

事務所と住居を兼用できれば、通勤時間が削減でき、ワークライフバランスの向上が期待できます。

家具や家電は共通のものが使えるため、コストパフォーマンスも良いでしょう。なお、経費を申告する際は、プライベートと事業用の共通である支出のうち、事業用として使用した比率を計算する必要があります。

事務所利用が可能なマンションを探すなら「不動産連合隊」!

事務所利用が可能なマンションを探すなら「不動産連合隊」!

事務所として利用できるマンションをお探しなら、必要な条件を事前に洗い出しておくとスムーズです。

従業員数や事業内容に応じて、必要な広さ・設備などを検討してみてください。

事務所として使えるマンションを探すときは、「不動産連合隊」などのポータルサイトを活用するのがオススメです。

→事務所利用が可能なマンションを「不動産連合隊」で探す

理想に近い事務所を探すための参考になれば幸いです。

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この記事を書いた人: ラルズネット編集部

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