テナントを内見する際の注意点|9つのチェックポイントを徹底解説

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テナントを内見する際の注意点|9つのチェックポイントを徹底解説

テナント物件を選ぶ際は、賃料や立地だけでなく、さまざまな要因を考慮し決定する必要があります。

特に物件の内見時は、インターネットの情報では得にくい外観の雰囲気や設備の利用状況、異臭の有無などを肌感覚で確認できるため、テナント選びのなかでもひときわ重要な工程です。

しかし、内見時はチェック項目が多いことから、どのような点を確認すべきか迷うケースも珍しくありません。

そこで本記事では、テナント内見時に確認すべき9つのチェックポイントと、それぞれの注意点を解説します。これらのポイントをもとに、事業の成功につながる最適なテナントを選び、安定した経営を目指しましょう。

テナント内見時の注意点がわかる9つのチェックポイント

テナント内見時の注意点がわかる9つのチェックポイント

テナント内見は、ビジネスの成功への第一歩ともいえる重要なステップです。

この過程で確認すべきポイントは数多くありますが、ここでは特に重要な9つのチェックポイントをピックアップし、その詳細と確認方法について解説します。これらのポイントを参考に最適なテナントを選びましょう。

  • 周辺環境
  • 外観
  • フロア
  • インフラ設備
  • 厨房設備
  • 施設内のエントランス
  • 施設全体の共有設備
  • 施設全体の日当たり
  • その他

周辺環境

物件の評価を行う際の重要な要素の一つが周辺環境です。

内見当日に物件の周辺環境をチェックすることで、実際の通行量やターゲットユーザーの動向を把握できます。特に、最寄り駅からの歩行経路やアクセスの良さは、実際に周辺を散策することで直感的に理解できるでしょう。

同時に商圏バリアをチェックできるのもポイントです。

商圏バリアとは、坂道や線路、渋滞の多い道路など、来店を妨げる要素を指します。このような要素は現地を訪問して初めて把握できるため、地図と照らし合わせて確認することが大切です。

周辺環境を確認する際は、曜日や時間帯によって通行量や歩行者の動向が異なることもあります。そのため、複数のタイミングで繰り返し調査を実行すると良いでしょう。

外観

建物の外観は、来店客の第一印象に大きく影響します。そのため、傷みや経年劣化など、印象が悪くなる要素の有無を確認することが大切です。

例えば、建物の築年数や改築歴を確認することで、将来的な改修の必要性がある程度把握できます。

また、店舗の場合は集客効果が高まるよう、視認性の高さについても確認が必要です。大通り沿いや角地に建物があると視認性が向上しやすくなります。

さらに近隣施設との調和性や間口の広さ、看板を設置できる場所・サイズなどの要素も検討しておくと良いでしょう。

外観は店舗イメージを構築する重要な要素なので、スムーズに確認作業を行えるよう、あらかじめブランドコンセプトを明確にしておくことが肝要です。

フロア

フロアの通路幅や天井高、柱・梁の位置などをしっかりと確認することが重要です。特に重い什器や備品を使用する業種では、床の耐久性にも配慮する必要があります。

フロアを確認する際に重要なのが間取りです。

居抜き物件(前テナントの設備や造作が残置されている物件)であれば、現状のレイアウトをもとに営業時をイメージし、最適な客席の配置や来店客の動線を考えましょう。スケルトン物件(前テナントの設備や造作をすべて取り除いた骨組み状態の物件)の場合は、フロアの広さにもとづいて設備の設置場所を決めておくことが大切です。

インフラ設備

内見時は電気・ガス・水道などのインフラ設備を確認することも重要です。インフラ設備が不足している場合は高額な工事費がかかる可能性があります。

電気・ガス・水道

電気・ガス・水道の供給状況や容量を確認し、業態に合っているかを検討します。

インフラ設備に必要な容量は業態や使用機器によって異なります。特に、新設や容量引き上げを検討する際の工事費用を予測しておくと、将来的なランニングコストのスムーズな見積もりが可能です。

排水管の詰まりや破損などの問題も事前に確認し、トラブルを未然に防ぎましょう。

通信環境

さまざまなデータを駆使する現代のビジネスでは、インターネットの接続環境やその速度が極めて重要です。内見時には開業時のインターネット利用を想定し、開通工事の可否や契約種別、現地の通信環境を入念にチェックしておきましょう。

例えば、一概に通信環境といっても有線LANと無線LANの2種類の形態があります。

有線LANの場合は開通工事の可否を確認する必要がありますし、光回線を敷くなら、プロバイダーごとの対応地域を事前にチェックしなければなりません。

また、ビル内の物件の場合、契約種別がファミリータイプになる可能性があるため、事前にオーナーの許可が必要です。開通工事には数ヶ月の期間が必要になることもあるので、綿密なスケジュール設定を行いましょう。

無線LANの場合は工事が不要なものの、エリアによって通信品質が大きく異なるので注意が必要です。

厨房設備

飲食業において厨房設備は事業運営の核となる部分です。居抜き物件の場合は、前テナントの厨房設備が残置されている場合もあるため、動作状況や老朽化の度合いをしっかりと確認しておくと良いでしょう。

設備をチェックする際に機器の品名・型番・年式などの情報を記録しておくと、その後、スムーズに買い替えを検討できます。

空中階の物件は、漏水した場合に階下のテナントとトラブルになる可能性があります。そのため、厨房設備の防水機能についても確認し、必要に応じて工事を検討しましょう。

そのほか、ダクトの種類やサイズ、グリストラップ(下水に生ごみなどが流れるのを防ぐ装置)の有無をチェックすることも大切です。

施設内のエントランス

空中階のテナント物件を契約する際は、施設内のエントランスも重要な要素となります。来店客が店舗を訪れる前に視認する箇所なので、エントランスの印象が悪ければ相手の気分を損ねてしまう可能性があります。

内見時は実際にエントランスを訪れ、雰囲気や照明の明るさ、清潔感などの要素を確認しましょう。

また、エントランスに掲示されているテナント表示板をチェックすることも大切です。それぞれのテナントの表記がわかりやすく、視認性に優れるかどうかを見ておくと良いでしょう。

施設全体の共有設備

商業施設やビルにテナントを構える場合は、共有設備にも配慮が必要です。施設内には、トイレやエレベーター、階段、駐車場といった共有スペースがあるため、実際に利用して使いやすさを確認しましょう。

特にトイレやエレベーターはスペースが狭いことから、時間帯によって混雑する可能性があります。内見時に余裕があれば、混雑具合や利用者の動線を確認することをおすすめします。

日頃から荷物の搬出入の機会が多い場合は、貨物用エレベーターがあると便利です。

施設全体の日当たり

施設の日当たりは、快適な作業環境やエネルギー効率向上に寄与します。従業員のモチベーションや健康を維持・向上させる要因として、日当たりは重要な要素です。

内見の際には、日差しの角度をよく確認すると良いでしょう。

東側から日差しが入る場合は、朝方から建物内に明るい雰囲気が生まれます。一方、日中の店内の明るさが重要となる飲食店などの場合、南向きの日差しを意識することが大切です。

ただし、方角だけでなく、時間帯や季節によっても日当たりが異なるため、複数のタイミングで調査する必要があります。また、周辺の高層ビルが日差しを遮っている場合もあるため、注意が必要です。

その他

上記のほかにも、内見時にチェックすべき複数の項目があります。

  • エアコンの有無や動作状況
  • 敷地内駐車場の広さや混雑具合
  • 施設全体のセキュリティ
  • 避難経路の有無
  • 近隣施設との関係性
  • 害虫や害獣などによる被害歴

このような細かい箇所にも配慮することで、テナント物件を契約してから後悔や失敗に至るリスクを抑えられます。

内見で物件を訪れる際は、独自のチェックシートやリストを持ち込み、自身が納得できるまで検証することが大切です。

テナント内見時に確認しておきたいポイント

テナント内見時に確認しておきたいポイント

ここまでは周辺環境や外観などの建物に関するチェックポイントを解説してきましたが、そのほかにもいくつか注意すべきことがあります。

特に、前テナントの退去理由や工事が必要な範囲などは、契約前に確認しておくべき要素です。それぞれの注意点について以下で詳細を解説します。

前テナントの退去理由

可能であれば、オーナーや管理会社に相談して、前テナントの退去理由をヒアリングすることをおすすめします。その内容次第で当該テナントに契約すべきかを判断できるためです。

例えば、悪臭や騒音が原因で別の入居者とトラブルに発展し、退去に至ることがあります。あるいは施設自体の築年数が古く、より高い耐震性を備えた物件に移転したということも考えられるでしょう。

このようなケースは、業績不振をはじめとする事業者側の不備ではなく、施設やテナントそのものに問題があります。そのため、よほど良い条件が提示されない限り、同物件は避けるのが無難です。

上記のように前テナントの退去理由を調査しておくことで、不要なトラブルを回避できます。

工事が必要な範囲

テナント契約後は内装を整備するための工事が必要ですが、状況によって必要な範囲が異なります。

テナント物件の工事には、A工事・B工事・C工事の3つの区分があります。A工事は責任範囲や費用がすべてオーナー負担となる一方、B工事は費用のみ借主が負担するなど、区分によって工事の進め方に違いが現れます。

そのため、施工会社へ依頼する前に次のようなポイントを明確にしておきましょう。

  • 工事に対する責任は誰が負うのか
  • 施工会社は誰が選定するのか
  • 工事費は誰が負担するのか
  • 施工後の設備の所有権は誰に帰属するのか

上記の点が明確になってから、工事が必要な内装や設備、予算などを検討すると良いでしょう。

退去時の原状回復範囲

テナント物件を契約する際は、退去時に原状回復を求められるケースがあります。契約中に内装を汚したり、傷を付けたりすると原状回復費用が高額になる可能性があるため、契約前に原状回復の範囲を確認しておきましょう。

退去時の原状回復費用を抑えるには、契約前に原状回復工事の費用相場を調べておくことが大切です。

さらに契約書の内容をしっかりと確認し、入居当初の物件の状態を写真におさめておくことをおすすめします。原状回復の要件や範囲については、特約として記載されていることがあるため、注意が必要です。

内見時の注意点を理解したうえで理想的なテナント物件を探そう

内見時の注意点を理解したうえで理想的なテナント物件を探そう

テナント内見時は、周辺環境や外観など、現地でしか確認できない要素に目を向けましょう。あらかじめ現地の情報を詳しく調査するほど、テナント契約後に失敗や後悔を感じるリスクが低くなります。

テナント物件をお探しの方へ

貸店舗・貸事務所をお探しの際は、地域特化型テナント物件探し専門ポータルサイト『テナント連合隊』を活用してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人: ラルズネット編集部

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