不動産・裏・マニュアル 滞納者追い出しマニュアル
法的な住宅明け渡しの手続き及び流れ

  1. 最初 普通郵便や住宅訪問のうえ、口頭などで家賃を支払ってもらうように言う。
    これはどこ でもやってますね。
  1. 家賃支払いがないままだと、契約解除する旨を内容証明郵便で送付する。
    到達しない場合、普通郵便でも同様の内容を送る。(いつ、どんな内容で出したか
    はあとの為にきちんと記録等しておく)
  1. これでもラチがあかない場合、契約解除の通知を内容証明郵便でする。
    到達しない場合、また普通郵便でも同様の内容を送る。
    その際、訴訟を提起する旨も一応、通達しておいたほうがよい
  1. 電気、ガス、水道など公共料金を誰の名義で支払っているか、調べられるなら調べる(明け渡しの時にはすごく重要な内容です)。
    この3種類の公共料金の支払者が居住者と裁判所では認定します

    これがバラバラだったり、本来の居住者と違う場合、居住者が特定できる証拠や書類等が必要となります。余談ですが占有屋などは、このあたりをあいまいにしたり、誰が住んでいるのか特定できないようにして、強制執行をしずらくしたりします。
     たとえば公共料金の支払いが親の名義で親が死んでいるなどの場合、その戸籍等をあげておいて、関係がはっきりわかるようにしておいたほうがいいでしょう。
     契約者が死亡したり、本来の契約者と違う人間が住んでいる場合、現居住者に対して明け渡し訴訟を起こすことになります。その点、誤解なきように。
     面倒くさい場合は、契約名義人と現居住者を共同債務者として訴訟おこしちゃってもいいかもしれません。
    また居住者が誰なのか住民票があげられるならあげておく(これは本来は、弁護士の仕事です)
  1. いよいよ訴訟提起です。
    住宅明け渡し訴訟は、訴訟の中では難しいものではありません。
    費用は弁護士によって違いますが、20万〜30万円が東京などでは相場です。
    東京は弁護士の数が多く、どちらかといえば過当競争で、地方より安いのかもしれません。地方の場合、これより少しかかるかもしれません。(函館だと30万円〜70万円と高い)

    絶対に必要な書類は、住宅の契約書と家賃未払いを証明するもの(帳簿や家賃の台帳等でかまいません)。その他、必要書類は弁護士に聞きましょう。
    ちなみに絶対忘れてはならないのは、執行文付与の判決をもらうことです
    ただ出ていきなさいの判決もらっても意味がありません。
    忘れる弁護士はいないと思いますが。
  1. 裁判といっても、住宅明け渡し訴訟などは、普通のイメージの法廷で争われることはほとんどありません。応接室みたいなところで、原告(訴えが側)と相手方(被告)と裁判官の3者が額をつきあわせて話し合うって感じです。
    弁護士にまかせたのなら、出席する必要すらあまりありません。

     なお相手が出席して場合、最初はたいてい和解をすすめられます。
    この和解の条件は、滞納分の一括支払い等でもかまいませんし、和解を拒否することもできます。和解調書は判決と同等の効力がありますから、和解しちゃってもかまいません
     和解不履行(結局、支払われないなど)の場合は、和解調書に従って執行文付与の申立ができますので、滞納分をとりあえず回収したいと言う場合は、和解の方がいいかもしれません。
     その後、1回でも滞納したら、和解調書を使って強制執行ができますから。(ちなみに大手の公共住宅等は、通常滞納分半額支払い、あとは分割という条件で和解してます)

     なお、最高裁通達で家具等の差押えは現状ではほとんど効きません(よほど高価なものがあるとはっきししている場合を除いて)。差押えの裁判も同時にやってもかまわないでしょうが、実効性はほとんどありません、現在。差押えが有効なのは相手の勤め先、収入がはっきりしている場合の給料の差押えくらいでしょう。
  1. 手方が裁判に出席しない等、まったくもめない場合、東京の場合ですが訴訟提起から判決まで、2ヶ月弱。確定は14日後ですので、およそ3ヶ月弱で裁判上は決着します
    たまに控訴する人もいますが、よほど特殊な事情のない場合、控訴は1ヶ月くらいで棄却となります。
  1. さて、いよいよ強制執行です。
    執行文が付与された判決が出たらそれを使って、和解調書の場合は執行文付与を申し立てて、執行文(強制執行用の判決と考えればいいでしょうか)に従って強制執行の申立をします。
    これは弁護士に頼んでもいいですし(裁判とは別に費用かかります)、自分でしてもかまいません。

    弁護士費用のほかに、予納金が明渡で6万5000円差押えで3万5000円が必要です。これは後日、使われなかった部分は帰ってきます。

    申立をしたら、1〜3日後、裁判所の執行官室に朝9時までに出向いて、担当区域の執行官と面談します(要は打ち合わせです)。
     東京の場合は、ここから面倒な手続きやらをすべて面倒みる業者がいます。「立
    をつけて」と執行官から言われることもあります。でも、少々ぼったくりです。が、ここからの作業は、頭がウニになるほど手続きを知らないと煩雑、および手続き自体がコロコロ変わりますので、ふとろこに余裕があるのなら、頼んでもよいかもしれません。
     地方など場合、これらに精通した不動産屋がいる地域もあります。相手からの逆恨みを避ける目的で、業者等を頼む人もいるほどです。

    面談では、強制執行の「催告」の日を、まず決めます。これは現地に行って、部屋に入って、強制執行(正式には強制執行の「断行」と言います)の日取りを決める日です。その時呼ばなければいけない業者は執行官が指定してきますので、指定の通りそろえましょう。

     最低限必要なのは原告(訴えた側)かその代理人(弁護士等)立会人開錠技術者(鍵屋)です。大家さんが鍵をもっていて、はっきりドアが開くことがわかっているのなら、必要ありません。その旨執行官に言えばOKです(が最近はどうしても鍵屋が必要なように変わってきつつあります)。

     専門業者を頼むとき以外は、部屋内の家財等を持ち出すのに必要な時間と人数を見積もってもらうため、引越屋を呼んでおいたほうがいいです。
     東京には強制執行専門の運送業者がいますが、地方では引越屋さんがやっているそうなので。強制執行の場合、通常の引越と違い、開始時間から終了までの時間が指定されます。しかも大きな1軒家でもヘタすりゃ2時間とかで終わらせなくちゃいけません。通常の引越より割高になります。が、それを避ける裏技もありますので、交渉力に自信のある方は試してみてもよいでしょう。
  1. いよいよ催告です。
    まず、最低でも30分以上前に現地に執行官以外の全員が揃っているようにしましょう。
    また、このとき執行官の言うことには素直に従いましょう。現地では執行官が法の執行を司る全権をもっています。執行官が「今日は執行中止です」と言えば、それで執行ができずに終わってしまいますから。

    最初はポスト内の郵便物、名前の表示、それから表札、電気、ガス、水道の使用状況などを調べます。それから、部屋内に入ります。相手がいなくても勝手に入ります。法的に何の問題もありません。

     中に入ると、まず電気、ガス、水道、電話の領収書を調べます。これで居住者が判決にある債務者と同一かどうか認定するわけです。表札も領収書もないという場合、すごく困ります。これで執行中止になってしまうケースもあります(専門業者に頼んでおくと、それはまずありませんが)。調べがつくのなら、大家であること、また弁護士を通じて、ガスや電気、水道事業者に名義の確認をしておくのも ありかもしれません。が、プライバシーの問題で、最近はなかなか教えてくれません。裏技もあるのですが、ここでは書けません。

     そして相手がいれば相手も含めて執行官と話し合い、「断行」の期日を決めます。断行日は催告の日から通常3〜5週間くらいです。訴訟提起からですと、3〜4ヶ月後ということになります。債務者に教えてはいけませんが、この断行日は訴えた側からは延期の手続きが可能です。あとで裏技に関係してくる大切なことですので忘れずに。なお執行官は、催告日に内容や断行の期日等を告知書(ようはいついつまでに出ていきなさいという紙)に書き込んで目につくところに貼ります。

     また家財の量を見積もっておくことを忘れずに。また執行時間はどのくらい見て貰えるのかもきちんと聞いておいた方がいいです。普通の3LDKで最大2時間くらいしかみてもらえません。また、それを運び出す倉庫の手配もしなくてはいけませんから。
  1. さて、強制執行の準備はすべて整いました。
     が、ここで強制執行をしたのでは能がありません。滞納者(債務者)は相当あわてているはずです。こっからは強制力を背景に、出て行けという交渉をしましょう。逆恨みされて殺された人もいるくらいですので、それを恐れる方は、専門業者か交渉力のある方、不動産屋等に頼みましょう。具体的には、簡単です。明け渡し届けを書いてもらうだけ。

     強制執行するか、形だけでも自分から出て行くかを聞いて、強制執行しろと言う人はまずいません。催告の際の告知書を貼られただけで、驚いて出ていく人もいるほどです。しかも強制執行費用は民事執行法第42条において、すべて債務者負担となっておりますが、誰がどのように取り立てるのかについては書かれておらず、現実としては債権者(訴えた側)が負担しなければならないのが現実です。(泥棒に追い銭 状態)

    が、相手側には高額の強制執行費用の負担義務があることを通知して、通常の引越より何倍も割高であることを伝えましょう。ここまで説明して、強制執行を選ぶ人は少ないです。金がないと言う人も多いでしょうが、そういう人は福祉に押しつけちゃってもいいかも。(高齢者や母子家庭などは福祉がなんとかしてくれるケースも多いです)。
    (明け渡し届けについては、先に掲示板に書いたものを転用してください)

    本来、断行日の10日前には準備をしなくてはならないのですが、先に書いたとおり延期が効きます。交渉がぎりぎりまでもつれこみそうなら、延期して最初の期日は脅し道具として使いましょう。延期するとそのあとは、基本的に執行官の開いてる日ならいつでも強制執行できます。
  1. すんなり明け渡し届けを書いてもらったら、あとはこちらの都合のいい日を決めて(強制執行の日がいちばんいいかもしれません。相手は勘違いしますから)、鍵を取り替えて閉め出すなり、好きなように処理しましょう。

    明け渡し届けには、残置物の権利を放棄する旨も必ず書いておくのを忘れずに。家財も仏壇、位牌、遺影、遺骨とか貯金通帳など、その個人にしか意味はなく、大切と思われるものは捨ててはまずいですが、そのほかのものは閉め出してから1〜2週間たっても取りにこなかったときは、産廃業者なり呼んで捨てましょう。2トントラックで安くて4〜5万からで全部捨ててくれます。これにて一件落着です。
  1. どうにもならない場合、強制執行です。
    催告の時の人間プラス運送業者を呼んで、なんでもかんでも積み込んで倉庫に運びます
     テレビ何個、タンス何振、衣類や本の箱何箱、その他の雑品何箱と数はしっかり明記しなくてはいけません。
    倉庫に運んだ物は通常2〜3週間後に売却するのですが現実として買い手はいません。
     債権者が買い取らなくちゃいけません。もっとも買い取ったお金は、まわりまわった帰って来ますので費用は心配する必要はありません。買い取った後の処理は、明け渡し届けをもらったときと同様です。
  1. なお、強制執行に関する手続きは、最高裁通達やら執行官規則やらで規定されている部分が多く、民事に精通した弁護士ですらとまどうことのある分野です。
     しかも、手続きや様式が頻繁に変わります。また執行官の裁量の範囲が大きく、その人によって大違いというケースもあります。大枠はあまり変わることはないですが4月は変わり目ですので、多少の違いがあることは知っておいてください。
    (たとえば福岡地裁ではテレビやエアコンも2台目から差し押さえることができますが、東京地裁ではほぼ無理といった具合に)
補足
ちなみに裁判は、もめなければ、1回で結審します。訴訟提起から判決
(和解調書)のでるまで、東京の場合で、2ヶ月程度です。最近は、執行文のついた判決がでれば、即日申立して、強制執行(断行 追い出しのことです)まで、通常1ヶ月半から2ヶ月。早ければ3ヶ月ちょっとで追い出せます。
 それと、この方法の利点は、訴訟提起した時点で自分から逃げる人も多い、強制執行の告知文を建物内に貼った時点ですんなり退去する人もさらに多いことです。やばめの人がきてもモメません。その場合は、執行官が警察官を手配してくれます。荒川の河川敷でヤクザの不法占拠事務所を撤去した際には機動隊2個分隊(だったと思う)に、ヘリまで無償でかけつけてくれました(笑)。
まとめ
ここまで弁護士費用で50万くらい、運送業者10万その他で15万として70万から80万の金がかかります。(訴訟期間の家賃も当然入りません)その後の被害金額の見積もりと勘案して、検討なさってください。強制執行すると、法的には何の問題もなく、すっきり解決しますが、費用は高額です。

専門の業者に頼むと3LDKくらいで、運送業者代含めて安くて50万、ぼられると100万以上かかります。ただしプロですから、ぬかりはありません。見積もりだけならタダなので、催告の時に呼ぶのもいいかもしれません(東京の場合、東京地裁の執行官面接室のまえに何人かたむろっています)。ただ呼ぶだけで、日当3万5000円くらいかかります。

また、ここまでする覚悟で臨むと、裁判の時や判決がおりてから、勝手に逃げ出してくれる滞納者もいます。裁判に出てきたら、和解の時に明け渡し届けの提出をさせるとか(裁判官には内緒で)とか、判決をもらってから明け渡し届けを書かせるとかしてもいいかもしれません。

情報提供 by 追い出し屋さん
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