「老後は自然の多い場所でゆっくり暮らしたい」
「ひとりでも安心して住める街を探している」
そのような思いをお持ちではありませんか?
シニア世代にとって、移住先の選び方は人生の大きな決断です。医療や交通、買い物の便利さはもちろん、移住支援や地域コミュニティの充実度も大切なポイントです。
この記事では、シニアが安心して暮らせる街の特徴や、補助金制度や高齢者支援制度が整ったオススメの自治体を紹介します。
快適なセカンドライフの第一歩として、移住先選びの参考になれば幸いです。
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目次
シニアが住みやすい街の選び方5つ

シニアが住みやすい街を選ぶには、5つのポイントを重視しましょう。
- 医療機関の充実度
- 交通の利便性
- 買い物のしやすさ
- 支援制度の充実度
- 雇用先やコミュニティの充実度
選び方1.医療機関の充実度
年齢を重ねると病院に通う機会が増えるため、近隣に病院がある街は安心です。
とくに総合病院がある地域は、いざというときに頼りになります。将来的に介護が必要になった場合に備えて、介護施設や訪問看護の充実度も確認しておきましょう。
医療環境が整った街なら、長く自立して暮らしやすくなります。
選び方2.交通の利便性
高齢になると車の運転が難しくなるため、公共交通機関が発達した街は理想的です。
駅やバス停までの距離・運行本数を調べ、自家用車がなくても移動しやすいかチェックしましょう。
また自治体独自の制度として、公共交通機関やタクシーなどの高齢者割引があれば、家計の助けになります。
移動しやすい街なら、通院や買い物もスムーズにでき、外出の不安が軽減されます。楽しく外出できる回数が多ければ、体力維持につながりやすくなり、要介護や認知症の発症リスクを抑えられる点もメリットです。
選び方3.買い物のしやすさ
日々の買い物がしやすいことは、暮らしの満足度に直結します。
「スーパーやドラッグストアが徒歩圏内にあるか」「宅配サービスが充実しているか」をチェックしましょう。
農林水産省では、店舗まで500m以上あり、自動車利用が困難な65歳以上の高齢者を「食料品アクセス困難人口」と定義しているため、500m以下を基準に選ぶとよいでしょう。
参考:農林水産省 食品アクセス(買物困難者等)問題の現状について
また物価は地域によって異なるため、年金暮らしでも生活できそうかシミュレーションしておくのがオススメです。
身近に買い物できる環境があれば、日常生活に余裕が生まれ、安心して過ごせます。
選び方4.支援制度の充実度
自治体によっては、以下のような高齢者向けの支援制度が整っています。
- 交通費の助成
- 健康診断の補助
- 家賃補助
- 配食サービス など
これらの制度があれば、生活費の負担を軽減したり、暮らしの満足度を向上させたりすることが可能です。
移住前にその街の支援内容を確認しておくと、安心して暮らし始められます。
選び方5.雇用先やコミュニティの充実度
仕事を続けたい方にとって、シルバー人材センターや地域の雇用があるかどうかは重要です。
地域によっては、YouTubeやInstagramなどで情報を発信しているシルバー人材センターもあります。入会を検討している方は、イメージをつかむために確認してみるとよいでしょう。
また、趣味やボランティア活動など、地域のコミュニティが活発な街は孤立を防げます。
人とのつながりが持てる街なら、移住後も心豊かに過ごせるでしょう。
シニア移住にやさしい街13選

ここからは、シニア移住にやさしい街として、具体的な地名を挙げて紹介します。
移住支援や高齢者支援制度に焦点を当ててピックアップしました。
関東
1.東京都三鷹市
三鷹市は自然と都市機能が融合した住みやすい街です。総合病院やクリニックが充実しているほか、JR中央線沿線で交通の便も良好で、新宿まで約15分・東京駅まで約30分でアクセスできます。
市役所の健康福祉部高齢者支援課では、位置情報が確認できる端末を貸し出したり(月額220円)、一人暮らしの高齢者に電話訪問したりなど、生活をサポートしてくれる制度が整っています。3種類のエンディングノートを配布する取り組みもユニークです。
参考:三鷹市「在宅生活を支えるサービス」
井の頭恩賜公園や文化施設も近く、日々の暮らしに潤いを与えてくれます。
2.埼玉県さいたま市浦和区
さいたま市はJRの複数路線が利用でき、都心へのアクセスもスムーズです。生活に必要な施設も駅周辺に集中しています。
さいたま市では「さいたま市シルバーポイント(長寿応援ポイント)事業」をおこなっており、登録団体で健康づくり活動や趣味活動をすると、シルバーポイントを受け取れます。
貯まったポイントは、市内の加盟店でキャッシュレス決済の通貨として利用できるため、健康づくりや趣味に打ち込むきっかけとなりそうです。
なかでも浦和区は「いい部屋ネット 街の住みここち&住みたい街ランキング2025<埼玉県版>」で5年連続トップを獲得したエリアです。商業施設が充実している街なので、日用品の買い出しや特別なショッピングにも向いています。
3.神奈川県鎌倉市
鎌倉市は海に囲まれた落ち着きある街です。自然豊かな環境でありながら、総合病院も複数あります。東京都心へのアクセスも良く、観光地でありながら生活にも適したバランスの取れた街です。
鎌倉市では「終活情報登録事業」をおこなっています。あらかじめ鎌倉市に、連絡先や墓の所在地・終活関連書類の情報などを登録しておけば、警察や消防などに連絡してくれる制度です。
この制度を利用すれば、万が一のときも希望通りの対応を受けられる可能性が高くなり、離れて暮らす家族にとっても安心材料となります。
とくに一人暮らしのシニアにとっては、終末期の備えとして心強い支えになるでしょう。
関西
1.大阪府豊中市
豊中市は大阪市内へのアクセスが良く、医療機関が多いです。買い物施設も多く、シニア向けの健康教室や地域活動が活発で、人とのつながりを感じられる地域です。
実際に豊中市のホームページでは、高齢者向けの地域教室の情報が公開されていました。たとえば2025年7月時点では、「筋力をつける食事」「高齢者施設の選び方」などを受講できるので、その場で情報を収集したい方にも適しています。
※地域教室の内容は随時更新される可能性があります。
2.京都府京都市
京都市は文化的な魅力と医療・交通インフラの両面で充実している都市です。地下鉄・バスの網が張り巡らされ、移動も快適におこなえます。
歴史ある街並みの中で、落ち着いた生活を送りたい方にオススメです。
また京都市では「単身高齢者万一あんしんサービス」をおこなっています。身寄りのない一人暮らしの高齢者に向けて実施されており、電話や訪問で生活状況の確認をしてくれたり、死亡後は預託金で葬儀や納骨をおこなってくれたりする事業です。
少ない費用でサポートを得られるため、安心して生活できるでしょう。
3.和歌山県和歌山市
和歌山市は海と山に囲まれた自然環境と、暮らしやすいサイズ感が魅力です。医療施設が市内に30箇所以上あるため、健康に配慮して生活したい方にオススメです。
和歌山市でおこなわれている高齢者支援制度の1つに、「元気70パス」があります。70歳以上の市民の方に、路線バスに使えるバスカードや、公衆浴場回数券が交付される制度です。
交通費の負担が減るため、外出のハードルが下がります。
地方
1.北海道札幌市
札幌市は大都市ならではの医療・福祉体制に加え、広々とした公園や四季を楽しめる自然が魅力です。地下鉄やバスが整備され、雪国でも暮らしやすい工夫が進んでいます。
とはいえ、戸建てだと雪かきの肉体的負担が大きいので、マンションへの入居がオススメです。
札幌市の「高齢者あんしんコール事業」では、ボタン一つで受信センターに通報でき、24時間体制で健康相談や緊急対応・月1回の安否確認もおこないます(月額900円)。
慢性疾患を抱える方や、要支援・要介護認定を受けている方などが利用できますので、頼れる相談先を求める方は検討してみてはいかがでしょうか。
北海道の移住先は、下記の記事でも詳しく解説していますので、気になる方はあわせてご覧ください。
関連記事:シニア世代の北海道移住 | 移住先の選び方やおすすめの地域を紹介
2.長野県佐久市
佐久市は新幹線で東京都へ約70分で移動できるため、首都圏からのアクセスが良好です。
田園風景が広がるエリアや、JAXAの臼田宇宙空間観測所があるほど天体観測に適したエリアなど、自然環境に恵まれた地域が多いです。
佐久市の移住に関しては特設サイト「佐久にくらす」が公開されており、移住相談や補助金の情報が掲載されています。
またSlackを活用したオンラインサロン「リモート市役所」があり、移住前の暮らしの相談を無料で受け付けています。インターネットを通じて手軽に情報収集したい場合に便利です。
3.静岡県伊東市
静岡県伊東市は、「シニア移住の御三家」とも呼ばれ、60歳以上の人口が増えているエリアです。
参考:ダイヤモンド・オンライン「シニア移住人気1位の静岡県伊東市で「中古物件が払底」、コロナ禍のバブル後も続く住宅市場の珍現象とは」
JR伊東駅から東京駅までは、新幹線だと約90分でアクセスできます。伊東市は移住・定住サイトとして「ほどよい伊東」を公開しており、医療情報や移住者インタビューなどを掲載しています。
伊東市に移住して東京都へ通勤している方や、独立開業した方のインタビューが読めますので、興味がある方はチェックしてみてください。
4.愛知県豊田市
豊田市はトヨタ自動車の企業城下町として整備されており、医療施設が豊富です。公園や自然も多く、健康志向の方にオススメします。
豊田市は移住・定住促進サイトとして「ファースト暮らすとよた」を公開しており、田舎暮らしの相談窓口や住宅の補助金などについて掲載しています。
サイト内では「セカンドライフのこと(ページ中部)」としてシニア向けの情報も集約されているため、移住にともなうコミュニティ参加や雇用に関することを知りたいときに、活用してみてはいかがでしょうか。
5.愛媛県松山市
松山市は四国最大の都市で、都市機能と自然環境のバランスが取れています。医療や買い物施設が充実している一方で、道後温泉や海沿いの散歩道など、暮らしを豊かにする自然も身近です。
松山市は移住者向けWebマガジン「いい、暮らし。まつやま」を運営しており、空き家バンクやお試し住宅などの情報も掲載しています。
「移住者アンケート」のページでは、実際の住み心地や困りごとなど、リアルな口コミを掲載していますので、気になる方はチェックしてみてください。
6.福岡県北九州市
北九州市は九州有数の工業都市でありながら、都市機能と豊かな自然環境の両方を兼ね備えています。
公共交通機関も発達しており、バスや鉄道・モノレールでの移動がしやすいので、高齢者にとっても快適で安心して暮らせる街です。
実際に株式会社宝島社が発行する「田舎暮らしの本」では、「50歳から住みたい地方ランキング」で福岡県北九州市が1位に選ばれました。
参考:PRTIMES「『田舎暮らしの本』が「50歳から住みたい地方ランキング」を発表!全国1位は「福岡県 北九州市」」
移住応援公式情報サイト「北九州ライフ」では、住まいや仕事の情報のほかに、移住支援金やサポート体制も掲載していますので、情報収集のためにチェックしてみてはいかがでしょうか。
7.沖縄県石垣市
沖縄県は若い世代だけではなく、温暖な地域でゆったりと暮らしたいシニア世代にも人気です。
実際に、株式会社AlbaLinkが2023年におこなった調査によれば、「老後に住みたい移住先ランキング」で沖縄県が1位を獲得しています。
参考:訳あり物件買取プロ「【老後に住みたい移住先ランキング】男女500人アンケート調査」
東京都心へ気軽にアクセスできる距離ではないものの、都市部では医療機関や介護施設も充実しています。
なかでも沖縄本島から400km離れた石垣市は、移住者の多い人気エリアです。
沖縄本島から距離があるため医療・介護サービスを利用するにあたって不安に感じる方もいるかもしれません。しかし、老人ホームや介護サービスが複数あるほか、診療所も20件以上あります(2025年6月時点)。
石垣市では「石垣市の在宅医療と介護マップ」を公開しているため、事前のリサーチに役立ててみてください。
シニアが移住する際の注意点2つ

シニアが移住する際には、大きく分けて2つの注意点があります。
- お試し移住も検討する
- 慎重に資金計画を立てる
移住後の後悔を防ぐために、それぞれ詳しくみていきましょう。
注意点1.お試し移住も検討する
いきなり本格的に移住すると、気候や人間関係、生活環境が思ったものと違うと感じる場合があります。四季の変化が激しく思っていた生活ができない場合や、地元独特の人間関係に馴染みにくい場合もあるため、慎重な判断が必要です。
ご自身に合った判断をするためには、自治体が実施する「お試し移住」や短期滞在プランを活用して、実際の暮らしを体験することがオススメです。
数日から数週間滞在することで、その地域での生活の雰囲気・買い物環境や交通アクセスの利便性まで確認でき、移住後の後悔や想定外の負担を防ぎやすくなります。
注意点2.慎重に資金計画を立てる
移住の際に考えるべき資金計画の内容は、下記のとおり多岐にわたります。
- 引っ越し費用
- 住まいの取得費用
- 生活費
- 医療費
- 将来の介護費用
年金や貯蓄だけで暮らす場合は、余裕を持った予算設定が重要です。さらに、物価や公共料金、日々の交通費や光熱費なども細かく見積もりましょう。
加えて、食費や趣味の支出・地域での交流イベント参加費なども計画に含めると現実的です。移住先の生活コストや補助金制度なども調べておきましょう。
なお、日本FP協会では、地方移住にかかるお金について解説していますので、シミュレーションの参考にしてみてはいかがでしょうか。
参考:日本FP協会「FPが教える!「地方移住」で気になるお金の話」
シニアが住みやすい街をリサーチする方法3つ

シニアが住みやすい街をリサーチするには、大きく分けて3つの方法があります。
- 移住者向けサイト
- 移住体験
- 雑誌・書籍
それぞれの具体例やメリットをみていきましょう。
方法1.移住者向けサイト
各自治体が運営する移住者向けサイトでは、地域の特徴や支援制度、先輩移住者のインタビューなどを詳しく調べられます。
さらに、地域ごとの住宅事情や生活コスト・子育てに関する情報までカバーされている場合も多く、移住を検討する資料として便利です。
とくに内閣府が運営する「いいかも地方暮らし」や自治体公式ページは、補助金や医療体制などの最新情報を得るのに役立ち、現地担当者への問い合わせ先もリンクされています。信頼性が高い情報を基に比較検討すると、候補地選びの失敗を減らせます。
方法2.移住体験
実際に現地での暮らしを体験できるイベントは、地域の雰囲気や生活環境を知るのに最適です。短期間でも滞在することで、交通の便や買い物環境・住民との交流などをリアルに体感できます。
たとえば北海道旭川市では「ちょっと暮らし滞在施設」として、1か月以上の生活体験ができる住宅を貸し出しています。街なかと自然豊かなエリアで住宅が選べるので、ご自身のニーズに合った生活体験が可能です。
事前に移住体験に参加しておくと、移住後のギャップを減らせるでしょう。
方法3.雑誌・書籍
書店や図書館には、移住や田舎暮らしをテーマにした雑誌や書籍があります。エリア別の物件情報や生活コストの比較・先輩移住者の声など、ネットにはない詳しい情報も得られます。
紙媒体での情報収集は、自分のペースで整理しやすい点も魅力です。
シニア移住に特化した雑誌や書籍はなかなか少ないですが、シニア向けライフスタイル雑誌の特集の一部として掲載されている場合もあります。実際に、株式会社Gakkenが2024年に発行した「ものに縛られないラクな人生のはじめ方」には、住み替えの選択肢として移住が解説されていました。
参考:PRTIMES「暮らしを小さくすると、お金と気持ちに余裕が生まれる! 60歳からの新しい暮らし方『ものに縛られないラクな人生のはじめ方』発売! 巻頭インタビュー&表紙は浅田美代子さん」
移住について書かれた雑誌や書籍を読んでみて、多角的な視点でリサーチするのをオススメします。
シニアが移住する際のよくある質問

ここでは、シニアが移住する際によくある質問について回答します。
Q1.おひとりさま・独身女性ならではの注意点は?
単身や独身女性が移住する場合、治安が良く医療や交通が整った地域を選ぶことが重要です。
地域のコミュニティやシニア向けサークル、ボランティア活動が盛んな街なら、人とのつながりが生まれやすく、災害時や緊急時も安心です。
また、住まいはセキュリティ設備が整った物件や駅近物件を選び、安全性を重視しましょう。事前に自治体の福祉窓口や地域包括支援センターで支援サービスを確認するのも有効です。
Q2.高齢者が移住すると補助金が出る自治体はある?
高齢者に限らず、移住者に補助金を交付する自治体があります。たとえば、移住支援金として単身で最大60万円、世帯で最大100万円の助成が受けられる地域もあります。
参考:内閣官房・内閣府総合サイト「いいかも地方暮らし」より「移住支援金とは」
また、移住に関連した費用の一部を助成する自治体も多いです。実際に兵庫県洲本市では、移住世帯に対して引っ越し費用・自動車購入費用などの一部を助成しています。
参考:洲本市「おいでよ洲本新生活支援事業」
さらに交通費の割引や医療費助成など、高齢者限定の支援もあるので、移住希望地の公式サイトや相談窓口で事前に確認し、賢く制度を活用しましょう。
シニア移住にやさしい街を探すなら「不動産連合隊」!

シニアが移住を考える際は、以下のポイントを重視しましょう。
- 医療機関の充実度
- 交通の利便性
- 買い物のしやすさ
- 支援制度の充実度
- 雇用先やコミュニティの充実度
東京都三鷹市や北海道札幌市など、補助金や移住支援制度が充実した街なら安心して暮らせます。
実際に移住をする前には、お試し移住をおこなったり、雑誌・書籍や移住者向けサイトで情報収集をしたりして、入念にリサーチをしましょう。
移住したい街が見つかったら、住みやすい住宅を確保することも必要です。地域密着型の不動産会社が多数物件を掲載している「不動産連合隊」なら、ニッチなエリアでも住まいを探しやすいです。移住後の住まいを探したいときに、ぜひ活用してみてください。
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