地方への移住時に活用できる移住支援金という仕組みをご存じでしょうか。
移住支援金とは、関東圏から地方へ移住する方を対象に一定の補助金が給付される制度です。
本記事では、
- 「移住支援金とは、どのような制度なの?」
- 「移住支援金でもらえる補助金はいくらなの?」
- 「移住支援金を利用するための条件は?」
これらのような疑問に答える内容を紹介していきます。
これから地方への移住を考えている方にとって知ってもらいたい内容となっています。
ぜひ、最後までお読みいただけますと幸いです。
目次
移住支援金とは?

移住支援金とは、2019年度から6年間を目途に地方公共団体が主体となって実施している取り組みで、東京圏内に住む方が東京圏外の地域へ移住し、起業や就業を行う方に対して支援金が支給される制度です。
家族など世帯での移住では最大で100万円、単身での移住であれば最大60万円の給付を受けとれます。
移住に関して金銭面での不安があるという方にとって、うってつけの制度と言えるでしょう。
移住支援金は、地方エリアの人口減少対策と担い手不足を解消する目的として、国が設けている制度です。
ただ、移住支援金を得るには、一定の条件を満たさなくてはいけない点には注意が必要です。
条件を満たしていないと判断されてしまうと、支援金を受け取れない可能性があるため、条件を満たしているかについて事前にチェックしておきましょう。
次項にて、移住支援金を受け取るための条件について解説していきます。
※2023年1月時点に執筆した記事です。最新情報は移住支援金 – 地方創生をご確認ください。
移住支援金の条件は?

ここでは、移住支援金を受け取るための詳細な条件について紹介します。
前述した通り、移住支援金は東京圏に住む方が東京圏外の地域への移住時に活用できる補助金制度です。
ですが、交付条件を満たしていないと判断されてしまったときには、条件対象外とみなされ補助金を受け取れなくなってしまうため注意しましょう。
移住支援金の対象となるのは、以下の条件すべてを満たしている方が対象となります。
- 移住元:東京23区内に住んでいる、または東京圏エリアから東京23区へ通勤している方
- 移住先:東京圏以外の地域、または東京圏の条件不利地域へ移住する方
- 就業:移住先地域で企業への就業や、社会的起業を実施する方
移住支援金の活用を考えている方は、これらの条件に当てはまっているかをチェックしておきましょう。
一つずつ、詳細な内容を見ていきます。
条件1:東京23区内に在住している方
移住元に関しての条件は以下の通りです。
- 移住直前の10年間のうち、累計で5年以上かつ直近で1年以上、東京23区エリア内に在住していた方
- もしくは、東京圏(条件不利地域(※)を除く)から東京23区内へ通勤していた方
移住前に、東京圏内に住んでいたことがある方を対象としています。
また、東京23区エリア内に住んでいなくても、東京圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)に住んでいて、東京23区内に通勤している方も対象となります。
たとえば、千葉県に住みながら、東京にあるオフィスへ通勤する方にも適用されるのです。
※条件不利地域とは、下記の対象となる地域から政令指定都市を除いた市町村を指します。
- 過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法
- 山村振興法
- 離島振興法
- 半島振興法
- 小笠原諸島振興開発特別措置法
条件2:東京圏以外へ移住する方
移住先に関しての条件は以下の通りです。
- 東京圏外のエリアに移住する方(東京圏内の条件不利地域への移住も対象)
- 転入した後から3か月以上、1年以内に申請を行うこと
- 支援申請した直後から、5年以上移住先となる市町村に居住する意思を持っていること
移住先に関しては、東京以外の地域である必要があります。
また、東京以外であればどこでも良いという訳ではなく、移住支援事業実施地域となっている場所のみが対象となる点にも注意です。
移住先市町村や自治体のホームページなどを確認し、該当地域が当てはまっているか確認しておきましょう。
せっかく移住したのに、条件に合わないエリアだった……なんてことがあっては後の祭りです。
申請期間に関しても、一定の基準が定められているため、期間内に申請するのを忘れないようにしましょう。
条件3:移住先で就業する方
就業に関しては、移住先で以下のいずれかを満たす必要があります。
- 地域の企業へ就職
- テレワークにより、移住前の業務を継続
- 移住先で社会的起業
移住後の地域で就業を考えている場合は、ビジネスマッチングサイトを活用することがおすすめです。
マッチングサイトでは、移住者に向けての求人情報が掲載されているため、移住先で新しい仕事に就きたいという方に向いています。
また、就業に関しては、テレワークでの働き方にも対応している点もポイントです。
テレワークなどを活用して、移住前の地域で就業している企業の業務を継続していく場合も移住支援金の対象となります。
ただ、テレワークによる就業継続の場合は、自身の意志で移住をした場合のみ対象となるため、就業企業からの指示によって地方へ移住した場合には対象外となるため注意しましょう。
移住支援金以外の主な移住支援制度

移住時に活用できる主な支援を受けられる仕組みとして、以下の内容について紹介していきます。
- 起業支援金
- 移住貸住宅助成金
- フラット35
もし、条件や移住の目的に合った制度があれば、ぜひ活用してみてください。
起業支援金
移住先で起業の意志を持つ方を支援し、条件に応じて助成金を受け取れるのが起業支援金制度です。
起業支援金も移住支援金と同様に、2019年度から6年間を目途に地方公共団体が主体となって実施しています。
最大200万円の助成金を受け取れるため、起業を考えている方はぜひ活用を検討してみてください。
支援金を受け取るには、以下の項目をすべて満たしていることが条件となります。
- 東京圏以外のエリア、または東京圏内の条件不利地域で事業起業を行う方
- 申請後、すみやかに個人開業届の提出か、法人の設立を行うこと
- 起業をする予定である市区町村に元から住んでいるか、今後居住する予定があること
移住先で起業しようと考えている方は、ぜひ活用してみてください。
※2023年1月時点に執筆した記事です。最新情報は内閣府地方創生推進事務局 起業支援金サイトをご確認ください。
移住貸住宅助成金
移住先の自治体によっては、賃貸住宅や、新居購入時に負担する購入費や修理費を補助してくれる制度が実施されていることもあります。
移住の際に、マイホームを買って伸び伸び暮らしたいといった方も多いのではないでしょうか。
移住貸住宅助成金を活用することで、移住先での住む場所の確保や金銭的負担を軽減することも可能です。
移住には多くの資金が必要となるため、支出は少しでも減らしたいと思う方は多いでしょう。
条件は各自治体によって異なりますので、移住先での生活スタイルや目的に合った住宅支援を実施している自治体がないか確認してみてください。
フラット35
移住に向けてマイホームの購入を考えている方に嬉しい制度がフラット35です。
フラット35の最大の魅力として、新築の住宅や中古住宅を購入時にかかる住宅ローンの金利が返済時まで固定されるため、情勢の変化があっても金利が変わらないという点があります。
住宅ローンに必要な金利が変わらないため、ローンの返済プランが立てやすくなるため、マイホームのご購入を検討する方はぜひ活用してみてください。
※2023年1月時点に執筆した記事です。最新情報はフラット35公式サイトをご確認ください。
移住支援制度があるおすすめの移住先

移住支援に関しては、各市町村でも積極的に移住支援者を助けるルールが設けられています。
支援内容は、地域によって様々あるため、移住の目的に応じて活用しましょう。
ここでは、移住時に活用しやすい制度が用意されている地域を3つ紹介します。
どこに移住するかを考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
- 北海道標津町では、新築の住宅購入時に最大300万円の支援
- 宮城県七ヶ宿町は、新築住宅を20年借りるとマイホームに
- 岡山県岡山市では、賃貸住宅者へ毎月33,000円の家賃補助
なお、ここで紹介しているそれぞれの支援内容に関しては、時期によって受付停止や、内容の変更がある場合もあります。
最新の情報は、各自治体のホームページなどで確認しておきましょう。
北海道標津町では、新築の住宅購入時に最大300万円の支援
北海道の道東地方にある標津町では、住宅を買うときにかかる費用の一部を補助する制度が用意されています。
詳細な条件や、補助内容は以下の通りです。
- 新築住宅を購入時、建築工事費の10%相当(最大200万円まで)に加えて、新しく移住してきた方は50万円、町内にある業者を利用した方は50万円の一律加算金を上乗せ
- 中古住宅を購入時、固定資産税評価額の2倍の10%相当額(最大50万円)に加え、新しく移住してきた方には50万円を上乗せ
新築住宅を購入したときで最大300万円、中古住宅の購入時には、最大100万円の補助金を受け取れます。
※2023年1月時点に執筆した記事です。最新情報はしべつ暮らし/標津町定住サポートセンターをご確認ください。
岡山県岡山市では、賃貸住宅者へ毎月33,000円の家賃補助
岡山県岡山市では、県外からの移住者を対象に家賃補助制度を設けています。
- 家賃:賃貸住宅の家賃を最長6ヶ月まで最大33,000円の補助
- 仲介手数料:賃貸住宅契約時、上限額48,000円の補助
- 家賃保証保険保証料:賃貸住宅契約時、上限額48,000円の補助
移住時には、なにかとお金がかかり、金銭面でのやりくりが大変になることが多いです。
特に住む家については、早めに決めておく必要があるうえ、出費が高くつきがちなので、居住費用を補助してくれる制度があると嬉しいのではないでしょうか。
移住先で賃貸物件に住む予定であれば、家賃補助などの支援制度が整っている市町村を選ぶのがおすすめです。
※令和4年度の募集に関しては、定員に達したため募集を終了しています。令和5年度の実施は未定ですが、決まり次第公式ホームページなどで発表される見込みです。
最新情報は岡山市公式ホームページをご確認ください。
地方支援金を利用して移住先を選ぶときの注意点

ここからは、移住支援金を利用して移住先を選ぶときに気を付けるべき点として以下を紹介します。
- 移住支援制度が充実している場所を選ぶ
- 移住先で仕事があるかを確認しておく
- 移住先の気候や災害情報を確認しておく
- 移住の目的を明確にしておく
移住後に後悔しないように、事前にチェックしておきましょう。
移住支援制度が充実している場所を選ぶ
自治体ごとに、起業支援に力を入れている場所や、子育て支援が充実している場所など、自治体ごとにも支援を受けられる内容が変わります。
各自治体が行っている移住を支援する仕組みとしては、子育てに関する内容や住宅、仕事に関する支援内容など、多種多様な制度が利用可能です。
各自治体のホームページや、オンラインでも可能な移住に関する相談窓口を活用することで、移住支援に関する情報を得られます。
家族や子育ての有無、働き方のスタイル、住む場所の確保など、移住の目的に合った支援を受けられる自治体を選ぶことで、快適な移住を実現できるでしょう。
移住先で仕事があるかを確認しておく
移住先で仕事があるかについても、事前に確認しておきましょう。
東京圏などの都会地域に比べて、地方では働き口が少ないことが多いです。
もし、移住前の地域で就業していた場所を辞めて、移住するときは移住後にも継続して収入を得られる環境があるかを確認しておくことで、安心して移住することが可能です。
働き方の一つとして、近年増加しているテレワークでのスタイルも選択肢として含まれるでしょう。
テレワークであれば、オンラインで場所を選ばずに仕事ができるため、地方に住みながら移住前に就業していた元の企業で継続して働くといったスタイルも実現できます。
移住先の気候や災害情報を確認しておく
移住地域の気候や災害情報についても事前に確認しておきましょう。
地域によっては、都心部に比べて暑さ、寒さや、雪の降る量などが大きく変わることがあります。
気候の変化に応じた準備を怠ると、体調を崩してしまったり、積雪などの影響から想定していた移動手段が使えなくなったりするなどの影響も考えられるため、事前の確認は重要となるでしょう。
また、災害に関しても地震や台風などの他、場所によっては津波、突風といった情報も把握しておきたいポイントです。
各市町村のハザードマップなどを活用し、近年の災害状況や対策情報などを見ておきましょう。
移住地域の天気情報や災害情報については、移住前から細かくチェックしておくことがおすすめです。
移住の目的を明確にしておく
後悔のない移住生活を実現するために、移住の目的を明確にしておきましょう。
「自然に囲まれて生活がしたい」「静かな環境で趣味に没頭したい」といったような移住の目的を持っておくと、移住生活でのモチベーションとなるでしょう。
移住生活は、必ずしも移住前の理想通りの生活ができるとは限りません。
実際に住んでみて良かった点もあれば、悪かった点、イメージと違った点がでてくることもあるでしょう。
明確な理由を持たずに、漠然とした理由で移住すると、嫌なことがあったときに耐えられなくなってしまいます。
移住の目的を明確にすることは、モチベーションを保つために重要なのです。
地方移住のデメリット

続いて、地方移住のデメリットを紹介します。
- 公共機関や公共施設が少ない
- 娯楽施設が少ない
- 仕事の選択肢が限られる
- 近隣住人との付き合いに悩むこともある
地方移住に関しては、移住前のイメージと実生活でのズレにより、悩む方も多いです。
ここで紹介しているデメリットに関して、移住後に対応していけそうかを考えておきましょう。
公共機関や公共施設が少ない
場所にもよりますが、地方は公共機関や公共施設が少なく苦労することも考えられます。
近場にあるバスや電車の本数、食料の買い出しにいけるスーパーや急な病気に罹ったときに通える病院など、移動手段や近隣の施設などを事前に確認しておくことが無難です。
地域によっては車がないとどこにも移動できないといった事態になることもあるでしょう。
車が必要になると、車検やガソリン代、駐車場代などの維持費の管理も必要になるため、確認しておきましょう。
娯楽施設が少ない
都会地域に比べて、飲食店や娯楽施設が少ない点も地方のデメリットとして挙げられます。
カラオケや映画館、水族館や美術館など、都心部であれば各地に揃っている施設が地方地域では、少ない傾向にあります。
ふと遊んでストレス発散したいとなったときに、周辺になにもない場所では、遠出して施設が栄えている場所まで移動しなくてはなりません。
近場にショッピング施設や娯楽施設が多く並んでいる都心部に住んでいた方にとっては、辛さを感じてしまうポイントとなるかもしれません。
仕事の選択肢が限られる
移住前の仕事を継続できない場合は、生活費を稼ぐために移住先でどの仕事をするかを検討することになるでしょう。
仕事先を探すときに、どうしても地方では都会地域に比べて求人数が限られてしまう点は考慮しておかなくてはなりません。
求人数が限られるため、希望する職種に就けないといった状況も考えられます。
また、住む場所や就業先によっては通勤に時間がかかることも懸念しておきましょう。
事前に移住先での求人情報を確認し、どの程度の求人情報があるのか、希望する職種があるかなどについて確認しておいた方がよいでしょう。
近隣住人との付き合いに悩むこともある
地方移住時に意外とネックになりがちな問題となるのが、近隣住民とのコミュニケ―ション面です。
地方では近隣住民間でのコミュニケーションが活発な地域も少なくありません。
人との関わりが好きな方にとっては良い点となりますが、苦手な方にとっては辛い点となってしまうこともあるでしょう。
近隣住民と良好な人間関係を築ければ良いですが、人間関係にストレスを感じたり、近隣住民との相性が合わなかったりすると、悩みを抱えながらの移住生活となってしまう可能性もあります。
実際に生活してみなければわからない点もあるため対策は難しいですが、近隣住民との関わりが多くなるかもしれない点について、移住前に意識しておきましょう。
地方移住のメリット

最後に地方移住に関して考えられるメリット・デメリットについてもいくつか紹介します。
これから移住を考えている方にとって、地方移住の良い点、悪い点を把握して、移住後のイメージを掴んでおきましょう。
まずは、メリットから紹介します。
- 人混みによるストレスが少ない
- 自然環境豊かな場所が多い
- 生活コストを抑えられる
- 新鮮な食材が手に入りやすい
それぞれ、紹介します。
人混みによるストレスが少ない
都心部に比べて、人混みによる苦痛や受けるストレスが少ない点は、地方移住の大きな強みでしょう。
都心部は、施設や建物が栄えている地域が多いですが、人混みが多い場所が多く、満員電車や交通量の多さによる渋滞などストレスを受けるシチュエーションが多く考えられます。
人が密集する環境を辛く感じる方にとって、都心部での生活は疲弊することが多いです。
「静かに暮らしたい」「穏やかな環境で生活したい」といった方にとって、人混みの少ない地方への移住は適している選択と言えます。
自然環境豊かな場所が多い
自然豊かな環境に囲まれて生活できる点も地方移住の醍醐味です。
海や川、山などの自然豊かな場所では、子どもの教育にも良い影響を及ぼし、自然に触れながら伸び伸びとした子育てを促します。
また、地方は土地を広く使える場所も多く、バーベキューやキャンプなどのアウトドア娯楽を楽しみやすいといった利点もあります。
都心部ではなかなか体験ができなかった趣味に没頭できる点も、地方暮らしの魅力の一つです。
生活コストを抑えられる
基本的な物価が都会部に比べて、安価である点も地方移住のメリットです。
住む場所においても、都会に比べて家賃や土地代が安価になっていることが多く、生活コストを抑えられます。
同じ価格帯でも、都心部に比べて広い土地や大きな建物に住むこともでき、金銭面でも嬉しい点は多いでしょう。
住む場所だけでなく、食用品や日用品など普段の生活に必要なコストも、リーズナブルな価格で手に入れやすいのも地方生活の大きな魅力です。
新鮮な食材が手に入りやすい
地域によっては、新鮮な野菜や魚などの食材が手に入りやすいことも移住生活のメリットとして挙げられます。
地元産の食材であれば、輸送にかかるコストがないため、都会部に比べて安価で購入できるのです。
また、近隣住民同士で収穫した食材を交換し合ったり、分けてもらえたりする文化も多いのが、都心部ではあまり見られない地方暮らしの魅力と言えます。
新鮮で美味しい食材が手に入りやすいため、毎日の食事がより楽しみになることでしょう。
移住支援金を活用して、地方移住の選択肢を広げよう!

本記事では、移住支援金制度の内容や条件について中心に紹介しました。
移住支援金を活用することで、地方移住時にかかる費用を抑えられるため、金銭面での負担が気になる方にとっては必見の制度です。
地方への移住を検討している方は、ぜひ移住支援金を活用して、理想の移住生活を叶えましょう!