北海道で子育てをしたいと思っても、「注意すべきことは?」「制度は整っている?」など疑問に思うことも多いのではないでしょうか。そのせいで北海道での子育てを踏みとどまっている方も多いはずです。
そこで本記事では、北海道で子育てをするときの良いところや注意すべきことを解説します。
合わせて制度や取り組みも紹介します。北海道での子育てに不安や悩みがある方は必見です。
目次
北海道での子育ての良いところ

北海道で子育てするにあたって不安や悩みもあるかもしれません。しかし、北海道で子育てをするからこそ得られる良いところもたくさんあります。
- 自然が豊かでのびのび子育てできる
- 家賃が安い
- 子育て支援制度が充実している
- もしものときに安心な医療費助成制度
- 保育料助成制度が受けられる自治体も
それでは北海道での子育てをするときの良いところを、1つずつ紹介します。
自然が豊かでのびのび子育てできる
北海道にはひまわりの里や美瑛の丘、神威岬など、自然がたくさんあります。それも、わざわざ観光に道外から訪れる人もいるほど広大な自然です。北海道で子育てをしていれば、そんな豊かな自然にも少し足を伸ばせば触れられます。
北海道でなくても自然が豊かな場所はあるかもしれませんが、北海道ほど広々とした開放的な自然がある場所はなかなかありません。
子どもたちは北海道の自然に触れながら遊ぶことで、のびのびと成長できるでしょう。
家賃が安い
家賃は毎月支払わなければならず、生活費の中でも負担が大きいです。そのため、少しでも安いと嬉しいですよね。
北海道での家賃相場は地域によって異なりますが、札幌市中央区における2LDKの家賃相場は約8万円程度です。それ以外の地域では約3.9万円から約6.8万円程度であり、ほかの首都圏などに比べると安いといえるでしょう。
また、47都道府県を対象とする一畳あたりの家賃相場は、青森県についで2番目に安いのが北海道です。これらのことから、北海道は家賃を安く抑えるためにぴったりな土地といえます。
子育て支援制度が充実している
北海道全土で取り組んでいる「北海道すきやき隊」や「どさんこ・子育て特典制度」、「北海道赤ちゃんのほっとステーション」など、充実した子育て支援施策が用意されています。それだけでなく、北海道内の各自治体でも子育て支援制度の拡充に取り組んでおり、子育てしやすい環境が整っているのです。
北海道公式の子育て支援サイトである「HAGUKUMU」では、自分が住んでいる自治体でどのような支援が行われているかを検索したり、子どもを預けられる施設が探せたりできます。
せっかく充実している子育て支援制度を利用しないのはもったいないですよね。そんなときにHAGUKUMUを活用することで、自身の状況に合った支援を見つけられるのです。
子育てで困ったときにはうまく活用して、子育て支援制度の手を借りてはいかがでしょうか。
もしものときに安心な医療費助成制度
医療費助成制度は都道府県や自治体によって、その年齢制限や負担金額が異なります。北海道ではほとんどの場合、15歳までの子どもは医療費が全額助成される制度を導入しています。医療費が全額助成されるのは、医療費助成制度の中でも手厚いサポートといえるのではないでしょうか。
ただし、都市部に近い場所では医療費助成制度があまり充実していないこともあります。基本的には、地方の医療費助成制度の方が充実しているケースも多いため、あらかじめ医療助成制度について確認をしておきましょう。
詳しい医療費助成制度の内容は、各自治体のホームページなどで確認できます。
保育料助成制度が受けられる自治体もある
保育料助成制度は自治体によっては助成内容が大きく異なる場合や、助成制度が実施されていないこともあります。たとえば、第2子は保育料が半額で第3子以降は保育料が無料になったり、2~3歳児の保育料が無料になったりする自治体もあります。
子育てと仕事を両立する世帯が多くなるなかで、保育所は必要不可欠な施設です。しかし、保育料が高いために子どもを預けられず、仕事への復帰が遅くなったり、就職をあきらめてしまうケースもあります。
子育てを優先して仕事を諦めることにならないよう、各自治体では保育料助成制度を整備することで、仕事にも打ち込める環境のサポートを行っています。
キャリアも大切にしたいという方は、保育料助成制度が実施されている自治体を選ぶのもひとつの手ではないでしょうか。
北海道での子育てで注意するべきこと

北海道での子育てにおいて注意するべきことは、以下の5つが挙げられます。
- 社会保険料が高い
- 給与が少ない
- 物価が高い
- 冬は危険が多い
- 交通の便が悪い
北海道で子育てをする前に知っておくことで、対策を練ったり心がまえができます。そのため、良いところと合わせて北海道で子育てをするときの注意点も確認しておきましょう。
社会保険料が高い
北海道の社会保険料は全国的に見て比較的高く、健康保険料率は令和3年度で10.45%となります。北海道へ来てから社会保険料の高さに驚いた、なんてことにならないよう、どのくらい社会保険料が変わるのか確認しておくとよいでしょう。
ただし令和4年度には、健康保険料率が10.39%に、介護保険料率も1.80%から1.64%へ引き下げられています。このまま保険料率が下がっていくことも考えられるため、今後の動向に注意したいところです。
給与が少ない
北海道は年収が高い都道府県ランキングで33位と、給与が高いとは言えません。北海道内で平均年収は350万円と、全国的にみるとやや安い水準です。
というのも、北海道は人口あたりの求人数が少なく、人が余りがちになることで安い給与でも働く人が多くなる傾向にあります。
ただし北海道の平均年収が低いといっても、職種や勤めている企業によって年収は大きく変わります。資格やスキルがあれば平均年収よりも稼げるケースもあるのです。
あくまでも平均年収は目安として考え、実際に就職する企業の年収を参考にしましょう。
物価が高い
物価指数の全国平均が100であるのに対して北海道の令和4年10月の物価指数は104.6と高いです。前年同月と比べても物価指数は上がっており、とくに水道光熱費が高くなる傾向にあります。
先ほども紹介した通り、平均的な給与は少ないのに物価が高いと家計が苦しいのではないでしょうか。
ただし、住居に関する物価指数と教育に関する物価指数は全国平均を下回っています。良いところでも紹介したように家賃相場は安く、教育費も比較的リーズナブルといえるでしょう。
冬は危険が多い
北海道の冬の寒さは厳しく、雪もたくさん積もります。日によっては、子どもの身長よりも高く積雪することもあるのです。
大人でも腰あたりまで雪が積もると、思うように動けません。子どもとなると余計に動きづらく危険を伴います。
積雪のみならず凍結で滑りやすくなったり、つららが落ちてくる危険性も。大人でも雪かきをしていて怪我をしたという話を耳にします。
とくにもともと暖かい地方に住んでいて北海道へ移住するとなると、どのような危険が潜んでいるのか子どもにはわからないかもしれません。そのため、大人がしっかりと子どもたちを危険から守る必要があります。
交通の便が悪い
札幌市などの市街地であれば十分な地下鉄などの移動手段もありますが、地方に住む場合は自前で移動手段を確保する必要があります。バスや電車などの公共交通機関の本数が少なかったり、病院などの生活に必要な施設まで距離があることも。
また、地方に住むのであれば車の移動がメインとなります。子どもが熱を出したから病院へ連れて行きたいけれど、遠くて時間がかかるというケースも考えられるのです。
急いでいても寒い地方での運転に慣れていない場合は、凍結によるスリップや雪にタイヤが埋もれるなどで事故を起こす可能性もあります。充分に気をつけて運転するように心がけてください。
北海道へ引越しをする際は、自宅の近くに病院などの生活に必要な施設があるか確認しておくと安心です。
子育てしやすい取り組み

北海道では子育てしやすい取り組みをたくさん行っています。そこで今回は以下の4つの取り組みを紹介します。
- 北海道すきやき隊
- どさんこ・子育て特典制度
- 北海道赤ちゃんのほっとステーション
- 各自治体での子育て支援
それぞれの取り組みについて詳しく解説しますので、北海道で子育てする際にはうまく活用してください。
北海道すきやき隊
子育てを支援する取り組みの1つに「北海道すきやき隊」があります。
北海道すきやき隊は企業やNPO法人、団体などの協力によって、少子化対策を進めるために結成されました。具体的な取り組みとして、子育てしやすい職場環境を作るために育児休暇制度を取りやすくしたり、地域での子育て支援を行っている「せわずき・せわやき隊」の支援を行ったりしています。
せわずき・せわやき隊は、子どもの見守りや家庭への声かけを行う、地域ボランティアです。登下校の見守りや本の読み聞かせ、子どもの一時預かり、子ども向けのイベントを開催するなど、より身近な存在として子育てを支援してくれます。
地域で一丸となって子どもたちを健やかに育てていく取り組みをしているのは、魅力的ですね。
どさんこ・子育て特典制度
子育てを支援する取り組みの2つめに挙げられるのが、「どさんこ・子育て特典制度」です。
どさんこ・子育て特典制度では、妊娠中の方や小学6年生までの子どもがいる方は特典カードを発行しています。特典カードは、住んでいる地域の市町村窓口で、母子手帳や保険証を提示することで受け取りが可能です。
この特典カードを協賛している企業の店舗で提示することで、さまざまな優待が受けられます。なかには特典カードを提示することで、優先的に案内してくれる店舗もあります。
さらに道内だけでなく道外にも協賛企業の店舗があり、特典カードを使えるところもあるのです。
ただし、子どもと一緒に買い物などに店舗を利用することで親子のふれあいを促進することが目的のため、原則子どもと同伴している場合のみ使用可能となるので注意してください。
北海道赤ちゃんのほっとステーション
子育てを支援する取り組みの3つめには、「北海道赤ちゃんのほっとステーション」が挙げられます。
北海道赤ちゃんのほっとステーションは、おむつ替え台や授乳できる場所が用意された、赤ちゃんを連れて出かけられるように作られた共用スペースです。
北海道赤ちゃんのほっとステーションとして登録するためにはいくつかの条件があり、大前提として授乳とおむつ替えの両方ができる設備を備えている必要があります。ほかにも、無料で利用できることや利用者のプライバシーが守られていること、きちんと清掃されていることなどが条件です。
そのため、北海道赤ちゃんのほっとステーションでは、安心して授乳やおむつ替えができます。
北海道赤ちゃんのほっとステーションとして登録された施設にはステッカーが貼ってあり、一目で授乳やおむつ替えをできる場所がわかるようになっています。赤ちゃんを連れて授乳やおむつ替えをできる場所を探すのは大変なので、見つけやすい工夫がされているのは嬉しいですね。
各自治体での子育て支援
北海道では各自治体でも子育て支援を行っています。そこで代表的な各自治体の子育て支援を表にまとめました。
大空町 | 中学3年生までの医療費助成 学校給食の無償提供 |
上士幌町 | 高校生までの医療費全額助成 認定こども園の無償化 住宅購入助成・リフォーム助成 |
清水町 | 18歳までの医療費全額助成 3歳以上の保育料無料 小中学生の修学旅行費全額助成 乳児保育金制度 しみずマイホーム取得奨励金交付 一般的不妊治療費助成 |
津別町 | 18歳までの医療費助成 新生児誕生祝い品の贈呈 認定幼稚園の給食費無料 高校生対象の公設民営塾 |
弟子屈町 | 小学生までの医療費助成 特定不妊治療費助成 出産祝い金として町内で利用可能な金券15万円分交付 |
美幌町 | 中学卒業までの医療費助成 第3子以降の給食費無料 |
豊頃町 | 18歳までの医療費全額助成 小中学生の修学旅行費交付金 |
別海町 | 中学卒業までの医療費全額助成 ブックスタート事業 特定不妊治療費助成 |
本別町 | 18歳までの医療費全額助成 新生児誕生祝い品の贈呈 第2子の保育料半額・第3子以降の保育料無料 |
芽室町 | 中学生までの医療費全額助成 妊婦歯科検診費用助成 乳幼児・児童予防接種事業 特定不妊治療費助成 |
陸別町 | 18歳までの医療費全額助成 保育園・小中学校の給食費無料 おむつ処理用ゴミ袋の配布 新生児聴覚検査費助成 出産子育て支援祝金 |
旭川市 | 中学生までの医療費全額助成 あさひかわキッズタウン事業 不妊対策推進事業 |
上川町 | 中学生までの医療費全額助成 新生児誕生祝い品の贈呈 保育料の無償化 出産祝い金 |
猿払村 | 小中学校の就学援助事業 高校入学前までの医療費助成 安心出産サポート119 |
士別市 | 小学生以下の医療費全額助成 中学生までの入院医療費無料 チャイルドシートなどの貸し出し 士別市児童生徒大会参加交通費の助成 |
下川町 | 15歳までの医療費全額助成 給食費の2割以内を助成 産後ケア事業 特定不妊治療費助成 |
鷹栖町 | 中学生までの医療費全額助成 第2子以降の保育料軽減 高校入学準備金の支給 特定不妊治療費助成 |
中頓別町 | 高校卒業までの医療費全額助成 特定不妊治療費助成 |
東川町 | 15歳までの医療費全額助成 特定不妊治療費助成 |
富良野市 | 就学前までの医療費全額助成 3~5歳児の保育料・幼稚園料無料 乳児1人あたり3000円×12か月分の紙おむつ購入費助成 全道・全国大会の参加費用助成 ブックスタート事業 子育てアプリでの情報発信 |
洞爺湖町 | 15歳までの医療費全額助成 保育料半額 出産祝い金 チャイルドシートの貸し出し |
豊浦町 | 高校卒業までの医療費全額助成 |
奈井江町 | 18歳までの医療費全額助成 |
平取町 | 子どもの医療費を取扱店で利用できる「平取町金券」で還元 |
長沼町 | 高校生までの医療費全額助成 出産祝い金 チャイルドシート購入費用の助成 |
沼田町 | 18歳までの医療費全額助成 |
登別市 | 15歳までの医療費助成 |
深川市 | 15歳までの医療費全額助成 保育料の助成 指定ゴミ袋の配布 |
余市町 | 中学生までの医療費全額助成 |
室蘭市 | 第3子以降の保育料無料 特定不妊治療助成 マイホーム購入費用の助成 |
厚沢部町 | 保育料無料 給食費の助成 中学校修学旅行費の無償化 中高生対象の公設民営塾 |
厚真町 | 保育料の2割を「子育て支援厚真町金券」に交換 高校生の通学費等を助成 |
安平町 | 高校卒業までの医療費全額助成 保育料半額 出産祝い金として商品券か入浴券を助成 |
北斗市 | 高校卒業までの医療費全額助成 第2子の給食費半額・第3子以降の給食費無料 |
松前町 | 18歳までの医療費全額助成 第1子20万円・第2子30万円・第3子以降50万円の出産祝い金 |
北海道でのびのびとした子育てを

北海道で子育てをするにあたって、北海道だからこそいえる良いところや注意するべきことがたくさんあります。北海道での子育てが心配という場合に、注意するべきことを知っておくだけでも少し不安がやわらぐのではないでしょうか。
また、北海道では子育てしやすいよう取り組んでいます。道内全域で取り組んでいることもあれば、地域ごとに密着して取り組んでいることもあります。北海道で子育てをしていて困ったことがあれば、これらの取り組みを活用してみてください。
きっと北海道での子育てが、素敵なものになることでしょう。