北海道のほぼ中央に位置する東川町は、人口約8,000人の小さな町ですが、移住先として長年根強い人気を誇っています。
豊かな自然環境や空港へのアクセスの良さなど、さまざまな魅力を持つ東川町。
移住促進や地域活性化について、独自の取り組みを行っているのも大きな特徴です。
この記事では、東川町の基本的な情報や、東川町に移住するメリットをお伝えします。
さらに、移住を考えるうえでぜひ知っておきたい支援制度や補助金についてもご紹介します。
北海道への移住を考えている方や、どのエリアに住むか迷っている方はぜひ参考にしてみてください。
目次
移住者が増え続ける「適疎」の町

東川町は、北海道第二の都市といわれる旭川市に隣接しています。
町の東部は日本最大の国立公園「大雪山国立公園」の敷地の一部となっており、山に囲まれた美しい風景が魅力です。
また、東川町の大きな特徴として挙げられるのが、20年以上にわたって移住者が増え続けている点です。
1994年には6,973人だった人口が、2021年には8,445人まで増加しています。
参考:東川町ホームページ|東川町人口・世帯数
国内全体の過疎地域で毎年15万人前後の人口が減少するなか、着々と定住者を増やしているのは、東川町の大きな強みだといえるでしょう。
参考:総務省|令和2年度版 過疎対策の現況(図表3)
とはいえ、東川町は必ずしも人口の多い大都市を目指しているわけではなく、過密でも過疎でもなく適度にゆとり(=疎)がある状態を指す「適疎」という考え方を大切にしています。
東川町では2007年頃から、この適疎の考えをもとに、仲間との距離感や空間にほどよいゆとりを持ち、住民が自分らしく豊かに暮らせる町を目指しています。
東川町に移住するメリット【暮らし編】

移住先を検討するうえで、そのエリアの住み心地を検討することは、移住後の暮らしやすさに直結します。
そのため、移住を検討する段階で東川町の暮らしに関する利点や特徴を知っておくことが大切です。
豊かな自然環境の中で暮らせる
東川町の魅力としてまず挙げられるのが、大雪山連峰をはじめとする美しい自然の風景です。
東川町は大雪山連峰の主峰である「旭岳」の麓に位置しており、雄大な山の風景をいつでも眺めることができます。
また、町の北側には東京ドーム約25個分の面積を誇る「キトウシ森林公園」もあります。
キトウシ森林公園は、ゴルフ場やハイキングなどさまざまなアクティビティを楽しめる施設のほか、貸別荘などの宿泊施設も併設しているため、週末のレジャースポットとして最適です。
水がおいしい
東川町は北海道で唯一の「上水道がない町」として知られています。
上水道が不要な理由は、大雪山(旭岳などの山々が連なった山塊)に降り積もった雪が、ゆっくりと時間をかけて地中に染み込み、粘土堆積層で濾過されて東川町まで運ばれてくるためです。
流れてきた地下水はそのまま生活水として利用されています。
蛇口をひねればミネラルを豊富に含んだ天然水が出てくるという、なんとも恵まれた環境です。
そのため、天然水を使用したおいしい食材を味わいたい方には、魅力的な町だといえるでしょう。
旭川空港が近く東京との2拠点生活に適している
東川町の中心部から北海道北部の空の玄関口である旭川空港までは、車で約10分とアクセス良好。
2023年6月現在、旭川空港からは羽田空港行きの便が1日7本出ているため、北海道と東京の2拠点生活に適しています。
旭川空港から羽田空港までのフライト時間は約1時間45分と、距離が遠すぎない点も特徴です。
ただし、旭川空港発の国内便は行き先が羽田空港のみとなります。東京以外の地域に移動するのは不向きなので、注意が必要です。
町全体で景観を重視している
東川町は1985年に「写真の町」を宣言し、豊かな自然や美しい田園風景を活かした写真映りのよい町=写真文化首都としての町づくりに取り組んでいます。
そのため、町全体で景観を重視しているのが東川町ならではの特徴です。
例えば、その制度の一環として、景観に配慮して建てられた住宅に補助金を出す「景観住宅建築支援事業」「きた住まいる建設推進事業」などを実施しています。
さらに、写真の町を盛り上げるために「写真甲子園」「東川町国際写真フェスティバル」といったイベントも開催されています。
※2023年6月に執筆した記事です。最新情報は東川町ホームページ|写真の町 東川町でご確認ください。
移住促進や地域活性化にも積極的に取り組んでいる
東川町は国道・鉄道・上水道の「3つの道」がない小さな町ながら、移住促進や地域活性化に対する独自の取り組みが功を奏し、人口増加を実現しています。
先ほどご紹介した「写真の町」の事業も、豊かな自然を活かして町独自の文化を創り出そうと考えた、東川町の職員や町民のアイデアによって生まれました。
また、東川町では「ひがしかわ株主制度」という独自の制度があります。
ふるさと納税による町への寄付を投資と捉え、寄付者=株主となって町づくりに参加してもらうというものです。
株主になると特別町民への認定や株主証の発行のほか、宿泊施設の優待などの特典を受けられます。
このように、前例にとらわれずオリジナリティあふれる町づくり事業を展開することで、移住先としての人気を獲得しています。
東川町に移住するメリット【仕事編】

地方移住を考えるうえでは、仕事環境も欠かすことのできないポイントです。
移住先で仕事を見つけるだけでなく、今の仕事をリモートワークで続ける、起業に挑戦するなど、移住後の働き方は人によってさまざまです。
東川町では、多様な働き方に寄り添う環境や支援制度が整っているため、移住先として大いに魅力ある選択肢といえます。
リモートワークのための環境が整っている
東川町では「適疎ワーキング」を目標に掲げ、ほどよくゆとりのある「適疎」な空間で、町内のどこでも仕事ができる環境づくりを進めています。
具体的には、公民館などの公共施設をフリーアドレス施設として利用できるよう整備したり、民間企業と連携して人材活用や企業連携の交流事業を行ったりと、町を挙げてさまざまな角度から環境整備に取り組んでいます。
事業者向けの充実した助成制度が用意されている
東川町では起業の助成金や融資といった制度もあるため、移住とともに自分でビジネスを始めるのにも適しています。
助成制度の一例
- 産業振興支援制度:
東川町で新たに起業もしくは新規事業を立ち上げる際に、かかった費用の一部を助成 - 中小企業融資制度:
一定の条件を満たした事業者に対し、融資の利子や保証料を補助する
※2023年6月に執筆した記事です。最新情報は東川町ホームページ|くらしのガイド(助成・支援制度)をご確認ください。
東川町に移住するメリット【子育て編】

子どもがいる家庭の場合、移住先の地域が子育てしやすい環境かどうかも気になるところです。
ここでは、東川町の子育て支援や教育環境についてご紹介します。
子育て世代のための支援制度が充実している
東川町は、妊娠・出産・子育てに関する支援制度が充実しています。
主な子育て支援策
- 子育て支援サービス:
家事代行の利用料金の一部助成、昼食の宅配、一時預かりの利用料助成などのサービスが利用可能 - 子ども医療費助成:
15歳までの子どもを対象に、入通院代を全額助成(※保険適用となる診療行為に限る) - 養育医療費助成:
特定の条件を満たした乳児に対して、入院養育に必要な費用の一部を助成
※2023年6月に執筆した記事です。最新情報は東川町ホームページ|くらしのガイド(子どものために)をご確認ください。
教育環境の整備にも力を入れている
東川町は「日本一の子育て・教育の町づくり」を掲げ、学力向上や国際教育に取り組んでいます。
2012年には東川町学力向上推進協議会が設置され、現在も積極的に学校と地域が連携しながら子どもたちの教育環境を整備しています。
また、2014年に新築移転された東川町立東川小学校の校舎は、教室の仕切りがないオープンスペースが特徴です。
20ヘクタールもの広大な敷地にサッカー場や果樹園といった施設を備え、農業体験などユニークな授業が行われています。
広大な自然の中でのびのび遊べる
都会で子育てをしていると、「外遊びができる場所が少なく困っている」という方も多いのではないでしょうか。
その点、大自然に囲まれた東川町では、子どもが身体を動かして思いきり遊べる場所がたくさんあります。
夏にはキャンプ、冬にはスキーや雪遊びといったように、季節に応じてさまざまな遊びが楽しめるため、子育てには最適な環境です。
東川町の主なレジャースポット
- キトウシ森林公園
- キャンモアスキービレッジ
- 旭岳温泉 自然探勝路・湿原探勝路
- 旭岳青少年野営場
移住者向けの支援制度

東川町へ移住するに際し、自治体が提供している支援制度を活用することで、より充実した移住後のライフスタイルが実現します。
移住前に活用できる支援制度もあるため、拠点を移す前に活用することをおすすめします。
- まずは東川町での暮らしをお試し!移住体験
- 住宅に関するさまざまな補助金制度
まずは東川町での暮らしをお試し!移住体験
さまざまな魅力を持つ東川町ですが、移住を考えるうえで、ぜひおすすめしたいのが移住体験です。
一定の期間滞在して実際の暮らしぶりを体感することで、じっくりと東川町の魅力に触れることができます。
北海道には、市町村が用意した家具家電付きの住宅や、長期滞在向け施設を利用して移住体験ができる「ちょっと暮らし」という制度があります。
利用期間は市町村ごとに異なり、東川町の場合は最短3か月から滞在可能です。
地元の人と交流できたり、季節の移ろいを肌で実感できたりと、移住体験には多くのメリットがあります。
施設情報や申し込み方法など、詳細は東川町ホームページ|町に住む(移住体験)からご確認ください。
住宅に関するさまざまな補助金制度
引っ越し費用や住居の取得費用など、移住には何かとお金がかかるものです。
多くの自治体は移住促進のために、住宅建築に対する助成金や家賃の補助といった制度を設けています。
東川町には以下のような補助金制度があります。
- 景観住宅建築支援事業補助金:
景観に配慮して建てられた住宅に対し、カーポートや物置などを対象とする建設費の2分の1以内を補助(上限50万円) - 二世帯居住推進事業補助金:
親または子が町外から転入して住宅の新築や増改築、二世帯住宅の新築を行う場合に、建設費の2分の1以内を補助(上限50万円) - きた住まいる建設推進事業補助金:
安心で良質な家づくりのための基準を満たす住宅事業者、「きた住まいるメンバー」によって建てられた戸建て住宅に対し、建設費の2分の1以内を補助(上限100~300万円)
※2023年6月に執筆した記事です。最新情報は東川町ホームページ|くらしのガイド(助成・支援制度)をご確認ください。
東川町での移住先探しは「旭川不動産連合隊」を活用しよう

東川町は雄大な自然を満喫できるだけでなく、仕事や子育てのための環境も整っているため、移住に適した地域だといえます。都市から少し離れた位置で暮らしたい方にとって、東川町はおすすめのエリアです。
このエリアで住居を見つけたい方は、「旭川不動産連合隊」を活用してみてはいかがでしょうか。東川町のほか、その近隣である旭川市や深川市などの物件情報も掲載しています。賃貸と売買の両物件があるため、豊富な選択肢のなかから理想的な住まいを探したい方に向いています。
本記事で紹介した東川町の魅力や支援制度を参考に、ぜひ理想的な移住先を見つけてみてください。
参考:旭川不動産連合隊 東川町賃貸物件一覧
参考:旭川不動産連合隊 東川町売買物件一覧