スキーやスノーボードといったアクティビティが多く、観光地として人気の高いニセコ町。実は移住先としても、たくさんの魅力が存在します。
しかし、ニセコへの移住を検討しているものの、「現地の居住環境や仕事環境が合うかどうか気になる」「実際に住んでみて後悔したらどうしよう」といった不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
特に地方移住では、交通の利便性や住みやすさ、仕事や収入の変化、子どもの教育環境などの要素を、事前にしっかりと検討しておくことが大切です。
本記事では、ニセコ町への移住をお考えの方に向けて、ニセコ町の魅力や移住の際に押さえるべきお役立ち情報を解説します。ニセコ町の仕事事情や教育事情についても詳しく解説しますので、移住の参考にしてみてください。
目次
ニセコ町とはどんな町?

ニセコ町は、北海道の道央エリアに位置し、美しい湖や山岳に囲まれた観光地として知られる町です。
支笏洞爺(しこつとうや)国立公園やニセコ積丹小樽海岸国定公園などの観光地に加え、温泉、スキー場を目当てに多くの観光客が町を訪問します。
観光が盛んなだけではなく、国から「SDGs未来都市」「環境モデル都市」として指定され、環境に配慮した政策や地方創生にも力を入れていることから、移住先としても人気の町です。
年間合計積雪量は902㎝と北海道の中でも雪の多い地域ですが、観光業やSDGsへの取り組みが盛んなことから、観光地・移住先として高い人気を誇っています。
ニセコ町に移住する魅力は?

ニセコ町への移住には、主に3つの魅力があります。
- 国際交流につながりやすい
- 手軽にレジャーが楽しめる
- 住みやすく豊かな生活が期待できる
町の魅力は移住先を決めるうえで重要な要素であるため、事前に詳細を把握することをおすすめします。
国際交流につながりやすい
ニセコ町には観光客だけでなく、その大自然に魅了された外国人が多く在住しています。
ニセコ町には、2022年2月時点で281人の外国人が在住しており、ニセコ町に住む総人口の約5.6%を占めています。これは、日本の総人口に占める外国人の割合である2.2%と比べても高い水準を誇ります。
参考:ニセコ町ホームページ|ニセコ町人口統計、総務省統計局|令和2年国税調査「⼈⼝等基本集計結果からみる我が国の外国⼈⼈⼝の状況」
そのため、おのずと外国人住民と接する機会が増え、スムーズな国際交流につながりやすいのが魅力です。
町内には、ニセコ町役場で国際交流員が勤務していたり、「北海道インターナショナルスクール ニセコ校」で国際交流活動を行ったりするなど、さまざまな外国人と交流をはかれます。
参考:広報ニセコ
手軽にレジャーが楽しめる
ニセコ町には、大自然を生かしたレジャー施設が豊富です。
- NACニセコアドベンチャーセンター:
ラフティング、カヤック、トレッキングなどの体験アクティビティが豊富 - ニセコ OAC(Outdoor Amusement Company):
熱気球係留体験やキャニオニング、バンジートランポリンなどが楽しめる - ニセコカントリーファーム:
ニセコ連峰の自然豊かな山々を背景に乗馬体験ができる - ニセコアンヌプリ国際スキー場:
南斜面1,308mに広がるゲレンデで、初級~上級までのスキー&スノーボードレッスンが可能
ほかにも多くのレジャー施設があり、季節ごとにさまざまなアクティビティを楽しめます。
アウトドアが好きな方や、子どもに大自然を感じながら育ってほしいと思っている方にとって、ニセコ町はおすすめの移住先だといえるでしょう。
住みやすく豊かな生活が期待できる
ニセコ町は、2018年に国から「SDGs未来都市」に指定されました。
SDGs未来都市とは、SDGs(※)達成に向けて積極的に取り組んでいる都市を選定する制度で、持続的な経済社会の実現に向けた取り組みを世界に発信することを目的としています。
地方への移住先を考えたときに、自分や子どもの将来のためにも未来を見据えた政策に取り組む自治体であるかどうかは重要な要素です。SDGs達成に積極的なニセコ町は、住みやすくよりよい生活が期待できる町といえます。
ニセコ町では、2030年までの達成を目指した17のゴールを設定しています。こちらはそのゴールと取り組み内容の一例です。
ゴール | 取り組み |
---|---|
エネルギーをみんなにそしてクリーンに | 環境モデル都市またはプラチナシティとしての環境モデル都市アクションプランに基づいた取り組みを進めています。 CO2排出量を2050年までに2015年比で86%削減することを目標に掲げ、同時に再生可能エネルギー100%の町を目指しています。 |
農業と技術革新の基盤をつくろう | 外国人ニーズの高い低農薬のニセコ町産農産物を積極的にホテルや旅館などの宿泊施設に卸すことで、地域経済の循環を促進すると共に、観光地としてのブランド力を生かし、地元産品のブランド化をより一層推進しています。 |
パートナーシップで目標を達成しよう | 住民参加と情報共有を基本とした「まちづくり基本条例」を定め、「町民が自ら考え行動する自治の町」を目標に掲げています。 住民自らが決まりを作り、守り、育てる取り組みを、行政と住民とのパートナーシップの基として進めています。 |
(※)SDGsとは、持続可能でより良い世界の実現を目的に、国連サミットにおいて全会一致で採択された国際目標です。
ニセコ町に移住する際の仕事事情

ニセコ町に移住することを考えた際に気になるのが、仕事事情ではないかと思います。ここでは、ニセコ町の平均所得や業種について紹介します。
ニセコ町の平均所得は305万円
ニセコ町の平均所得(額面年収から経費を差し引いた金額)は、総務省による「令和3年度 市町村税課税状況等の調」が参考になります。同資料の中にある「第11表 課税標準額段階別 令和3年度分所得割額等に関する調(合計)」をもとに、以下のような計算式で平均所得を計算しました。
【平均所得の計算式】 課税対象所得 ÷ 所得割の納税義務者 |
その結果、2021年のニセコ町の平均所得は305万4,424円でした。
なお、同じ計算式で札幌市の平均所得を算出すると、結果は327万8,166円となり、ニセコ町は札幌市よりも22万円程度少なくなります。
東京都千代田区の平均所得985万1,789円とも比べてみると、ニセコ町の平均所得は千代田区の約3分の1程度です。
収入が減ることを懸念される方は、リモートワークで現職を続けたり、現在の仕事を発展させたりといった工夫を行うと良いでしょう。
観光業の求人が多い
観光地やレジャー施設が豊富なニセコ町では、観光業の求人が豊富です。
大手求人情報サイト「Indeed(インディード)」で検索した場合、リゾートホテルなどの宿泊業の求人が400件以上、スキー場にかかわる求人が300件以上見つかりました(2023年5月時点)。
ニセコ町ではホテルや旅館などの宿泊業、飲食業、旅行業などの仕事が多く、11月下旬から翌5月上旬までのスキーシーズンには人手が不足する傾向があります。
また、勤務先によって冬はリゾート地、夏は農業といったように、季節によって異なる業種に従事する働き方を採用しているケースも少なくありません。
一方、IT関連の求人件数は少ない傾向にあります。都心と比べて人口が少ないことから、幅広いIT関連の仕事を見つけたり、収入アップを狙ったりするのは難しいといえるでしょう。
国際的な仕事ができる
ニセコ町はインバウンドだけではなく、外国人の移住者も多いことで有名です。外資系企業もあり、外国人と一緒に働く機会も作ることができます。
田舎で暮らしながら、国際的な仕事をしたい方にもおすすめです。
ニセコ町に移住する際の教育事情

ニセコ町には「北海道インターナショナルスクール ニセコ校」があり、国籍を問わず多くの子どもが通っています。授業は英語で行われ、西洋の教育方式の元で学べることから国際感覚を身につけられるのが特徴です。
また、ニセコ町では「グローバル化に対応した英語教育の充実」という教育方針を掲げています。定期的に北海道インターナショナルスクール ニセコ校と交流しており、英語と触れ合う機会に恵まれています。
英語教育以外でも、ニセコ町の歴史や文化、自然について学習する「ニセコガイド検定」やICT端末を活用した授業にも力を入れており、児童たちが主体的に学べるようサポートしています。
ニセコ町への移住に失敗しないための注意点

ニセコ町への移住で失敗しないためにも、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。ここでは、3つの注意点について見ていきましょう。
移動時は車が必須
ニセコ町のスーパーやコンビニ、飲食店などは各地に分散し、自転車や徒歩での移動が困難です。居住地区にもよりますが、ニセコ町では車は生活必需品だといえるでしょう。
車がない場合は、予約した利用者の自宅などからニセコ町内の目的地まで運行する「にこっとBUS(デマンドバス)」を利用できます。ただし、観光が盛んなニセコ町では、スキーシーズンである11月下旬から5月上旬までの繁忙期にバスが混み合い、都合よく利用できないこともあります。
そのため、ニセコ町に移住する際は車があると便利です。
しかし、車の購入・維持には何かとお金がかかります。特に雪が多く降るニセコ町では、以下のような車の冬装備一式を揃えておく必要があります。
- 雪下ろし用ブラシ
- スタッドレスタイヤ
- エンジンスターター
- 寝袋
- 牽引ロープ
- バッテリーチャージャー
降雪量の少ない地域より車の維持コストが高くなりやすい点には注意が必要です。
北海道の中でも降雪量が多い
「ニセコ町降雪量・積雪量データ」を見ると、ニセコ町の年間降雪量は1,000cmを超えることもあります。
札幌市の年間降雪量の平年値456cm、函館市の306cmと比較すると、ニセコ町は北海道の中でも雪が多い地域だということがわかります。そのため、雪かきや屋根の雪下ろしに苦戦することもあるでしょう。
実際に町の中では、以下のように朝の雪かきや屋根の雪下ろしに苦労している方も多いようです。
ニセコ町に移住したら、毎朝の雪かきが日課になることを押さえておきましょう。
大きな病院が近くにない
日本医師会が運営する「地域医療情報システム(JMAP)」によると、2022年11月時点で、ニセコ町には一般診療所が1件ありますが、大きな病院がありません。
大きな病院に行くには、札幌市や隣町の倶知安町まで足を運ぶ必要があります。とはいえ、ニセコ町から札幌までの距離は約2時間と、時間がかかる点には注意が必要です。
そのため、持病がある方や体が弱い方は、なるべく病院施設の整った地域を再検討したり、スムーズな交通手段を確保したりすることが大切です。
ニセコ町の移住や子育てに関する支援制度

ニセコ町に移住する場合、支援制度を活用することで移住後の費用を抑えられるほか、移住に関する相談にも乗ってもらえます。ここでは移住や子育てに関する支援制度をご紹介します。
- 住宅省エネルギー改修工事促進補助金事業
- ニセコ町移住相談窓口
- 子育て短期支援事業
- ニセコ町地域子育て支援センター「おひさま」
住宅省エネルギー改修工事促進補助金事業
ニセコ町では、住宅の省エネルギー改修工事に対して補助金を支給しています。
これはSDGs達成の一環であり、家庭からの二酸化炭素排出量の削減と住みやすい環境づくりを実現することで、環境に配慮した世界都市を目指すことを目的としています。
項目 | 内容 |
---|---|
補助対象者 | ・当該住宅を所有している ・補助金の申請時又は工事完了から30日以内に当該住宅を所有し居住している ・申請者及び同世帯の家族全員が市町村に納める税金を完納している ・工事着工予定の14日前まで補助申請している ・国・北海道・ニセコ町の補助金制度の重複交付を受けていない |
補助対象工事 | ・①から④のうち、①又は①を含む断熱改修工事 ①すべての窓 ②天井等 ③壁 ④床等 ・補助対象工事費が30万円以上の工事 ・当該年度12月31日までに完了する工事であること |
補助金額 | ・補助対象工事に要した額と別表に掲げる標準費用額により算出した額のいずれか少ない額の20% ・上限30万円 ・②~④の工事を行う場合は上限50万円 |
※2023年5月時点に執筆した記事です。最新情報はニセコ町ホームページ|住宅省エネルギー改修工事促進補助金事業をご確認ください。
ニセコ町移住相談窓口
ニセコ町は、交流施設の1つである「ニセコ中央倉庫群」に移住相談窓口を設置しています。
実際にニセコ町に移住して起業したり、子育てに励んだりしている相談員からアドバイスをもらうことが可能です。
移住者の生の声を聞くことで、ニセコ町のリアルな生活環境をイメージできるメリットがあります。
また建物内には、無料Wi-Fiがあるフリースペースやカフェ、キッズスペースがあり、子どもがいる場合でも安心して利用可能です。
※2023年5月時点に執筆した記事です。最新情報はニセコ町移住ポータルをご確認ください。
子育て短期支援事業
子育て短期支援事業は、保護者の入院や出張によって一時的に子育てができなくなったときに、児童養護施設にて子どもを預かる制度です。
7日間のショートステイと、夜間と休日のみのトワイライトステイの2種類があり、生活や仕事の状況に合わせて利用できます。出産後でも仕事を続けたい方や、万一の病気の際に子育てが不安な方にとって安心できる制度です。
※2023年5月時点に執筆した記事です。最新情報はニセコ町ホームページ|子育て短期支援事業をご確認ください。
ニセコ町地域子育て支援センター「おひさま」
ニセコ町地域子育て支援センター「おひさま」は、小学校就学前の子どもとその保護者を対象に自由開放している保育室です。
主に、育児の役立つ情報を学べる「育児講座」、各地域で子育てをしている保護者と交流ができる「出張遊び教室」などのプログラムがあります。また、町の保健師に、育児に関する悩みや不安を相談できるのも特徴です。
保育室は無料で開放されているほか、認可保育園の審査を通過できなかった際の受け皿になるため、子どものいる家庭は安心できるでしょう。
※2023年5月時点に執筆した記事です。最新情報はニセコ町ホームページ|ニセコ町地域子育て支援センター「おひさま」をご確認ください。
国際感覚を身に付けるならニセコ町への移住がおすすめ

大自然に囲まれたニセコ町は、四季折々のレジャーが楽しめると同時に、国際交流ができる移住先です。外資系企業やインターナショナルスクールによって自分自身はもちろん、子どもにも国際感覚を身に付けられます。
「小樽不動産連合隊」には、ニセコ町の賃貸物件や売買物件の情報が掲載されています。小樽市の周辺エリアであれば、多数の物件情報を取り扱っているため、豊富な選択肢から好みの物件が見つかるでしょう。
地方への移住をお考えの方は、ぜひこの記事を参考に、ニセコ町を移住先の候補の一つとして検討してみてください。
参考:小樽不動産連合隊 ニセコ町売買物件一覧