居抜き物件を探す際の注意点|よくある7つのトラブルをもとに解説

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居抜き物件を探す際の注意点|よくある7つのトラブルをもとに解説

新しい店舗をオープンするという大きな一歩を踏み出す際に、物件選びは非常に重要なポイントです。

そのなかでも、前テナントの設備を有効活用できる居抜き物件は、新しいビジネスをスタートするための魅力的な選択肢となっています。

しかし、居抜き物件にはいくつか注意点があり、トラブルを避けるためには慎重な検討が欠かせません。

そこで本記事では、居抜き物件によくあるトラブル事例を7つのパターンに分けて解説します。その事例をもとに、居抜き物件を選ぶ際の注意点を解説していますので、ぜひ参考にしてください。

関連記事:居抜き物件とは?スケルトンとの違いや契約の流れを解説

居抜き物件のよくあるトラブル7パターン

居抜き物件のよくあるトラブル7パターン

居抜き物件を契約する際によくある7つのトラブル事例を紹介します。トラブルのパターンを押さえることで、居抜き物件の契約時に注意すべきポイントが見えてきます。

  • 必要な設備がそろっていない
  • 老朽化により設備や造作が使えない
  • 必要十分な衛生管理が行われていない
  • 前店舗のイメージを引き継いでしまう
  • 予想以上の初期費用が発生してしまった
  • 退去時に原状回復を求められた
  • 業態が変わることで用途変更が必要となった

必要な設備がそろっていない

一概に居抜き物件といっても、実際の状態は物件によって大きく異なります。厨房設備や内装がほぼそのまま残っていることもあれば、一部だけが残っている場合もあります。

そのため、入居時のテナントの状態によっては、大規模な工事や設備導入などの手続きが必要です。

また、引渡し時に、什器の種類や数量が契約内容と異なることも考えられます。同時に、引き継いだ設備にリース契約の商品が含まれていることもあるため、注意が必要です。

こうした問題を未然に防ぐためには、契約内容をしっかりと書面に残すことが大切です。リース契約の設備が混在していた場合は、リース契約を引き継ぐか前テナントにリース品の返却を求めるか、事前に交渉すると良いでしょう。

老朽化により設備や造作が使えない

居抜き物件を検討する際によくあるトラブルの一つが、前テナントが使っていた設備や造作の老朽化です。

前のテナントが長期間使っている間に設備や造作が古くなり、使用に耐えられない状態になっていることがあります。さらに、設備の故障やメンテナンスの不十分さも問題となります。

例えば飲食店の場合、前テナントの退去から時間が経過していると、排水管の詰まりや水漏れが発生している可能性があります。

このようなトラブルを回避するためには、設備や造作の状態を契約時にしっかりと確認し、必要な修繕や改装の計画を立てましょう。

必要十分な衛生管理が行われていない

前テナントの衛生管理が不十分だと、建物内に汚れや害虫が残っている可能性があります。

衛生面に不安があれば、業者に依頼して物件内のすべての設備や内装をクリーニングすることで、オープン後も清潔な環境を維持できます。

また、建物の周囲に雑草やゴミが多いと害虫や悪臭の発生源になりかねないため、注意が必要です。

居抜き物件を選ぶ際には、内外の環境をチェックし、清潔で安心できる場所を選ぶよう心がけましょう。

前店舗のイメージを引き継いでしまう

居抜き物件は、内装を大幅に変更せずオープンできるのがメリットです。しかしその分、前テナントの評判に影響を受けやすい側面もあります。

前店舗で騒音などのクレームがあった場合、その印象が残ってしまうことも考えられます。

可能であれば、前テナントの評判やトラブルの有無を事前に調べておきたいところです。

何らかのトラブルが原因で店を閉じたとすると、別の物件を探すほうが無難だといえるでしょう。

予想以上の初期費用が発生してしまった

開業までにかかるコストを抑えられるのは、居抜き物件の大きな魅力ですが、場合によっては予想以上の費用が発生する可能性があります。

仮に前テナントの内装が新店舗のイメージに合わない場合は、大規模な工事が必要です。

このようなケースでは、まっさらの状態のスケルトンとは異なり、設備の撤去や解体などの工程が発生します。そのため、結果として費用がかさんでしまうことも考えられるでしょう。

また、前テナントの造作を承継する場合には、買い取り費用として譲渡料が発生するケースも珍しくありません。承継した造作が故障すると、後継テナントがメンテナンス費用を負担する必要があります。

居抜き物件を選ぶ際は、予想外のコストを見据えた資金計画を立てましょう。

退去時に原状回復を求められた

契約内容によっては、退去時に原状回復の義務が生じることもあります。原状回復を求められると、内装や設備を契約前の状態に戻す必要があるため、思わぬ工事費用が発生しがちです。

退去時に資金が足りなくなって慌てることがないよう、契約書を取り交わす際に退去時の条件を明確にしておくことが重要です。

賃貸借契約において、どの程度の原状回復が求められるか、どのような工事を行う必要があるかを契約書に記載することで、後々のトラブルを回避できます。

契約内容に合わせてしっかりと計画を立て、退去時の負担を軽減しましょう。

業態が変わることで用途変更が必要となった

飲食店から美容室といったように、新しくオープンする店舗と前テナントの業態が異なると、用途変更の手続きを求められることがあります。

用途変更とは、建物の使い道を変える際に、役所などに届出を提出する手続きです。以下の要件にあてはまる場合は、用途変更の手続きが必要です。

  • 新テナントが特殊建築物に該当する
  • 用途変更が必要な敷地の面積が200平方メートルを超える

特殊建築物とは、建築基準法で定められた特に厳しい制限が必要な建物を指し、飲食店やホテル、倉庫などが該当します。手続き自体は建築士に依頼しますが、費用は新たな借主が負担する必要があります。

費用は80~200万円程度と高額なため、その物件を選ぶメリットと費用の負担が釣り合うかどうかを十分に検討しましょう。

居抜き物件を検討する際の注意点

居抜き物件を検討する際の注意点

これまでお伝えしたようなトラブルを避けるためには、いくつか注意したいポイントがあります。

契約内容の確認や情報収集をしっかりと行い、安定した店舗運営を目指しましょう。

契約内容は書面で明確化する

契約後の思わぬトラブルを避けるためには、口頭での説明だけでなく、書面でしっかりと記録を残すことが大切です。

物件のオーナーと取り交わす賃貸借契約においては、契約開始日やフリーレント期間、退去時の引渡し状態の条件などを詳細に確認しましょう。

また、前テナントと取り交わす造作譲渡契約も重要です。

造作譲渡契約書を作成することで、どの設備を引き継ぐのか、どの程度の費用がかかるのかといった点を明らかにできます。契約内容が明確になるほど、後々のトラブルを未然に防げるでしょう。

細かい内容であっても曖昧な状態にせず、すべての条件を明確化しておきましょう。

リース契約が残っているか確認する

前テナントが設備をリース契約している場合、その契約を引き継ぐかどうかの判断が必要です。リース料は、後々の経営に影響を及ぼす可能性があるためです。

特に費用面で明確なメリットがなければ、新たにリース契約を結ぶか、設備を手放すことも視野に入れましょう。

また、前テナントにリース料の滞納があった場合、新しい借主に対してその支払い義務が発生することがあります。

リース契約の詳細をよく理解し、負担を最小限に抑えるための判断を行いましょう。

契約前に物件の状態を確認する

居抜き物件の契約の際は、オーナーから提供される情報だけでなく、実際に物件を訪れて設備の状態や衛生面、隣接する店舗、周囲の環境をチェックしておくことも大切です。

設備の老朽化や不具合があった場合、修繕や買い替えが必要になる可能性があります。事前に現物の使用感や購入時の年代などを確認することで、将来的に発生し得る突発的な出費を抑えられます。

物件まで足を運ぶのは時間や手間がかかります。しかし、ストレスなく店舗を開くためには、なるべく現地視察に労力をかけることをおすすめします。

前店舗の退去理由を調べる

前テナントで騒音や悪臭などのトラブルがあった場合、それが新テナントのイメージに悪影響を及ぼすことがあります。また、立地や周辺環境が集客に不利だったため、移転した可能性も考えられます。

そのため、可能であれば前テナントの退去理由を調査しておきましょう。

前テナントがネガティブな理由で退去していた場合は、物件の再検討や、内装によるイメージ刷新などの対策を講じる必要があります。

退去理由を調べるには、まず不動産会社に相談してみましょう。必ずしも退去理由を教えてくれるわけではありませんが、可能性があるならアプローチをかけてみるべきです。

あるいは現地視察を兼ねて周辺の定点観測を行い、自分なりの仮説を立ててみるのも一案です。

必要に応じて価格交渉する

賃料の交渉はオーナーと行い、造作譲渡料の交渉は前店舗と行います。

ここでは、それぞれのポイントを解説します。

賃料の交渉

賃料を交渉する際は、まず近隣物件の価格相場を調べましょう。そのうえで、希望する物件の賃料が明らかに高ければ、交渉の余地があります。

ただし、オーナー側は信頼できる人に長く借りてほしいと思っているものです。

一方的に要望を伝えるのではなく、オーナーのメリットを考えて交渉するよう心がけましょう。

例えば、交渉時に事業計画を伝え、ビジネスとしての継続性の高さをアピールするのが効果的です。すでに事業実績がある場合は、過去の取り組みや成功事例を共有するのも方法の一つです。

造作譲渡料の交渉

造作譲渡料とは、前テナントが利用していた造作を新テナントに譲るときにかかる費用です。

造作譲渡料を交渉する際は、前テナントの退去予定日が近日に迫ったタイミングを狙うと良いでしょう。

この時期は、次のテナントが決まらなければ原状回復工事が必要となります。そのため、造作譲渡料の値下げに応じてくれる可能性が高いといえます。

ただし、あまりにも直前のタイミングを狙うと、ほかのテナントが先に契約を進めてしまう可能性もあるため、注意が必要です。せっかくの良い物件を逃してしまわないよう、うまくバランスを取りながら交渉を進めましょう。

綿密な資金計画を立てる

飲食店の場合、物件の保証金や前家賃といった初期費用、備品や厨房設備の購入費などに、少なくとも数百万円の開業資金が必要といわれています。

スケルトン物件に比べて初期費用を抑えられる居抜き物件ですが、設備の不備による内装工事代やメンテナンスコストなど、思わぬ追加費用がかかることもあります。

また前述のように、造作譲渡料についても考慮しておきたいところです。

不測の事態が発生しても困らないように、しっかりと資金計画を立てておきましょう。

居抜き物件に強い不動産ポータルサイトを活用する

近年は居抜き物件の件数が増えているものの、賃料や立地などの条件が良い物件はすぐに埋まってしまいます。

そのため、居抜き物件に強い不動産ポータルサイトを活用して、スピーディーに情報収集を行いましょう。

「テナント連合隊」では、物件の賃料やエリアで絞り込み検索できるほか、居抜き物件の特集ページもあるため、理想の物件を見つけやすくなっています。

「テナント連合隊」で理想の居抜き物件を見つけよう

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居抜き物件を検討する際には、物件の状態や契約内容など、さまざまな要素を考慮しながら進めることが成功への鍵となります。トラブルを避けるためには、本記事で紹介したポイントを押さえ、しっかりと準備して臨みましょう。

テナント物件をお探しの方へ

貸店舗・貸事務所をお探しの際は、地域特化型テナント物件探し専門ポータルサイト『テナント連合隊』を活用してみてはいかがでしょうか。

路面店、居抜き物件コーナーなど、事業者目線で詳細な検索ができるようになっています。
『テナント連合隊』が、これから出店を考えている事業者様のお役に立てれば幸いです。

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この記事を書いた人: ラルズネット編集部

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