事務所物件を探す際は、従業員が働きやすい広さや設備・立地など、押さえておきたいポイントが数多くあります。
とはいえ、新しくオフィスを構える方からすると、何をチェックすれば良いのか分からない部分も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、事務所物件を探す際の条件の決め方や、具体的な探し方を解説します。オフィスを内見するときにチェックしたいポイントも解説しますので、参考になれば幸いです。
目次
事務所物件を探す際の条件の決め方

事務所物件を探す前に、必要な条件を決めます。条件の決め方は下記のとおりです。
- 必要な面積を計算する
- 予算を決める
- 希望条件を整理する
- 立地を選定する
希望する物件をスムーズに探すために、それぞれの項目をみていきましょう。
必要な面積を計算する
事務所物件を探す際に重要なのは、必要な面積を計算しておくことです。
オフィスが狭いとパーソナルスペースが確保できず、従業員がストレスを感じたり、生産性・集中力の低下を招いたりする恐れがあります。
事務所に必要な面積は、従業員の人数で計算します。従業員1人当たり2~3坪は必要といわれますが、「外回りが中心で事務所の滞在時間が短い」「テレワークで出社する機会が少ない」場合は、2.5坪程度でも問題ありません。
ただし、雇用人数を増やす予定があるなら、ある程度の余裕を確保します。
OA機器は場所をとるものも多いので、あらかじめ必要なスペースを計算しておきましょう。
また、会議や来客対応が発生する企業では、会議室・応接室も必要です。
予算を決める
事務所を構えるにあたってかかる費用を計算し、どのくらいの予算が確保できるか決めましょう。
初期費用だけでなくランニングコストも考慮しておかなければ、物件にかかる費用が高額になり、結果として企業の財政を圧迫する事態になりかねません。
事務所を構えるにあたってかかる初期費用の項目は、下記のとおりです。
- 賃料
- 敷金
- 保証金
- 仲介手数料
- オフィス家具の購入費用 など
オフィスの賃料は、売上総利益の10~20%程度に収めるのが一般的です。
とはいえ、事務所移転の場合は、引っ越し・原状回復工事にかかる費用が高額になるケースもあります。思わぬ出費に備えて、多めの予算を確保しておくと安心です。
希望条件を整理する
事務所を構えたい目的を明確にしたうえで、希望条件を整理します。
設定する目的の例は、下記のとおりです。
- 従業員の通勤の利便性を上げたい
- 企業イメージを上げたい
- 同業他社とのネットワークを構築したい
目的や希望条件によって、次のステップで選定する立地が変わります。
目的を決めた後は、以下のように設備内容の希望も決めておくと、物件探しがスムーズです。
- 駐車場の有無
- 共用設備の充実度
- 電気容量
- セキュリティー対策
設備内容のチェックポイントについては、「オフィス内見時のチェックリスト」で後述しますので、あわせてご覧ください。
立地を選定する
予算や希望条件などを設定し終えたら、立地を選定する段階です。
立地は企業イメージ・通勤の利便性に大きな影響を与えるため、慎重に選びましょう。
とはいえ、希望する立地が大まかすぎると物件探しが難航するため、まずは利用したい最寄り駅を3つ程度に絞るのがオススメです。
特定の業種が集まっているエリアを選ぶと、ネットワークを構築しやすいメリットがあります。
また、賃料を抑えたいなら、オフィス街ではなく住宅街で物件を探す選択肢もあります。
オフィスの立地選定については、下記の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
関連記事:オフィス 立地
事務所物件の探し方

予算や立地などの条件を決めたら、いよいよ実際に事務所物件を探します。事務所物件の探し方は、大きく分けて下記の3つです。
- 不動産ポータルサイト
- 希望エリアの不動産会社
- 自治体・商工会議所
それぞれのメリットや具体例を詳しくみていきましょう。
不動産ポータルサイト
事務所物件を探す際に最も手軽なのが、不動産ポータルサイトの利用です。
不動産ポータルサイトを使えば、希望条件に合った事務所物件を簡単に検索できます。
ラルズネットが運営する不動産ポータルサイト「テナント連合隊」では、テナント物件を各地に特化したサイト別に掲載していますので、ぜひご活用ください。
希望条件に合った物件が見つからない場合は、対象地域の不動産会社が物件を探してくれる「テナント物件リクエスト」サービスがあります。自力での事務所物件探しに行き詰ったときは、利用を検討してみてはいかがでしょうか。
希望エリアの不動産会社
事務所物件を探す際は、希望エリアの不動産会社に直接問い合わせる方法もあります。
不動産のプロと物件を探すことで、客観的なアドバイスをもらえるでしょう。
オーナーとの予算・契約条件の調整をおこなってもらえるのもメリットです。
実際に問い合わせるときは、住居物件ではなく、事務所物件を扱っている不動産会社に依頼しましょう。
住居用の賃貸物件をメインに扱っている不動産会社だと、事務所物件を扱っていない場合があります。
自治体・商工会議所
事務所物件を探す際に意外と見逃しがちなのが、自治体・商工会議所が持っている情報です。
たとえば福井県では、「福井県企業立地ガイド」を公開しています。
「駅に近い」「駐車場あり」などの条件で事務所物件を検索できるほか、補助金や税制優遇などの制度も掲載されています。
このように自治体・商工会議所では、事務所物件の情報を持っているケースがあるので、問い合わせてみるのがオススメです。
オフィス内見時のチェックリスト

ここまで事務所物件の探し方を解説してきましたが、契約する前には現地に訪問し、内見することも欠かせません。
この項目では、オフィス内見時のチェックポイントを解説していきます。
以下にチェックリストもご用意しましたので、内見の際にご活用ください。

関連記事:テナントを内見する際の注意点|9つのチェックポイントを徹底解説
設備
空調の種類
オフィスの空調は、大きく分けて2種類あります。メリット・デメリットを表にまとめました。
種類 | 温度管理の方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
個別空調 | 個室ごと | ・使っている個室だけ空調をオンにできる (光熱費の無駄がない) ・空調を個室ごとに調節できる (体調や感覚に合わせやすい) | ・使い過ぎで電気料金が高くなる場合がある ・設置スペースが必要 |
セントラル空調 | 建物全体 | ・増設やメンテナンスのコストが低い ・コアタイムの利用なら電気料金が別途かからないケースが多い | ・個別に空調を調節できない ・修理費が高くなりやすい |
自社の希望条件に合った空調設備を選びましょう。
電気容量
オフィスを内見する際には、自社で必要な電気容量が確保できそうかチェックするのがオススメです。
多くのオフィスビルでは、各階で使用可能な電気容量に制限があります。
どの程度の電気容量が必要なのか、事前に計算しておきましょう。
たとえば5人程度の小規模なオフィスなら、40Aが目安といわれています。
共用部
エントランス
エントランスは来客の第一印象を左右するため、適度な広さ・明るさがある物件が望ましいです。
来客対応が多い事務所では、とくに重視しましょう。
業種によっては、来客対応の時間帯が遅い場合もあります。
エントランスは19~20時ごろに閉まるオフィスビルが多いため、事前に開閉時間を確認しておきましょう。
トイレ
トイレをチェックする際は、少なくとも男女1名ずつ内見に行くのが望ましいです。内見者が男性のみ・女性のみだと、片方のトイレをチェックできない場合もあります。
内見時には以下のポイントをチェックするのがオススメです。
- 男女で別か
- 洋式か・和式か
- 便座の保温機能はあるか
- 温水洗浄便座はあるか
- ハンドドライヤーはあるか
- 鏡はあるか
障がい者を雇用する予定があるなら、多目的トイレの内見も忘れないようにしましょう。
エレベーター
エレベーターがある物件の場合は、台数と入居テナント数のバランスもチェックします。
入居テナント数が多いのにエレベーターは少ない物件だと、通勤時や昼休みに混雑が予想されるためです。とくに昼休みに外食をとる従業員の場合は、混雑によって時間が押してしまい、十分に休憩を取れなくなるかもしれません。
貨物用エレベーターの有無もチェックしましょう。貨物エレベーターがない物件で搬入を何回もおこなうと、移動に使いたいほかの入居者とトラブルになる恐れがあります。規定によっては毎回養生が必要になる可能性もあります。
喫煙所
従業員に喫煙者がいる場合は、オフィスビル内に喫煙所があると喜ばれるでしょう。
喫煙者同士でコミュニケーションが取れるスペースと捉えれば、息抜きや社内の人間関係構築にもなります。
ビル内に喫煙所がなければ、近隣に喫煙できるスペースがあるかチェックするのがオススメです。近くに喫煙所がないと、従業員が禁煙の場所で喫煙してしまう場合もあり、クレームや企業イメージの低下につながりかねません。
メールボックス
オフィス内見時に意外と見落としてしまうのが、メールボックスです。
とくに郵便物のやりとりが多い企業なら、必ずチェックしましょう。
メールボックスの設置場所やサイズを確認します。
駐車場
営業・通勤で自動車を使う場合は、駐車場が必要です。
オフィスビルや物件に駐車場がない場合は、近辺の月極駐車場を利用しなければなりません。
費用や利用制限についてチェックしておきましょう。
入居しているほかのテナント
のちのち思わぬトラブルにならないように、入居しているほかのテナントも確認します。
競合他社や取引先と頻繁に顔を合わせるのは避けたい場合もあるでしょう。1階に飲食店が入っているビルだと、不特定多数の利用客が出入りするため、セキュリティーに不安を感じるケースもあります。
また、入居しているほかの企業と文化が合わないと、従業員のストレスになる可能性もあります。「頻繁に大声が聞こえる」「共用部にごみが放置される」といった企業だと、従業員が不快になるためです。
共用部を内見する際は、以下のポイントにマナーが表れやすいです。
- 給湯室
- ごみ置き場
- トイレ
- 駐輪場
一度入居してしまうと簡単に移転できません。
快適に過ごすためにも、ぜひチェックしてみてください。
立地環境
立地環境が良い事務所は、従業員の満足度につながります。手続きや買い出し・ランチに適した場所が近くにあれば、利便性が高いです。
以下は、事務所物件の近くにあると便利な店舗の一例です。
- コンビニ
- 飲食店
- 銀行
- 郵便局
なお、飲食店が近くにあるとランチに便利ですが、匂いや騒音でトラブルになりやすい面もあります。強い匂いが出るような店舗が近くにある物件は、慎重に選びましょう。
管理会社
安心して業務に集中するには、管理会社の品質チェックも欠かせません。
管理会社の品質が悪いと、トラブルが起きたときに対応してもらえない恐れもあります。
管理費や共益費が多少高くても、対応・設備が良いなら安心して入居できるでしょう。
内見時は管理会社の品質を測るために、設備や清掃の状態をチェックするのがオススメです。
事務所物件を探すなら「テナント連合隊」!

事務所物件を探す際は、以下の流れで行動するとスムーズです。
- 必要な面積を計算する
- 予算を決める
- 希望条件を整理する
- 立地を選定する
- 事務所物件を探す
具体的に事務所物件を検索する段階では、不動産ポータルサイトの利用をオススメします。インターネットで条件に沿った物件を絞れるため、時間の節約にも効果的です。
ラルズネットが運営する「テナント連合隊」では、地域に特化して物件を検索できますので、ぜひお役立てください。
理想的な事務所物件に入居するための一助となれば幸いです。