テナント契約の初期費用はいくら?項目ごとの相場や安く抑えるコツを解説

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テナント契約の初期費用はいくら?項目ごとの相場や安く抑えるコツを解説

飲食店や小売店などの開業にあたり、テナント契約時の初期費用がどの程度かかるのか、気になっている方もいるのではないでしょうか。

テナント契約の初期費用には、敷金・礼金・賃料といった多様な種類があるため、詳細をイメージするのが難しいものです。

あらかじめ必要な費用の種類や目安を把握しておくと、資金計画に関する詳細なシミュレーションが可能です。結果として適切な予算を設定できるため、開業後も安定した店舗経営につながります。

本記事では、初期費用の内訳ごとに概要や相場を詳しく解説します。コストを最小限に抑えるコツも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

テナント契約の初期費用の内訳

テナント契約の初期費用の内訳

テナント契約とは、商業施設やオフィスビルなどの一画をオーナーから借り受ける賃貸借契約のことです。

賃貸借契約であることから敷金や礼金、賃料といった費用が発生します。また、各種手数料や保険料が必要になることもあるため、項目ごとの特徴や相場を押さえておくことが大切です。

ここでは店舗用テナントを例に挙げ、初期費用の種類や相場を紹介します。各費用の相場は物件や地域によって差があるため、あくまで目安として参考にしてください。

敷金(保証金)

敷金とは、賃料の未払いや内装の損傷などが生じた際に備え、借主から貸主に預け入れておくお金です。近畿地方や中国地方など、一部の地域によっては保証金と呼ばれています。

敷金は、退去時に原状回復費用や未払賃料などを差し引いた金額が返還されます。そのため、返還される金額が減少しないよう、契約前に原状回復の要件をしっかりと確認しておくことが大切です。

テナントのような事業用の物件は、居住用よりも敷金が高額になる傾向があります。相場は賃料の10~12ヶ月分と、開業資金を大きく圧迫する初期費用の一つなので、多数の物件を比較して自店にとって適正な価格を検討しましょう。

相場賃料の10~12ヶ月分
消費税非課税
退去時の返還退去時に一部金額を返還

礼金

礼金とは、物件を借りる際のお礼として支払うお金のことです。敷金とは異なり、礼金は退去時に返還されません。

また、契約する物件によっては礼金が不要なケースや、そもそもその地域に礼金というシステムが存在しないこともあります。敷金ではなく保証金を採用する地域では、礼金を取らない代わりに敷引き(退去時に返還する保証金から一定額を差し引く制度)が用意されている場合もあります。

物件の貸主は、次の入居者を募集する際に、情報誌などに支払う広告宣伝費として礼金を充当するのが一般的です。

相場賃料の1~2ヶ月分
消費税課税
退去時の返還原則として返還なし

前家賃

前家賃とは、テナントに入居する当月と次月の賃料を前もって支払う費用です。物件の貸主にとっては賃料滞納のリスクを緩和できます。

賃料が発生する月に契約する際は、入居日から月末までの賃料を日割り計算した金額と、次月の賃料をまとめて支払うのが一般的です。

物件によっては3ヶ月分の前家賃が必要になることもあるため、予算に余裕を持たせておくと良いでしょう。

相場賃料の2~3ヶ月分
消費税課税
※居住用と違い事業用には消費税が発生
退去時の返還原則として返還なし

共益費

共益費とは、テナント物件の共用スペースを管理・維持するための費用です。

共益費には共用スペースの水道光熱費や清掃費、メンテナンスコストなどが含まれています。物件によっては、共益費が賃料に含まれていることもあります。

共益費は賃料の5~10%を目安に考えておくと良いでしょう。

この数値があまりにも低い場合、共用スペースの設備が古い、あるいは十分なメンテナンスが行き届いていない可能性も考えられるため、現地視察の際に確認するのがおすすめです。

相場賃料の5~10%
消費税原則として課税
※区分管理される水道光熱費などは非課税になることもある
退去時の返還原則として返還なし

仲介手数料

仲介手数料とは、不動産の売買・賃貸借契約を結ぶ際に、その仲立ちをした不動産会社に支払う費用です。交渉や手続きのサポートを行う不動産会社に対する、成功報酬の意味合いがあります。

国土交通省の定めにより、仲介手数料は「賃料の1ヶ月分+消費税」という上限が決まっています(法的効力は宅地建物取引法で規定)。

合計金額が上限までにおさまれば、貸主・借主の両者から受け取る仲介手数料の金額に制限はありません。

参考:国土交通省|宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額

相場賃料の1ヶ月分
消費税課税
退去時の返還原則として返還なし

保険料

テナント契約と同時に保険契約を求められる場合があります。火災保険や生産物賠償責任保険(PL保険)、施設賠償責任保険などが代表例です。

不動産会社が保険のプランを提案してくれるケースも珍しくありません。

ただし、よりコストパフォーマンスの高い保険がある場合は、自身で商品を選んで加入することも可能です。

相場月々5,000円程度
消費税非課税
解約時の返還保険の種類や条件によっては返戻金が受け取れる

保証会社利用料(保証委託料)

賃貸借契約を結ぶ場合は、保証会社への加入が義務付けられていることがあります。

保証会社に加入することで、万一賃料が払えなくなった場合に、保証会社が立て替えてくれる仕組みです。ただし、賃料を滞納すると、保証会社に手数料を上乗せした賃料を返済しなければなりません。

保証会社への加入が義務化されている場合は、保証会社利用料(保証委託料)が発生します。

相場賃料の0.5~1ヶ月分
消費税非課税
退去時の返還原則として返還なし

申込金

申し込みだけして契約直前にキャンセルするような事態を防ぐため、不動産会社によっては申込金の制度を用意していることがあります。利用者にとっては、人気のある物件を優先的に確保するのが申込金の役割です。

ただし、申込金を支払ったからといって、必ずしも契約に至るわけではありません。その代わり、契約に至らない場合は申込金を全額返金する旨、宅地建物取引業法施行規則により定められています。

とはいえ申込金を支払った証拠を残すためにも、預り証を発行してもらうことをおすすめします。

参考:e-Gov|宅地建物取引業法施行規則

相場賃料の1ヶ月分
消費税非課税
費用の返還契約に至らない場合は全額返還
※契約後は契約金の一部に充当されるのが一般的

そのほかの費用

テナント契約で店舗を開く際は、次のような費用も念頭に置いておきましょう。開業する目的や物件の種類によって、必要な費用と不要な費用が異なります。

  • 造作譲渡料:
    前テナントが使っていた内装や設備を引き継いだ状態を居抜きと呼ぶ。居抜き物件を契約する際に、前テナントの造作(以前の借主が独自に備え付けた設備)が残っていると、それを引き継ぐための譲渡料が発生することがある。
  • 設備購入費:
    前テナントの設備を引き継がないスケルトン物件の場合は、自身で設備を新調する必要がある。そのため、初期費用が高額になりやすい点に注意。居抜き物件の場合でも、以前の設備が古いとすぐに買い替えることになるため、内見で設備の状態をしっかりと確認する。
  • 内装工事費:
    スケルトン物件はもちろん、居抜き物件でも注意が必要。前テナントの内装の状態が悪いと、高額な内装工事費が発生する可能性も考えられる。設備と同様、内見で内装の状態をチェックすることが大切。

テナント契約の初期費用を安く抑える方法

テナント契約の初期費用を安く抑える方法

開業時は長期的な収益性を見通すのが難しいからこそ、初期費用を抑えるコツを理解することが大切です。

以下のような方法を活用することで、開業時の費用とともにリスクを最小化できるでしょう。

敷金や礼金が不要な物件を探す

テナント物件のなかには、敷金・礼金が発生しない、あるいは他物件と比べて安いことがあります。

特にテナント契約の初期費用のなかでも、敷金は高額な傾向があるため、さまざまな選択肢を比較してコストを抑えられる物件を選別することが重要です。

ただし、他物件に比べて敷金が安い場合、原状回復費用が高額になるケースも考えられます。

そのため、原状回復の要件や費用などもあわせてチェックしておくと良いでしょう。

仲介手数料が安い不動産会社に相談する

敷金や礼金と同様、仲介手数料も条件次第で価格に差が生まれやすい費用です。

そのため、物件だけでなく不動産会社も複数の選択肢を比較し、費用の安さを検討しましょう。

不動産会社が所有するテナント物件の場合は、仲介手数料が無料に設定されていることもあります。また、閑散期限定で割引キャンペーンを実施している不動産会社も存在します。

ただし、仲介手数料の安さだけで不動産会社を選ぶと、物件の選択肢が狭まりやすい点や、人気の低い物件を紹介されることがある点には注意が必要です。

仲介手数料が有料・無料の両ケースを比較し、紹介される物件の傾向を把握しましょう。初期費用を抑えることは重要ですが、コストと物件の見つけやすさのバランスを考慮することも大切です。

賃料や保険料などが下がるように交渉してみる

契約したい物件の賃料などが高いと感じている場合、値下げ交渉が効果的です。

値下げ交渉を行う際は、まずさまざまな情報を収集・調査しましょう。

例えば、周辺地域の賃料相場を正確に把握し、その情報をもとに事業計画を立てます。事業計画にもとづき、賃料がどの程度下がると安定経営が可能なのか客観的に説明すると、オーナーからの納得が得やすくなります。

また、空室の状態が長期化している物件の場合、値下げ交渉に応じてくれる可能性が高いでしょう。

反対に人気が高いエリアにある物件や、オーナーではなく管理会社とやり取りするケースでは、家賃交渉の難易度が高まります。

初期費用を計画した後は「テナント連合隊」で物件を検討しよう

初期費用を計画した後は「テナント連合隊」で物件を検討しよう

テナント契約を結ぶ際は、敷金・礼金・共益費などの多様な種類の初期費用が発生します。開業時のコストを抑えるには、費目ごとの特徴や相場を知り、適切な予算を設定することが大切です。

貸店舗・貸事務所をお探しの際は、地域特化型テナント物件探し専門ポータルサイト『テナント連合隊』を活用してみてはいかがでしょうか。

路面店、居抜き物件コーナーなど、事業者目線で詳細な検索ができるようになっています。
『テナント連合隊』が、これから出店を考えている事業者様のお役に立てれば幸いです。

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この記事を書いた人: ラルズネット編集部

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