北海道では、北海道庁や自治体が中心となり、企業誘致に向けた幅広い施策が展開されています。
なかでも特に、起業時に役立つ支援制度が豊富です。自治体によっては補助金や低金利融資、創業塾など、多様な種類の支援制度が用意されています。
起業時にこのような制度を活用することで、開業コストの負担を抑えられるほか、よりスムーズにビジネスを立ち上げられるでしょう。
本記事では、北海道全域で使える7種類の起業支援制度を紹介します。また、サポートが充実している自治体や具体的な制度内容も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
北海道全域で使える起業時に役立つ支援制度7選
ここでは、北海道庁や公益財団法人 北海道中小企業総合支援センターなどが提供している、7種類の起業支援制度を紹介します。以下の制度はすべて、特定の地域だけでなく北海道全域で活用できるのがポイントです。
- 起業支援金
- 創業促進支援事業
- 中小企業総合振興資金
- 北海道スタートアップビザ制度
- 創業サポート相談室
- 北海道web創業塾
- エンジェル税制(国が提供)
起業支援金
北海道では地域再生計画にもとづき、多くの地域課題、特に人口減少や高齢化といった問題解決に取り組んでいます。
地域の活性化や魅力的なまちづくりの推進、社会福祉の拡充などが主な焦点となっています。この計画の一環として、道内での起業家を支援する起業支援金を提供しています。
起業支援金は、デジタル技術を用いて地域社会が抱えている課題解決を図る、社会的事業が対象です。
条件を満たすことで、起業時に必要な設備購入費やオフィス賃料、人件費などの一部を補助金として受け取れます。補助率は2分の1以内、補助金の上限額は200万円です。
※2023年10月に執筆した記事です。最新情報は北海道庁ホームページ|起業支援金をご確認ください。
創業促進支援事業
創業促進支援事業は、公益財団法人 北海道中小企業総合支援センターが運営している事業です。
道内で新たな事業所を設けてビジネスを始める方に、最大100万円が支給されます。対象経費は、主に原材料費や外注費、デザイン開発費、オフィス賃料などです。
起業支援金に比べて補助金額が低いものの、条件が少ないため、申請しやすいメリットがあります。
同法人はほかにも、地域資源を活用した新商品開発を支援する「地域資源活用型事業化実現事業」や、製品開発の事前検証をサポートする「製品開発チャレンジ支援事業」なども展開しています。
札幌市や旭川市、函館市などの北海道各地に拠点があるため、まずは気軽に相談してみると良いでしょう。
※2023年10月に執筆した記事です。最新情報は公益財団法人 北海道中小企業総合支援センター|創業促進支援事業をご確認ください。
中小企業総合振興資金
道内の中小企業を対象に、金融機関を通じて低金利融資を受けられる制度です。三井住友銀行や三菱UFJ銀行など、創業間もない場合でも大手金融機関から資金調達できる可能性があります。
中小企業総合振興資金には、創業貸付やステップアップ貸付、事業承継貸付などの種類が存在します。
創業貸付の場合は、10年以内の融資期間で最大3,500万円の資金調達が可能です。変動金利の場合は年利1.1%、固定金利だと融資期間に応じて年利1.1~1.7%で融資を受けられます。
※2023年10月に執筆した記事です。最新情報は北海道庁ホームページ|北海道の中小企業向け融資制度をご確認ください。
北海道スタートアップビザ制度(外国人起業活動促進事業)
外国人の方が北海道スタートアップビザ制度に申請することで、特定の条件を満たせば、最長1年間の在留資格が付与されます。この期間を活用して、日本国内で起業の準備を進められるのがポイントです。
対象事業は次の通りです。
- 農林水産業の発展と成長を促進する事業
- 地域資源を活用した食品産業の振興を促進する事業
- 観光産業の先進地域の実現を促進する事業
- 製造業の高付加価値化を促進する事業
- 新規産業創出にかかわる事業
- 知事が重要と判断した事業
※2023年10月に執筆した記事です。最新情報は北海道庁ホームページ|「北海道スタートアップビザ制度(外国人起業活動促進事業)」についてをご確認ください。
創業サポート相談室
起業に関して気軽に相談できる窓口です。北海道庁や自治体が提供する支援制度や融資はもちろん、起業に関する些細な疑問や悩みでも相談できます。
本庁がある札幌市のほか、旭川市や岩見沢市、帯広市など、振興局(管轄区域の事務作業を担う支庁)ごとに窓口が用意されています。
起業先となる地域に合わせて相談窓口を選べるのがメリットです。
※2023年10月に執筆した記事です。最新情報は北海道庁ホームページ|創業サポート相談室をご確認ください。
北海道web創業塾
行政書士や税理士などの講師を招いて開催される創業研修制度です。
YouTubeに講義動画が投稿されており、誰でも無料で受講できます。
事業計画や資金計画の立て方、マーケティングの基礎知識など、自宅から手軽に学べるのが利点です。また、不明点や重要ポイントを繰り返し復習できるのもメリットです。
サンプルとなる事業計画書をダウンロードできるため、学習した内容をスムーズに活かせるでしょう。
※2023年10月に執筆した記事です。最新情報は北海道庁ホームページ|北海道web創業塾をご確認ください。
エンジェル税制(国が提供)
エンジェル税制は、ベンチャー企業への投資を促す目的で、個人投資家に税制上の優遇を与える制度です。国が提供している制度ではあるものの、申請書は北海道庁の窓口に提出します。
個人投資家は、優遇措置Aと優遇措置Bの2種類から選択できます。
- 優遇措置A:
「対象企業への投資額-2,000円」分が1年間の総所得金額から控除 - 優遇措置B:
対象企業へのすべての投資額が1年間の株式譲渡益から控除
優遇措置の恩恵を受けられるのは投資家ですが、企業はこの制度を投資家に訴求することで、資金調達をよりスムーズに進められる利点があります。
※2023年10月に執筆した記事です。最新情報は北海道庁ホームページ|エンジェル税制についてをご確認ください。
北海道で起業支援制度が充実している自治体
北海道では、各地域の自治体が多くの起業支援制度を提供しています。
ここでは、起業支援制度が充実している自治体を5つ紹介します。
札幌市
北海道最大の人口規模を誇る札幌市。市街地には商業施設や宿泊施設、オフィスビルが林立していることから、道内で起業するには最適な環境だといえるでしょう。
起業に関する支援制度が充実しているのも札幌市の特徴です。補助金や融資といった資金的なサポートに加え、セミナーや施設提供などの支援も行っています。
代表的な起業支援制度は次の通りです。
- さっぽろ新規創業促進補助金
- 創業者向け融資制度
- 創業者向けセミナー
- インキュベーション施設「SAPPORO BUSINESS VILLAGE」
- 女性起業家に向けた相談窓口や交流会
※2023年10月に執筆した記事です。最新情報は札幌市ホームページ|創業予定の方、創業間もない方への支援をご確認ください。
函館市
函館市では、助成金額が高額な「創業バックアップ助成金」を提供しています。優れた事業計画書を提出し、特定の条件を満たすと、最大500万円(35歳未満の若者枠は最大100万円)の助成金が受け取れます。
ほかにも次のような起業支援制度があります。
- 創業支援セミナー
- ビジネスプラン作成スクール(創業プラン作成講座)
- 金融機関や税理士などによるフォローアップ
セミナーや創業塾が充実しているのは函館市ならではの特徴です。無料で参加できるセミナーや創業塾もあるため、ビジネスアイデアの参考や人脈形成などに役立ててください。
※2023年10月に執筆した記事です。最新情報は函館市ホームページ|創業支援事業をご確認ください。
千歳市
千歳市には、北海道の玄関口となる新千歳空港があります。関東や関西、九州などの離れた地域にも移動しやすいため、出張の機会が多い方におすすめの地域です。
千歳市では、「千歳市創業支援等事業計画」にもとづき多数の起業支援制度が用意されています。代表的な支援制度は次の通りです。
- 中心商店街等空き店舗利用促進事業
- 千歳市中小企業振興融資(新規開業支援資金)
- 創業支援セミナー
- イノベーション人材育成セミナー
- 起業家向けの相談窓口
※2023年10月に執筆した記事です。最新情報は千歳市ホームページ|起業・創業をご確認ください。
関連記事:千歳市に移住した際の住みやすさは?補助金や支援制度を紹介
釧路市
釧路市は道東に位置する港町です。釧路港の周辺に食料品工場や製紙工場、医薬品製造工場などが乱立する臨海工業都市として知られています。
釧路市では、次のような充実した起業支援制度が用意されています。
- 釧路市中小企業融資制度(創業支援資金・信用保証料補助制度)
- 空き店舗等活用促進事業補助金
- くしろ地域創業スクール
- 釧路市ビジネスサポートセンター
- 株式会社k-Hackが実施するスタートアップ人材創出事業
「くしろ地域創業スクール」を修了すると、商工会議所の経営指導員や専門家によるアフターサポートが受けられます。創業計画書の策定や開業準備などを支援してもらえるため、釧路市で起業を考えている方におすすめです。
※2023年10月に執筆した記事です。最新情報は釧路市ホームページ|スタートアップ・ベンチャー・創業支援をご確認ください。
関連記事:釧路は住みやすい?移住のメリットと注意点を徹底解説
恵庭市
「起業メンター制度」と呼ばれる独自の起業支援制度を提供しているのが、恵庭市の特徴です。
自治体に相談することで、「起業ネットワーク恵庭」のなかから先輩起業家が選出されます。無料で起業に関する悩みを相談できるほか、先輩起業家の体験談を聞けるのがメリットです。
恵庭市では、次のような起業支援制度を提供しています。
- 起業家育成資金
- 起業支援事業補助金
- 起業支援相談員による個別相談会
- 起業メンター制度
※2023年10月に執筆した記事です。最新情報は恵庭市ホームページ|起業・創業をご確認ください。
関連記事:北海道恵庭市へ移住したい!街の魅力や支援制度を徹底解説
支援制度を有効活用して北海道での起業を成功させよう
北海道では、起業家を支援するさまざまな制度が用意されています。補助金や助成金を使って開業コストを最小化できるほか、セミナーや相談窓口で起業前に悩みを解消するのも良いでしょう。
この記事で紹介した内容を参考に、ぜひ気になる支援制度を活用してみてください。
起業時に北海道へと移住する方は、まず地域特有の性質を理解することが大切です。こちらの記事で、北海道に移住するメリットを詳しく解説していますので、参考にしてください。