オフィスを構えるにあたって適した立地を選ぶ際は、交通アクセスや周辺の店舗などをチェックしましょう。ポイントを押さえたうえで立地を選定すれば、ランニングコストの削減や、従業員の生産性向上にも効果的です。
本記事では、オフィス選びで立地が重要な理由を解説したうえで、選定のポイントを5つお伝えしていきます。
オフィスを借りるコストを抑える方法も紹介しますので、参考になれば幸いです。
目次
オフィス選びで立地が重要な理由

オフィス選びで立地を選定するポイントについて解説する前に、立地が重要な理由を押さえておきましょう。ここでは、次の4つを解説します。
- 生産性が向上する
- 求職者にとって魅力になる
- モチベーションの向上につながる
- ランニングコストの大きさを左右する
立地の重要性を把握すれば、自社にとって重視すべきポイントもわかります。
立地を選定する際に明確な優先順位をつけるためにも、それぞれ詳しくみていきましょう。
生産性が向上する
良い立地のオフィスを選ぶと、生産性の向上に寄与します。その理由はおもに2つです。
- 従業員の通勤時間が短縮する
- 取引先とのコミュニケーションが取りやすくなる
1.従業員の通勤時間が短縮する
交通アクセスが良い立地のオフィスを選ぶと、従業員の通勤時間が短縮できます。従業員の通勤時間が短縮できれば、心身にかかる疲労を軽減でき、生産性の向上が期待できます。
株式会社AlbaLinkが通勤に1時間以上かけている人に対しておこなった「通勤時間のストレスに関する意識調査」によると、「通勤時間にストレスを感じる」人は84.6%にのぼりました。
以上の調査結果から、通勤時間は従業員にストレスを与えているとわかります。強いストレスは生産性を下げるため、通勤時間の短縮は生産性向上に効果的といえます。
2.取引先とのコミュニケーションが取りやすくなる
交通アクセスが良いオフィスは、取引先とのコミュニケーションが取りやすくなる点もメリットです。
緊急時に取引先へ駆け付けやすくなれば、迅速な対応ができます。移動にかける時間が少なくなり、その分を密なコミュニケーションに充てられるため、顧客満足度もあげられるでしょう。
このように良い立地のオフィスは、従業員の業務・取引先とのコミュニケーションに対する生産性を向上する効果があります。
求職者にとって魅力になる
立地の良いオフィスは、求職者にとって魅力的なので、採用活動を効果的におこなえます。
企業選びの際に、通勤のしやすさを重視する求職者は多いためです。
株式会社学情がおこなった「20代転職意識調査」によれば、「求人を探す際に妥協できない条件」は「勤務地」が62.2%と最も多い結果でした。
また、同じく株式会社学情の「通勤時間の変化に関する調査」によれば、テレワークを経験した人の69.7%が「通勤時間を短くしたい」と答えました。多くの転職希望者がオフィスの立地を重視しているとわかります。
通勤がしやすい立地にオフィスを構えれば、多くの求職者にとって魅力的に映り、結果として優秀な人材にも応募してもらいやすくなります。
モチベーションの向上につながる
通勤時間が短縮されれば、心身にかかるストレスが減るため、仕事に対するモチベーションを高く保ちやすいです。
プラス株式会社ファニチャーカンパニーの「職場の居心地WEB調査」によれば、通勤時間を苦痛に感じている人は、そうでない人に比べて仕事に対するモチベーションが20.3ポイントも低いという結果が出ています。
立地が良く通勤しやすいオフィスなら、仕事へのモチベーションを高く維持できるでしょう。
ランニングコストの大きさを左右する
オフィス選びで立地が重要な理由は、ランニングコストを構成する要素としての割合が大きいためです。
都心や駅チカな事務所物件ほど賃料が高い傾向にあり、ランニングコストがかさんでしまいます。
事務所物件の賃料を安く抑えられれば、固定費の削減になり、結果として経営の安定化につながります。
政府統計の総合窓口で公開されている「令和2年企業の管理活動等に関する実態調査(調査対象産業分類別費用構成比(企業全体の販売費及び一般管理費))」によれば、企業の販売費・一般管理費に対する不動産賃貸料の割合は平均して4.36%で、68項目の中で9番目に多いです。不動産賃料を安く抑えると、少なくない割合の支出が削減できるとわかります。
とはいえ、コスト削減を重視しすぎて顧客や従業員の満足度が下がってしまうのは本末転倒です。
オフィスを構えたい立地のメリットと支出のバランスを考えて決めましょう。
オフィスの立地を選定するポイント

オフィスの立地を選定するポイントは、5つあります。
- 交通アクセス
- 賃料
- 周辺の業種
- 周辺の店舗
- 治安
それぞれのポイントを押さえ、物件探しをスムーズにおこないましょう。
交通アクセス
オフィスの立地を選定する際は、交通アクセスが良いかチェックします。「オフィス選びで立地が重要な理由」で前述したとおり、交通アクセスの良さは従業員の生産性向上・求職者に対する魅力のアピールになります。
社外との打ち合わせが頻繁にある企業なら、顧客の利便性向上にも効果的です。
具体的なチェックポイントをみていきましょう。
- 最寄り駅から徒歩圏内(できれば5分前後)であるか
- 多様な交通手段を選べるか(地下鉄やJRなど)
- 目印になるような建物があるか
複数の路線が入るターミナル駅の近くも、通える範囲が広がるのでオススメです。
降雪量が多い地域なら、地下道がある立地だと悪天候でも通勤しやすくなります。
また、自家用車や自転車で通勤する従業員のために、近隣に駐車場・駐輪場が確保できるかもチェックしておきましょう。
賃料
平均賃料はエリアごとに異なるため、自社の経営状況に合わせた立地を選びましょう。
オフィスの賃料は、粗利(売上総利益)の10~20%に収めるのが望ましいといわれています。
仮に20万円の事務所物件を借りるとすれば、売上総利益は200~400万円は必要な計算です。
なお、地方創生推進事務局が公開する「賃貸オフィスビル市場の動向について」によれば、全国ビジネス地区の平均賃料は下記のとおりです。
エリア | 平均賃料 (単位:円/坪) ※2020年12月時点 |
---|---|
東京 | 21,999 |
大阪 | 11,925 |
名古屋 | 11,819 |
札幌 | 9,468 |
仙台 | 9,316 |
横浜 | 12,271 |
福岡 | 11,086 |
また、同じ東京都でも、渋谷区は23,816円/坪である一方で、中央区は19,723円/坪と約4,000円の差があります。
不動産ポータルサイトでエリアを絞って検索すると、賃料の傾向が掴みやすいので、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
ラルズネットが運営する不動産ポータルサイト「不動産連合隊」なら、細かく条件を付けて検索できますので、活用してみてください。
周辺の業種
周辺に同業者が集中しているエリアは一長一短なので、慎重な検討が必要です。
同業他社が多いと、「〇〇業ならこのエリア」というように立地のブランドイメージが高まる場合もあります。ブランドのある立地にオフィスを構えれば、企業のイメージアップにつながるほか、人脈づくりにも効果的です。
一方で、同業他社の存在により競争で勝てなくなったり、情報漏えいのリスクが上がったりするデメリットもあります。
希望する立地の同業他社を調べ、「相乗効果が狙えるか」「競争で勝てる見込みがあるか」をチェックしましょう。
周辺の店舗
従業員の日常的なニーズを満たすためには、周辺の店舗もチェックすべきポイントです。
ランチや軽い打ち合わせに使えるようなカフェ・飲食店があると便利です。
経理関係の手続きのために、銀行・郵便局が近くにある立地も適しています。
また、日用品やオフィス用品の買い出しをおこないたいときには、コンビニエンスストアや書店が近くにあると調達しやすいです。
治安・環境
従業員が安全かつ快適に働くために、治安や環境もリサーチしましょう。
治安をリサーチする際は、住民の口コミも参考になりますが、警察が公開している犯罪統計も公平な視点で調査できるのでオススメです。
たとえば北海道警察が公開している「犯罪発生・検挙状況(札幌方面)」によると、2024年9月末時点での犯罪状況は下記のとおりです。
エリア | 犯罪認知件数 (2024年1~9月) | 人口 | 人口に対する犯罪認知件数の割合 |
---|---|---|---|
全市 | 9,076 | 1,956,552 | 0.49% |
中央 | 1,692 | 245,764 | 0.69% |
北 | 1,616 | 284,440 | 0.57% |
東 | 1,177 | 260,556 | 0.45% |
豊平 (清田区も含む) | 1,057 | 336,517 | 0.31% |
西 | 942 | 218,819 | 0.43% |
白石 | 854 | 213,487 | 0.40% |
厚別 | 630 | 123,482 | 0.51% |
南 | 603 | 133,569 | 0.45% |
手稲 | 505 | 139,918 | 0.36% |
参考:北海道警察「犯罪発生・検挙状況(札幌方面)」
札幌市「年齢・地域別人口(住民基本台帳人口)」(令和6年10月1日現在)
人口に対する犯罪認知件数の割合を算出すると、「犯罪認知件数は少ないけど割合をみると高い」「報道や口コミから感じていたイメージより低い」といったことがわかります。
また、実際に現地に訪問し、夜間の街灯の明るさ・騒音・匂いなどもチェックしましょう。とくに騒音や匂いなどは現地でなければわからない部分が多いため、ぜひ周辺を訪れてみてください。
オフィスを借りるコストを抑える方法

オフィスを借りる際には、かかる費用を可能な限り抑えたい方も多いのではないでしょうか。
事務所を安く借りる方法は、以下のとおりです。
- 必要最低限の広さを計算する
- 平均賃料が安い立地で探す
- レンタルオフィス・シェアオフィスも検討する
- 居抜き物件も検討する
- フリーレント物件も検討する
- 相見積もりを取る
- オーナーと交渉する
とくに「必要最低限の広さを計算する」のは、不要な賃料を支払わないためにも重要です。快適な労働環境を確保するためには、1人当たり2~4坪の面積が必要といわれます。
従業員の人数から必要最低限の広さを計算し、適したオフィスを借りるとコストが抑えられます。
事務所を安く借りる方法は、下記の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
関連記事:事務所を安く借りるには?譲歩しないほうがよいポイントも解説
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ビジネスに適した立地のオフィスを選べば、従業員の生産性・モチベーションの向上につながります。
オフィスの立地を選定する際は、下記のポイントをチェックしましょう。
- 交通アクセス
- 賃料
- 周辺の業種
- 周辺の店舗
- 治安
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