テイクアウト店向け物件の選び方|開業時の流れや注意点も紹介

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テイクアウト店向け物件の選び方|開業時の流れや注意点も紹介

テイクアウト専門店の経営を検討している方にとって、物件選びは重要なステップです。とはいえ、どのようなポイントを押さえるべきか分からない場合も多いでしょう。

テイクアウト店向けの物件を選ぶ際は、立地や設備だけでなく、ターゲット層・駐車スペースの有無などもチェックする必要があります。

本記事では、テイクアウト店向けの物件の選び方や、探すときのポイントについて詳しく解説していきます。テイクアウト専門店の向き不向きについてもお伝えしますので、開業ジャンルで迷っている方も、ぜひ参考にしてみてください。

テイクアウト専門店とは?需要や向き不向き

テイクアウト専門店とは?需要や向き不向き

テイクアウト専門店とは、店内に座席を設けず、持ち帰りのみでメニューを販売する形式です。

持ち帰って自宅で食事を摂るスタイルは中食とも呼ばれ、近年ニーズが高まっています。

テイクアウト専門店の需要や、提供メニューの向き不向きを解説していきます。

テイクアウトの需要

近年のコロナ禍の影響で、テイクアウトのニーズは確実に増加しました。

株式会社橋本商会が行ったアンケートによれば、テイクアウトを利用した人の57.7%が、コロナ終息後もテイクアウトを利用したいと答えています。食事を作りたくないときでも美味しい料理が手に入り、自宅でゆっくり食べられる点が人気の理由です。

コロナ禍でテイクアウトの便利さを知った利用者が、終息後に中食を止めるとは考えづらいです。

テイクアウト専門店の需要は、今後も高まっていくと考えられます。

参考:PR TIMES「コロナ前後で7割の人が「テイクアウトの利用頻度は増えた」と回答!テイクアウトをする理由と失敗エピソード」

テイクアウト専門店の向き不向き

テイクアウト専門店のニーズは高まっているものの、提供メニューには向き不向きがあります。

提供メニューとして向いているもの・向いていないものの例を、下記の表にまとめました。

テイクアウトに向くメニューテイクアウトに向かないメニュー
おにぎり
パン
クレープ
焼き鳥
餃子
生卵・半熟卵
レアな焼き加減の肉
刺身
海鮮丼
ラーメンなどの麺類

テイクアウトに向いているのは、食事中に手が汚れづらく、こぼれにくいメニューです。

持ち帰りの時間が発生するため、冷めても美味しいか、手軽に自宅で温められるメニューが人気。

対して、テイクアウトに向かないのは、食中毒の危険があるもの・冷めたら美味しくないものです。歩きながら手に持って食べる利用客もいるので、両手で支えないといけない丼もの・麵ものも向きません。

ご自身の検討しているメニューが、テイクアウトに向いているか考える際、参考にしてみてください。

テイクアウト店向けの物件の選び方

テイクアウト物件の選び方

テイクアウト専門店を開業する際、重要なのが物件選びです。物件の選び方としてチェックすべき項目は、下記のとおりです。

  • 立地を考慮する
  • デリバリーサービスがしやすい物件を選ぶ
  • 居抜き物件も検討する

テイクアウトの需要が高まっているとはいえ、物件選びに失敗すると売上に繋がらないため、しっかり確認しましょう。

立地を考慮する

テイクアウト専門店は室内での飲食・接客がないため、基本的に立地選びは自由です。小規模で良いぶん、通常の飲食店より物件選びの選択肢が多いといえるでしょう。

とはいえ、売上を向上させるためには、以下の点は注意したいところです。

  • ターゲット層が来客しやすいか
  • 競合が少ないか

ターゲット層が来客しやすい立地か考慮する際は、提供メニューとの相性で判断します。

住宅街とオフィス街では、ターゲット層が大きく異なります。ビジネスパーソンをターゲットにするなら、短いランチ休憩でもすぐに食べられるものが喜ばれやすいでしょう。

また、周囲に競合が多いと利用者に選ばれる確率が下がってしまうので、周辺環境は必ずリサーチしてください。同メニューを提供する飲食店だけでなく、コンビニエンスストアも競合になり得るので注意が必要です。

デリバリーサービスがしやすい物件を選ぶ

デリバリーサービスに加盟する場合は、配達員が迷わず店舗にアクセスできるかという視点も重要です。配達員が迷ってしまうと利用者に出来立てを届けられず、結果として顧客満足度が下がってしまいます。

また、駐車・駐輪しやすいかという視点も持ってみてください。店舗が狭い路地に面していると車両が入りにくく、配達員がアクセスしづらくなってしまいます。

店舗前にバイクや車などが駐車・駐輪できるスペースがあると良いでしょう。

居抜き物件も検討する

テイクアウト専門店の物件を選ぶ際は、居抜き物件も有効な選択肢です。

飲食店の居抜き物件では、以前の借主が使用していた厨房機器が残っているので、初期費用の節約になります。内装工事の期間も短縮できるため、オープン日を早めやすいでしょう。

ラルズネットが運営する「テナント連合隊」では、飲食店にオススメの居抜き物件を素早く検索できますので、ぜひ利用してみてください。

関連記事:居抜き物件を探す際の注意点|よくある7つのトラブルをもとに解説

テイクアウト店向けの物件を探すポイント

テイクアウト物件を探すポイント

ここまでテイクアウト店向けの物件を選ぶ方法についてお伝えしてきましたが、よりスムーズにテナントを見つけるためには、以下のポイントを押さえておく必要があります。

  • ターゲットを設定する
  • 間取りや設備を確認する
  • 工事も検討しよう

それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。

ターゲットを設定する

テイクアウト店向けの物件を探す際には、あらかじめターゲットを設定しておきます。

ターゲット設定は立地や物件を選ぶ際の基準となるほか、集客と顧客満足度を効率的に上げるためには必須です。

以下の視点から3つ以上を組み合わせると、適切にターゲットが設定しやすくなります。

  • 性別
  • 年齢層
  • 職業
  • 利用シーン
  • ニーズ・悩み

たとえば「外回り中に食事を済ませたい30代の営業マン」と設定するイメージです。このようにターゲットを設定すると、立地や提供メニューがおのずと絞られていきます。

まずはざっくりと設定し、徐々に具体化すると良いでしょう。

間取りや設備を確認する

テイクアウト専門店では、厨房と販売スペースが必要なので、間取りや設備をチェックします。

特に厨房の設備は、提供したいメニューに対応できるか、空調設備は十分かという視点を持ち、入念に確認しましょう。

排気ダクトや排水設備は工事が必要になる場合もあるため、可能なら、内見時に水を使わせてもらえるか確認してください。入居後にトラブルが発覚する可能性を減らせます。

また、テイクアウト専門店は基本的に小規模なので、スタッフの動線を考慮した間取り・設計が重要です。調理担当と接客担当の動線を交差させず、利用者の注文・受け渡しをスムーズに行えるように設計しましょう。

工事も検討しよう

理想的な設備やデザインを叶えるには、工事も検討します。

テイクアウト専門店としては通行人の目に留まるデザインも重要ですが、それ以上に重視すべきは、内装です。

飲食店は建築基準法・消防法において、「内装制限」が定められています。内装制限とは、火事や災害時に炎が燃え広がらないよう、壁や天井を燃えにくい材料にすることです。

地域の保健所からも指導が入りますが、内装工事のプロに相談しておくと分かりやすいでしょう。

なお、内装・設備の工事を行う場合、小規模店舗では100万円ほど必要です。

テイクアウト専門店を開業する流れ

テイクアウト専門店を開業する流れ

ここまで、テイクアウト専門店の物件選びについてお伝えしてきました。しかし、全体の流れが把握できていない状態で物件を探し始めるのは早すぎます。

テイクアウト専門店を開業する流れをまとめましたので、やるべきことの把握にお役立てください。

  • 資金計画を立てる
  • 店舗物件を探す
  • 営業許可を取得する

資金計画を立てる

まずは開業にあたって必要な資金を洗い出し、調達する計画を立てましょう。

テイクアウト専門店で資金が必要な項目は、下記のとおりです。

  • テナント家賃(仲介手数料・保証金も含む)
  • 内装・設置の工事費用
  • 材料費
  • 備品費

テナント家賃と工事費用はそれぞれ100万円以上かかり、人件費も含めるとこれ以上の資金が必要です。

資金を調達する際は、日本政策金融公庫や地方銀行などからの融資・クラウドファンディングなどの方法があります。

日本政策金融公庫や商工会議所では融資の無料相談ができるので、利用を検討してみてください。

参考:日本政策金融公庫「予約相談(お借入またはご返済に関するご相談)【国民生活事業】」、札幌商工会議所「開業資金などの融資

店舗物件を探す

ターゲット設定や資金計画が完了したら、店舗物件を探します。

上記で解説したとおり、ターゲットに好まれる立地や競合の状況をリサーチし、テイクアウト専門店の物件を探していきましょう。

なお、テナント家賃を節約したい場合は、キッチンカーで出店する選択肢もあります。営業したいエリアやターゲット層を色々と試してみたい方には、トライアンドエラーがしやすいです。

ただし、キッチンカーには冷蔵庫・空調設備がないため、食中毒が起こりやすいデメリットもあります。

ご自身の提供したいメニューや資金計画などから、実店舗とキッチンカーを比較してみてください。

営業許可を取得する

食事を提供するのであれば、テイクアウト専門店でも飲食店営業許可証を取得しなければなりません。

無許可の営業は法律で罰せられるので、注意してください。飲食店営業許可証を取得する流れは、下記のとおりです。

  • 食品衛生責任者を設置する
  • 管轄の保健所に営業許可を申請する
  • 保健所の検査を受ける

食品衛生責任者になるには、栄養士や調理師などの資格が必要ですが、講習会の受講でも取得が可能です。詳しくは、食品衛生協会のホームページをご覧ください。

また、菓子類やアルコール類など、販売するメニューによって必要な許可証が異なるので、管轄の保健所に事前に問い合わせてみてください。

参考:札幌市「食品衛生責任者」、一般社団法人札幌市食品衛生協会「食品衛生責任者養成講習会

テイクアウト専門店のデメリットや注意点

テイクアウト専門店のデメリットや注意点

テイクアウト専門店の開業には、デメリットや注意点があります。メニュー開発や売上予測にも影響しますので、以下のデメリットを押さえておきましょう。

  • 提供メニューに制限がある
  • 商品単価が低くなりがち

提供メニューに制限がある

テイクアウト専門店のデメリットは、提供メニューに制限があることです。

持ち帰りという性質上、出来立てを食べてもらいにくいため、冷めても美味しく食べられる工夫が必要です。

また、長時間の移動を考慮したメニュー開発・備品購入は必須。利用客が持ち運び時に食事をこぼしてしまうと、美味しく食べてもらえないだけでなく、マイナスイメージにも繋がりかねません。

テイクアウトという性質を理解したうえで、メニューの内容を考えましょう。

商品単価が低くなりがち

利用客が店舗に滞在しないテイクアウト専門店では、追加注文が発生しないため、単価が低くなりがちです。ドリンクは利益率が高いですが、テイクアウト専門店では売れにくい傾向にあります。

かと言って、メインメニューを相場より高い金額にすると、集客が落ちてしまうでしょう。

利益率を上げるための価格設定が難しい点は、テイクアウト専門店のデメリットといえます。

テイクアウト専門店のメリット

テイクアウト専門店のメリット

テイクアウト専門店には注意すべきデメリットがありますが、一方で複数のメリットも存在します。ここでは4つのメリットにまとめましたので、それぞれ見ていきましょう。

  • コストを抑えられる
  • 新規開拓しやすい
  • 利用客とコミュニケーションが取りやすい
  • 回転率が高い

コストを抑えられる

テイクアウト専門店は、通常の飲食店より小規模なので、人件費や光熱費などのコストを抑えられます。客席も不要なぶん、設備投資をほかに回せる点がメリットです。

新規開拓しやすい

テイクアウト専門店は小規模な立地で開業できるため、通常の飲食店では展開しづらいエリアにも出店が可能です。駅チカや商業施設付近にも出店しやすく、人目に留まりやすいメリットがあります。

人目に留まりやすければ、そのぶん新規顧客を開拓しやすくなります。

利用客とコミュニケーションが取りやすい

商品の受け渡し時に利用客とコミュニケーションが取りやすいため、改善点が見つけやすいです。話しかけやすいスタッフであれば、利用客からの要望も届きやすいでしょう。

スタッフの接客態度やキャラクター性に利用客が好感を持てば、リピート率向上も見込めます。

回転率が高い

テイクアウト専門店は客席がないぶん、店舗のキャパシティーを気にしなくて良い点がメリット。早い提供スピードが求められますが、回転率が高くなれば、売上アップに繋がります。

テイクアウト店向けの物件は「テナント連合隊」で探せる!

テイクアウト物件は「テナント連合隊」で探せる!

テイクアウト専門店の物件を探す際は、あらかじめ適切なターゲット設定を行ったうえで、立地や競合をチェックする必要があります。デリバリーサービスに加盟する場合は、駐車スペースも確保すると良いでしょう。

ラルズネットが運営する「テナント連合隊」では、テイクアウト専門店にもオススメの物件を掲載しています。最近の閲覧回数や検討者数も表示されるため、ライバルの動向をチェックしやすいです。

貸店舗・貸事務所をお探しの際は、地域特化型テナント物件探し専門ポータルサイト『テナント連合隊』を活用してみてはいかがでしょうか。

路面店、居抜き物件コーナーなど、事業者目線で詳細な検索ができるようになっています。
『テナント連合隊』が、これから出店を考えている事業者様のお役に立てれば幸いです。

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この記事を書いた人: ラルズネット編集部

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