地方移住と定住の違いは?国や自治体からの支援や注意点を紹介!

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地方への移住・定住を考えたときに、「移住と定住ってどう違う?」「移住・定住の支援制度はある?」と疑問に思った方も多いのではないでしょうか。

国や各自治体が実施する支援には、数万円のものから数百万円のものまで多くの支援があります。

この記事では、地方への移住・定住を考えている方に向けて、移住と定住の違い、国や地方自治体が行っている移住・定住支援について解説します。

移住と定住とは?違いは?

「移住」と「定住」とでは、意味が異なります。

別の場所に移り住む「移住」

移住とは、今住んでいる場所から別の場所に移り住むことです。
転々と住居地を変えたり、一時的に住居を移すなどのさまざまな状況を指します。

たとえば、新潟に1年間だけ住む、一時的に山形に住んでから北海道に引っ越す、名古屋に引っ越してからしばらくとどまるなど、定住を含めた住居地の変更を移住といいます。

ひとつの場所に住み続ける「定住」

定住とは、ひとつの場所に生活拠点を置いて永続的に住み続けることを言います。

「〇年以上住む」「一軒家を構える」などの明確な基準や条件はなく、その地に定着して住み続けることをさす言葉です。

移住・定住の種類は3種類「UIJターン」

移住・定住は、大きく3つの種類に分けられます。
それぞれの特徴についてみていきましょう。

故郷に戻る:Uターン

Uターンは、進学や就職のために地方から都心に移住した人が、再び故郷へ戻ることをいいます。

都心で学んだことや培ったスキルを発揮して地域に貢献するために戻る人や、親に子育てを手伝ってもらいたい、親の介護のためなど理由はさまざまです。

「子育てを手伝ってもらえる分、親が年老いたら介護ができる」「実力を発揮できるうえに、会社や地域に貢献できる」など、よい関係が相互に作用します。

都心から地方へ移住する:Iターン

Iターンは、都心から地方へ移住するパターンです。

都心にはない自然豊かな環境に憧れて移住するケースや、都心での経験を活かして地方の課題解決に取り組むケースなどが当てはまります。

また、自社製品の製造コスト削減、資源確保のために会社の拠点を移して移住する人や、移住支援を受けるために移住する人も多いです。

地元から近い地方都市へ移住する:Jターン

Jターンは、地方から都心へ移住した後、故郷から近い地方都市へ移住するパターンです。

たとえば、北海道の田舎から東京へ進学後、就職のために札幌へ移住するケースなどが該当します。
「地元よりも給与や交通の便が良い」「地元よりも仕事の幅が広い」「いざとなったら地元にすぐ帰れる」という理由で、地方都市へ移住する人がほとんどです。

故郷に比べて仕事の幅が広く、交通の便など、生活にそれほど困らないことが地方都市に移住するメリットといえるでしょう。

移住・定住のメリット

移住・定住には、さまざまなメリットがあります。ここでは、6つのメリットについて解説します。

メリット1:生活費を抑えられる

地方は都心と比べて、家賃をはじめとする生活費を抑えられます

特に地方の家賃は低い傾向にあり、地域によっては都心の半分以下で暮らせる場所も少なくありません。
他にも、日用品や地方特有の旬の食材が安く販売されていることもあります。

また、飲食店やレジャー施設が限られることから、お金を使う機会が少なく、娯楽や交際費が安く済むことも特徴です。

地方に移住・定住することで収入が減ると不安を抱いている人もいますが、生活費が抑えられるため十分ゆとりをもって生活できます

メリット2:自然が豊かな環境で生活できる

地方には、さまざまな生き物が住む山や透明度の高い川、綺麗な海など豊かな自然が広がります

四季がはっきりしており、桜や紅葉、黄金に輝く稲穂の絨毯、雪景色を楽しみながら大自然に囲まれた生活を送ることが可能です。

また、都心に比べて排気ガスの量が少ないため空気も澄んでおり、心身ともに健康な生活を送れるでしょう。

メリット3:満員電車のストレスがない

都心では、多くの人が通勤時の満員電車にストレスを抱えています。
しかし、地方には満員電車がなく、電車やバスは空席の場合がほとんどです

車社会であることが多いため、通勤時のストレスが大きく軽減されます。

メリット4:子育てしやすい

地方移住・定住では、自然の中でのびのび子育てができます
自然に囲まれた公園やレジャー施設が充実しており、体を動かして思いきり遊べるのが大きな特徴です。

また、地方の住宅は一軒一軒が離れているため、夜泣きで近隣に迷惑を掛ける心配もありません。

加えて、地方では待機児童が少なく、子育て世帯の移住に支援を行っている自治体も多いことから、経済的負担が軽減できるのも大きなメリットです。

メリット5:地方ならではの郷土料理を食べられる

地方の飲食店では、都心では食べる機会がなかった郷土料理を身近に楽しめます

また、地方に移住・定住すると、その土地でしか手に入らない食材を手に入れる機会が増えます。
都心では高価で買えなかった食材が安価で購入できるため、普段とは一味違う食事が楽しめるでしょう。

メリット6:起業にチャレンジしやすい

地方では都心に比べて物価が安く、開業資金を抑えられることから起業にチャレンジしやすいのが特徴です。
特に人件費や事務所・お店の家賃などのランニングコストが安く、起業後に継続しやすいこともメリットといえます。

地域によっては、起業によって地域経済の発展に貢献する移住に対し、助成金や補助金制度を設けている自治体も多く、さらに開業資金や事業税を削減可能です。

また、地方ではライバルとなり得る企業が少ないことから顧客を確保しやすく、地域のニーズに寄り添ったサービスを提供することで安定した収益をあげられるでしょう。

移住・定住で知っておきたい注意点

移住・定住には、引っ越す前に知っておきたい3つの注意点があります。

商業施設や娯楽施設が少ない

地方では、都内に比べて買い物や飲食ができるお店や、娯楽施設が少ない傾向にあります。

都心での生活に慣れてしまうと、少し不便さを感じてしまうことも少なくありません。

しかし、必要なものはオンラインショップで購入できるため、生活に支障をきたすような不便は感じないでしょう

交通アクセスが悪い

地方では、バスや電車の本数が少ないこともあります。

目的地の近くにバス停や駅がない、1時間に1本しか電車が来ないなど、田舎では基本的に交通の便が悪いと考えてよいでしょう。

経済的に余裕のある方は、車の購入をおすすめします

自然災害の影響を受けやすい

移住・定住する地域によっては、自然災害に注意が必要です。

山側の地域では、台風や豪雨による土砂災害や川の氾濫など、自然が豊かな一方で人々の暮らしに被害を与えることもあります

自然災害が起こる可能性も考慮して安全な立地を探しましょう

移住・定住を促進する国からの支援

都市への一極集中を改善するため、地方に移住・定住する人に対する国からのさまざまな支援があります。

移住支援金

移住支援金は、東京都23区内に在住または通勤する方が、起業・就職などをするために東京圏外・条件不利地域へ移住する場合に都道府県、市町村が共同で支援金を交付する制度です。
家族がいる世帯の場合は100万円以内、単身の場合は60万円以内の金額で各都道府県が設定します。

【対象者】
移住直前10年間、通算5年以上かつ直近1年以上、東京都23区内に在住または通勤していた方

【移住先】
①地域の中小企業等へ就職
②テレワークにより現在の業務を継続
③社会的企業

【受給】
移住して就業等したのち、移住先の市町村へ申請し受給

※2023年3月時点に執筆した記事です。最新情報はこちらのページをご確認ください。

起業支援金

起業支援金は、地域課題の解決ができる起業を行う方に対して、事業費や伴走支援金を助成する取り組みです。

最大200万円を支給することで効果的な起業を促進し、地域の課題解決を通して地方創生の実現を目的としています。

各都道府県の選定した執行団体が、事業計画の審査や事業立ち上げに向けた伴走支援を行うと共に、企業に必要な費用の2分の1を交付します。

【対象者】
新たに起業する場合
①東京圏外の道府県、または条件不利地域で社会的起業を行う
②国の交付決定日以降、補助事業期間完了日までに個人開業届または法人の設立を行う
③起業する地域に在住している、または移住する予定であること

事業継承または第二創業する場合
①東京圏外の道府県、または条件不利地域でSociety5.0関連の付加価値の高い分野で社会的事業を継承、または第二創業すること
②国の交付決定日以降、補助事業期間完了日までに事業継承、または第二創業を行う
③本事業を行う地域に居住している、または移住する予定があること

※2023年3月時点に執筆した記事です。最新情報はこちらのページをご確認ください。

地域おこし協力隊

地域おこし協力隊は、都心部から過疎地域へ移住して地域協力活動を行い、過疎地域への定住を図る事業です。
地域ブランドや産品の開発・販売・PRなどの地域支援や充実支援、農林水産省への従事などを行います。

地域おこしの活動に必要な経費として、隊員1人あたり上限480万円を受給できることが大きな特徴です。
任期はおおむね1年以上3年以下で、任期後は起業志望者に補助制度も設けています。

※2023年3月時点に執筆した記事です。最新情報はこちらのページをご確認ください。

地方創生インターンシップ事業

地方創生インターンシップ事業は、学生を対象とした地方企業での就業体験プログラムです。

実際に地域企業での働き方を体験することで地域の仕事に対する理解が深まり、移住・定住の促進を目的としています。

地方創生インターンシップでは、移住・定住促進にとどまらず、まちおこしや地域住民が抱える課題解決など、学生の柔軟な発想や行動力が活かされるメリットもあります。

※2023年3月時点に執筆した記事です。最新情報はこちらのページをご確認ください。

ふるさと回帰支援センター

ふるさと回帰センターは、地域活性化を目的とし、地方自治体と協力して地方暮らしの情報発信をする移住相談センターです。

東京都有楽町にセンターを構え、パンフレットや資料を常備しています。

各地域の相談員が、移住を希望する方により具体的な地方暮らしの情報提供、移住の相談に応じています。

※2023年3月時点に執筆した記事です。最新情報はこちらのページをご確認ください。

移住・定住を促進する各自治体の支援

移住・定住を促進している地方自治体は日本全国に多く存在します。

ここでは、4つの地域を例に、それぞれの支援内容を解説します。

北海道

北海道では、都市への一極集中により、農家の後継者不足や空き地・空き家が増えています。
そのため、移住支援では土地に関する支援の充実が特徴です。

支援制度内容
空き家・空き地バンク制度の実施空き家の利用を希望する人に物件情報を提供する制度
新規就農支援制度認定を受けた新規就農者に対して最大200万円の奨励金を交付
新築住宅取得費補助金1,000万円以上の住宅取得に要する費用に対して最大200万円の交付
子育て支援住宅1,000万円以上の住宅取得に要する費用に対して最大200万円の交付
※内容は、移住・定住先の自治体によって異なります。
※2023年3月時点に執筆した記事です。最新情報は各リンク先ページをご確認ください。

福岡県

福岡県では、子育てをみんなで支えるという「ふくおか子ども・子育て応援プラン」を掲げており、子育てに関する豊富な支援を行っています

支援制度内容
幼児教育・保育の無償化満3歳から5歳クラスのすべての子供の利用料が無償
産後ケア事業産後、家族からの支援が難しく、育児・体調に不安がある場合に産婦人科や助産士などでサポート
福岡ファミリー・サポート・センター「子育てを応援したい人」「子育てをサポートしてほしい人」が相互に援助活動を行う
福岡県空き家バンク東京・名古屋・大阪から福岡県に移住する場合、最大100万円の支援金を助成
※内容は、移住・定住先の自治体によって異なります。
※2023年2月時点に執筆した記事です。最新情報は各リンク先ページをご確認ください。

岐阜県

岐阜県は、特に若い新婚世帯の移住を促進するための支援が特徴です。
東京圏以外の道府県からの移住にも、支援を積極的に行っています。

支援制度内容
清流の国ぎふ移住支援補助金単身30万円、世帯50万円
岐阜県林業就業移住支援金東京圏外から岐阜県の林業に就業で単身世帯最大60万円、2人以上世帯最大100万円支給
結婚新生活支事業新婚世帯の新生活にかかる住宅取得費用、リフォーム費用等最大60万円支給
遠距離通学費補助金遠距離通学をする者に対して通学費用の一部を助成
※内容は、移住・定住先の自治体によって異なります。
※2023年3月時点に執筆した記事です。最新情報は各リンク先ページをご確認ください。

広島県

広島県では、他都道府県からの移住を促進すると共に、通学費支援などの転出を防ぐための支援も行なっています

支援制度内容
空き家改修等支援事業空き家の改修費等に最大30万円の助成
市外大学への通学費支援定期券購入費用を年間最大50万円助成
移住者等創業支援事業助成金事業経営に必要な建物の改修等にかかる費用の2分の1または、200万円のいずれか低い方を助成
※内容は、移住・定住先の自治体によって異なります。
※2023年3月時点に執筆した記事です。最新情報は各リンク先ページをご確認ください。

ファミリー世帯が移住・定住する際のポイント

ファミリー世帯が地方への移住・定住を失敗しないためにも、3つの点にポイントを意識しましょう。

どのような生活を送りたいか目的を明確にする

地方といっても、どこに移住・定住するかによって生活が異なります

地方都市では、現在の生活を不便に感じない程度に維持した生活ができ、地方都市から離れた田舎町では、大自然の中でのびのびと子育てができます。

何を求めて地方へ移住・定住し、移住後はどのように過ごしたいのかを明確にすることで理想の生活を送れるでしょう。

パートナーと話し合う

家族がいる世帯の地方移住は、自分1人の話ではありません。

パートナーの仕事や実家のことなど、それぞれの状況は異なるため、パートナーとよく話し合いながら決めることが大切です

移住後に子育てを考える場合は、学校や塾などの有無、習い事の幅広さ、治安の良し悪しも考慮する必要があります。

それぞれの状況と、今後どのようにしていくかをパートナーと話し合って移住について決めていきましょう。

移住・定住支援が充実しているかをチェックする

地方の自治体では、移住・定住に関する支援を行っている地域があります。

子育て支援や住宅購入支援など、各地方自治体によって支援の種類や内容がことなるため、支援が充実しているか確認が必要です

支援が充実していればいるほど、理想の移住・定住生活を送れるでしょう。

国の支援を活用して移住・定住しよう!

地方へ移住・定住するには、生活環境だけでなく、移住・定住支援の充実度も重要です。
国や地方自治体が行う支援制度を活用することで、費用を大きく節約できます。

地方への移住・定住をお考えの方は、今回の記事を参考に、まずは実施されている支援制度から調べてみてはいかがでしょうか?

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この記事を書いた人: ラルズネット編集部

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