古民家暮らしのメリットとは?向いている人の特徴や注意点を解説

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古民家暮らしのメリットとは?向いている人の特徴や注意点を解説

地方へ移住する場合、なかには「その地域ならではの風情が感じられる古民家に住んでみたい」という考えを持つ方もいるのではないでしょうか。

古民家とは、建築基準法制定時の1950年以前に建てられた伝統的建造物の住宅です(一般社団法人全国古民家再生協会の定義)。

単に長い築年数が経過しているだけではなく、独自の工法と高耐久の木材が採用されている点(=伝統的建造物)に特徴があります。

そのため、古民家には一般的な住宅とは異なる独特なメリットがあります。イメージ通りの移住生活を送るためにも、このメリットをしっかりと理解しておくことが大切です。

本記事では、古民家暮らしのメリットを5つのポイントに分けて解説します。また、複数のメリットをもとに、古民家暮らしに向いている方の特徴を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

古民家に住むメリット

古民家に住むメリット

伝統的建造物の一種である古民家には特有のメリットが存在し、費用や住み心地など、さまざまな面で恩恵を感じられるでしょう。

複数の視点から古民家が持つ利点を把握すると、自身との向き・不向きが見えてきます。

  • 広い間取りを有効に活用できる
  • 夏場でも快適に過ごせる
  • 比較的安価で購入できる
  • 固定資産税を軽減できる
  • 古民家再生の際に補助金を活用できる

広い間取りを有効に活用できる

古民家はもともと、複数世代の家族が一つの住居で寝食を共にする時代に生まれた住宅です。そのため、一部屋あたりの面積にゆとりがある古民家も少なくありません。

間取りが広いほど室内レイアウトには柔軟性が生まれます。

ファミリークローゼットやランドリールーム、パントリーなどを設置して、家事や子育ての効率性を高めるような回遊動線を設計しやすいのがメリットです。

さらに、間取りが広いからこそビジネスにも活用しやすくなります。宿泊施設や飲食店として運用したり、賃貸物件として貸し出したりと、幅広く活用できるでしょう。

夏場でも快適に過ごせる

古民家のような昔ながらの木造住宅は、在来工法と呼ばれる仕様により、通気性に優れるメリットがあります。

自然の風を屋内へと取り込みやすくなるため、夏場でも涼しく快適に過ごせるのが特徴です。

さらに古民家に採用されている土壁は、室内の調温・調湿の性質を備えています。土壁の表面にある細かな気泡が、外部と内部の空気を入れ替える換気扇のような役割を果たすのも強みです。

これにより、夏場の温度上昇を和らげ、室内に熱や湿気が蓄積しにくくなります。

比較的安価で購入できる

一般的に建物は築年数が経過するほど資産価値が低下するため、古民家は新築物件に比べ、おのずと販売価格が安くなります。

国土交通省が公表している「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」の資料によると、木造戸建住宅はマンションよりも資産価値が下がりやすく、築後10年で半分程度の価値になることがわかっています。

さらに築後20年で価値がほぼゼロに近くなることから、古民家はほかの物件よりも比較的安い価格で購入できるといえるでしょう。

また、地方にある古民家は、都会に比べて土地の価格が安い傾向にあります。

そのため、購入費用を抑えられるのが大きなメリットです。

参考:国土交通省|中古住宅流通、リフォーム市場の現状

固定資産税を軽減できる

固定資産税は建物の築年数が長くなるほど安くなります。

固定資産税の金額は、「課税標準(固定資産税評価額)×1.4%」の計算式で算出するのが一般的です。

この際、建物に関しては、対象家屋を建て直した際の建築費用である「再建築価格」から、経年劣化による損耗や築年数などの要素をもとに加算・減算が行われます。課税上に建物の資産価値を反映する際は、経年減価補正率という利率が適用されます。

一般的な木造家屋は、築年数27年以上になると最低水準の補正率0.2%が適用される仕組みです。そのため、古民家の多くは固定資産税を安く抑えられます。

参考:法務局ホームページ|経年減価補正率表

古民家再生の際に補助金を活用できる

古民家の状態によっては、全面リフォームを検討しなければならないケースもあります。その際に活用できるのが、自治体が用意している補助金です。

古民家再生に関して利用できる補助金には、次のような種類があります。

制度を活用することで古民家の改修費を大幅に削減できるでしょう。

補助金を最大限に活用するためにも、事前に移住先となる自治体のホームページを確認することが大切です。自治体によって活用できる補助金の種類に違いがあるためです。

メリットから見る古民家暮らしに向いている人の特徴

メリットから見る古民家暮らしに向いている人の特徴

古民家には、一般的な住宅とは異なる特有のメリットやデメリットがあります。そのため、向き・不向きがはっきりと分かれる住宅だといえるでしょう。

ここでは、古民家に向いている人の特徴を2つ紹介します。

事前に自身との相性を冷静に判断し、自分にとって最も理想となる住宅を見つけてください。

快適性よりもコストパフォーマンスを重視する人

古民家は、現代の住宅に比べて快適性が劣りやすい傾向にあります。

さまざまな設備が整った現代の住宅に比べ、古民家は気密性や断熱性が低く、冬は寒く感じるかもしれません。

さらに古民家は、2世帯以上が住むことを想定して建てられている物件が多く、1世帯では広すぎて不便に感じることもあるでしょう。

その反面、安い購入費用で広い住宅を購入できることは、すなわちコストパフォーマンスに優れているともいえます。補助金を活用すれば改修費も安く抑えられます。

そのため、快適性よりもコストパフォーマンスを重視する方には、古民家が向いているでしょう。

自宅に伝統的な風情を求めている人

古民家には、ふすま・すだれ・囲炉裏・薪ストーブなど、伝統的な風情漂う空間を備えた物件も少なくありません。古民家特有の風情を何よりも重視する人は、古民家暮らしに向いています。

ただし、耐震補強工事を行う際に壁や柱を取り壊し、せっかくの雰囲気が大きく変わってしまうことも考えられるでしょう。

そのため、メンテナンス状態の良い物件や、免震構造に優れた物件を選ぶのも一つの手段です。建物の安全性を確保するのが最優先ではあるものの、適切な物件選びによって工事箇所をなるべく少なくすることで、雰囲気を壊さずに済みます。

古民家選びの際に注意すべきポイント

古民家に住む際に注意すべきポイント

古民家を選ぶ際は、メリット以外にデメリットにも着目したり、予算設定の精度を高めたりといった工夫が必要です。

このような注意点を押さえると、購入後に失敗や後悔を感じるリスクが低くなります。

古民家のデメリットにも配慮する

今回は古民家のメリットを中心にお伝えしましたが、デメリットにも視点を移すことが大切です。良い点と悪い点の両方を理解しておくと、自身と古民家との相性を客観的に判断できるためです。

古民家には次のようなデメリットが存在します。

  • 防犯・セキュリティの面で不安が残る
  • 冬場は室内に寒風が入りやすい
  • 害虫の被害に遭う可能性がある
  • 大規模な修繕が必要な物件もある

扉や窓が多く、比較的出入りしやすい物件の場合、ホームセキュリティを導入している住宅に比べて、防犯やセキュリティの面で見劣りします。また、物件によっては放置期間が長く、シロアリの被害や水回りの劣化などで、大規模な修繕が必要になるケースもあります。

このようなデメリットがあることも十分に理解し、購入可否の検討を行いましょう。

物件選びを妥協しない

古民家は現代の住宅とは構造そのものが異なることから、実際に住んでみてイメージと異なる印象を抱いてしまうこともあります。

そのため、一般的な住宅を選ぶよりも、さらに慎重な判断が必要です。

まずはインターネットで複数の物件を比較し、自身と相性の良い古民家の目星をつけましょう。同時に、あらかじめ現地を訪問し、物件の外観や内部を細かくチェックすることも大切です。

必要に応じて、専門業者にホームインスペクション(住宅診断)を依頼するのも良いでしょう。

適切な予算設定を行う

古民家を探す際は、購入費用はもちろん、リフォームやリノベーションに必要な費用まで事前に検討しておかないと、予期せず予算を超えてしまうことがあります。長い年月が経過している古民家は、屋根や壁、水回りなどに欠陥が見つかる可能性があるためです。

予算を設定するには、まず実際の建物の状態を確認しましょう。

同じような古民家でも、メンテナンスの仕方によって建物の損耗や設備の劣化具合が大きく異なります。

事前にじっくりと外観や内部を観察すると、必要な修繕箇所が明らかになります。

現地の住みやすさも考慮に入れる

古民家を探す際は、物件の状態を確認するのと同時に、現地の住みやすさもチェックしておくことが大切です。たとえ良い物件が見つかっても、周辺環境の利便性に欠けるようでは意味がありません。

駅からの距離・周辺施設の種類や数・交通インフラの充実度など、物件だけでなく街全体を視野に入れた総合的な判断が必要です。

また、自治体によっては体験移住制度を提供している場合があるため、現地での生活を体感してみることをおすすめします。短期間だけ現地に住むことで、リアルな生活感をイメージしやすいでしょう。

なかには古民家での体験移住が可能な自治体もあるため、古民家の性質や住み心地を肌感覚で見極めたい方におすすめです。

古民家暮らしを体験するなら北海道がおすすめ

古民家暮らしを体験するなら北海道がおすすめ

古民家には、購入価格を安く抑えられたり、広い室内スペースを活用できたりと、多くのメリットがあります。しかし、古民家暮らしの向き・不向きや注意点も存在するため、なかなか物件探しや購入に踏み出せないこともあるでしょう。

そこでおすすめなのが、自治体が提供している体験移住制度です。

なかでも北海道は、「ちょっと暮らし」という独自の体験移住制度を実施しています。短期間だけ現地の生活を体験できるため、地方の暮らしをより具体的にイメージできます。

こちらの記事では、北海道に移住するメリットをさまざまな観点から解説しています。北海道の魅力を知り、移住先の選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人: ラルズネット編集部

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