地方起業の成功例7選|事例からわかる成功のコツを解説

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地方起業の成功例7選|事例からわかる成功のコツを解説

地方起業には、都会に比べて物件の賃料を抑えられたり、競合が少なかったりと数多くのメリットがあります。

このような利点に着目し、地方起業をスタートさせたい方も多いのではないでしょうか。

しかし、都会と地方では人口や市場規模、風習・慣行が大きく異なるため、「地方起業を考えているものの、なかなか一歩を踏み出せない」というケースも珍しくありません。

そこで、まずは地方起業で成功した事例を知り、具体的なイメージを深めることをおすすめします。起業する前に徹底した事例研究を行うことで、成功につながるヒントを発見できます。

本記事では、地方起業で成功した事例を7つ紹介します。事例からわかる起業を成功させるポイントについても詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

地方起業の成功例7選

地方起業の成功例7選

地方起業に成功した事例を7つ紹介します。

各事例を参考に地方起業のイメージを深め、自身のビジネスモデルにもアイデアを取り入れてみてはいかがでしょうか。

都会で経験を積み地元でUターン起業した事例

Tさんは地元の青森県にUターンし、Web制作会社として起業を成功させた一人です。

Tさんは、東京の大学で情報工学について学んだ後、システムエンジニアとしてシステム受託開発会社に就職しました。

その後、SEの知見を活かして独立。まずは東京で人脈を形成し、注文受付の土台を築きます。この頃から、すでに地元での起業を視野に入れており、場所を問わずスムーズに受注できる環境を整えていたといいます。

そして、28歳で結婚を機に、帰郷した青森県十和田市にてWeb制作会社を設立しました。

当時はUターン起業する若者が比較的珍しく、地元広報誌に「Uターン起業した若手起業家」として取り上げられ、徐々に企業の認知度が広がっていきました。小さい街であることから、地域間の横のつながりが強く、一つの取引先と仕事が成立すると口コミによって認知度がさらに向上したそうです。

現在では、ホームページ制作のほかに業務効率化の相談を受けつけるなど、地元IT企業として稀有な存在となっています。また、地元の中学校や高校に呼ばれ、IT企業の仕事を紹介する講演会も実施しており、コミュニティ作りにも力を入れています。

参考:THE GOLD ONLINE|青森でUターン起業し成功した若き「ITエンジニア」の軌跡

古民家をリノベーションして宿泊施設として運営

山梨県小菅村にある分散型ホテル「NIPPONIA 小管 源流の村」は、地域に分散した古民家を再生し、村全体を宿泊施設として運営している成功例です。

代表の嶋田俊平氏は、2013年頃から小菅村に通い、「道の駅こすげ」の立ち上げやイベントの開催などを行なっていました。そのなかで、観光客数は増えたものの、多くの宿泊施設が廃業していることに気づきます。

そこで、「多摩川に源流を抱えた深山の趣ある小菅村の魅力を味わってほしい」という想いから、同事業をスタートしました。

アイデアの源となったのは、兵庫県篠山市が実施していた国家戦略特区制度にもとづく分散型ホテルです。

分散型ホテルとは、地域に分散した宿泊施設を一つのホテルに集約するビジネス形態を指します。村のなかにある道路をホテルの廊下に、温泉施設を浴場として活用することで、村内のさまざまな施設に観光客が集まりやすくなります。

今後は、村全体にある100軒の建物も順次リノベーションを予定しています。すでに国内外問わず多くの観光客で予約が埋まっているため、地方の宿泊施設をうまく活用した成功例だといえるでしょう。

参考:Sustainable Brands Japan|「村全体をひとつのホテルに」――山梨県で地域資源を再構成し過疎化ストップ

古民家を改修してゲストハウス・シェアオフィスに

島根県江津市にある「アサリハウス」は、古民家再生によって成功したゲストハウスです。

運営者の江上氏は、雑誌「ソトコト」で江津市のUIターン移住で活躍する人々の特集記事を見たことをきっかけに、市が開催するビジネスプランコンテストに応募しました。

定住者を増やす必要がある江津市には宿泊施設が少なく、空き家が多く点在している課題がありました。そこで、利用されていない古民家をゲストハウスとして再生するビジネスプランを発表します。

現在はアサリハウスとして運営されているそのアイデアが審査員の目に留まり、見事2015年度の大賞に選ばれました。

その後、対象となる敷地1,000坪の古民家を、3か月かけてゲストハウスへと再生させます。市が公認した事業ということもあり、自治体からのサポートが手厚かったことが成功へとつながりました。

参考:LIFULL HOME’S PRESS|地方ならではの起業。「古民家ゲストハウス」「農業」、アイデアが続々登場 島根・江津市の起業×移住②

地方商店の課題を解決するビジネスモデルで全国展開

法人在庫買取事業や卸売業を手がけるPINCH HITTER JAPAN 株式会社は、長崎県で起業してから全国展開した地方起業の成功例です。

代表者の吉岡拓哉氏は、学生時代のイベント開催などをきっかけに、25歳で起業しました。

企業が急成長したのは起業から4年目にあたるタイミングです。当時、新規事業としてローンチした、野球用品の大量一括買取のビジネスモデルがヒットします。

当事業だけで308億円もの年間取扱高に達したため、販路や人材確保の領域を全国へと拡大しました。その後、長崎県の代表的なベンチャー企業であることを示す「長崎県ネクストリーディング企業」にも選出されています。

吉岡氏は自身の体験から、「人材や起業支援プログラムなどが充実した大都市にのみ起業成功のチャンスがあるとは限らない」と、起業成功のポイントを挙げています。オフィス賃料が安く、競走が緩やかな地方ならではの強みを活かすことが、成功の秘訣だといえるでしょう。

参考:NEWSCAST|【幻冬舎】『25 歳ではじめた長崎のベンチャー企業が世界で注目されるようになった理由』著者・PINCH HITTER JAPAN株式会社 代表取締役社長 吉岡拓哉氏のインタビュー公開!

地方から海外へと販路を拡大し順調な滑り出し

台雲酒造合同会社は、2021年に島根県出雲市で創業した日本酒の酒造会社です。同社が取り扱っている日本酒は、戦前に台湾で開発された蓬莱米「台中六十五号」を採用しています。

創業者の陳韋仁氏は台湾出身で、日本に住みたいという想いから島根県の大学に入学します。在学中に飲んだ日本酒の味に衝撃を受けたことをきっかけに、島根県のさまざまな酒蔵で修行しながら清酒業界で人脈を築きました。

それからは、OEM(相手先ブランドでの生産)によって自身の日本酒を試験的に販売し、ある程度の評価を受けたことから起業を決意しました。

清酒業界は設備投資が高額になりやすい傾向があります。そこで、日本政策金融公庫や地域の商工会などに労務や税務に関する相談を行った結果、スムーズな資金調達に成功しています。

現在は、台湾を主軸に香港にも販路を拡大し、順調な滑り出しとなっています。今後は中華圏を飛び出して、オーストラリアや東南アジアにまで販路を拡大する予定です。

参考:日本政策金融公庫|日本酒の美味しさに感動して日・台の架け橋となるべく創業

広告会社で得たノウハウを活かし大規模農園との差別化を実現

株式会社Ridunは、青森県弘前市でりんご農園を運営している企業です。

福島県出身の創業者、永井温子氏は弘前大学を卒業後、東京の広告会社で営業職として就職しました。将来は東北に戻りたい想いを持っていたことから、知り合いの訃報をきっかけに地域おこし協力隊として青森県弘前市に移住しました。

地域おこし協力隊では、りんご農家の後継者不足の問題を解消するミッションが与えられます。その後、自らりんご栽培を学びながら、徐々に自身で畑を所有したいと思うようになり、起業を決意しました。

自身でりんご農園を持つようになると、前職の営業ノウハウが活かされたといいます。

例えば、パッケージデザインや小売店への売り込みでプレゼン力を発揮したり、SNSを活用して消費者との関係構築を図ったりと、りんごを作るだけでなく、販売することも視野に入れた経営を実現しています。

人気品種のみを取り扱う大規模農園とは異なり、あえてマイナーな品種を積極的に展開。いまでは、女性や若い消費者を中心に好評を得ています。

参考:青森県庁ホームページ|食べるだけじゃもの足りない りんご文化を伝える農家に。

業界未経験の女性が地域住民の声に応えるカフェをオープン

「こゆ野菜カフェ」は、地域商社として産業支援を行う一般財団法人こゆ地域づくり推進機構からのサポートを受け、2018年8月に宮崎県新富町で開業しました。

開業にあたっては、「新富町にもカフェがほしい」という地元住民の声を反映。東京から新富町へと移住して活動する、商品開発プロデューサーの小野茜氏のサポートを得ながら、未経験の地元出身女性が同店を立ち上げました。

店舗のメニューには、新富町で採れた野菜・果物を使ったカレーやスムージーなどがあります。

本来は、地元の女性を雇用しながら運用するカフェを目指していますが、業界経験のない女性でも開業できた経験を活かし、現在はそのノウハウを共有するコミュニケーションの場としても活用されています。

また、一般財団法人こゆ地域づくり推進機構が実施する、街の案内所としても機能しています。店内で開いたイベントなどを起点に、2017~2018年の間に1万人を超える関係人口(特定地域と多様にかかわる人々)を生み出しました。

参考:PR TIMES|女性の創業とスキルアップを支援するカフェが開業。宮崎県新富町内の商店街に8月19日、移住者と地元女性起業家が立ち上げた「KOYU CAFE」がオープン

地方起業を成功させるポイント

地方起業を成功させる8つのポイント

ここまでに紹介した複数の事例には、いくつか共通するポイントが存在します。それぞれのポイントを押さえることで、地方起業に際して新たなアイデアが生まれやすくなります。

ここでは、地方起業を成功させるポイントを解説します。

目的を明確にする

地方起業を成功させるには、まず事業目的を明確にすることが大切です。目的があいまいなまま起業すると、方向性が定まらず、コンセプトやターゲットが実態とズレてしまう可能性があります。

事前に目的を明確にすれば、トラブルが起きた際でも迅速な軌道修正を行えます。

事業目的を考える際は、次の3つの要素を検討すると良いでしょう。

  • 適法性:企業設立の事業目的が違法にあたらないか
  • 営利性:必要十分な利益を確保し、事業を長期的に継続できるか
  • 明確性:誰が見てもその目的が理解できるか

事前調査をしっかり行なう

地方起業をする前に必ず実施すべきことは、その地域が抱えているニーズの調査です。

達成したい夢や目標があっても、その地域にニーズがなければ事業としては成り立ちません。反対に特定の地域に何らかのニーズがあったとしても、自身の夢や目標と異なれば、その事業は長続きしないでしょう。

そのため、自分のやりたいことと、地域特有のニーズの両方を明らかにし、適切なビジネスプランを構築することが重要です。

また、人件費や家賃などのコスト面の調査も実施しておきましょう。あらかじめ詳細な調査データを取得できれば、それだけ地方起業の成功率が高まります。

現地に足を運ぶのはもちろん、商工会や自治体に相談したり、交流会・セミナーに参加したりすることで情報を調べられます。

競合が少ない地域を選ぶ

ビジネスプランやコンセプトを決めた後は、地域の競合性をチェックします。競合企業の種類や数が少なく、起業後に高いシェア率を維持できる地域が理想です。

商圏の企業数は、総務省統計局が公表している国勢調査が参考になります。

また、同じく家計調査年報を参考にすると、世帯別・品目別の年間支出額がわかるため、商圏の市場規模を推測できるでしょう。

インターネットで情報収集することも大切ですが、現地に足を運び、競合企業の立地や規模感を肌感覚でつかむのも一案です。

補助金・助成金を活用する

自治体によっては、起業を伴う移住者に対して、補助金・助成金を支給している地域もあります。

補助金や助成金を活用すれば、初期費用やランニングコストを抑えられます。

例えば、地域の課題に取り組む起業家に最大200万円を支援する「起業支援金」や、地方に移住して社会的起業をする人に最大100万円を支給する「移住支援金」が代表的です。

補助金や助成金を利用する際は、申請や受給のタイミングを間違えないように、内容をよく確認することが大切です。

地域のネットワークを活用する

地方では、都会に比べて強いネットワークが形成されているケースも珍しくありません。

地域住民や自治体、商工会など、それぞれのネットワークを活かすことで、自社の業績に好影響を与えます。また、よりスムーズな資金調達や人材確保につながるのも利点です。

起業に際して不明な点があれば、まずは気軽に商工会や自治体の窓口を訪問してみましょう。さらに地域のイベントへと積極的に参加するなど、顔を覚えてもらうことで新たな人脈が生まれる可能性があります。

ほかにも、「NIPPONIA 小管 源流の村」のように、単体で存立している企業や施設を、一つのネットワークに組み込むビジネスを展開するのも一案です。

さまざまな事例を参考に地方起業を成功させよう

さまざまな事例を参考に地方起業を成功させよう

今回は地方起業の事例をもとに、成功するためのポイントやコツを紹介しました。まずは明確な目的を設定し、地域のニーズや競合などの情報を徹底的に調査することが重要です。

起業する地域選びに悩んでいる方は、雄大な大地が広がる北海道を検討してみてはいかがでしょうか。

北海道は土地が広いため、広大なスペースを必要とする事業でも問題なく展開できます。都会に比べて家賃が安く、住み心地に優れるのもメリットです。起業や移住に関する支援も手厚いため、よりスムーズな地方起業が実現します。

こちらの記事で北海道移住のメリットを詳しく解説しています。まずは短期間だけ北海道に住んでみて、住み心地や地域特有の課題を体感してみることをおすすめします。

関連記事:北海道移住って実際どう?食べ物や住環境などメリット14選

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この記事を書いた人: ラルズネット編集部

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