スケルトン物件とは?契約前に知っておきたいデメリットやメリットを解説

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スケルトン物件とは?契約前に知っておきたいデメリットやメリットを解説

飲食店のテナント物件を探している際は、「スケルトン」という用語を目にする機会が少なくありません。

スケルトンは、前テナントの設備がすべて撤去された状態を指し、内装やデザインをゼロから組み立てられる自由度の高さが大きな魅力です。

しかし、費用がかさみやすいなどいくつか注意点もあるため、物件を契約する前にしっかりと確認しておきたいところです。

そこで本記事では、スケルトン物件のデメリットとメリットをまとめました。さらに、物件選びで失敗しないための3つのポイントを解説します。

物件選びでお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

スケルトン物件とは

スケルトン物件とは

スケルトン物件とは、建物内に内装や設備がまったく施されていない、いわば「躯体だけの状態」の物件を指します。

前の借主の痕跡が残っておらず、まっさらな状態で物件を貸し出しているため、新しい借主が自らのアイデアやビジョンをもとに、内装や設備を自由にデザインできるのが特徴です。

反対に、前の借主が施した内装や設備がそのまま残っている状態を居抜き物件と呼びます。

物件にもよりますが、厨房設備やカウンターなどの造作がそのまま残っている場合もあるため、スケルトン物件に比べて工事費や設備の購入費を抑えられるのがメリットです。

スケルトン物件と居抜き物件、それぞれの特徴を理解し、自身のビジネスにはどちらが適しているか慎重に見極めて選びましょう。

居抜き物件についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

関連記事:居抜き物件とは?スケルトンとの違いや契約の流れを解説

スケルトン物件のデメリット

スケルトン物件のデメリット

スケルトン物件を選ぶ際には、いくつか注意すべきデメリットが存在します。

内装工事費や設備購入代がかさむ、あるいはオープンまでの時間がかかる点などを考慮し、慎重に計画を立てましょう。

内装工事や設備購入の費用がかさみやすい

スケルトン物件の最大のデメリットは、何もない状態から店舗を構築するため、費用が高額になりがちな点です。

例えば、カフェやバーなどの軽飲食では簡易的な厨房設備を施工するだけで済むため、内装工事費は1坪あたり20万円程度と、比較的コストを安く抑えられます。

一方、焼肉店や中華料理店などの重飲食では、給排気設備やロースターなどを新たに施工する必要があるため、内装工事費が1坪あたり50万円程度と高額になります。

実際の単価は立地や広さなどによって変動しますが、これらの費用を事前に計画し、予算内におさめる工夫が重要です。

オープンまで時間がかかる

スケルトン物件を利用する際、内装工事や設備の整備に時間がかかるため、オープンまでの期間が居抜き物件に比べて長引く場合があります。

急いでオープンしなければならない場合や、早期に収益を上げる必要があれば、すでに内装や設備が整った居抜き物件を選ぶのも方法の一つです。

居抜き物件では、前テナントの設備を活用して迅速な開業が可能です。

ただし、スケルトン物件にも店内デザインに独自性を持たせやすい利点があるため、全体的なバランスを考慮しながら慎重に判断しましょう。

退去時に原状回復工事が必要

スケルトン物件を契約すると、原則として退去時も借りたときと同じスケルトン状態に戻す必要があります。

開業時に手の込んだ内装や設備の工事を行う場合ほど、撤去するのに手間がかかるため、退去時の工事費用や時間も考慮して事業計画を立てることが重要です。

一方で居抜き物件として、新たな借主に造作譲渡するケースも想定しておくと良いでしょう。

オーナーとの交渉により、店内の内装をそのまま新たな借主に譲ることを造作譲渡といいます。

設備の撤去やクリーニングの費用が抑えられ、新たな借主としてもスケルトン物件を借りるより手間とコストが削減されるため、双方にメリットが生まれます。

慎重な交渉と契約条件の明確化により、退去時の負担を最小限に抑え、スムーズな物件移転を実現しましょう。

スケルトン物件のメリット

スケルトン物件のメリット

スケルトン物件は、店舗のイメージを一新し、理想のデザインやコンセプトを実現できる自由度の高さが大きな魅力です。さらに、場合によっては居抜き物件よりコスト面でも優れていることがあります。

これらのメリットについて詳しく解説します。

前店舗のイメージを一新できる

居抜き物件の場合、良くも悪くも前の店舗イメージから抜け出しにくい傾向があります。

しかし、スケルトン物件では外観から内装まで、すべてを自由に変更できるため、オープン時に「新しい店ができた」と認知してもらいやすくなります

また、前店舗に良くないイメージがあったとしても、スケルトン物件ならその影響を受けにくいでしょう。

外観から内装までを一新すれば、新規性の高いブランド感を積極的に打ち出せます。

理想のデザインやコンセプトを実現しやすい

スケルトン物件は、何もない状態から店舗づくりを始められるため、自分の思い描いた通りの店舗を実現できるのが特徴です。

特に、デザインやコンセプトに強いこだわりがある場合、スケルトン物件が理想的な選択肢となります。

外観や内装、レイアウトなど、すべてを自分のビジョンに合わせてデザインできるため、独自性豊かな店舗が完成します。飲食店や小売店など、店舗の個性を高めて他店との差別化を図りたい業態の場合は、大きなメリットだといえるでしょう。

心地良い雰囲気やオリジナリティあふれるデザインを提供することで、ブランドイメージを強化し、集客力を高められます。

スケルトン物件は創造性と実現性を両立させ、自分のビジョンを具現化するための最適な形態です。

場合によっては居抜き物件より費用を抑えられる

居抜き物件の場合、前テナントの内装をそのまま利用できるため、改装費を抑えやすいのが一般的な認識です。

しかし、前店舗の設備が古くて使えなかったり、想定外の追加工事が必要になったりするケースも考えられます。特に、設備の状態が劣悪である場合、修理やメンテナンスに多額の費用がかかります。

一方、スケルトン物件ではいちから工事を行うため、正確な予算を立てやすく、結果的に居抜き物件よりも費用を抑えられる可能性もあるでしょう。以前の店舗の制約から解放され、新しい設備を計画的に導入できるため、長期的な視点で見れば経済的な利点が生まれるケースも珍しくありません。

このように費用面だけでなく、プロジェクトの柔軟性や将来の展望を考慮すると、スケルトン物件が選択肢として有力な場合もあります。計画的な比較検討を通じて、最適な物件選びを行うことが成功への近道です。

設備の管理がしやすい

一般的に居抜き物件では、前テナントから設備を譲り受けますが、過去の使用期間を把握できない場合も少なくありません。結果的に各設備のメンテナンス時期を予測しにくく、予期せぬトラブルが発生しがちです。

その点、スケルトン物件では、新たな借主が必要な設備を購入するため、取扱説明書や保証書も揃っています。これにより、メンテナンス時期を正確に把握できるので、計画的な設備管理が可能です。

また、新しい設備であれば経年劣化しておらず、メンテナンスや交換までの期間が長くなります。

保証期間内は故障しても費用をかけずに修理できるため、経済的かつ安心して設備を運用できます。

スケルトン物件で失敗しないための3つのポイント

スケルトン物件で失敗しないための3つのポイント

スケルトン物件を活用した店舗開業を成功させるには、以下の3つのポイントが重要です。

  • 立地条件をしっかりと確認する
  • 十分な開店資金を確保する
  • オープン日は余裕を持って設定する

これらのポイントを押さえ、慎重な準備を行うことで、スケルトン物件でのビジネスを順調にスタートできます。

立地条件をしっかりと確認する

スケルトン物件を選ぶ際、立地条件の検討は成功への第一歩です。

周辺の人通りや競合他店の存在、駐車場の利便性など、慎重な検討が欠かせません。

また、交通アクセスや近隣の商業施設との距離も考慮し、ビジネスに適した立地を見つけることが重要です。

テナントの入れ替わりが激しい場合、立地条件が悪く集客に不利な可能性もあるため、注意が必要です。可能であれば、前テナントの退去理由や賃借期間を確認し、物件自体に問題がないか確かめておくと良いでしょう。

十分な開店資金を確保する

スケルトン物件は、内装工事や設備導入などの費用が高額になりがちなため、余裕を持って資金計画を立てることが大切です。

一般的に飲食店の開業資金は1,000万円が目安とされています。

自己資金だけでまかなうのが難しい場合は、金融機関の融資や自治体の補助金など、さまざまな資金調達の手段を検討しましょう。

オープン日は余裕を持って設定する

スケルトン物件の場合、居抜き物件に比べて工事期間が長くなりやすいため、店舗のオープン日は余裕を持って設定しましょう。

工事期間が長いほど、売上が発生しない状態で家賃などの経費のみが継続的に計上されます。そのため、開業資金を回収するまでの期間も延びてしまいます。

計画的なスケジュール設定は、スケルトン物件での事業を成功に導くためには不可欠です。

余裕を持ったオープン日の設定により、工事のスケジュール遅延や予期せぬトラブルにも柔軟に対応できるため、より順調にビジネスを始められます。

あわせて資金計画を慎重に立て、予期せぬ遅れに備えることが大切です。

スケルトン物件の特徴を押さえて理想の店舗づくりを始めよう

スケルトン物件の特徴を押さえて理想の店舗づくりを始めよう

本記事では、スケルトン物件のデメリットやメリット、成功のためのポイントを解説しました。

スケルトン物件の検討では、物件の状態や契約内容など、多くの要素を考慮することが成功の鍵です。トラブルを未然に防ぐために、本記事で紹介したポイントを確認し、慎重に準備を整えましょう。

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この記事を書いた人: ラルズネット編集部

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