春吉は、最寄り駅が4つで非常にアクセスの良い土地です。また、市場や業務スーパーがあり、テナント賃料が周辺より比較的低いため、飲食店を開業したい人にとって魅力的なエリアと言えるでしょう。
新旧の建物が残る春吉は、古民家の個性的なお店や、新しいテナントでスタイリッシュなお店を出したい人のどちらにもオススメです。
しかし、春吉で出店を考えていても、「古民家はどうやって探せばいい?」「どんな業種がオススメ?」と迷う人もいるでしょう。
本記事では、春吉で飲食店を開業したい人に向けて、理想のテナント物件の探し方や飲食店のトレンドなどを解説します。
目次
春吉は飲食店開業の穴場

春吉は福岡市中央区にある町です。
九州最大の繁華街である「天神」と歓楽街として有名な「中洲」の間にあるという立地の良さと、次のような理由から、春吉は飲食店開業の穴場的なエリアと言えるでしょう。
- 補助金や開業支援制度が使える
- 市場や業務スーパーがある
- テナントの選択肢が広い
春吉で飲食店の開業を目指す人は、参考にしてみてください。
関連記事:天神で飲食店を開業したい!エリアごとの魅力とテナント物件の探し方
中洲で飲食店を開業したい!町の魅力とテナントの探し方を解説
補助金や開業支援制度が使える
春吉で飲食店の開業を予定している人は、福岡市が提供している補助金や支援制度などを把握しておきましょう。
福岡市は新規事業者やスタートアップ企業の支援に力を入れており、21大都市の中で5年連続開業率トップを誇ります。飲食店の開業も支援対象になるため、調べておいて損はありません。
創業補助金や小規模事業者持続化補助金などを受けるには事業計画書の作成と審査の通過が必要です。しかし、補助金・助成金は原則返済不要なので、受給できれば、開業資金の大きな助けになります。
開業・運営資金に関しては、関連記事「福岡でスタートアップ・中小企業が資金調達を成功させる方法」をご覧ください。公的な支援制度だけでなく、低金利の融資やクラウドファンディングなど、さまざまな資金調達の方法について解説しています。
また、関連記事「福岡で起業・開業する人向けの支援制度や相談窓口|飲食店ならではのポイント」もあわせてご確認ください。必要な届け出・資格・メニュー作りの方法など、飲食店を開業するためのヒントをまとめています。
市場や業務スーパーがある
春吉には博多の台所と呼ばれる「柳橋連合市場」があります。
1918年に設立された市場はもともと玄界灘で取れる魚を売る魚市場でした。その後、他の店舗も近隣に出店するようになり、商店街となったのが柳橋連合市場の始まりです。
全長100mのアーケード内に、精肉店・鮮魚店・八百屋などのさまざまな小売店と飲食店が約30店(2024年2月)出店しています。
福岡の新鮮な食材が販売されていることから、周辺の住民や観光客はもちろん、プロの料理人も利用することで有名です。約7割の売上が業務用と言われ、料理人が仕入れに使っているそうです。
市場が徒歩圏内にあるのは、飲食店を経営するうえで大きなアドバンテージとなるでしょう。
また、春吉には業務スーパーや業務用厨房器具を扱う店も揃っています。大量の食材を仕入れたり、調理器具・食器を購入したりなど、飲食店開業に必要なものが揃っているエリアです。
参考:柳橋連合市場
テナントの選択肢が広い
春吉には次のようなテナントの選択肢があります。
- 古民家
- レトロなビル
- 比較的新しいテナント
春吉は戦時中に空襲の被害が少なかった経緯があります。そのため、路地に入ると昭和初期の古い建物が残っています。古民家やレトロなビルが多く、歴史や個性的なテナントを求める人にとって魅力の多い町並みです。
春吉エリアではリノベーションや改装した古民家を利用した飲食店も多く、需要が多いことが分かります。
一方で、春吉では新規のマンション・ビル・ホテルなどの建設も進んでいます。
国道202号線沿いなどの大きな通り沿いでは比較的新しいテナントも多く、店舗の選択肢の幅が広い土地と言えるでしょう。
春吉の特徴

春吉は、利便性に優れながら昭和の街並みが残る魅力的な街です。
ここでは、春吉について次のような特徴について解説しています。春吉で飲食店の開業を予定している方は、参考にしてみてください。
- 「春吉」の由来は?
- 最寄り駅は4駅!利便性抜群
- 多面的な街
「春吉」の由来は?
俗説では、「春吉」の由来は「住吉秋祭り」の際に人々が集まり、秋の穀物が踏みつぶされるため、「春に収穫する麦だけ作るのが良い」という考えから来ていると言われています。
春吉は、もともと那珂郡住吉村の一部でしたが、慶長7年(1602年)に那珂郡春吉村として独立しました。田畑として利用されていた土地ですが、寛永16年(1639年)頃に藩の宅地として住宅が作られ、足軽などの下級武士が移住しました。
その後、浸水を防ぐために土手が作られるなど、開拓が進みます。
明治22年(1889年)に住吉村と合併して住吉村大字春吉となり、隣接する中洲の発展に伴って花柳界の人が住むなどし、人口が増えました。戦後は春吉・渡辺通・西中洲に分かれ、春吉1丁目から3丁目が残り、現在に至ります。
春吉は、昭和30年(1955年)頃には中洲とともに飲食店の並ぶ土地だったことが分かっています。春吉は飲食街としての歴史が長い土地でもあるのです。
最寄り駅は4駅!利便性抜群
春吉には地下鉄の最寄り駅が4駅あります。春吉の中心部から駅までの距離と、徒歩でかかる時間はそれぞれ以下のとおりです。
- 七隈線 渡辺通駅…500m、徒歩6分
- 七隈線 天神南駅…650m、徒歩9分
- 七隈線 櫛田神社前駅…800m、徒歩11分
- 箱崎線・空港線 中洲川端駅…1km、徒歩14分
最寄りではないものの、九州最大の繁華街がある天神駅も1.3kmの距離です。徒歩圏内に天神・中洲・住吉があり、役所関係の手続きや買い物、娯楽まで近隣で済ませられるため、利便性は抜群と言えるでしょう。
また、春吉ではバスも利用できます。福岡市街を走る西鉄バスは、博多駅・蔵本・天神・薬院駅前を結ぶエリア内であれば、どのバスを利用しても150円になるサービスを提供しています。春吉もエリア内に入っており、安価な移動が可能です。
※2024年2月の情報です
飲食店を経営する場合、春吉は集客面で有利です。アクセスが良いうえに、住吉にある大型複合施設「キャナルシティ博多」や上川端町の「櫛田神社」など、福岡市の人だけでなく観光客の利用も日常的に多いスポットがあります。
さらに、春吉橋の「レーザーショー」やグルメが楽しめる「晴好夜市」など春吉には多くのイベントが開催されます。天神や中洲では博多どんたくなどの有名なお祭り・コンサート・グルメイベントも多く、足を延ばして春吉の飲食店を利用してくれる可能性は高いでしょう。
多面的な街
利便性の高さや古い町並みが残る春吉は、次のように多面性を持つ町です。
- 飲食街
- 住宅街
- 下町
- ビジネス街
春吉は飲食店が多く、中洲側は夜景が楽しめるリバーサイドとして居酒屋やバー、接待向けの高級な和食料理店などが並びます。天神・渡辺通側も中洲側と同様に居酒屋などのお酒が飲める店がありますが、ビジネス街に近いためランチに利用できる食事処やカフェも多い傾向です。
春吉はかつて、花柳界の印象が強く忌避されやすい土地でした。しかし、行政や住民の努力によってイメージが変わり、住宅地としても選ばれるようになりました。
春吉は15〜64歳の人が79.6%住んでいる土地です。生産年齢人口が福岡市内で2番目に多く、単身からファミリー層まで多くの人が住んでいます。
昭和に建てられたアパートや住宅に住んでいる人もいれば、近年建てられたマンションに住んでいる人もいるなど、幅広い年齢層が新旧の建物で暮らしています。春吉は下町や住宅街でもあるのです。
一方、春吉にはオフィスビルや商業ビルもあり、ビジネス街としての面もあります。
春吉は多面的な機能を持つため、飲食店の選択肢も広いエリアと言えるでしょう。
参考:福岡市 Ⅰ.住民基本台帳に基づく人口及び人口動態の概要
春吉の飲食店のトレンド

春吉にはさまざまな飲食店がありますが、トレンドとして次のような業種が多く見られます。
- 居酒屋
- 食事処・レストラン
- カフェ
天神・中洲・住吉などの周辺エリアの影響を受けつつも、新旧のテナントや幅広い業種が選べる春吉は、飲食店経営の可能性に満ちています。
居酒屋
春吉の飲食店を利用するのは、次のような客層です。
- 観光客
- 天神や渡辺通のビジネスパーソン
- 地元の住民
春吉は中洲から歩いてすぐの立地です。また、周囲に最寄り駅が4カ所もあることからアクセスが良く、観光を楽しんでから手ごろな価格帯の料理やお酒が飲める居酒屋を求める人が春吉に訪れます。
さらに、隣接する渡辺通や徒歩圏内の天神にはオフィス街としての面があるため、仕事帰りのビジネスパーソンが夕食・飲み会・接待などで居酒屋を利用します。
春吉の居酒屋には焼き鳥・焼肉・海鮮・もつ鍋など福岡の食材を活かした料理が多く、食事やコミュニケーションを楽しみたい人にとって最適の場所と言えるでしょう。
地元住民も、住宅街や路地にある居酒屋を憩いの場や行きつけの店として利用しています。
春吉はレトロな雰囲気や古民家などを利用した独創的な店があちこちに点在しています。手軽に飲食できる価格のメニューも多く、ランチやディナーを問わず居酒屋が人気のエリアです。
飲食店を経営したい人にとって、前店舗の設備がそのまま使える居抜き物件が多いのも春吉がオススメのポイントです。
関連記事:居抜き物件とは?スケルトンとの違いや契約の流れを解説
居抜き物件を探す際の注意点|よくある7つのトラブルをもとに解説
食事処・レストラン
春吉の那珂川沿いは夜景が見られるため、おしゃれなレストランやバーが立ち並んでいます。また、ホテル内にもイタリアン・フレンチ・ダイニングバーなどが出店しており、観光客にも人気のスポットです。
一方、春吉の路地に入ると昔ながらの食事処やラーメン店のほか、創作料理の楽しめる店なども見られます。
春吉では高価格帯のレストランがある一方で、10坪前後の小さな店で低価格の料理を提供する店も多く、飲食店の業種の幅が広いのが特徴と言えるでしょう。
ランチでもディナーでも利用可能で料理のレベルも高いため、食事処やレストランは地元住民・観光客・ビジネスパーソンから評価が高い傾向です。
カフェ
福岡にはコーヒー文化が根付いており、2014年には世界一のバリスタを輩出しています。春吉にもカフェスタンド・古民家・ビルのテナントなど、さまざまな店舗スタイルのカフェが見られます。
個性的・おしゃれな店舗というだけでなく、豆の選定や焙煎にこだわり、質の高いコーヒーを提供するカフェが多く、地元住民から観光客まで客層もさまざまです。
また、春吉では夜間に営業しているカフェもあり、食後や飲酒の後にコーヒーやスイーツを楽しめます。
春吉エリアの賃貸相場は?

春吉は福岡市中央区でも比較的テナント物件の賃料が低いエリアです。周辺に比べて開発が遅れており、古い建物が残っているのが理由と考えられます。福岡中心部で家賃を抑えながら飲食店を経営したい人にとって、春吉は最適です。
福岡テナント連合隊で調べたところ、渡辺通・中洲・天神の飲食店のテナント料には次のような違いがありました。
エリア | 最低家賃 | 最高家賃 |
---|---|---|
春吉 | 68,000円 | 1,556,100円 |
渡辺通 | 141,900円 | 1,067,704円 |
中洲 | 149,900円 | 1,601,600円 |
天神 | 149,490円 | 6,932,970円 |
春吉には賃料の高いテナントもありますが、最低家賃は周辺エリアでもっとも安く、選択肢に幅があります。テナントの選び方次第では、開業後の運営費が抑えられるでしょう。
春吉エリアのテナント物件はこちらで確認できます。ぜひご活用ください。
ただし、春吉は今後の発展が期待される土地です。春吉の人口は4,117人(2023年)ですが、今後は注目の町として人口が増え、テナントなどの賃料も上がる可能性があります。
たとえば、2017年の春吉3丁目の公示価格(円/㎡)は435,000円でしたが、2023年には 1,100,000円まで上がっており、春吉が評価されつつあるのが分かります。
特に、新しく作られたテナントほど賃料の高くなることが予想されるため、初期費用や運営費をできるだけ抑えたい人は築年数の古い建物や居抜き物件を選ぶなどの工夫が必要です。
参考:福岡市 登録人口(行政区別)
参考:令和6年地価公示(福岡市分)
春吉で理想のテナント物件を探す方法

春吉には昭和の街並みが残っていますが、一方で新しい商業ビルなどもあります。店舗やテナントを探す際はどんな店内にしたいかなどのイメージを固めておいた方が良いでしょう。
ここでは、新旧の店舗の探し方を説明します。
- 古民家を探したい場合
- 希望の空きテナントを探したい場合
古民家を探したい場合
春吉では古民家が多く残っており、飲食店の店舗として利用が可能な場合もあります。古民家は、次のような方法で探してみましょう。
- 春吉の不動産会社に問い合わせる
- 春吉を歩いて古民家を探す
路面店やテナントを探す時に便利なのがネット検索です。しかし、古民家は扱っている不動産会社が少なく、ネット検索で見つけられるとは限りません。
古民家を探すなら、地元の情報に精通している地域密着型の不動産会社に問い合わせてみましょう。地元の人との付き合いが深い昔ながらの不動産会社なら古い住宅の情報なども持っており、理想の店舗が見つけられる可能性が高くなります。
地域密着型の不動産会社はGoogleで「春吉 不動産会社」のように検索して探すことが可能です。
また、春吉を実際に歩いて古民家を探してみるのもオススメです。もし利用されていない古民家を見つけたら、周辺の住んでいる人に持ち主について尋ねるか、近隣の不動産会社で相談すると良いでしょう。
仮に、古民家を見つけて出店を検討する場合は、必ず不動産会社や建設会社に相談が必要です。古い建物は耐震基準を満たしていなかったり、建具が古すぎて暑さ・寒さ対策が必要だったりするからです。
建物の状態によっては、大がかりなリフォームやリノベーションを行うなどの費用がかかる場合もあります。
関連記事:古民家をリフォームする魅力!費用や失敗しないためのポイントを解説
古民家をリノベーションするメリットは?費用や注意点も詳しく解説
希望の空きテナントを探したい場合
古民家にこだわらず、新旧どちらのテナントも探してみたいという人は、ポータルサイトを利用しましょう。
ポータルサイトはさまざまな不動産会社が物件情報を掲載しているサイトです。条件を入力して検索するだけでなく「築年数」や「居抜き物件」などのワードを入れて探すことも可能です。
地域に特化したポータルサイトは特定のエリアの情報も多く、理想のテナント・店舗が見つかる可能性が高まります。
たとえば、福岡のテナント情報に特化した福岡テナント連合隊は春吉の物件情報を探す際にオススメのサイトです。
また、ラルズネットの「テナント物件リクエスト」のように対象地域の不動産会社から物件情報を送ってもらえるサービスもあります。ぜひご利用ください。
春吉のメリットを活かせるテナント物件を見つけよう!

春吉は、昭和の街並みが残りながら、新しい建物も増えつつある魅力的な町です。多面的なところがあり、飲食街・住宅街・ビジネス街としても機能しています。
また、古民家や新しいビルなど、店舗やテナントも多く、飲食店を開業したい人にとって春吉は選択肢が多い場所と言えるでしょう。
春吉で飲食店を開業する際に、福岡市の補助金や開業支援制度が使えるのも出店者にとって有利なポイントです。
福岡市でテナント物件を探している方は、ラルズネットが運営する「福岡テナント連合隊」をご活用ください。路面店、居抜き物件コーナーなど、事業者目線で詳細な検索ができるようになっています。
『テナント連合隊』が、これから出店を考えている事業者様のお役に立てれば幸いです。