シングルマザーが移住するためには、子育て支援制度や教育環境の充実度、交通アクセスなど、いくつかのポイントを押さえることが重要です。
自身のライフスタイルや子どもの将来を考慮し、移住を進める際は慎重なプランニングを行うようにしましょう。
本記事では、地方移住を検討しているシングルマザー向けに、地方移住の際の注意点や確認すべきポイントを解説します。
シングルマザーの移住先としておすすめの地域も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
地方移住で失敗を避けるために気をつけるべきこと
地方移住での失敗を避けるためには、移住先の検討段階で想定される課題や注意点を理解しておくことが大切です。
ここでは、地方移住で失敗を避けるために気をつけるべき4つのポイントを解説します。
移住後の収入をどのように確保するか
移住の際にまず気になるのは、やはり収入面ではないでしょうか。
地方は都会に比べて求人数が少ない傾向にあり、移住後に収入が低くなってしまう可能性があります。
そのため地方移住の際は、どのように収入を確保するのか入念なプラン設計が必要です。あらかじめ求人情報サイトなどで仕事を探したり、知り合いに縁故採用がないか尋ねてみたりと、早めに情報を集めておきましょう。
必ずしも移住先の企業で働かなくても良い場合は、テレワークを活用して収入源を確保するのも一案です。就職・転職活動がスムーズになるよう、事前に資格取得も検討しておくと良いでしょう。
周辺に教育機関や病院がそろっているか
移住先の教育機関や病院について、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。
子どもを持つ家庭では、幼稚園からの呼び出しや突発的な子どもの体調不良など、いつ不測の事態が起こっても不思議ではありません。
そのため、移住先の住まいや勤務先から幼稚園・学校までどの程度の距離があるか、近くに緊急対応が可能な病院があるかといった点をチェックしましょう。
移住先の子育て支援制度が充実しているか
移住先の自治体によって支援制度の内容は大きく異なります。特にシングルマザーの場合は、子育て支援の充実度や、独自の取り組みの有無、制度の活用しやすさといった点をチェックしておくと良いでしょう。
各自治体の支援制度は条件が細かく指定されていることも少なくありません。
そのため、各自治体のホームページなどを参考に、子育て支援制度の適用範囲を調べておくことが重要です。この手続きは、移住先に住民票を移す前に行っておくことをおすすめします。
交通インフラが整っているか
都会から地方へと移住する場合は、公共交通機関の利便性が大きく変化するので注意が必要です。
移住する地域によっては、近くに駅やバス停がなく、自家用車がなくては生活が不便になるケースも想定されます。また、駅やバス停があっても、本数が極端に少ないことも考えられます。
そのため、現在検討している移住先の周辺にどのような公共交通機関があるのか、しっかりと確認しておきましょう。
例えば、電車やバスの路線、1時間あたりの運行本数などは重要な要素です。遠距離移動の機会が多い方は、高速道路や空港までの距離を調べておくのも良いでしょう。
シングルマザーが地方に移住するデメリット
シングルマザーが地方に移住する際には数多くのメリットがあるものの、同時にデメリットも少なからず存在します。
デメリットをしっかりと確認したうえで、地方移住に適しているのかを見極めましょう。
地域によっては生活や子育てがしづらい場合がある
移住先の地域によっては、環境が子育てに適していないケースも考えられます。
例えば、交通の利便性が低い、子どもの遊び場が少ないような地域は、あまり子育てには向かないでしょう。
そのため、移住を検討する段階でしっかりと移住先の生活環境をチェックしておきましょう。
周辺にある施設や学校・病院までの距離などの情報は、インターネットからでも検索できます。ただし、住み心地や周辺に住んでいる人々の特徴、気候・風土など、現地を訪れてみないとわからない情報もあります。
自治体によっては体験移住制度を提供していることもあるため、短期間だけ現地に住み、リアルな生活感を体験するのがおすすめです。
人によって近所づきあいが苦になることがある
特に田舎に移住する場合は、近所づきあいの機会が多くなる点に注意が必要です。人によっては近所づきあいが苦手で、ストレスを抱えてしまうこともあるでしょう。
自分の苦手なことをすぐに克服することは難しいものです。
そこで、このような方は、地方のなかでも比較的都市機能が発達しているエリアを選ぶと良いでしょう。数多くの人口が集中している政令指定都市や、ターミナル駅の周辺などは、都会の暮らしとほとんど性質が変わりません。
シングルマザーが地方に移住するメリット
シングルマザーが地方へと移住することで、家賃を削減したり、豊かな自然のなかで子育てができたりと、数多くの恩恵を得られます。
前述したデメリットと以下のメリットを俯瞰的に捉え、地方移住が自身に向いているのか、慎重に判断してください。
家賃や食費を安く抑えられる
地方の生活費や住宅費は、都市圏に比べて低い傾向があります。地方移住によって家計の負担を軽減できるのは大きなメリットです。
また、農業や漁業が盛んな地域では、地元のスーパーに新鮮な食材が比較的安い価格で並んでいたり、野菜やフルーツの直売所があったりと、食費を最小限に抑えられます。
そのため、特に自炊をする方にとって、地方移住はメリットの大きい選択肢だといえるでしょう。
豊かな自然のなかで伸び伸びと生活や子育てができる
都会から離れた場所には自然豊かな環境が広がっています。
このような環境では、子どもを伸び伸びと育てられるのがメリットです。また、落ち着いた環境を好む方にとって、地方移住は魅力的な選択肢だといえるでしょう。
ただし、山間部や田園地帯が広がる地域では、交通機関が少ない、インターネットがつながりにくいといった難点があります。
そこで、おすすめなのが、都市部から少しだけ距離が離れた郊外に住居を構えることです。
最近は、幅広い地域でベッドタウンの開発が進んでおり、優れた都市機能と豊かな自然環境を両立したエリアが数多く存在します。
このような地域では、山間部や田園地帯特有の不便さを感じにくく、さらに自然豊かな環境でリラックスできるのが特徴です。近くには公園やキャンプ場などがそろっていることも多く、子育てするには適切な環境だといえるでしょう。
待機児童に悩まされる心配が少ない
都会で子育てをする際に課題となるのが、待機児童ではないでしょうか。特に、人口が密集しており、空き地の数に限りがある地域では、子どもの人数に対して保育施設の数が不足しやすくなります。
一方、地方創生へと積極的に取り組んでいる自治体ほど、待機児童解消に向けた取り組みが盛んです。
なかには広大な土地や空き地を活かし、数多くの保育施設を増設している自治体もあります。
例えば、北海道札幌市の北東に隣接する江別市では、面積がそれほど大きくないながらも、市内に42か所もの保育施設が設置されています。このような取り組みの結果、2022年には3年ぶりとなる待機児童ゼロを達成しました。
上記のような地域に移住することで、待機児童の問題に悩まされる心配が少なくなります。
関連記事：北海道江別市に移住するならどこがいい？おすすめエリアを解説
地域のコミュニティによって孤立するリスクが低い
地方は都市部に比べて人と人とのつながりが強く、地域のコミュニティが活発な場合が多い傾向にあります。
人づきあいが苦にならない方にとっては、新たな出会いが生まれるチャンスだといえるでしょう。
特に、シングルマザーで移住先に知り合いが1人もいないような場合には、移住先で知り合った新たな交友関係が、緊急時や誰かの助けが必要な際に活きてくるかもしれません。
このようなメリットを活かせるよう、地域の行事やコミュニティでの集まりには、積極的に参加するのも方法の一つです。
シングルマザー向けの支援制度を提供している自治体7選
シングルマザーで移住を検討する際は、なるべく子育て支援の整った自治体を選ぶのがおすすめです。
なかでも特におすすめの自治体は以下の7つです。
北海道エリア：北海道函館市
北海道函館市は、道南エリアに位置する港湾都市です。道内のほかの地域に比べて比較的暖かい気候や、都市ならではの利便性の高さに特徴があります。
函館市では、子育て世帯に向けた経済的な支援が充実しています。さらに、ひとり親世帯特有の悩みを相談できる窓口も豊富です。
代表的な支援制度は以下の通りです。
- ひとり親家庭等医療費助成
- 児童扶養手当
- 遺児手当
- 母子寡婦福祉資金等貸付金
- 母子家庭等自立支援給付金
※2023年9月に執筆した記事です。最新情報は函館市ホームページ｜子育てをご確認ください。
北海道エリア：北海道千歳市
千歳市は2014年から、「子育てするなら、千歳市」のコンセプトのもと、子育てに対する先駆的な取り組みを実施しています。過去9年間で50種類以上の事業を展開し、豊富な実績を誇るのが特徴です。
具体的には、以下のような子育て支援制度が実施されています。
- 子ども医療費助成制度
- こども食堂
- ちとせ子育て特典カード
- 乳幼児紙おむつ用ごみ袋支給事業
- ショートステイ（子育て短期支援事業）
また、2023年9月時点において、食費をはじめとする物価高騰に対するサポートの一環で、ひとり親世帯に向けた子ども1人当たり5万円の給付金を支給しています。
※2023年9月に執筆した記事です。最新情報は千歳市ホームページ｜子育て支援事業をご確認ください。
関連記事：千歳市に移住した際の住みやすさは？補助金や支援制度を紹介
東北エリア：宮城県仙台市
仙台市は東北エリア唯一の政令指定都市に認定されています。
公共交通機関が整っており、日常的な買い物で苦労することもありません。数多くの商業施設があり、さらに公園やレジャースポットなど、子どもと一緒に過ごせる場所も豊富です。
また、ひとり親世帯に向けた数多くの支援制度が利用できます。
- 母子・父子・寡婦福祉資金貸付
- 母子・父子家庭医療費助成
- 児童扶養手当
- ひとり親家庭自立支援教育訓練給付金事業
- ひとり親家庭等日常生活支援事業
- ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付
- ひとり親家庭住宅支援資金貸付
特に、1ヶ月上限4万円の家賃用資金を借りられる「ひとり親家庭住宅支援資金貸付」は、条件次第で返済が免除されるメリットがあります。
また、東京圏から移住する場合は、移住費用を抑えられるよう、移住支援金に申し込むのも方法の一つです。
※2023年9月に執筆した記事です。最新情報は仙台市ホームページ｜子育て施策をご確認ください。
関連記事：仙台市に移住するメリットは？おすすめのエリアや仕事事情を解説
関東エリア：千葉県松戸市
千葉県の松戸市は、関東エリアのなかでも充実した子育て支援に強みを持つ自治体です。
子育て情報サイト「まつどDE子育て」や、「まつど子育てガイドブック」、子育て世帯向けの相談窓口など、子どもを持つ親が安心して暮らせる仕組みが整っています。
なかでも代表的な支援制度には、次のような種類があります。
- 子ども医療費助成制度
- 低所得世帯向け子育て世帯生活支援特別給付金
- 母子・父子・寡婦福祉資金の貸付
- チーパス事業（優待カードの提示で子育て応援サービスが受けられる）
- ひとり親家庭による就労相談員への悩み相談
- 離婚前後の養育費相談・面会交流支援
2022年度からは、「LINE版子育てポータル機能配信事業」を発足し、子育てに関するさまざまな情報をLINEで発信しています。
※2023年9月に執筆した記事です。最新情報は松戸市ホームページ｜家庭への支援・援助をご確認ください。
中部エリア：静岡県浜松市
静岡県のなかでも、のどかな雰囲気のなかで肩肘張らずに子育てができる浜松市は、シングルマザーにおすすめの移住地です。
「子育て世代を全力で応援するまち」というスローガンを掲げる浜松市は、その宣言通りに数多くの子育て支援制度を設けています。医療費助成制度や幼児教育・保育の無償化はもちろん、ひとり親世帯向けの制度も充実しています。
代表的な支援制度は以下の通りです。
- ショートステイ（短期入所生活援助事業）
- トワイライトステイ （夜間養護等事業）
- ひとり親家庭等自立支援給付金
- 児童扶養手当
- 養育費取決支援金
- 母子父子寡婦福祉資金貸付金
浜松市は、地域全体で子供を見守る体制が整っているのでシングルマザーでも安心です。
※2023年9月に執筆した記事です。最新情報は浜松市子育て情報サイト「ぴっぴ」｜手当・助成・手続きをご確認ください。
関連記事：浜松市の移住・定住情報まとめ｜街の魅力や支援制度を紹介
近畿エリア：兵庫県明石市
おしゃれで上品な土地柄を持つ兵庫県明石市は、保育士として活動するシングルマザーの方におすすめの移住先です。
自治体が待機児童数を減らすため、保育士への優遇したサポートを提供しています。市内の私立認可保育施設に保育士として採用されると、7年間で最大160万円の保育士定着支援金が受け取れます。
保育士以外の方でも、明石市には充実した子育て支援制度があり、主に以下のような制度を活用できます。
- 出産・子育て応援給付金
- こども医療費助成
- 子育て支援センター
- 0歳児見守り訪問「おむつ定期便」
- 産前・子育て応援ヘルパー派遣
※2023年9月に執筆した記事です。最新情報は明石市ホームページ｜子育て支援をご確認ください。
九州エリア：福岡県北九州市
政令指定都市の一つである北九州市は、交通インフラが整っており、商業施設や医療機関も充実しています。
海や山といった自然も楽しめる土地として、子育てがしやすい地域です。本州へのアクセスも飛行機だけでなく、電車や新幹線でもアクセスできるので便利です。
北九州市が実施している子育て支援制度には、次のような種類があります。
- 子どもショートステイ事業
- 母子・父子・寡婦福祉資金
- ひとり親家庭自立支援給付金事業
- ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業
- 母子・父子福祉センター
※2023年9月に執筆した記事です。最新情報は北九州市ホームページ｜子育てをご確認ください。
関連記事：北九州市に移住しよう！生活・教育環境や補助金制度を解説
シングルマザーの移住先は北海道がおすすめ
シングルマザーの移住は、自治体によって受けられる制度が変わるので、事前に入念なチェックを行い、慎重に検討しましょう。本記事を参考にして、安心して移住できる準備を進めてみてください。
北海道には、子どもを伸び伸びと育てられる豊かな自然があり、落ち着いた環境で暮らしたい方におすすめです。また、充実した子育て支援制度を提供する自治体も多く、子育てに関する費用を抑えたり、悩みを誰かに相談したりするのにも、北海道は適切な移住先だといえます。
北海道への移住を検討している方は、住環境についてのメリットやデメリットの情報もしっかりと確認しておきましょう。以下の記事で北海道移住のメリットを詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
