
まだ、世の中がバブリーなころ、この不動産業界では、一晩で大金を手にする人たちは結構いたわけで、彼もそんな1人だった。
彼の職業は不動産ブローカー、不動産の業者免許を持たず、自分の人脈だけで集めてきた物件を、業者や客に仲介して手数料を貰うという、あまり世間では評判は良くない。
彼の大金を手にする前の生活はと言うと、家は3部屋のボロボロアパートに家族3人で住み、家賃も滞納ぎみ。車は、何年も昔の錆び上がったスバルのレックスコンビ(軽四)に乗っている、冴えない生活であった。
そんな彼が、いつものように当てにもならないゴルフ場開発の話しを持ってきたわけだが、その話しだけは、とんとん拍子に話しが進み、ついに売買が成立してしまった。
彼が手に入れた手数料は6億円、当時ジャンボ宝くじの1等賞金が、まだ1億2000万だったから、1等を5本当てたのと同じ金額を手に入れた。それからの、彼の生活の変わりようはスゴカツタ。
まず、中古の家を買いました。6億もあるのだから、新築を建てれば良いのに思うのですが、何せ今すんで居るのが、3部屋のボロボロアパートですから、彼は建つまで待てなかったんですね。建坪60坪、車庫だけでも20坪もある中古の豪邸を買いました。
車庫が20坪もあるわけですから、次に車を買いました。やはり、最初の1台は、お金持ちの定番ベンツ、2台目は北海道なので雪のある冬用にと三菱のパジェロ、当然グレードが一番高い物、3台目は、なんと中古のロールスロイスをかつてしまった。ほんの1ヶ月前に軽四に乗っていた彼は、ロールスロイスのオーナーになってしまった。
家、車とくれば、次は当然女でしょう、彼は、毎晩高級クラブに飲みに行くようになりました。金さえあれば女もつきます、26歳の美人な彼女が出来ました。高級賃貸マンションを借りてやり、高価な家具類を買い、車も買い与えました。
彼は、幸せの絶頂ににありました。しかし、彼は忘れている事がありました、税金です。確定申告の時期になり、3億円以上税金が取られることが分かると、彼は怒りましたね「働きもしないで,国は俺の稼ぎの半分以上を持って行くのか」と。わかります その気持ち。
しかし、税金を払うのは国民の努め、彼は全額支払いました。税金を払ってからの彼は、金銭感覚も元に戻り、働くようになりました。
私が思うには、彼があのままの生活を続けていれば、今ごろは3部屋のボロボロアパートの生活に戻っていたことでしょう。その意味では、国は彼を救ったと言えるでしょう。
PS: 彼のことは、あまり悪く書けません。何故なら、私も毎晩、高級クラブに連れて行ってもらい、結構良い思いさせてもらったので・・・懐かしいなあ〜バブルの頃
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